簡単につくった手作りケーキも、工夫次第でぐっと華やかに
同じフルーツを使っていても、カットの仕方で受ける印象が大きく変わります。カットする方向で、フルーツの中の見え方も変わってきますよね。リズミカルに揃えるもよし、あえてリズムを崩してデコレーションしてみるもよし。センスの見せどころです。
フルーツそのものの形を活かすのも、デコレーションの楽しさのひとつ。デコレーション素材の持つ可能性をしっかりと引き出して、特別なひと時を彩ることができるといいですね。
フルーツの華やかなカット術
・キウイのカット例
・苺のカット例
上だけちょこんとカットすれば、ハート型♡に!
いちごは真っ赤な色味がとても華やか。へたの近くの部分をV字にカットするだけで、キュートな苺が完成します。さらに縦に半分にカットすると、クリームやケーキに対して、貼り付けやすくなり、安定します。
・レモン・オレンジのカット例
フルーツの配置
・苺の並べ方
リズミカルに並べて
ケーキといえば、一年中使うことが多い苺ですが、春先から初夏にかけてのシーズンには、苺の大きさも種類も様々なものが出回ります。
小ぶりの苺のなかで、丸みを帯びたものが手に入ったら、こんな風に等間隔に並べてみると、上品な愛らしさを演出することができます。あえて、苺のへたをつけたままにすることで、グリーンもあしらうことができるんですね。
縦長の苺のかたちの可愛らしさをアピールするには、やっぱり縦長のラインを強調するように置くのがいいですね。
ぐらぐらしないように、クリームでひとつずつ場所を確保してあげましょう。きゅっと軽く押し付けるようにして、クリームを接着剤代わりに苺を安定させています。
苺を横方向にスライスすると、年輪のような断面があらわれます。ロールケーキの渦巻き模様とよく似合っていますね。苺はまん丸のものか、縦長のものを選ぶといいですね。大きめの円錐状の苺だと、カットする場所によって、円の大きさが変わってしまいます。
このデコレーションをする場合、できるだけ、同じような大きさの円をつくることができる苺を選ぶのがきれいに見せるポイントです。
ざっくり中央に寄せて
半分にカットした苺はざっくりと中央に寄せて。のせるだけでも絵になるデコレーションに仕上がります。ランダムにのせていくと、ボリューム感たっぷりの贅沢な雰囲気になりますね。
ランダムにアレンジするときは、苺のヘタはとっておいた方が食べやすくなります。葉っぱが小さめのハーブ類をアレンジしてあげると、見た目がぐっと引き締まりますね。
ハートカットした苺をいくつか混ぜ込んであげると、見つけた人がラッキーな気持ちになれそうです。どこをカットしてもひとつはハートカットした苺に当たるように、特別な苺は均等に配置していきましょう。
丸のままの苺、カットした苺を混ぜると、迫力のある仕上がりに。ハートカット苺も裏と表と両方の面を見せて使うことで、見た目が華やかになります。
積み上げたパンケーキのトップにフルーツを盛りつけるのは定番中の定番。いろいろな種類のフルーツを同じ分量でのせるよりも、一種類のフルーツをメインに、ほかのものを添えるというように盛りつけた方がおしゃれな印象に仕上がります。
カットした苺は先がいろいろな方向に向くようにアレンジして、動きを出しています。シロップをかけるとぐらりとかしぐ苺が瑞々しい雰囲気ですね。
可愛い切り口を見せて
苺はカットする方向で、見え方が大きく異なるフルーツのひとつです。こちらのデコレーションでは、縦方向にスライスした苺と半分カットの苺を積み重ねて、苺の存在感を倍増させています。
どちらか一方のカット方法に統一するよりも、奥行きのある盛りつけになっていますよね。
横向きにカットした苺が外側にぐるりと並ぶようにした素敵なデコレーションです。トップに飾られた苺のヘタから続く茎が長く伸びて、美しいアクセントになっています。
まずは茎の部分を持ち上げてぱくりと食べるのが目に見えるよう。食べる人の心が感じられる盛り付けです。
縦長の大きめ苺を縦方向の放射状にカットしたアレンジです。中央部分が開いたかたちのケーキをデコレーションするときは、穴を際立たたせるよう、トップの部分はシンプルにするか、ぎっしりしっかり盛りつけるかのどちらかがおすすめ。苺の中央の白い部分から赤い外側へかけての淡いグラデーションがよく見えてキュートです。
