もともとは、航空関係の会社に勤めていたという岸本直人さん。7年前、家を建てるにあたりテーブルを自作したことからハンドメイドに目覚めました。小さいころから手先が器用だったこともあり、岸本さんの作る木工家具はたちまち評判に。知人に頼まれて家具を作ることが増えたころ、5年前に「HYTNOS(ひとのす)」というブランド名で独立。既成サイズの木工家具からオーダーメイドまで行います。「HYTNOS=人の巣」。“巣のような”自然な快適さを追求した家具は、2015年に登録した「minne」でも愛されています。
現在、岸本さんが暮らすのは2LDK・箱型のご自宅。お部屋の木工家具は、ほとんど自作したものです。リビングとして使用されているロフトから、ダイニングの窓から、心地よい光が満ちる空間で、天然素材と共存するご自宅のこだわり、ハンドメイドに対する思いを伺いました。
現在、岸本さんが暮らすのは2LDK・箱型のご自宅。お部屋の木工家具は、ほとんど自作したものです。リビングとして使用されているロフトから、ダイニングの窓から、心地よい光が満ちる空間で、天然素材と共存するご自宅のこだわり、ハンドメイドに対する思いを伺いました。
――まずは、岸本さんがものづくりを始めたきっかけを教えてください。
7年前、この家を建てたときに新しいテーブルを探していたんですね。それで、目黒のアンティークショップとかいろいろ見たんですけど、なかなか見た目と値段がマッチするものがなくて。どうしようかなって考えて、「ちょっと作ってみようか」と思い立ったのがきっかけで。今ダイニングに置いてあるこのテーブルを作ったのが最初です。
――初めてでこの完成度!最初は何かで勉強されたんですか?
本などを読みつつ、作業しながら覚えていった感じです。元々図工や美術が得意だったので、割とすんなりできました。でも、このダイニングテーブルは今見たらひどいですよ、全体的に(笑)。ちょうどそのころ、この家を設計してくれた建築家さんを通じて『LiVES(ライヴズ)』という雑誌に家の取材を受けたんです。そのときに編集者の方がこのテーブルを絶賛してくれて、それで調子に乗ってどんどん作り始めた……そんな感じです。それもひとつのきっかけになってますね。
7年前、この家を建てたときに新しいテーブルを探していたんですね。それで、目黒のアンティークショップとかいろいろ見たんですけど、なかなか見た目と値段がマッチするものがなくて。どうしようかなって考えて、「ちょっと作ってみようか」と思い立ったのがきっかけで。今ダイニングに置いてあるこのテーブルを作ったのが最初です。
――初めてでこの完成度!最初は何かで勉強されたんですか?
本などを読みつつ、作業しながら覚えていった感じです。元々図工や美術が得意だったので、割とすんなりできました。でも、このダイニングテーブルは今見たらひどいですよ、全体的に(笑)。ちょうどそのころ、この家を設計してくれた建築家さんを通じて『LiVES(ライヴズ)』という雑誌に家の取材を受けたんです。そのときに編集者の方がこのテーブルを絶賛してくれて、それで調子に乗ってどんどん作り始めた……そんな感じです。それもひとつのきっかけになってますね。
――このテーブルは、作るのに何日かかったのでしょうか。
一週間もかかっていないような……。仕事から帰宅した後や休みの合間にちょこちょこ作業してたので、一週間くらいだったと思います。ホームセンターで普通の白い木を買ってきて、着色して。
――独特の色合いですが、こちらは何で着色しているのですか?
普通ニスで塗るんですけど……もちろんトップにニスは塗ってるんですけど着色では墨汁をかけちゃいました、思い付きで。すすけた感じになるかなーと思って。
一週間もかかっていないような……。仕事から帰宅した後や休みの合間にちょこちょこ作業してたので、一週間くらいだったと思います。ホームセンターで普通の白い木を買ってきて、着色して。
――独特の色合いですが、こちらは何で着色しているのですか?
普通ニスで塗るんですけど……もちろんトップにニスは塗ってるんですけど着色では墨汁をかけちゃいました、思い付きで。すすけた感じになるかなーと思って。
――わりと、思い付きで作ったら「いい感じだった」ということは多い?
