インタビュー
vol.65 ilo itoo・大久保綾さん 高崎真理子さん
遠い国、グアテマラの虹に魅せられのカバー画像

vol.65 ilo itoo・大久保綾さん 高崎真理子さん
遠い国、グアテマラの虹に魅せられて

写真:岩田貴樹

「ilo itoo(イロイトー)」は、グアテマラ共和国に今も暮らす「マヤ民族」の伝統技法を取り入れた布小物ブランドです。ブランドを立ち上げたのは、グアテマラの美しい極彩色と現地の人々に惹かれた二人の日本人女性。日本の反対側に位置する遠い国に、なぜそんなにも惹きつけられるのでしょうか――そこにあったのは、「好き」という気持ちだけで言葉や文化の壁を乗り越えた、無垢な「ものづくり」の姿でした。

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2017年07月21日作成
vol.65 ilo itoo・大久保綾さん 高崎真理子さん
遠い国、グアテマラの虹に魅せられて
「すごいでしょう?日本では、なかなか見られない色使いですよね」

そういって一枚の大きな布を広げて見せてくれたのは、「ilo itoo(イロイトー)」代表の大久保綾さん。ilo itooは、グアテマラの色彩に魅せられた二人の日本人と現地の先住民が作り出す布小物ブランドです。
vol.65 ilo itoo・大久保綾さん 高崎真理子さん
遠い国、グアテマラの虹に魅せられて
そこにあるだけではっとしてしまう、鮮やかで美しいプロダクトの数々(画像提供:ilo itoo)

そこにあるだけではっとしてしまう、鮮やかで美しいプロダクトの数々(画像提供:ilo itoo)

その緻密さと美しさに思わず見惚れてしまうプロダクトたちは、着古された民族衣装や現地の市場で売られている布などの素材を活かし、現地の女性縫製チームのもとで一点一点手づくりで製作されています。地球で見ると反対側にある日本とグアテマラが一本の糸で結ばれるまでのストーリーを、ilo itoo代表・大久保綾さん、マネージメントの高崎真理子さんにうかがいました。
「ilo itoo」のマネージメントを務める高崎真理子さん(左)と、代表・企画・デザインを務める大久保綾さん(右)。ともに福岡県出身

「ilo itoo」のマネージメントを務める高崎真理子さん(左)と、代表・企画・デザインを務める大久保綾さん(右)。ともに福岡県出身

ilo itooのオフィスがあるのは、福岡県の中心地にある「FUKUOKA growth next」内。2014年3月に閉校となった旧大名小学校を再利用した官民共働型スタートアップ支援施設です

ilo itooのオフィスがあるのは、福岡県の中心地にある「FUKUOKA growth next」内。2014年3月に閉校となった旧大名小学校を再利用した官民共働型スタートアップ支援施設です

グアテマラとの出会いは、一冊の本

「ilo itoo」のプロダクトが作られているのは、中米に位置するグアテマラ共和国。なんとなくその名前を聞いたことがあっても、実際にどんな国なのか思い浮かぶ人は少ないのではないでしょうか。ilo itoo代表である大久保さんも、かつてはそのうちの1人でした。

大久保さんの運命を変えたのは、20歳のときに読んだ一冊の本。大学で服飾の勉強をしていた大久保さんは、授業の一環で民族衣装を調べることになります。資料を探しにいった図書館でたまたま手に取ったのは、マヤの民族衣装の写真をまとめた図録・『五色の燦き』という一冊。ページを埋め尽くすのは、溺れるほどの色の海――その瞬間、大久保さんは目が釘付けになったといいます。
(画像提供:ilo itoo)

(画像提供:ilo itoo)

(画像提供:ilo itoo)

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「初めてマヤの民族衣装を目にしたとき、『なんじゃこりゃっ!』という感じで衝撃が走りましたね(笑)。色という色が溢れ返っていて、読めば読むほど興味が沸いて来るんです。調べていくと、村ごとで衣装が違うことや、今でもこれを着て普通に生活しているらしいとか、いろいろなことが分かってきて。これは行かなくては!と思ったものの、私も当時はグアテマラなんてどこにあるか知らなかった」

