みずみずしくて、真っ赤で、栄養価も豊富なトマト。鮮やかな色合いで、食卓に出すだけで彩りがよくなり、料理が華やぎます。そんなトマトですが、育てるのは意外と簡単。家庭菜園でも作ることができます。
この記事では、初心者さんでもできる、おいしいトマトの家庭菜園方法についてご紹介します。
【知識】お家でトマトを育てるその前に。知っておきたい事前情報
家庭菜園でトマトをつくりはじめる時期は4月〜5月が◎
トマトは、地域にもよりますが一般的に4〜5月に苗を植えるのがおすすめです。その時期に苗を植えると、7〜8月には収穫ができます。植付けから収穫までの期間が短いため害虫や病気になってしまうリスクが少ない野菜です。
トマトを栽培するには、「日当たり」と「風通し」の良さは大切なポイントです。赤くてぴんと張ったトマトを育てるには、風通しの良い、よく日の当たる場所で栽培するようにしましょう。太陽の量が足りないと、花が付かなかったり、落ちたりしてしまう場合があります。
出典: いくら日当たり&風通しが良いからといっても室外機の側はNGです。室外機などの不自然な風や熱風が出るものの近くで育てると土が乾燥してしまいやすくなり、苗がひょろひょろと弱ってしまいます。
初心者はベランダなどで手軽に始められるプランター栽培がおすすめ
トマトの家庭菜園には、市民農園などの畑を借りて栽培する方法と、自宅のベランダなどにプランターを置いて栽培する方法があります。どちらでも実をつけて収穫することは可能ですが、より手軽に始められるプランター栽培の方が初心者さんにはおすすめですよ。
それではここからは、初心者さんでも始めやすいプランターを使ったトマトの栽培方法をご紹介します。
【準備物】トマトのプランター栽培をするために準備したいもの
トマトのプランター栽培をするためには、苗やプランターをはじめとしていくつか用意が必要なものがあります。いずれもホームセンターなどで手軽に手に入りますよ。
トマトは、畑の中に植えると2mほど根をはるので、プランターは少なくとも縦・横・奥行きが30cmよりも大きく、土がたくさん入るものを選びましょう。
・トマトの苗(慣れてきたらトマトの種も◎)
・プランター
・野菜用培養土
・鉢底石
・じょうろ
・小型の園芸シャベル
・支柱(直径2cm、長さ2cm)
・麻ひもやビニールひも
出典: 必要な道具を揃えたら、実際にトマトを育ててみましょう。
もし失敗しても、次はその原因を調べて改善していけば良いだけなので、落ちこまなくても大丈夫◎ 苗は1本300円ほどかそれよりも手頃に入るので、まずは始めてみるのがおすすめです。
出典: 初めてプランター栽培をする場合は、植え付けの前に必要な栄養素があらかじめ入った市販の野菜用培養土がおすすめです。鉢底石をプランターの底が見えなくなるくらいまで敷きつめ、その上に培養土を入れます。
2.土にカップを入れるくぼみを作って苗を植え付ける
出典: 土台ができたらいよいよ苗を植え付けていきますが、できれば植え付けの2時間ほど前に苗にたっぷり水をあげておくのがポイントです。そうすることで、ビニールの容器からするっと苗が抜けて苗が傷みにくくなります。土にカップが入るくらいのくぼみを作り、容器をひっくり返して人差し指と中指で苗を挟み支えるようにして植え付けます。
出典: 苗を植え付けたら、苗が倒れないように根元に土をそっと寄せて軽く押さえつけます。さらに、根と土を馴染ませるため、たっぷりと水やりをしてひとまず安心です。
出典: 植え付けを終えてひと段落したら、次は支柱立てと誘引の作業に移ります。この作業は、苗が育ってきたときに自身の重みで苗が折れてしまったり、倒れてしまったりしないようにするための作業です。トマトの苗から少し離れたところに支柱を立て、茎の太い部分と支柱を麻ヒモなどでくくりつけます。
茎は伸びるだけでなく太くなるのですこし余裕を持たせて
出典: トマトの茎は成長していくにつれて上に伸びていくだけでなく、茎自体も太くなります。ヒモでしばるときは、すこし隙間を残しておくのがポイントです。
出典: 苗を植えたあとは、午前中のなるべく早い時間に水やりをしましょう。早い時間帯の方がいいのは、トマトが太陽の光を浴びて光合成を始める前のため。人もご飯をちゃんと食べたあとの方が、しっかり動けますよね。