そんな感じです。シャンデリアも、元は黒一色のを新品で買ったんですけど、ところどころ茶色いのわかります?サビっぽいところは、自分で塗りました。想像しているやり方でやると、案外、後から「やりかたは正しかったのかな」って思います。
――無機質な雰囲気の家自体と、天然木の家具が不思議とマッチしていますね。ここからはお部屋についてお伺いします。この家はどんなコンセプトで建てられたんですか?
大きな箱があって、その中に小さな箱を組み込んでいくような感じにして欲しいという感じでオーダーしました。作るものは木が好きなんですけど、家の中も木だとちょっとゴチャゴチャしすぎているというか。作るものも気に入るものも、すべてシンプルかもしれません。
そんな感じです。シャンデリアも、元は黒一色のを新品で買ったんですけど、ところどころ茶色いのわかります?サビっぽいところは、自分で塗りました。想像しているやり方でやると、案外、後から「やりかたは正しかったのかな」って思います。
――無機質な雰囲気の家自体と、天然木の家具が不思議とマッチしていますね。ここからはお部屋についてお伺いします。この家はどんなコンセプトで建てられたんですか?
大きな箱があって、その中に小さな箱を組み込んでいくような感じにして欲しいという感じでオーダーしました。作るものは木が好きなんですけど、家の中も木だとちょっとゴチャゴチャしすぎているというか。作るものも気に入るものも、すべてシンプルかもしれません。
――植物もお好きなんですね。
好きですね。多肉が多いです。だいたいホームセンターで買うことが多くて、あとはどこかに出掛けたときにチラッと植物屋さんに寄って、買ってみたり。気が向いたときに少しずつコレクションを増やしてます。庭にも木を100本くらい植えたんですけど、ほとんど自然淘汰されて残ってないです……(笑)。
好きですね。多肉が多いです。だいたいホームセンターで買うことが多くて、あとはどこかに出掛けたときにチラッと植物屋さんに寄って、買ってみたり。気が向いたときに少しずつコレクションを増やしてます。庭にも木を100本くらい植えたんですけど、ほとんど自然淘汰されて残ってないです……(笑)。
――家の中で特にこだわった点はどこですか?
壁でしょうか。ところどころボコボコした質感なのですが、これ実は構造用合板という板の節部分なんです。
――えっ。コンクリートじゃないんですか?
はい。本当はRC造(※鉄筋コンクリート造)がよかったんですけど、予算と合わなくて。この板は本来、壁紙裏の石膏ボードの、さらにその裏側に入るような建材を使ってるんです。それを白い普通のペンキで塗ってそれっぽく見せています。
――だから冷たい感じがしないのですね。家の中でお気に入りのスペースはありますか?
仕事部屋でしょうか。無理やり作ったので二畳しかないんですけど(笑)。本が好きで、最近はあまり読めていないんですけど時間があるときは本をひたすら読んだりして過ごしています。
壁でしょうか。ところどころボコボコした質感なのですが、これ実は構造用合板という板の節部分なんです。
――えっ。コンクリートじゃないんですか?
はい。本当はRC造(※鉄筋コンクリート造)がよかったんですけど、予算と合わなくて。この板は本来、壁紙裏の石膏ボードの、さらにその裏側に入るような建材を使ってるんです。それを白い普通のペンキで塗ってそれっぽく見せています。
――だから冷たい感じがしないのですね。家の中でお気に入りのスペースはありますか?
仕事部屋でしょうか。無理やり作ったので二畳しかないんですけど(笑)。本が好きで、最近はあまり読めていないんですけど時間があるときは本をひたすら読んだりして過ごしています。
マリリン・モンローのアートパネルはカナダに語学留学していた際に購入
――たしかにすごい量。ほかにもお気に入りのものはありますか?
そこに置いてあるトランク。これ僕のひいひいおじいちゃんが使ってたものなんです。
――どこかのヴィンテージショップでみつけてきたのかと思いました!
おじいちゃんの家からみつけてきました(笑)。たぶん明治時代あたりのもので、あの中に靴下を入れて行商をしていたそうです。
――掘り出し物ですね。中には何が入っているんですか?
僕、夏は浴衣を着て過ごしたりするので、浴衣の帯とかが入ってます。一度それで作業したこともあったんですけど、袖が引っかかりそうで危ないのでやめました(笑)。
そこに置いてあるトランク。これ僕のひいひいおじいちゃんが使ってたものなんです。
――どこかのヴィンテージショップでみつけてきたのかと思いました!