外側にちりばめる
苺の数が少なかったら、こんな風に細かくカットして、プレートの外側にアレンジするのもいいですね。苺一つ分でも繊細で優しい雰囲気のデコレーションに仕上がります。ケーキ本体にあえて苺を使わないことで、しっかりと色味の対比ができています。
・レモンの並べ方
レモンスライスを縦に見せる
レモンスライスはただ貼り付けるだけでも、愛らしいものですが、こんな風に一か所だけ切込みを入れて、立ち上がりをつけると、ケーキの立体感が際立ちます。
難しそうに見えるアレンジですが、とても簡単なので、ぜひ覚えておきたいデコレーションのひとつです。
立ち上がりをつけたレモンスライスの根元部分に小さくカットしたキウイを盛りつけると、レモンも安定します。
グリーンとイエローの二色使いで、色味のバランスも抜群!爽やかな味わいのフルーツを組み合わせているので、見た目もすっきり軽やかな印象です。
レモンスライスを一枚だけ、中央にアレンジするとシンプルな佇まいの雰囲気に。素材の味を楽しみたいウィークエンドシトロンにぴったりのデコレーションです。一枚だけのアレンジですが、あるとなしでは大違い。ケーキに使うレモンは、防黴剤の使われていない国産のものを選ぶようにすると安心です。
レモンスライスを平たく並べていく
チーズケーキにハチミツ漬けのレモンをアレンジしています。レモンの円の大きさに合わせてカットできるよう、気を付けるといいですね。レモンの皮の部分は案外硬いので、きれいに見せるためには、先にケーキの方だけをカットして後からレモンをのせていくというのもおすすめ。
一緒に焼き上げる必要のないトッピングの場合、できるだけ、トッピングのフルーツを傷つけない方法を考えて手順を決めていくようにしましょう。
小ぶりのレモンをごく薄くスライスして円状にデコレーションすると、まるで繊細なレース模様を見ているような美しい表情が出来上がります。
レモンの断面をいかにきれいに見せるかが重要なので、よく研いだ包丁を使ってスライスしていくのがいいですね。種があるときは、刃にあたったときに種を抜くようにすると、きれいにスライスしていくことができます。
・ぶどうの並べ方
半分にカットして、花びらのように配置
半分にカットしたぶどうをケーキの外側に沿うように、ラフにデコレーションしています。ところどころに、ブルーベリーを入れて色を引き締め、穏やかな黄緑色との対比をくっきり出しています。
中央部をあけることで、放射状にカットしやすく、銘々のお皿に盛りつけたときもバランスよく、美しくセットすることができます。
丸みをいかして、絞ったクリームと交互にあしらう
半分にカットして、シンプルなケーキの両サイドに
左右にマスカットを並べるというキュートなデコレーションアイデアです。枝先が広がっているローズマリーなどのハーブ類は、ケーキを飾るのにもおすすめのハーブです。ぶどうの根元に刺すようにして立ち上がりをつけると、左右に広がりを感じるデコレーションになりますね。
・ブルーベリーの並べ方
ぱらぱらとのせる
ブルーベリーは小さな粒と濃い色合いで、デコレーションに使いやすい素材のひとつです。ケーキの中にブルーベリーを使っていなくても、ぱらぱらとのせるだけでも絵になるデコレーションになります。
急な来客の際にも、ブルーベリーとホイップクリームがあれば、どんなケーキでもアレンジ自在!冷蔵庫に用意しておくと安心のデコレーション素材です。
中高に盛りつける
ケーキの中央部分にブルーベリーをたっぷりのせて、贅沢な雰囲気のデコレーションに仕上げています。ブルーベリーよりも一回り大きいホイップクリームの絞り出しでぐるりと取り囲んでいます。
外側にホイップクリームで縁をつくることで、ブルーベリーを中高に盛りつけることができるようになります。すこし高さを出したいときに便利なデコレーションの方法です。
アメリカやヨーロッパではメジャーなケーキのひとつであるバントケーキ。型の可愛らしさをじっくり堪能できる素敵なデコレーションアイデアです。
自然に流れていくピンクのアイシングとブルーベリーの色味が似ていて、とてもお洒落な雰囲気です。瑞々しいブルーベリーはアイシングが固まり切る前にのせると、安定した状態でのせられます。
無造作に、アーティスティックに
小さくて可愛いミニキウイが手に入ったらやってみたいこちらのデコレーション。ブルーベリーとキウイ、苺の三色がとてもキュートですね。
