北欧ブランドが日本で愛されるのはなぜ?
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フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマークといった国々でつくられる、オリジナリティあふれるデザインたち。その背景には、北欧の国々に訪れる厳しく長い冬の季節があります。その季節がやってくると、人々は家のなかで過ごす時間がぐっと増えます。寒さと雪に覆われた毎日を楽しく過ごすために、北欧の人々は生活雑貨やインテリアにこだわりのまなざしを向けてきました。そうして生まれたのが、独自のデザインや機能性を持つ北欧ブランドです。
キーワードは「自然」と「シンプル」
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自然豊かな環境に住む北欧の人々は、家のなかでも自然のぬくもりを感じられるデザインを愛してきました。自然の素材をありのまま取り入れたもの、草花や木、動物をかたどったモチーフ…。色鮮やかで優しいそうしたデザインは、四季を大切にする日本人の感性に訴えかけるものがあるのかもしれません。
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また、機能性はもちろんのこと、どこへ置いてもしっくりくる主張しすぎないシンプルさも魅力のひとつ。使う色は少なく、自然素材を活かした柔らかいシルエットに、特徴的なパターンの組み合わせ、または繰り返し。職人による手工業が伝統的に大切にされてきた北欧デザインだからこそ、シンプルさのなかに味わいやあたたかみを見いだせるのも、愛される理由でしょう。今回は、そんな北欧デザインから代表的なものを取り上げ、その歴史や魅力に迫ります。
歴史と魅力を知ろう!5つの北欧ブランド
Marimekko/マリメッコ あたたかい色使いとデザイン
マリメッコは、1951年、アルミ・ラティアという女性がフィンランドで設立したデザインハウスです。こだわりは、難しい機能を持つ高級なものではなく、機能性にすぐれたわかりやすい製品をつくること。デザインを通じて「人々を勇気付け、幸せと喜びをもたらしたい」という想いを抱き、創業当初から時代に流されない普遍的なデザインを生み出してきました。その想いのもと、これまでさまざまなデザイナーが多彩なデザインを発表し、現在では世界的に知られる北欧ブランドのひとつになっています。
iittala/イッタラ どんなシーンにもなじむシンプルさ
イッタラは、1881年、フィンランド南部にあるイッタラ村でガラス工場として始まりました。以前は当時の主流に沿ったガラス製品をつくっていましたが、20世紀に入って大きく変化していきます。その変化をもたらしたのが、アルヴァ・アアルト、アイノ・アアルト、カイ・フランクといったデザイナーたち。彼らは「デザインとは考え方であり、昔ながらのものにとらわれず、誰でも手に入れられるものにすべき」と考え、美しく機能的なデザインを製品化してきました。
ARABIA/アラビア 大胆な絵柄と色使いが日常を彩る
アラビアは、スウェーデンの陶磁器ブランドの子会社として、1873年にフィンランド・ヘルシンキ郊外のアラビア地区で設立されました。国内の陶磁器メーカーとして安定した地位を築きましたが、20世紀に入ってパリ万国博覧会に出展した製品が高い評価を受け、独立。その後フィンランドで内戦が起き、人々が苦しい暮らしを強いられた中で、現在にも残る「美しい日常」というモットーを掲げました。ビルイエル・カイピアイネン、ヘイッキ・オルボラ、カイ・フランクといったデザイナーの手を借りながらさまざま製品を生み出し、現在では世界的な陶磁器メーカーとして愛されるようになっています。
almedahls/アルメダールス 伝統的をモダンに変身させる
アルメダールスは、1846年に創業したスウェーデンのテキスタイルブランドです。もともとはリネンの紡績工場として、リネン生地の生産で成長してきました。1950年代に入り、時代の荒波に飲まれまいと、デザイナーの生み出したパターンの製品化をスタートさせるという新しい試みに挑戦。現在ではキッチンアイテムやテーブルウェア、インテリアにまで製品を拡大しています。
KLIPPAN/クリッパン こだわり素材でぬくもりを感じる
1879年、スウェーデン南部の同名の町で、紡積工場としてスタートしたクリッパン。創業以来、紡績から染色、製造まで一手に担ってきた技術を活かして、ウール製品をつくってきました。90年代になると、ベングド・リンドベリなどの優れたデザイナーを起用してテキスタイルブランドへと成長。現在は、天然素材を使ったブランケットでよく知られる、世界的な北欧ブランドのひとつになっています。
知れば知るほど、北欧デザインが好きになる!
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自然のモチーフと、機能的なシンプルさが魅力の北欧デザイン。すでにその魅力に気付き、インテリアやうつわを愛用しているという方も多いと思います。日本の伝統工芸品のように、ブランド一つ一つが持つ歴史や魅力を知って、さらに北欧ブランドを好きになってくださいね♪
代表的なデザインが、Unikko(ウニッコ)です。家庭の庭にも植えられる身近なケシの花をかたどったもので、大柄で大胆な柄に、ビビットな色合いが特徴的。もともと創業者のラティアは、デザインされた花のパターンは自然の花には及ばないと考え、「花をデザインしないように」と言っていました。ところがデザイナーのマイヤ・イソラはこのデザインを生み出し、ラティアに認めさせたそう。イソラの強い意志がなかったら今のUnikkoもなかったと考えると、不思議な気持ちになりますね。