おじいちゃんの家からみつけてきました(笑)。たぶん明治時代あたりのもので、あの中に靴下を入れて行商をしていたそうです。
――掘り出し物ですね。中には何が入っているんですか?
僕、夏は浴衣を着て過ごしたりするので、浴衣の帯とかが入ってます。一度それで作業したこともあったんですけど、袖が引っかかりそうで危ないのでやめました(笑)。
二階はリビング・寝室・子ども部屋
子どもの寝室には小窓があり、一階を見渡せるようになっています
――ここからはご自身のものづくりに関してお聞きします。岸本さんは以前からご自身のサイトで木工家具を販売されていたそうですが、「minne」に出展したきっかけは?
もっと多くの人に「HYTNOS」を知ってもらいたくて。ハンドメイドの販売サイトは結構たくさんあるので、迷っていたんですけど、minneさんをいろいろなところで見かけてくるようになって興味が沸いたんです。「ちょっとやってみようかな」って登録しました。
――そのときの反応はいかがでしたか?
始めたのが一昨年の10月頃なんですけど、ちょうど年末から新生活シーズンだったこともあって、ピックアップしていただけたんです。ありがたいことにものすごい注文がきました。ピーク時は50個くらいになり、その時は寝る時間もないくらいでしたね(笑)。
もっと多くの人に「HYTNOS」を知ってもらいたくて。ハンドメイドの販売サイトは結構たくさんあるので、迷っていたんですけど、minneさんをいろいろなところで見かけてくるようになって興味が沸いたんです。「ちょっとやってみようかな」って登録しました。
――そのときの反応はいかがでしたか?
始めたのが一昨年の10月頃なんですけど、ちょうど年末から新生活シーズンだったこともあって、ピックアップしていただけたんです。ありがたいことにものすごい注文がきました。ピーク時は50個くらいになり、その時は寝る時間もないくらいでしたね(笑)。
岸本さんの作業場。家からは車で10分ほどです
minneでも人気の3段シェルフ。カスタムオーダーで4段に
――規格サイズの家具以外にオーダーメイドも受け付けていらっしゃいますが、木工家具を作る上で一番こだわるのはどんなところでしょうか?
大切にしている部分は、「使う人をイメージする」ということです。主にオーダーメイドの際に多いのですが、思いも寄らないところまでできるだけ考えて提案するようにしています。たとえばお客さんから「ここの寸法に合うこんな家具がほしい」とお問い合わせをいただいたら、変わりダネをひとつ投入したりすることもあります。
――気の効いたデザインということですね。たとえばどんな「変わりダネ」を?
この家を設計した建築家さんとは今でもお付き合いがあって、その方が設計された家の靴箱を作ったときのことなんですけど。奥さんはストライプがお好きで、旦那さんがサーフィンをされているというのを聞いたんです。正面のストライプがサイドから崩れて、裏側から波に変わるっていうデザインを提案して、ペンキとマスキングテープで描きました。このオーダーは完全にお任せでいただいたので、思い切りやっちゃいました(笑)。
大切にしている部分は、「使う人をイメージする」ということです。主にオーダーメイドの際に多いのですが、思いも寄らないところまでできるだけ考えて提案するようにしています。たとえばお客さんから「ここの寸法に合うこんな家具がほしい」とお問い合わせをいただいたら、変わりダネをひとつ投入したりすることもあります。
――気の効いたデザインということですね。たとえばどんな「変わりダネ」を?
この家を設計した建築家さんとは今でもお付き合いがあって、その方が設計された家の靴箱を作ったときのことなんですけど。奥さんはストライプがお好きで、旦那さんがサーフィンをされているというのを聞いたんです。正面のストライプがサイドから崩れて、裏側から波に変わるっていうデザインを提案して、ペンキとマスキングテープで描きました。このオーダーは完全にお任せでいただいたので、思い切りやっちゃいました(笑)。
岸本さんが手がけたオーダーメイドの靴箱(画像提供:HYTNOS)
人気の「小さなスツール」(画像提供:HYTNOS)
――ご自身で家具を作るときも、「ここにこんなの欲しいな」と思うことから始まることが多いですか?
