見つけたらレアかも。コレクションしたくなる年代物の名品たち
出典: 作り手や、デザイン、モチーフなど――。自分が好きなものを収集することって、楽しいですよね。思い返せば、子供時代から、好きなキャラクターグッズや、可愛いシールを集めたりして、コレクター(収集家)への一歩を踏み出していた方も少なくないことでしょう。
出典: そんなコレクション(収集)の世界は、知れば知るほど奥深い♪ 深い歴史やストーリーが息づく“レアなもの”はとりわけ大人の心をくすぐって、世界中の名品に興味を持つ素敵なきっかけをもたらしてくれますよ。
出典: 画像/iittala「Birds」(by Oiva Toikka)
今回は、好きな人には熱いコレクターアイテムとなっている、年代物の名品たちをご紹介。
キナリノ読者のみなさんでも親しみやすいものから、ちょっと入手困難なもの、専門知識が無いと魅力が分かりづらいものまでセレクトしました。あなたの心をくすぐるコレクターズアイテムを見つけてみてくださいね。
※今回ご紹介するアイテムは、未使用品やデッドストックもありますが、ほとんどが中古品になります。素敵なヴィンテージアイテムを取り上げることを重視しており、予めご了承ください。
フィンランドの名窯・アラビア。パラティッシや24hシリーズなどが人気デザインとしてお馴染みですが、それらのイメージを、覆すようなヴィンテージ食器もたくさん。
出典: 【ロスマリン(Rosmarin)ティーカップ&ソーサー】
designer:ウラ・プロコッペ
アラビアのヴィンテージには、一点一点手描きが施された食器が多いことも特徴的です。こちらも、手描きの花の人気デザイン。アラビアの「アネモネ」シリーズと似ていまうが、こちらは「ロスマリン」。意味はローズマリーですよ。
1966年~77年にかけて製造されたとされているシリーズです。色の濃淡によって茶色に見えたり、赤茶に見えたり。上品な雰囲気を放ちます。
出典: 【フラクタス(FRUCTUS) 20cmプレート】
designer:グンヴァル・オリン・グランクヴィスト
ウラ・プロコッペがお皿のフォルムのデザインを手がけ、さらにグンヴァル・オリン・グランクヴィストが果実の実をハンドペイントで手掛けたプレート。フラクタスとは、果実を意味します。
1971-75年に製造されたもので、「コスモス」と並ぶ、グンヴァル・オリン・グランクヴィストの人気デザインです。
出典: 【イソクッカ(Isokukka) ケーキプレート】
designer:エステリ・トムラ
今も人気が高いアラビアのデザイン「Esteri(エステリ)」のデザイナーとしても知られるエステリ・トムラのお花模様。1969年-71年に製造されたもので、赤いお花が可愛い!着色されているのがお花だけで、赤・白・黒のコントラストも素敵。
出典: 【オールドアラビア 田舎景色/プレート】
1890-1940年代にかけての希少価値の高いアラビア食器は“オールドアラビア”と呼ばれ、ちょっと別格の扱いとされています。こちらはプレート全面を使って田舎の風景の絵が施されたデザイン。もちろんオールドアラビアには、そのほか、無地やさりげない装飾の、日常使いしやすいデザインもあります。
アラビアのお皿のフォルムの変遷が分かる“ツウ”の方が、とくに楽しめる逸品と言えるかもしれません*
出典: 【フィネル ケトル(0.6L)】
designer:ライヤ・ウオシッキネン
実はアラビアには、ホーロー製品の製造部門として、フィネルというグループ会社がありました。そこで作り出されたホーロー製品も、アラビアの所属デザイナーが手掛けたものが多く、レトロなホーロー製品のファンにはたまらないものなのです。
こちらは1960〜70年代にかけてのヴィンテージです。
出典: 【フィネル ひまわり 片手なべ】
designer:エステリ・トムラ
この色使い、昭和の食卓にもありそう・・と思われるかもしれませんが、1970年代のフィネル社製の片手なべ。フォルムデザインを手掛けたのは、かの有名なカイ・フランク。よく眺めると日本には無いデザインの美しさが宿ります。
このひまわりのデザインは、上でご紹介した「イソクッカ」と同じく、エステリ・トムラ。眺めるだけでも元気がわきますね。
