スリランカ式『アーユルヴェーダ』を知っていますか?
古代インドで生まれ、5000年以上ものあいだ人々に受け継がれてきたアーユルヴェーダは、中国医学、ユナニ医学(ギリシャ発祥、アラブ・イスラム圏の伝統医学)と並ぶ世界三大医学に数えられます。身体に良い食材や薬草の力を借りながら、食事・運動・睡眠といった人間の基本的な活動の質を高めて心身を浄化していく、いわば複合的なヘルスケアです。
自己治癒力の向上と予防医療を目的とするアーユルヴェーダは、結果として体質改善による血行促進、ダイエット、アンチエイジング等に効果があるとされ、今も多くの人々の健康と美容を支えています。
まずはインド式とスリランカ式の双方に共通する、アーユルヴェーダの基本的な考え方から見ていきましょう。
- 寒さに負けない体を目指す!ゆらぎがちな冬のご自愛ケアキナリノ編集部
アーユルヴェーダの基本的な考え方
3つの「ドーシャ(体質)」のバランスを整える
アーユルヴェーダは、人間の健康について深く探究してきた古代医学であると同時に、身近な薬草を活かす生活の知恵であり、幸福の在り方を示してきた生命哲学でもあります。
万物は「風・火・空・水・土」という5元素から構成され、人は「ヴァータ(風と空)」「ピッタ(火と水)」「カパ(水と土)」の3つのエネルギーの集合体であると考えられてきました。
誰もが体内にこの3つのエネルギーを併せ持っていますが、その中で特に優勢なエネルギーが、個人の生まれ持った主要な体質(ドーシャ)であるとされます。そしてこのドーシャの本来のバランスが調和した状態=健康、バランスが崩れた状態=不健康と診断し、症状に合わせた最適な治療を行うのがアーユルヴェーダの基本理論です。
ドーシャがどのタイプであるかによって身体的・性格的な特徴が異なると言われ、積極的に摂った方が良い食べ物や控えた方がよい食事も変わってきます。アーユルヴェーダの第一歩は、まず自分のドーシャタイプを知ること。その上で、ドクターの処方に基づいた食事や投薬、適度な運動とリラックス法を長いスパンで実践していきます。
ドーシャタイプ①【Vata(ヴァータ)】= 風と空
【身体的特徴】痩せ型で華奢。筋肉が少なく、肌や髪がかさつきがちで、低体温気味の傾向がある。
【性格的特徴】好奇心が強く、想像力も豊か。勘が良いので理解力も高い。反面、ストレスに弱く飽きっぽい。
【おすすめの食材】あたたかく油分の多い煮込み料理など。乳製品。生野菜や多量の豆類は控える。
ドーシャタイプ②【Pitta(ピッタ)】= 火と水
【身体的特徴】中肉中背で関節が柔らかい。寒さに強く暑さに弱い。
【性格的特徴】チャレンジ精神が旺盛で行動的。集中力が高い。反面、怒りっぽくて完璧主義に陥りがち。
【おすすめの食材】甘味、苦味、渋味がしっかり感じられる野菜や果物。塩分、酸味、辛味の強い食べ物は控える。
ドーシャタイプ③【Kapha(カパ)】= 水と土
【身体的特徴】体格が良く、骨太。比較的太りやすい。体力や持久力に優れている。
【性格的特徴】忍耐力があり、こつこつと努力するタイプ。反面、保守的でこだわりが強い面もある。
【おすすめの食材】太りやすい傾向にあるので、代謝を活発にするスパイスを取り入れる。豆類や豆腐、豆乳なども良い。
自分のドーシャタイプを知ろう
本来は医師の診察によって判断するドーシャタイプですが、簡単な傾向なら自分でチェックすることもできます。問診形式ですぐに答えがわかるサイトもありますので、興味のある方はぜひ試してみて下さいね。
スリランカ式はインド式とどう違うの?
アーユルヴェーダと伝統医療の融合
また、インドでは季節によって採ることのできない薬草もあったため、オイルや錠剤に加工して保存しておくことが一般的でした。一方、年間を通して温暖な気候であるスリランカではより豊富な種類の薬草をいつでも採取できるため、加工せず生のまま使用することも多いと言われています。スリランカでアーユルヴェーダの治療を行う施術院では、裏庭に自前のハーブ園を所有しているのも一般的。そこで育てたフレッシュな薬草を食事やマッサージ、薬品作りに使ったり、患者さんのために見学ツアーを設けたりしています。
現地で体験してみよう!アーユルヴェーダの施術の流れ
医師による診察
トリートメント
本場で行われるアーユルヴェーダのトリートメントは、症状によっておよそ50種類も使い分けられていると言います。医師は患者の様子を見ながらトリートメントを組み合わせ、どの部分にどんなマッサージを行うかセラピストに指示を出します。
疲れた部分をピンポイントで癒してくれるのですから、気持ちよさについウトウトしてしまうのも仕方ありませんね。
投薬
アーユルヴェーダ食
ヨガなどの適度な運動を行う
慢性的な運動不足は血流を滞らせ、体調不良の大きな原因となることも多いため、アーユルヴェーダのプログラムにはヨガが多く取り入れられています。体力を消耗し過ぎず、うっすら汗ばむ程度に身体を動かすことが理想の運動量。ウォーキングや瞑想が組み合わされることもあります。
ハーバルバス
ハーブやアロマの香りに癒されるハーバルバスや、しっかり汗を出すスチームバスもリフレッシュ効果が高いメニューです。もちろんハーブの内容も患者さんに合わせてアレンジされます。健康的な食事に、運動やマッサージのあとのバスタイム、そしてのんびりお昼寝。溜まった疲れもどんどん溶け出して、身体もすっかり軽くなりそうです。
初心者でも安心!本場スリランカで味わうアーユルヴェーダ
ジェットウイング アーユルヴェーダ パビリオンズ
バーべリン リーフ アーユルヴェーダ リゾート
アーユピヤサ
自分の心と身体に向き合う至福のひとときを
身体の不調に対して化学的な薬で対処せず、自然の素材をいかした食事や運動、トリートメントでメンタル面からも癒していくアーユルヴェーダは、まさに毎日が忙しない現代人にこそ必要なヘルスケアの考え方かもしれません。
疲れた自分を思い切ってリセットしたい!と思ったら、本場スリランカのアーユルヴェーダを体験してみませんか?のんびり穏やかに過ぎていく時間と伝統あるトリートメントの数々が、きっと身も心も解きほぐしてくれますよ。
『アーユルヴェーダ』と聞くと、まずはどんなイメージを連想されるでしょうか?
「美容エステでよく見る、インドのオイルトリートメントでしょ?」というお答えは正解のひとつ。でもそれは、アーユルヴェーダに含まれる施術のほんの一端に過ぎません。なぜならアーユルヴェーダの本質は、美容のためのケアでなく、心と体のあらゆる不調を根本から改善するための医学だからです。