90年代はどんな時代?特徴と流行
90年代ファッションの影響
80年代のDCファッションからストリートへ
高校生が流行の中心に。日本独自のカルチャーの誕生
男性の間では、アメリカやロンドンの若者影響が色濃く、トラッドスタイルからアメカジへ。そして、スケーターやヒップホップファッションを取り入れたストリートファッションが大人気に。一方、女性たちの間では、「ギャル」と呼ばれる海外セレブたちをベースにした女子高校生がトレンドの中心になり、〈ルイヴィトン〉や〈フェンディ〉といったハイブランドをカジュアルに着こなしながら、“ガングロ”等の個性豊かな日本独自のファッションスタイルが確立していきました。
ファッション誌は「原宿」or「渋谷」
ストリートファッションを彩っていた原宿に対し、渋谷ではギャルに並んで男子高校生からもギャル男が誕生。当時のファッション誌は、芸能人やプロのモデルだけでなく、等身大のファッションで人気を集めた「読者モデル」も登場し、〈cutie〉〈zipper〉などが代表的な「原宿系」、〈egg〉〈popteen〉などが代表的な「渋谷系」の二極化に。もともと、渋谷系という単語は、単館映画やクラブシーンを行きかう若者たちのことでしたが、最終的にはギャル文化の象徴的な言葉に変化しました。
90年代「前半」の流行ファッション
バブル期の特徴が残るリゾートファッション
ギャルブームの先駆けとして、LA風のリゾートカジュアルが登場し、〈JJ〉や〈Vivi〉といったお姉さん雑誌が賑わいをみせていた90年代前半は、80年代のバブル期の影響を残し、海外セレブに習ったハイブランドを取り入れた着こなしが人気でした。
オリーブ少女たちを魅了したサブカルチャー
また、パリっ子たちのライフスタイルへの憧れを持つフレンチカジュアルも同時に流行し、〈アニエスb〉や〈SHIPS〉といったブランドが人気に。音楽シーンにおいても、小山田圭吾や小沢健二などが登場し、ヨーロッパスタイルを取り入れたスタイルは男性の間でもムーブメント化。映画や音楽をこよなく愛するサブカルチャー文化も熱を上げていきます。
ディスコからクラブへ。レディース服を着こなすメンズ
ディスコブームがバブル崩壊と共に終わりを遂げ、90年代はクラブシーンが沸き、70年代のファッションを取り入れたキャスケットベレー帽、古着が人気スタイルに。男性が女性ファッションを取り入れる中性的な着こなしも注目され、いしだ壱成や武田真治を手本とする「フェミ男」も話題に。ジェンダーレスな時代へ移り変わる象徴的存在になりました。
古着やリメイク。個性を生み出すストリートファッション
個性を尊重する時代に入り、ファッションにおいても自作する若者が増え、ストリートファッションとして雑誌を彩り始めました。インディーズブランドを取り扱うセレクトショップの急増や〈A BATHING APE〉、〈UNDERCOVER〉を代表する裏原ブランドの登場で、既成ではなく自ら生み出す文化に変わっていきます。
90年代「後半」の流行ファッション
渋谷のギャル!女子高生がトレンドを旋風
裏原系が女性の間でも人気に。スポーツウエアMIX
ギャル文化の一方で、原宿界隈では女性たちの間でも裏原ブームが巻き起こり、トレーナーやデニムといったメンズライクなアイテムを使ったボーイズスタイルが人気に。スポーツウエアやアウトドアウエアをMIXした着こなしがトレンドになりました。
パンクブームから生まれたファッション
裏原ブームを巻き起こしながらも、ラフォーレ原宿前や竹下通りなどの表側では「パンクブーム」が到来し、グランジファッションも注目に。当初は、ドクターマーチンのブーツ、コンバースシューズなどを取り入れたロンドンスタイルやミュージシャンたちの着こなしがお手本でしたが、次第にオリジナルを求めたロリータパンクやゴシックスタイルが誕生していきます。
80年代のDCブランドブームを引きずりながらも、オリジナリティー溢れるインディーズブランド等が次々と誕生した90年代の日本は、ストリートカルチャーの黄金期とも言えます。