スウェーデン:ロールストランド(RORSTRAND)
出典: 【カロリーナ カップ & ソーサー】
designer:クリスティーナ・キャンベル
スウェーデン王室御用達窯である、ロールストランド(RORSTRAND)。マリアンヌ・ウェストマンがデザインした「ミモザ」シリーズで有名ですが、ほかにも心ときめくデザインが色々。
こちらの「カロリーナ」は1960年-70年代にかけて作られたシリーズで、たんぽぽのようなお花があしらわれています。ちょっと日本的な印象も。
出典: 【ジャポニカ サラダボウル】
designer:ジャクリーヌ・リンド
もうひとつ、個性派のお皿をご紹介。ジャクリーヌ・リンドはロールストランドを代表する女性デザイナーで、すっきりとしたデザインの「フィヨルド」などが代表作ですが、“ジャポニカ”と冠した、日本の梅を描いたプレートも手掛けています。1960年-70年代の製造で、和×北欧のコラボレーションを楽しめる一皿。
スウェーデン:グスタフスベリ(GUSTAVSBERG)
出典: 1825年創業のスウェーデンを代表する食器ブランド「グスタフスベリ(GUSTAVSBERG)」。ムーミン(トーベ・ヤンソン)の陶器といえばアラビア社ですが、リサ・ラーソンが出がけた陶器といえば、グスタフスベリ社製。グスタフスベリのラインナップでは、リサのかわいいオブジェや陶板にも出会えます。
スウェーデンの代表的な陶芸家、リサ・ラーソン。彼女の作品はスウェーデンだけでなく世界中を魅了しています。そんなリサ・ラーソンの作品の中でも特に魅力的なのが、動物モチーフのオブジェ。実にたくさんの種類の動物オブジェが生み出されていて、例えばネコだけでも何種類もあるほど。どの作品も表情や雰囲気が味わい深い、リサ・ラーソンの魅力的な動物オブジェをご紹介します。
出典: 【プルーヌス ケーキプレート】
designer:スティグ・リンドベリ
そんな「グスタフスベリ」にも、スティグ・リンドベリの「ベルソ」など、復刻版が愛されるような、歴史深き不朽のデザインがいくつかあります。
こちらも、その不朽デザインのひとつ。スティグ・リンドベリによる、1962-74年製造の「プルーヌス」シリーズのプレートです。
こちらは、復刻版の「プルーヌス」。ヴインテージ品と比べ、ちょっとだけ趣が異なります*
出典: オールドアラビア同様、グスタフスベリも、希少価値の高い年代ものは「オールドグスタフスベリ」と呼ばれて扱われます。
【FASAN(ファサン) カップソーサー1客】
こちらは1940年~60年代に手掛けられたカップソーサー。ノスタルジックな植物柄で、アンティーク食器らしい上品な佇まいです。
出典: 1910年創業のスウェーデン、ゲフレ社。「コスモス」「青いヒヤシンス」など、いくつか人気デザインを生み出しますが、惜しくも1979年、廃窯した陶磁器メーカーです。それゆえ、今では手に入らないものも。
【ゼブラ カップ&ソーサー】
「コスモス」と同じく、ゲフレの名作と謳われるのが、この「ゼブラ」シリーズ。こちらは1955年~1967年に製造されたヴィンテージものです。凝った模様ではないのに、一目で北欧的と分かる佇まい。でも、しまうまの柄(ゼブラ)の表現ということも納得のデザイン性です。
出典: フランスを代表するクリスタルブランド「バカラ (Baccarat)」。1764年設立から250年以上もの長い間、世界中で愛され続けています。「オールドバカラ」と呼ばれるアンティーク・ヴィンテージ品は、現行品に比べて希少価値が高く、コレクターも多いアイテムです。職人の手作業でデザイン彫りがされているため、エッチングの溝が深いのが特徴となっています。
出典: 【オールドバカラ シャトーブリアングラス】
上に向かって口が広がるフォルムが美しいシャトーブリアンという名のグラスです。1936~1940年代に製造されたもので、現行品よりも深い彫りがエレガントで繊細な印象を生み出しています。
出典: フランス・パリにて1830年創業、銀食器のトップブランド「クリストフル(Christofle)」。高級オルフェブリー(金銀細工商)として、王室御用達、さらにロブションやトゥールダルジャンなどの有名レストランで使われるカトラリーを手掛けていることでも有名です。アンティーク品には今はなきデザインの廃盤モデルが多く、コレクター間で人気が高いアイテムとなっています。
