四季を通して花と暮らそう
切り花の基本管理
切り花のお手入れ、3つのコツ
長持ちのポイントは「水」
基本の作業からも分かるように、花と水の関係はとても重要です。
人に個性があるように、たくさん水を必要とする花もあれば、茎が腐りやすい花もあります。植物の性質に合わせて、「生ける水の深さ」を調節してみましょう。基本的には、茎がつるつるしている植物は「深水」、菊のようにうぶ毛があるもの、カラーのように穴のある茎や柔らかい茎は「浅水」が向いていると言われています。水の量はそれぞれの品種ごとに変わりますので、花を買う時にお店の人に確認すると安心ですよ。
最後に、花を飾る場所にも注意をはらいましょう。「直射日光」と「エアコンの風」が当たる場所は水分が蒸発してしまい、切り花の日持ちが悪くなるので避けてくださいね。
夏向きの切り花とアレンジ
菊
真夏でも抜群の花もちの良さを誇るのが、菊です。上手に管理すれば、2週間以上咲くことも。お供え花のイメージが強い菊ですが、最近はダリアのように見える洋風の華やかな品種や清楚でナチュラルな小菊類、パステルカラーから日本らしい落ち着いた色まで、バラエティ豊かに進化しています。
アレンジの注意点は、余分な葉を丁寧に取り除くこと。菊の葉は水に浸かると腐りやすく、葉が多いと蒸れやすいのでスッキリと整えてあげましょう。個性が強い大ぶりの菊は同系色でまとめて、花器はシンプルでシックなものを選ぶと初心者さんでもまとめやすいそうですよ。
胡蝶蘭
蝶々が羽を広げたような姿が美しい、胡蝶蘭。熱帯雨林に咲く花で、1ヶ月ほど花もちするので夏におすすめの花です。湿度が多い場所を好むので、エアコンの風が当たらない場所に飾りましょう。長く咲くうちに下の花から傷んでくるので、少しずつ下の花を摘んで整えていくとさらに長持ちします。摘んだ花は、水に浮かべて飾って楽しむと良いそうですよ。
花付きが多い胡蝶蘭は、一輪でも華やかで様になります。グラスなどにさりげなく生けても素敵ですね。アレンジの幅を広げたい時は、グリーンと合わせると上手にまとまりますよ。
トルコキキョウ
夏が旬のトルコキキョウ。一重から八重咲き、フリル咲きなど形も色も様々で、メインの花材にしてもサブにしても、仕上げたい雰囲気に合わせて選ぶことができます。茎が腐りにくく花もちも良く、夏でも約2週間楽しめます。茎の節部分でカットしてしまうと水の吸い上げが悪くなるので、節は避けて切るようにしてくださいね。
たっぷりのグリーンと一緒に生けると、ナチュラルで爽やかな印象で夏にはぴったりです。トルコキキョウのすらりとした長さを活かしてアレンジする時は、倒れにくい重さのある花器を選んでくださいね。
ひまわり
夏らしい花と言えば、太陽に向かってぐんぐん伸びるひまわりですね。最近は色味や形、大きさも幅広く、個性豊かなひまわりが増えています。水揚げは良いほうですが、一日に一度切り戻しをしてあげるとより長持ちします。選ぶ時は、細く締まった茎のものが良いそうですよ。
ひまわりの花は平たくて皆同じ方向を向いているので、高低差をつけて生けてみましょう。とても存在感のある花なので、初心者さんはひまわりだけでまとめるとアレンジしやすいですよ。他の花材を入れるならば、ホワイト系の小花でビタミンカラーを引き立てたり、くすんだ色の花材と合わせてシックにまとめても素敵です。涼やかに見せるには、ガラスや白い花器がおすすめです。また、反対色のブルーの花器に生けるとひまわりの元気さが際立ちますよ。
枝もの
長持ち、という点から考えると、枝ものは優秀選手。一見扱いが難しそうに見えますが、とても持ちが良い上にお部屋に清涼感を与えてくれるので、夏場は特におすすめです。一本からでも雰囲気が出ますが、複数本生ける時は奇数にするとバランスが取りやすくなるそうです。画像はグレーがかった葉色が大人っぽいユーカリ。長い時期流通しているので手に入れやすい枝ものです。
お花を手に入れた後の基本作業は以下の三つです。この三つの作業が、切り花を長く楽しむためのコツになりますので忘れずに行ってくださいね。
①「水あげ」
花が水をスムーズに吸収できるように、茎の根元を切ります。水を貼った洗面器やボールの中で、茎を斜めにカットし、2〜3秒水を吸わせます。水あげの前に、余分な葉や咲かなそうな蕾は取り除いておくと、吸水率がさらに良くなりますよ。
②「水替え」
生けた花の水は「毎日交換」が鉄則です。特に夏場は水中のバクテリアが増加しやすいので、忘れずに水を入れ替えましょう。茎や花器のぬめりもしっかり洗い流しておくと、水をきれいに保つことができます。
③「切り戻し」
生けた後も、茎をカットする「切り戻し」は水替えのタイミングで行うと良いでしょう。変色したり傷んでいる部分は切り落として、新鮮な切り口を保ちます。また、状態を良く観察し、咲き終わった花や枯れた葉も取り除いてしまいましょう。