そうですね、色々想像して。お客さんからの注文でヒントを得ることもあります。今までにないようなことをしたり。規定サイズの家具でいちばん人気がある「小さなスツール」も、最初は「狭いところで、半分だけ腰かけられるような椅子が欲しい」っていうお客さんの注文がきっかけです。そこから形にしていきました。
――生活からリアルなヒントが出ることって多いですよね。お子さんにも何か作ったり?
それはほとんどしないです(苦笑)。部屋の中に自分で作ったものはたくさんありますが、だいぶ前に作ったものや試作品ばかりです。
そうですね、色々想像して。お客さんからの注文でヒントを得ることもあります。今までにないようなことをしたり。規定サイズの家具でいちばん人気がある「小さなスツール」も、最初は「狭いところで、半分だけ腰かけられるような椅子が欲しい」っていうお客さんの注文がきっかけです。そこから形にしていきました。
――生活からリアルなヒントが出ることって多いですよね。お子さんにも何か作ったり?
それはほとんどしないです(苦笑)。部屋の中に自分で作ったものはたくさんありますが、だいぶ前に作ったものや試作品ばかりです。
――もし自分のために作る時間ができたら、今、何を作りたいですか?
特にないですが強いていうなら庭に小屋がほしい(笑)。読書部屋みたいな感じで。家建ててから二年間くらいは、真夏に灼熱の太陽の下で自分でセメント練ったり、庭も全部自分で作っていましたが今は時間がなくて放置しています。今は断念してるんです。またそのうちでいいかな、と(笑)。以前、高さが2mくらいある大きい食器棚を作ったことがあるのですが、それを作っているときに「あれ、これ家もいけるんじゃないか?」って……。たぶんオーダーがあったら作ってしまうかもしれません……(笑)。
特にないですが強いていうなら庭に小屋がほしい(笑)。読書部屋みたいな感じで。家建ててから二年間くらいは、真夏に灼熱の太陽の下で自分でセメント練ったり、庭も全部自分で作っていましたが今は時間がなくて放置しています。今は断念してるんです。またそのうちでいいかな、と(笑)。以前、高さが2mくらいある大きい食器棚を作ったことがあるのですが、それを作っているときに「あれ、これ家もいけるんじゃないか?」って……。たぶんオーダーがあったら作ってしまうかもしれません……(笑)。
――家具を越えて小屋(笑)!楽しみです。最後に、岸本さんが思う「ハンドメイド」の魅力を教えて下さい。
何かの本で読んだのですが、日本語は「手」のつくことばが多いらしくて。手段とか、手前とか、手伝いとか、それって「手の国」だからだそうです。もともと器用で丁寧で、良いものを作れるのが日本人なのだと。日本は昔から各地の特色を持った民芸品などがたくさんあって「手仕事の国」なので、何かを自分で作り出す「ハンドメイド」って日本人の本来の姿だと思います。現代は大量消費の時代ですが、もともとはそういう民族というか。自分で作ったものにはやっぱり愛着が沸きますし、長く使って壊れてしまっても直してずっと使っていける、愛情を込められるところがいいですよね。これからハンドメイドを始めたい方も、自分で作ったものを使っていくうちに改良すべき部分が見えてきたり、続けていくとどんどん良いものを作れるようになるんじゃないかと思います。
何かの本で読んだのですが、日本語は「手」のつくことばが多いらしくて。手段とか、手前とか、手伝いとか、それって「手の国」だからだそうです。もともと器用で丁寧で、良いものを作れるのが日本人なのだと。日本は昔から各地の特色を持った民芸品などがたくさんあって「手仕事の国」なので、何かを自分で作り出す「ハンドメイド」って日本人の本来の姿だと思います。現代は大量消費の時代ですが、もともとはそういう民族というか。自分で作ったものにはやっぱり愛着が沸きますし、長く使って壊れてしまっても直してずっと使っていける、愛情を込められるところがいいですよね。これからハンドメイドを始めたい方も、自分で作ったものを使っていくうちに改良すべき部分が見えてきたり、続けていくとどんどん良いものを作れるようになるんじゃないかと思います。
部屋左奥のグレーの棚は、テーブルの後に制作した初期の作品で、もとは緑だったものを塗り直したのだそう。ニュアンスのある自分好みの色味は、ハンドメイドならでは。既製品ではなかなか出合えません