マヤ文明の文化や遺跡が色濃く残るその虹の国は、どうやらメキシコの下、日本のほぼ反対側にある地らしい――「本当に民族衣装を着ているのかな?」「現地の人たちの生活をこの目で見てみたい!」その好奇心は、大久保さんを突き動かす理由としては充分なものでした。マヤの民族衣装に出会って数ヵ月後、大久保さんはグアテマラに旅立ちます。
(画像提供:ilo itoo)

(画像提供:ilo itoo)

「そのときは、そんなに言葉を喋れない状態でいったので、おもに観光地を回りました。本にあったように村によって衣装が違うというのは本当で、みんなその地ならではの衣装を着ていて。市場でも衣装用のズボンや襟が普通に売られているし、こういった情景がそこら中で見られるんです。日常の一部にこんな極彩色があるということに本当に感動してしまって」
(画像提供:ilo itoo)

(画像提供:ilo itoo)

身振り手振りを交え、うれしそうに当時のことを話してくれた大久保さん。行ったことはないけれど、一人の目をこんなに輝かせられるその国が、どんなに素晴らしいものかは想像に難くないこと。写真を見せていただきながら、お話を聞いているこちらも思わず笑みが滲みます。そこにあるだけでその場の空気(一人の人生さえも!)を変え、色という色を織り込んだ美しいグアテマラの手織物。しかし、どんな物事にも光と影は存在するもの。一転、大久保さんは真剣な眼差しでこう続けます。

「グアテマラは、こういった先住民の人が約半数を締めるんですけど、すぐ傍にあるのが貧困だったんですよね。私は観光客だったので好奇心のままに見て回っていたのですが、小さな子どもが物乞いに来るという風景が当たり前にあって。『きれい、すごい、伝統って素晴らしい!』って感動する一方で、すぐ背中合わせにこういう現実があることがすごくショックで。こうやってウカウカと観光客としてきたことも良くなかったのかな、伝統が消えていっちゃうのかな、邪魔しちゃうのかな?とか、豊かさとか幸せとか生きること、いろいろなことを考えさせられた二週間の旅でした」

「ilo itoo」のはじまり

事務所には、「マヤ民族」に関連する本や写真集がびっしり

事務所には、「マヤ民族」に関連する本や写真集がびっしり

やっぱり忘れられない!
再び、グアテマラへ
こうして、心の中に強い衝撃を残したまま帰国した大久保さんは、就職活動の時期を迎え広告系のデザイン会社に入社。「自分らしいことをしたい」という思いから、グラフィックデザイナーとしての道を選び、忙しい日々を送るなか、ふと「これって、本当に私がやりたいことなのかな?」と考えるときがあったといいます。

「やっぱり、忘れられなかったんですよね。グアテマラの人々の陽気さや、カラフルな街並みが」

「もう少し知りたい、もう一回行ってみよう」
そう決心した大久保さんはデザイン会社を退職し、二度目となるグアテマラへ旅立ちます。今度は好奇心だけの旅ではありません。午前中には、グアテマラの公用語であるスペイン語、午後には現地の手織物を習うという、濃密な一ヶ月間を過ごしました。
(画像提供:ilo itoo)

(画像提供:ilo itoo)

大久保さんが織物レッスンを受けていたのは、観光地でもあるグアテマラの古都・「アンティグア」という地にある村。そこで目にした「本物」のマヤの手仕事は、気が遠くなるような緻密な作業でした。

「私は最初から模様織りっていう作業に挑戦したんですけど、縦糸に少しずつ色の糸を数えながら掛けて、模様を仕上げていく作業なんです。まず縦糸を整える整経(せいけい)って作業をしてからようやく織り始めるんですけど、何百本という糸を数えるんですよね。二週間かけて午後に通って、ようやく20センチくらいのものができあがったんですけど、そのときにやっと『なんて大変な作業なんだ』ということを実感しました。数学やマヤ暦とかの天文でも知られていますけど、まさに数に強い民族だからできるワザなんだなあと」
糸の染色から織りまで、手織物ができるまでがよくわかるilo itooのムービー
現地での暮らしで見えた
「本当にやりたかったこと」
そのころ、大久保さんにはある気持ちが芽生えていました。マヤの人々の素晴らしい文化を継承していく術はないだろうか。新しい価値を付加して、デザイン製品にすることはできないか。それが、服飾やデザインを学んでいた自分だからこそできることかもしれない……と考えたのです。