フルーツの量の対比が違うところが、すっきり見せるポイント。ブルーベリーが主役のデコレーションです。
ぐるりと一周して
ケーキ部分にもブルーベリーを混ぜ込んだビーガンローチーズケーキです。淡いブルーベリーのマーブル模様とぐるりと並べられたブルーベリーが美しくリンクしています。
ひと粒ずつ、大きさが同じくらいのものを選んで並べるとワンランク上の出来上がりになります。一重だけにするところが、品よく仕上げるポイントです。
ケーキの間に挟むことで、断面をおしゃれに見せることも◎
ブルーベリーをスポンジケーキの間にアレンジするときは、直径よりもすこしはみ出すように実を置いていくと、華やかに見えます。ひと粒ずつが小さいので、中側に入れてしまうとせっかくのはっきりとした色合いが見えなくなってしまいます。ランダムに入れると動きが出て、やわらかな印象になります。
・いちじくの並べ方
薄めにカットし、ラフに並べて
薄めにカットしたいちじくをラフに並べてたっぷりボリュームのあるイメージに。いちじくはカットしてしまうと、たちまち変色が始まってしまうので、フレッシュな状態のものをトッピングに使いたいときは、レモン汁をかけておくようにしましょう。熟した中の重い色合いが、濃厚な味わいを想起させて、とても美味しそうですね。
スライスをずらりと並べて
放射状に並べる
・オレンジの並べ方
小さくカットして、トッピングのアクセントに。
小さな三角にカットしたオレンジが鮮やかで、印象的なデコレーションですね。にんじんのケーキには、オレンジがとてもよく合います。トップにかかっているチーズクリームにもオレンジのしぼり汁が合わせてあるので、味わいのリンクもばっちりです。
主役はにんじんなので、オレンジは小さくカットして、あくまでもトッピングのアクセントに。
ケーキ全体が、お花に見えるように
小さいパンケーキの場合は、オレンジの実を切り出してのるだけも本格見え*
四角いプチケーキの場合は、オレンジスライスを砂糖漬けにして硬くして、さし込む
ホイップクリームの絞り&あしらい方
絞り袋を使った、クリームのデコレーション例
ざっくりとラフに左右に振るようにクリームを絞ると、今風の洒落たデコレーションに仕上がります。
あえて、波を揃えず、あくまでもラフに左右非対称で描くようにするのが逆に洗練された印象に仕上げるコツです。トップには、縦のラインを強調するように、ブルーベリーを並べて。
まん丸の苺カットとロールケーキのまん丸いフォルムに揃えたような生クリームの絞りです。丸い口金を使って、シンプルに上に引き上げるだけで、雪だるまのような愛らしいかたちに絞り出せます。
リズミカルにいくつか絞っていくと、一人分ずつカットする際の目安にもなります。
丸い口金でも左右交互に振るように絞っていくと、強弱のついたリズミカルな模様を描き出すことができます。力を入れすぎず、軽やかに同じ大きさで絞るのがポイントです。
カットした苺で中央ラインを示すことで、スリム型のケーキがより際立ってすらりと見えます。
ベーシックなデコレーションケーキの絞り出し方です。ベースになるスポンジケーキ部分は均等に塗りあげ、丸く大きめの絞り出しで中央のフルーツを囲むように配置します。真ん中が一番高くなるようにすることで、豪華なデコレーションケーキに仕上がります。
ホイップクリームをふっくらと丸く絞るには手首のスナップを効かせて、リズミカルに絞っていく必要があります。何度か練習しておくとスムーズにできます。
こちらはマスカルポーネクリームをひとつずつに絞り出した可憐なデコレーションです。トッピングにはカットしたピスタチオをぱらぱらとふりかけて。絞り出しの口金は5切寄りの方がキュートに見えます。
Ⅴ字型が特徴的なサントノーレ口金を使うとひらりと美しい絞り出しができます。ボリュームのある立体的な仕上りですね。星型の絞り出しに飽きてしまったら、いつもと違う口金の絞り出しにチャレンジしてみるのも面白いですよ。
たっぷりのフルーツを固定するのにもホイップクリームは便利です。星型の口金を使うと、ちらりと見えるクリームの繊細なレースのように愛らしく仕上がります。
フルーツなど上にのせるものを接着するためにホイップクリームを絞るときは、あまり高さを出さずに、ぐっと押し付けえるように絞り出すようにするとフルーツを均等に飾っていくことができます。
