その中で毎年のように感じるのが「時間の速さ」ではないでしょうか。「また今年も終わってしまう、一年があっという間だったなあ」と思いますよね。この「時間の速さ」、特に大人になってからのほうが強く感じませんか?
大人になると時の流れを速く感じるのはどうしてだろう
子どものころの一年というのは、多くのことを経験し自分でも成長したと思えるほどに充実していたものですが、大人になってからの一年はどうでしょうか。同じ一年という長さでありながら、とても速く感じませんか?
仕事、家庭、人付き合いなど、子どものころよりも責任が重く、頭を悩ませるような状況に陥ることや大変な思いをすることが多いですよね。それなのに時の流れを速く感じるのはどうしてなのでしょうか。
大人が時間を速く感じてしまう理由
私たちは、なぜ時間を速く感じるのでしょうか。いくつか専門的な方々の答えをみてみましょう。
まず一般的によく知られているのが「ジャネーの法則」。フランスの哲学者ポール・ジャネーとその甥の心理学者ピエール・ジャネーにより提唱された仮設で、「感じられる時間の長さは、年齢と反比例的な関係にある」というものです。
同じ1年であっても、10歳の子供にとっては人生の10分の1であり、60歳の大人にとっては60分の1です。年齢に対する比が小さいほど時間が短く感じられるので、加齢によって時間が短く感じられるようになる、というわけです。
千葉大学文学部の一川誠・准教授によると、心的時計の進み具合には、身体の代謝の状態が大きく影響しているそうだ。身体の状態が活発であれば心的時計は速く進み、不活発であれば進み方は遅くなる。高齢になると一般に代謝は低下する。そこで心的時計の進み方が鈍り、時間の経過を速く感じるという説明が可能だね。
その他に、時間を気にすればするほど進みが遅いとも言われています。つまらない時には何度も時計に目をやり、なかなか時間が経たないと思うものですが、楽しい時を過ごしていればあっという間ですよね。
子どもにとっては新鮮な季節のイベントごとや旅行も、大人になるとなんとなく予想がついてしまい、新鮮さを感じることがありません。何かを心待ちにするという状況がないことも時間を速く感じさせる一つの要因であるようです。
大人が感じる時間の流れの速さは、ひとつではなくいろんな要因が絡まっています。でも、間違いなく言えるのは「歳を重ねるごとに時間は速く過ぎ去るように感じる」ということではないでしょうか。
これからの過ごし方をもう一度見直してみよう
「気が付けばあっという間に時間が過ぎて、また今年も終わってしまう…」せっかくの自分の人生、これではもったいないですよね。歳を重ねるごとに時間を速く感じるならば、それを前提にもう一度これからの過ごし方を見直してみましょう。
それは、自分に残された時間はあとどれくらいか、客観的に考える良い機会かもしれません。若いころと同じペースで物事をすすめられない、ということも考慮に入れておくと良いでしょう。
その上で、やりたいことは何か、自分のなりたい姿はどんなものか、思い描きましょう。今からではもう遅いなんてことありません。優先順位をつけて、これだけはまずやってみたいと思うものから挑戦しましょう。
大人が時間を長く感じるためには
もちろん、大人になったら感じる「時の流れの速さ」は、もう止められないという訳ではありません。今までに経験したことのない、自分では予測がつかないほど新鮮なことをすると、子どものころのように時の流れを緩やかに感じるでしょう。
出かける範囲が決まっていたり、いつも同じ顔触れの中で過ごすのはトラブルや面倒なことが少ない反面、刺激を受けるという意味ではやはり物足りないですよね。これまで行ったことのない場所、新しい人との交流は大きな刺激とともに今までとは違う時間の流れを感じさせてくれるはずです。
歳を重ねるごとに増やしてきた経験値は、子どものように新鮮味を感じさせない反面、新しい世界に足を踏み入れる上で「なんとなく危ないな」とか、「これ以上は自分は求めてないな」といった、自分を守るための勘になるでしょう。歳を重ねるのも悪くはありませんよね。
おわりに
子どものころは大人になるのはまだまだ先と思っていたのに、なってしまうとあっという間ですよね。過ぎ去った時間は、思い返せば速く感じるものです。でも、これから先の残された時間を「あっという間に」過ごしてしまうのはもったいないですよね。
何歳になってもなりたいもの、やってみたいこと、行きたいところ等たくさんあると思います。その全てに優先順位をつけてどんどんやってみましょう。そして、「あっという間の一年だったなあ」ではなく、「今年は中身の詰まった一年だったなあ」と振り返ることができたら最高だと思いませんか?
年末が近づいてくると、年の初めに立てた自分の目標は達成できたかどうか、やるべきことはしっかりやれたかなど、一年を振り返る機会が多くなるものですね。