「現地の人たちにアイディアやデザインを提供して、伝統をより魅力的なものにして……そうすることで、価値がもっと認知されて、文化が受け継がれていき、所得にも繋がっていく。『あ、じゃあこれをしよう』ってそのときに思ったんですよ」
コルテと呼ばれる民族衣装の巻きスカートをアップサイクルして作られた、ilo itooの定番人気アイテム「コルテスカート」。村によって異なる美しい配色や絣模様が特徴です

コルテと呼ばれる民族衣装の巻きスカートをアップサイクルして作られた、ilo itooの定番人気アイテム「コルテスカート」。村によって異なる美しい配色や絣模様が特徴です

二度目の旅を終え帰国した大久保さんは、青年海外協力隊の募集をみつけます。自分のやりたいことを形にできるのはこれだ――すぐに応募し、見事現地へ派遣されることに。こうして、二年間の現地での生活がスタートします。現地の人と同じ食事を食べて同じように暮らしながら、一緒にものづくりができないだろうか?そう考えていた大久保さんは、あることに気付きます。

「彼女たちは、織りはできるけど縫製がいまいち上手じゃなかったり、デザインや製品など、加工する技術がなくて。型紙すら持っていなかったんですよ。それなら教えにいきましょうということで、みんなで帽子を作って販売したんです」
(画像提供:ilo itoo)

(画像提供:ilo itoo)

(画像提供:ilo itoo)

(画像提供:ilo itoo)

にじむような笑顔の写真からも、うれしさが伝わってきます。

「本当にうれしそうにしてくれて。すごく素直な人たちで、やる気もあったし『次教えて!』っていってくるような人たちなんですよ。欧米人の観光客が多い場所で販売したのですが、さっそく商品が売れたという報告をしてくれたとき、喜びが輪になった感じがしたんです。私も彼女たちに技術を教えて、喜んでもらえてうれしいし、お客さんにも喜んでもらえる。ああ、やっぱりこのサイクルを作りたいんだなあ、私のやりたいことはこれだ、と改めて実感したんです」
vol.65 ilo itoo・大久保綾さん 高崎真理子さん
遠い国、グアテマラの虹に魅せられて
青年海外協力隊の活動を終え、帰国した大久保さんはさっそく次の行動に移ります。そのころにはブランドの構想も固まりはじめていましたが、まずはグアテマラの色彩が日本でも受け入れられるかを知るために、現地で購入した布を使って製品を作り貯めていきました。ilo itooのマネージメントを務める高崎さんもまた、偶然か必然か、青年海外協力隊の隊員としてグアテマラで二年間活動していました。共通の知人を介して出会った二人には、根っこの部分に通ずる思いがあったと、高崎さんは話します。

「私は服飾とはまったく関係のない仕事で行っていたのですが、グアテマラという国や出会った人たちをすごく好きになって帰国したんです。帰国後は普通に日本で就職したのですが、やっぱりグアテマラに関わり続けたいと思っていたので、ブランドの構想を大久保から聞いたときに、手伝うことに決めました」

さまざまな壁を乗り越えて生まれた現地メンバーとの絆

縫製チームの現地メンバーと(画像提供:ilo itoo)

縫製チームの現地メンバーと(画像提供:ilo itoo)

最初にぶつかったのは
クオリティの壁!?
「とにかくグアテマラが好き!」という気持ちで繋がった2本の糸は、さらにいろいろな縁を紡いでいきます。

現在、ilo itooの縫製チームは「サン・フアン・ラ・ラグーナ」という町の現地女性たちからなっています。アティトラン湖という美しい湖のほとりにあるこの地は、大久保さんの協力隊員時代に、月に一回訪れていた町。大久保さんは当時から、この地に生きる女性たちに光るものを感じていたといいます。