しっかり塗り上げる、クリームのデコレーション例
ドーム型のスポンジケーキなら、多少、均等にクリームが塗れていなくても気になりません。あえて、筋をつけるようにして仕上げると、それがアクセントになって、余計な絞りなどがなくても十分美しいケーキに見えますね。
トップにはフルーツを飾ってあげるとクリームがきれいにまとまります。
ネイキッド風に塗り上げる、クリームのデコレーション例
最近、よく見かけるのが全体をしっかりと塗り込まないネイキッド風のケーキです。側面にはあえてクリームをラフな感じで塗り、仕上げるのがおしゃれに見せるポイントです。トップもざっくりラフ感を出して塗りあげます。フルーツやお花できちんと感をプラスすることで、ただの雑なケーキという印象を防いでいます。
《おまけ》仕上げに、素敵な「アクセント」を
・粉砂糖
シンプルなパンケーキデコレーションの仕上げには、粉砂糖をひと筋、ふわりとかけて。粉砂糖を全体にかけずに、筋状に流すようにアレンジすることで、動きが生まれ、さりげないお洒落感がプラスされています。粉砂糖は茶こしなどでかけると均等にふわふわとかけることができます。
茶こしでたっぷりと粉糖をかけたあとに、ブルーベリーとエディブルフラワーでアクセントをつけています。ブルーの花びらをケーキの上だけではなく、プレート上にも散らしたことで、全体のまとまり感がぐっとアップしました。
あまりたくさんの花びらをのせず、少なめに配することで、さっぱりとした潔さを感じる仕上がりになっています。
・フロスティング
トップに施したフロスティングは均一にべったりと塗るのも素敵ですが、これくらいラフに塗った方が素朴なイメージが味わいとマッチします。パンプキンシードを縦のラインで入れると、フロスティングの粗さも目立たなくなりますね。
・ミモザ
砂糖漬けにしたミモザをアレンジした、春らしい美しいケーキです。ミモザのつぶつぶとした愛らしさがたっぷりと表現されています。ケーキの周りにもぐるりとミモザを飾って、ベースのブラウンとミモザのイエローの対比をしっかり楽しんでいます。ひらりと最後に斜めに配したミモザの存在感が抜群です。
・グリーンの葉
ケーキにグリーンが入ると、急におめかしモード全開になるものですよね。花びらのようなシックなプレートの上で、ぱっと花開いたような鮮やかなレモンのイエローとミントのグリーンが美しく映えています。
フォークのかたちを粉糖でさりげなく型取っているのもユニークですね。真似したい小技が効いたデコレーションです。
ミントとローズマリーをたっぷりと添えた、豊かな香りも楽しめるシンプルなデコレーションです。まるで花冠のように飾られたトップの部分と、ケーキの足元をぐるりと取り巻くミントが優雅な印象です。
粉糖が黒いプレートにひと筋のラインを作っているのもお洒落です。
ワインの香りがほんのりと漂うサングリアケーキには、ひと枝のローズマリーを添えて。まるで神聖なギフトのようにも見える素敵なデコレーションです。
このままラッピングして、お友達のおうちにプレゼントしたくなってしまいます。茶色とオレンジベースの色合いにひと枝のグリーンがとても美しく、印象的ですね。
薄切りにしたりんごをくるりと巻いて、薔薇のお花に見立てたローズアップルパイ。仕上げには、ミントの葉をところどころ、ランダムに配して生き生きとした表情をプラスしています。ミントの葉が入ることで、りんごの赤みがより際立って瑞々しく見えます。
カット&クリームを工夫して、目を惹くデコレーションケーキを♪
同じ材料を使っていても、カットの仕方や配置の仕方、クリームの絞り方などで個性的なデコレーションに仕上がります。
かっこよく、素敵にデコレーションができたら、写真に撮って、SNSにアップすればモチベーションもアップしそう。まずは、好みのデコレーションを真似して、そこから自分だけの素敵なデコレーションに発展させてみて下さいね♪
プロのパティシエの作ったケーキが美味しいのは当たり前だけれど、おうちのケーキだって、工夫次第でスペシャルな雰囲気を作り出すことはできますよね。
大切なのは、心を込めて丁寧に作業すること。近くで見るだけではなく、すこし離れたところから視線を落として、バランスを見ながらデコレーションしていきましょう。