出典: 【クリストフル ディナー用フォークとスプーンのセット】
シンプルでエレガントなフォルムのシルバーフォークとスプーンのセットです。刻印から見ると、1844年~1935年の間に作られたものとのこと。どんな食器とも相性がよく、日常使いできる優雅なカトラリーです。
褪せたような雰囲気は長い時が作り出す特別なものです。真新しいぴかぴかのシルバーとはひと味違った良さを感じます。
クレイユエモントロー(Creil et Montereau)
19世紀のフランス製のアンティークプレートと言えば、「クレイユ エ モントロー」、そして後述する「サルグミンヌ」が外せません。
この「クレイユ エ モントロー窯」ですが、実はもともと、クレイユ(1797年開窯)、モントロー(1748年開窯)という別々の窯。1840年に合併し、この名称となりました。(なお、1920年に、ショワジールロワとクレイユエモントローが合併し、さらに名称が「HBCM=ショワジー・ル・ロワ、クレイユ・エ・モントロー」に変更)
出典: 【1889年 クレイユ・エ・モントロー おしゃべりなお皿 パリ世界万博】
1889年のフランスの風景が描かれている、眺めるだけでも楽しいプレート。実は1889年にパリで行われた、世界万国博覧会を記念して作られたものなのだそう。フランスのみならず様々な国の国旗もフチに描かれていて、コレクション棚に飾りたくなりますね。
出典: 【19世紀前期 モントロー オクトゴナルプレート】
日本でも人気の高い、オクトゴナル(八角形)のプレート。年代物ではありますが、温かみのあるアイボリー色の釉薬で、すこしの傷も良い味わいになります。直径19cmの大皿サイズなので、ホームパーティなどでお出ししたいですね。
出典: 【ショワジールロワ H. Boulenger & Cie CHOISY LE ROI プレート】
おまけ的に、クレイユ&モントローを吸収合併する前のショワジールロワ窯の可愛らしいプレートをご紹介。こちらの絵、フチに沿って鳥が描かれているのですが、実はツバメ♪ 日本的なデザインも扱っていました。
ディゴワン・サルグミンヌ(Digoin Sarreguemines)
「クレイユエモントロー」と同様「ディゴワン・サルグミンヌ」も、2つの窯の合併によって誕生したもの。もともとはナポレオン3世の庇護を受けて発展したサルグミンヌ(1790年開窯)ですが、1870年に土地がプロイセン領(ドイツ)になってしまったことを受け、ドイツの国境に近い町、ディゴワンへ。その地に昔からあったディゴワン窯を吸収、合併に至ったそうです。
「クレイユエモントロー」も「ディゴワン・サルグミンヌ」も、時代に翻弄されながらも、伝統を継承していくことへの強い姿勢が感じられます。
出典: 【ディゴワンサルグミンヌ グアドループ スーププレート】
フチに沿って野ばら柄が描かれた、可愛らしいお皿。大量生産に適した転写画の手法が用いられています。深みがあるので、スープはもちろん、サラダや煮込み料理にもよさそうです。
出典: 【1920年代 サルグミンヌ ディナー・プレート】
ディゴワン・サルグミンヌといえば、花リムのプレートも人気です。温かみのあるアイボリー。1920年代は、日本で言うところの大正9年~昭和4年ころ。当時このようなお皿が日常使いされていたと思うと、とてもおしゃれに感じられますね。
出典: 1705年創業、フランス北部のサンタマン窯のうつわも、フランスヴィンテージの蚤の市で見かけます。
【サンタマン スズラン スーププレート】
赤で描かれたスズランの絵が可愛らしいスーププレート。バランスよく余白があり、中央に料理を盛りつけるのが楽しみになるお皿です。
出典: 1867年に創業、フランスのブルゴーニュ地方に位置したロンシャン窯。他社からの買収などを経て、2009年に閉鎖となりました。植物模様など、繊細なデザインのプレートも多く手がけています。
【サンタマン スズラン スーププレート】
赤で描かれたスズランの絵が可愛らしいスーププレート。バランスよく余白があり、中央に料理を盛りつけるのが楽しみになりますね。