「グアテマラは、『マチズモ』という男尊女卑の文化が根強く残る国なので、なかなか女性が働きに出れないっていう現状があるんです。そんな中でも、この町は女性が活発に仕事をしているので、以前から『なんか生き生きしていていいなあ』って思っていて」
(画像提供:ilo itoo)

(画像提供:ilo itoo)

サン・フアン・ラ・ラグーナはインターネットがあり、主要都市からもほどよく近いため買い出しにも困らず、活動拠点としての環境が整っていたのだそう。大久保さんと高崎さんは、この地で共にものづくりをしていくための縫製チームのメンバーを探すことになります。もともと女性が活躍している地域ということもあり、サン・フアン・ラ・ラグーナには20ほどの婦人グループが存在していました。まずは各グループをまわりブランドの目的を説明しながら生産者を集うところからのスタートです。次に技術を見るための講習会を開き、集まった女性達に簡単な雑貨を作ってもらいましたが、まず初めにぶつかった壁は、クオリティの問題だったと大久保さんは話します。

「日本だったらきちんと検品して品質管理して、何センチ、何ミリの差で良い基準のものを販売しますよね。でも、まずグアテマラでは物差しの目盛り自体がズレていたんですよ(笑)。ハサミは切れないし、机もでこぼこだったし。検品の概念というものがなかったんですよね」
こちらも「コルテ」を使ったPCケース。カラフルなボーダーにグアテマラ特有のかすり模様が入ってます(画像提供:ilo itoo)

こちらも「コルテ」を使ったPCケース。カラフルなボーダーにグアテマラ特有のかすり模様が入ってます(画像提供:ilo itoo)

ブランドを掲げて、長く使ってもらえる物を作るためには、それに見合うクオリティのものでなければいけません。中途半端なものに仕上げてしまっては、お客さんだけではなく素晴らしいこの国の文化を裏切ることにも繋がってしまいます。二人は妥協しませんでした。製品を作るうえで何度も修正を重ねたり、求めるクオリティに達していない場合はペナルティを課すこともあったといいます。それまで自分たちで好きなように作り、販売していた女性たちですから、細かすぎるルールに辞めていく人もいました。

「彼女たちも、不満を抱えている部分もあるんですよ。自分たちの村にいきなり入り込んできた外国人に対して、『きっとお金あるんでしょう?』『一時的に利用されて終わりなんじゃないか』とか、思うところはいろいろあったと思うんです。でも、信用してもらうために『よくそこまでできるな』ってことをやってきたつもり。私たちは二年間グアテマラに住んでいたし、観光客じゃなくて、現地にいるあなたたちと一緒!という目線で根気強く話してきたから、今やっと、信頼関係が築けてきたのかなと思っています」
最近作ったアイテムの中でお二人が一番お気に入りだという刺繍Tシャツ。ちょっとシュールで繊細なモチーフは、どれを選ぼうか迷ってしまいます

最近作ったアイテムの中でお二人が一番お気に入りだという刺繍Tシャツ。ちょっとシュールで繊細なモチーフは、どれを選ぼうか迷ってしまいます

この刺繍はサン・フアン・ラ・ラグーナの近くにある、サンティアゴ・アティトランという村の技術。ずっと見ていたくなるような細やかな手仕事です

この刺繍はサン・フアン・ラ・ラグーナの近くにある、サンティアゴ・アティトランという村の技術。ずっと見ていたくなるような細やかな手仕事です

現地チームの自立を
サポートしていきたい
頻繁に足を運ぶことができなくなった今でも、現地チームと日本ではスカイプでミーティングをするなど、コンスタントに連絡を取り合っています。「一般的な国民性としてはおっとりしていて穏やかでルーズなんだけど、今の縫製チームはとにかく真面目!」と、お二人はきっぱりといい切ります。現在は縫製チームのリーダーが休養中のため、現場には製作を進める中ですぐにジャッジできる人間が不在の状態。傍で見る人がいないと、製作工程で迷いがあっても適当に進めてしまうかも……と思っていたお二人ですが、彼女たちの行動はむしろ逆。慎重すぎて作業がそこで止まってしまうこともあるといいます。言葉や文化の壁はありながらも、5年間共にものづくりを続けてきた彼女たちは、目に見えて成長してきているのだそう。