「過ぎたるは及ばざるがごとし」ということわざもありますが、あまりにも心配だからと言って水のあげすぎは根が腐ってしまったり、肥料が流出してしまう原因になります。土をさわってみて、乾いていたら追加であげるようにしてくださいね。
【トマトが育ってきたら】《芽かき》と《着果促進》と《追肥》を
根が馴染んだトマトは、5〜6月夏に向けてすくすくと育っていきます。よりおいしいトマトを育てるためには、不要な茎を取る《芽かき》と、受粉を促す《着果促進》、トマトが育つのに必要な肥料を追加する《追肥》が必要です。
1.《芽かき》で養分が実にきちんと行き渡るようにする
出典: 《芽かき》とは、茎と葉の間から出てきた新しい芽(わき芽)を摘みとり、実ができる茎にしっかりと養分を行き渡らせるようにする作業をいいます。わき芽は柔らかいので、素手での作業がおすすめ。わき芽の切り口から雑菌が入るとトマトの苗が病気になってしまうこともあるので、作業の前に手を洗っておきましょう。
2.第一花房を大切に!花が2、3輪咲いてきたらしたい《着果促進》
出典: 苗が育ち、花が2、3輪咲いてきたら市販の着果促進剤を使って花に直接スプレーします。花の中でも、最初に花がついた「第一花房」が受粉しないと、葉や茎ばかりが成長してしまい実がうまくつきません。
3.土の養分を使い果たしてしまった苗に《追肥》で手助け
出典: 育ててから3週間ほど経つと、苗は野菜用培養土の中にあった養分を使い切り、土の中の栄養が足りなくなってしまいます。そこで行いたいのが、化成肥料の《追肥》です。2週間~1ヶ月に1回ほど、土の表面全体に肥料をプラスしましょう。栄養が苗に行き渡り、美味しい実をつけます。
【トマトの家庭菜園の困りごと】赤くならない・苗が病気の対処法
トマトが青い実をつけ、もうすぐ収穫!というところで、実が赤くならなかったり、なかなか大きくならなかったりといった生育不良に悩まされることも。まだまだ油断はできません。少しでもおかしいなと思ったら、早めの対策をとっていきましょう。
赤くならない!実が黄色い・枯れているときは肥料不足のサイン
葉の色が色あせて黄色くなってしまったり、枯れてしまったりしたときは肥料が足りないことによる栄養不足の可能性があります。
実の先端部分が褐色になってきたり、陥没したりなどしたときは、すぐに発症した実を取り《追肥》を行います。液体肥料の方が即効性があるのでおすすめです。
高温多湿の場所はカビが好んで生息する場所。風通しがよくないところにプランターがあるなどして湿度が高いと、実が灰色になってしまう「灰色かび病」や円形の斑点ができる「炭そ病」になる可能性があります。対策としては、日当たりや風通しをよくして、カビが生息しにくい環境を作り出すことです。
出典: 野菜を栽培する上で害虫やウイルスの対策は欠かせません。
トマトが大好きな緑色の小さな虫・アブラムシは、トマトの天敵です。アブラムシがウイルスを媒介し、葉の表面がでこぼこする「トマトモザイク病」はアブラムシが運んでいるもの。また、タバココナジラミは葉の先端が黄色く縮む「黄化葉巻病」などを媒介します。もしも病気になっているのを見つけたら、他の苗にうつらないように株ごと撤去します。
化学農薬が気になる方は、天然由来の農薬や手作りの自然農薬を
水で洗ってそのまま食べることも多いトマト。化学農薬は気になる……という方におすすめなのが、水あめや酢などの食品由来の成分で出来た農薬です。市販のものももちろんありますが、お家にある食材などで農薬を手作りすることもできますよ。以下リンクを参考にしてみてくださいね。
暑い夏にぴったりの夏野菜《トマト》を手軽に家庭菜園で
出典: 暑い夏は苦手という方も多いかもしれませんが、トマトにとっては実が甘くなりおいしい季節。水分や栄養がたっぷりで、夏バテ対策としてもおすすめです。調理法も、そのまま食べたり、パスタやスープにしたり、サンドイッチにしたりなど様々な使い方ができます。お子様とでも楽しめるトマトの家庭菜園を、ぜひこの記事を参考に始めてみてくださいね。
トマトは、地域にもよりますが一般的に4〜5月に苗を植えるのがおすすめです。その時期に苗を植えると、7〜8月には収穫ができます。植付けから収穫までの期間が短いため害虫や病気になってしまうリスクが少ない野菜です。