暮らしの中で多くの時を過ごす、ダイニングスペース。食事をしたり、一息入れたり。家計簿をつけたり、宿題をしたり。会話をしたり、ほっと息をついたり。
家の中心でもある食卓や食卓周りの印象は、暮らす人々の気分をも左右します。時には季節や気分に応じて模様替えすることも大切。家具やカーテンの模様替えは労力が要りますが、テーブルクロスなら簡単です。クロスを一枚掛けたり、替えただけで、食卓やダイニングスペースの雰囲気はぐっと変わります。一枚の布が、時に料理を美味しく感じさせ、会話を弾ませ、そして活力を沸かせ、身心を癒やします。お気に入りのテーブルクロスを数枚常備しておけば、いつでも時節や気分に応じて、食卓や部屋の雰囲気を思い通りに、素早く、手軽に変えることができます。
“北欧柄”と暮らしの知恵
北欧のテキスタイルデザインは、森や草花といった自然界にあるモチーフや幾何学模様をデフォルメしたグラフィカルなパターンが特徴的。また色は様々でも、総じて温もりのある色調や鮮やかなトーンが使われています。
長く厳しい北欧の冬。例えば、スウェーデンの首都ストックホルムの冬季(11-3月)の平均気温は、-1~17℃。-30℃を下回る日もあります。寒いばかりでなく、北欧は緯度が高いために、朝から晩まで外光が乏しく、昼間であっても明るくありません。“冬季うつ病”は、日照不足が主な原因とされていますが、緯度が高ければ高いほど、発症リスクが高まります。日本から北欧に渡り、冬季うつ病に悩む人も少なくありません。
北欧の人々がインテリアに気をつかい、ファブリックに鮮やかなデザインを求めるのは、出来るだけ長い時間を過ごす室内をより明るく快適に暮らしためですが、それは同時に心身の健康を保つためでもあるのです。それは、北方で暮らす人々の“暮らしの知恵”の結晶そのもの。長い間に培われた“暮らしの知恵”は、室内に居ても自然を感じる心地良い絵柄や、モダンで明るい柄・デザインを生み育みました。
北欧の人々がインテリアに気をつかい、ファブリックに鮮やかなデザインを求めるのは、出来るだけ長い時間を過ごす室内をより明るく快適に暮らしためですが、それは同時に心身の健康を保つためでもあるのです。それは、北方で暮らす人々の“暮らしの知恵”の結晶そのもの。長い間に培われた“暮らしの知恵”は、室内に居ても自然を感じる心地良い絵柄や、モダンで明るい柄・デザインを生み育みました。
以下では、そんな北欧の知恵の賜物でもあるテーブルクロスの数々を、インテリアに合わせやすいように“色調別”に紹介します。ぜひ参考にして、快適なダイニングスペースを創造して下さい。
シック&シンプル ―モノトーン系―
落ち着いた食卓に―ベージュ系―
明るく楽しい食卓に―イエロー&グリーン系―
活気溢れる食卓に ―レッド&ピンク系―
スッキリと清々しい食卓に―ブルー系―
テーブルセンター(番外編)
おわりに
陽の光や風、森や草花といった自然を連想させる、北欧デザインを貫く感性は、自然や季節感を大事にする、日本列島で暮らす私たちの感性と相通ずるものがあります。
それは、着物や手ぬぐいといった布製品、浮世絵や日本画を眺めれば、一目瞭然です。自然物を抽象化した欧州のデザインのルーツは、アール・ヌーヴォーに遡ることができ、そのアール・ヌーヴォーは、日本の工芸から影響を受けています。また19世紀に英国で起こったウィリアム・モリスによる「アーツ&クラフツ運動」の影響は、アール・ヌーヴォーに及んでおり、それは、遠く日本にも及びました。柳宗悦の「民芸運動」はこの影響なくしては語れません。

出典:www.flickr.com(@John W. Schulze)
ウィリアム・モリスによるデザイン。
細かな説明は他の譲りますが、デザインや美術といったものは、歴史という縦糸に、様々な文化の潮流や影響を横糸として、複雑に織られている、長い一枚の布のようなものです。そのように考えれば“北欧柄”といえども、それは北欧独自に発展したものではなく、過去の歴史の中で他の文化や時代の潮流から刺激を受けて生まれ出たものでもあります。
紹介してきたテーブルクロスの数々は大半が北欧ものですが、日本国内の着物の柄やテキスタイルデザインを眺めてみれば、共通するものが沢山見つかります。また、北欧のデザインにインスパイアされた北欧以外のデザイナーによって生まれたファブリック製品も数多く、日本でも、また世界の様々な国々でも販売されています。テーブルクロスを選ぶ時は、ぜひ“Made in Scandinavia”にとらわれず、紹介画像を参考に“北欧的”な温もりのある素敵なテーブルクロスを、それぞれに見つけて下さい。
花や木々といった自然のモティーフに、鮮やかな色彩の北欧ファブリック。