「技術だけではなく、真面目で向上心があるという部分でも選ばれしメンバーだと思います。昔よりクオリティはすごく上がったし、ダメなところを指摘したらそれをちゃんと受け止めて次に活かしてくれるんです」
グアテマラの直営工房(画像提供:ilo itoo)

グアテマラの直営工房(画像提供:ilo itoo)

そう、うれしそうに話してくれた大久保さん。日本からの注文を待つだけではなく、自分たちからアイディアを出し、ゆくゆくは彼女たちが自主的にilo itooを運営していくような仕組みを作っていきたいといいます。その第一歩として、今年の春には現地チームに新たな課題を出しました。それは、今までのilo itooでの経験を活かして、メンバー各自で作品作りをしてもらうというもの。そして、作品が商品として採用された際にはデザイン料を追加で支払うというシステムです。心配な点はあったものの、協力し合い、最終的にはチーム内で共有するために指示書の作成までおこなうようになったのだとか。
エプロンを製作したフロリンダさん。HPのメンバー紹介には、「読み書きはできないけれど、やる気があって実践のみで作業を習得する強者」とあります(画像提供:ilo itoo)

エプロンを製作したフロリンダさん。HPのメンバー紹介には、「読み書きはできないけれど、やる気があって実践のみで作業を習得する強者」とあります(画像提供:ilo itoo)

「自分たちですごく考えて、四苦八苦しているみたいなんですよ。コーディネーターから、あーでもないこーでもないっていってるって聞いて(笑)。でもそのプロセスがすごく大切だなって思っていて。ただいわれたことをこなすだけではなく、自分で手を動かしながら試行錯誤していく。そういう機会をもっと作っていきたいし、私たちがちゃんと製品を売れるようにしていけば、彼女たちにももっとチャンスが増えると思うので。時間はかかると思っていますけど、今はそこに取り組んでいきたい時期なんです」
エプロンの実際の指示書。製作者のフロリンダさんは、マヤの現地語”ツトヒル語”のみを話しスペイン語の読み書きができないため、商業高校を卒業した、チーム内の20代女性がサポートしてこの指示書を作成したのだそう(画像提供:ilo itoo)

エプロンの実際の指示書。製作者のフロリンダさんは、マヤの現地語”ツトヒル語”のみを話しスペイン語の読み書きができないため、商業高校を卒業した、チーム内の20代女性がサポートしてこの指示書を作成したのだそう(画像提供:ilo itoo)

あの色彩を知ったときの「ドキドキ」を、多くの人に広めていきたい

ツアーメンバーの集合写真(画像提供:ilo itoo)

ツアーメンバーの集合写真(画像提供:ilo itoo)

2015年から、ilo itooでは新たな取り組みを始めました。その名も「イロイトーと行く、グアテマラ死者の日とマヤの暮らしと手しごとをめぐる旅」。ilo itooの現地工房を見学して生産者と交流しながら刺繍レッスンをしたり、故人へと思いを馳せるグアテマラのお祭り「死者の日」への参加など、観光ツアーよりも、より現地の暮らしに触れることのできる盛りだくさんのグアテマラツアーです。参加者はilo itooアイテムのファンの方々が多いそうですが、ツアー終了後のアンケートで、皆さんが共通して記入することがあると、高崎さんは笑顔で話します。

「アンケートの中で毎回『ツアーの中で一番良かったのは?』『グアテマラの魅力は?』というような項目があるのですが、皆さん『人』って書かれるんですよ。やっぱりそこが魅力的だからそれが製品にも表れてくると思っているので、それを感じ取ってもらえるっていうのはやっぱりすごくうれしいですよね」
実際のアンケート(画像提供:ilo itoo)