出典: ドイツの老舗テディベアメーカー「シュタイフ(Steiff)」のヴィンテージは、ぬいぐるみのコレクターから圧倒的な支持を集めています。1880年の創業以来、ベアや動物たちがずっと大切な「友達」で居続けられるようにとの願いを込めた寿命の長い製品づくりには定評があります。
1900年頃まで遡る年代物はとりわけ希少価値が高く、それらは「オールドシュタイフ」と呼ばれています。
出典: 【Steiff シュタイフ 1950年代 オリジナルベア】
シュタイフといえば、やっぱりテディベアが定番。こちらのテディベアは1951年から1966年まで作られていたオリジナルベアというシリーズのもの。
1952年と1953年のみにつけられていたチェストタグがついています。毛並みの良さ、つぶらな瞳、小さくて可愛らしい手足に大人も魅了されてしまいますね。
出典: 【Steiff シュタイフ ダルメシアン】
1953年から1969年に作られたダルメシアンのぬいぐるみ「Dally」。シュタイフドッグのダルメシアンはもともと4種類しか作られておらず、希少価値が高い子です。オリジナルの赤い首輪がキュートですね。まるで話しかけているような表情にも惹かれます。
出典: 【Steiff シュタイフ 小さなハリネズミ】
そのほか、シュタイフにはマーモットやリス、フクロウなどの小動物も!さらには亀もいますよ。ちょこんと手にのるサイズ感のものが多いです。
こちらは、ビンテージのハリネズミ。ペットが飼えない方でも、この子をお迎えしたら、きっと話しかけてしまいそう♪
【アメリカ】「オールドパイレックス」のヴィンテージ食器
出典: アメリカで生まれた、世界初の耐熱ガラスブランド「パイレックス(Pyrex)」。数十年前のビンテージ品は「オールドパイレックス」と呼ばれ、コレクターズアイテムとしても人気です。パイレックスは、「ガラスの熱の王様」という意味のギリシャ語が語源といわれています。
【オールドパイレックス キャセロール デイジー】
1950年代に製造が始まったデイジー柄のキャセロール。イエローカラーは1、2年というほんの短い期間にだけ生産されていたもので、出回っている数が少ないアイテムといわれています。大きなデイジーがぱっと目をひいて、キッチンを明るくしてくれます。
【アメリカ】「ファイヤーキング」のヴィンテージマグカップ
出典: 1941年にアメリカで誕生した耐熱ガラスブランド「ファイヤーキング(Fire King)」。豊富なデザインとリーズナブルで丈夫なファイヤーキングはアメリカを中心に愛されてきました。1976年にはブランドが終了しましたが、優しい色使いとお洒落な雰囲気でヴィンテージ食器として、今なお、人気を博しています。
出典: 【ファイヤーキング ジェダイDハンドルマグ】
ファイヤーキングといえばこちらの翡翠色をしたジェダイシリーズが最も有名。1940年代から60年代にかけて製造されていました。
ハンドルがアルファベットのDのかたちをした「Dハンドルマグ」は使いやすく、シンプルで洗練された雰囲気が人気です。中の飲み物がうっすらと透ける半透明感がとても美しいですね。
出典: 歴史は江戸時代末期までさかのぼるといわれるノリタケ(Noritake)の食器。1884年から1945年までの製品は「オールドノリタケ」と呼ばれ、付加価値がついています。日本製の繊細な煌びやかな細工や絵付けは海外でも人気でした。
【オールドノリタケ アンティーク トリオ カップ&ソーサー】
繊細な花が広がるエキゾチックな絵柄がうつわの縁に転写プリントされたこちらのカップ3点セット。1906年~25年頃のもので、イギリス輸出用に日本で製造されたものだそう。取っ手のフォルムが優雅ですね。高度な技術と洗練された日本らしさを感じられる逸品です。
出典: たくさんの人の手を経て、自分のところに縁あってやってきたアイテムたち。そうしたものを眺めていると、どんな歴史を刻んできたのだろうと想像が膨らみますよね。大切に慈しまれてきたアイテムたちは、新しいものにはない、特別な輝きを放って私たちを魅了します。
出典: お気に入りのアイテムを少しずつ、集めていくことは心を満たし、お家時間をグレードアップしてくれること間違いなしです。あなたも、充足感を得られる素敵なアイテムと出会えますように♪
画像/ARABIA「アネモネ」