実際のアンケート(画像提供:ilo itoo)

vol.65 ilo itoo・大久保綾さん 高崎真理子さん
遠い国、グアテマラの虹に魅せられて
今後は、もっと多くの人にグアテマラの魅力を知って欲しいという大久保さん。

「日本ではこういう極彩色って馴染みがないけど意外と取り入れられるし、気持ちも明るくなるんです。その製品が、ただ大量にどこかの工場で作られているのではなく、ちゃんとストーリーがあって、どこか人を助けることにも繋がっている。グアテマラの手織物は、着こなしで楽しめて持っていることでも心が満足できるものだということを、もっと広めていきたいと思っています。私がグアテマラの民族衣装を初めて本で見たときの、『ドキッ』とした感覚をお客さんにも味わってほしい。自分自身も、作っている人の顔が分かるものの方が大事に使うと思うし、そういうものを作っていきたいですね」
vol.65 ilo itoo・大久保綾さん 高崎真理子さん
遠い国、グアテマラの虹に魅せられて
「社会貢献」という言葉でまとめてしまうと、難しく考えてしまったり、自分には関係のないことと捉えてしまいがちですが、ilo itooの根底にあるのは「好き」というシンプルなエネルギー、ただそれだけ。思いが海を越え、たくさんの縁を繋ぐ。大久保さんがかつて惹かれた民族衣装のように、作り手の思いが込められた物には、ときとして「物」という言葉だけでは片付けられない力が宿るのです。
vol.65 ilo itoo・大久保綾さん 高崎真理子さん
遠い国、グアテマラの虹に魅せられて
これまで、現地の倉庫が火事になるなど、幾度の困難を乗り越えてきたilo itooのメンバー。自分たちが大好きなグアテマラの人々の手助けがしたいという、真っ直ぐな大久保さん・高崎さんの思い。ごく20年ほど前まで続いていた内戦や人種問題など複雑な環境の中で、それでも前向きに生きる現地の人々の力強さ。チームの成長は、そのどちらかではなく、このふたつがあってこそ。縦糸と横糸が織り成す美しい色彩のように、二本の糸でできる「ilo itoo」はより結び目を固くし、力強く未来を歩んでいくことでしょう。

――たくさんの人の心にたくさんの色が溢れますように
これは、ilo itooのものづくりの根底にある思い。あなたの中にも、まだ見ぬ美しい色が眠っているかもしれません。

(取材・文/長谷川詩織)

Information

★記事中で紹介した「ilo itoo」のグアテマラツアーが今年も開催されます!★
【グアテマラ死者の日とマヤの暮らしと手しごとをめぐる旅】
日程:10月27日(金)~11月3日(金)
申し込み〆切:8月31日(月)

★記事中で紹介した「ilo itoo」のグアテマラツアーが今年も開催されます!★
【グアテマラ死者の日とマヤの暮らしと手しごとをめぐる旅】
日程:10月27日(金)~11月3日(金)
申し込み〆切:8月31日(月)

★ilo itooのアイテムが購入できるイベントが大阪で開催!★
【ilo itoo GUATEMALAN RAINBOW MARKET】
日程:7月28日(金)~8月3日(木)
場所:SAA 大阪府大阪市西区江戸堀1-16-32 E-BUILDING 1F

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【ilo itoo GUATEMALAN RAINBOW MARKET】
日程:7月28日(金)~8月3日(木)
場所:SAA 大阪府大阪市西区江戸堀1-16-32 E-BUILDING 1F

※各イベントの詳細は公式HPをご確認下さい。
iloitoo|イロイトーiloitoo|イロイトー

iloitoo|イロイトー

グアテマラの色彩に魅せられた2人の福岡人とマヤの血を引く現地先住民とで紡ぎ出すオリジナル布小物ブランド。グアテマラの色彩豊かな手織物や生地で日本人のライフスタイルにあったプロダクトを一点一点手作りで制作しています。

公式HP
公式Instagram

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