かわいくも賢い猫はミステリーでも大活躍
今回集めたのは、そんな猫たちが活躍するミステリー小説。賢く勇敢な猫たちが鮮やかに事件を解決する姿は、猫好き必見ですよ♪
- 寒さに負けない体を目指す!ゆらぎがちな冬のご自愛ケアキナリノ編集部
猫が大活躍♪本格ミステリー小説3選
三毛猫ホームズの推理|赤川次郎|角川文庫
猫が主人公という大胆な設定から、ライトなミステリー小説だと思われがちな『三毛猫ホームズの推理』。しかしトリックや謎解きの過程は本格ミステリーそのものです。ユーモラスな場面も多く読みやすい文体のため、すらすら読めますよ。
『吾輩は猫である』殺人事件|奥泉光|河出文庫
夏目漱石の『吾輩は猫である』の文体を十二分に再現し、飼い主の苦沙弥先生殺害の真相を猫が追うストーリーです。途中からホームズやワトソンという名前の猫も加わり、力を合わせて謎解きに挑みます。
たくさんの猫たちが登場する本作は、キャラクターごとの個性が光り、ときにはくすっと笑える場面も。600ページ越えの大ボリュームですが、ワクワクドキドキな展開で最後まで目が離せません。猫好きはもちろん、夏目漱石ファンやミステリー好きにもたまらない一冊ですよ。
猫には推理がよく似合う|深木章子|角川文庫
弁護士事務所で働く花織はある日、人の言葉を話す猫のスコティから推理対決を挑まれます。架空の事件を作り上げ、夢中になって謎解き合戦を繰り広げる二人。しかし、なぜか事件が現実に起こってしまいます。
猫好きなら一度は憧れる「人と話す猫」が登場する作品です。ほのぼのとミステリー談義を交わす二人に、思わず笑顔がこぼれるでしょう。後半は一転して現実の生々しい事件に発展し、本格的な謎解きが始まります。
ラストには驚きのどんでん返しがあり、気持ちよく騙される感覚を味わえますよ。
猫が大活躍♪コージーミステリー小説3選
ゆきの山荘の惨劇|柴田よしき|光文社文庫
とある山荘で開かれる結婚パーティーに参加したミステリー作家の桜川ひとみ。和やかなお祝いムードから一転、閉ざされた山荘で次々と事件が。ひとみは連れてきた飼い猫の正太郎とともに、事件の真相に迫ります。『猫探偵・正太郎シリーズ』の第一作目。
猫の正太郎目線で謎解きに挑むストーリーです。動物同士、居合わせた犬や猫と会話しながら推理をする姿が微笑ましい。立て続けに事件が起こりますが、凄惨さはなく、まったり緩いミステリーになっています。クールで愛情深い正太郎が魅力的です。
ポリス猫DCの事件簿|若竹七海|光文社文庫
人口よりも猫の数がはるかに多い小さな島、通称「猫島」。島の派出所に勤める巡査・七瀬とその相棒猫の“DC”は、島で起こる大小さまざまな事件を解決します。全7作からなる連作短編集。
猫だらけの島が舞台なだけあり、いたるシーンで猫が登場します。そのどれもが可愛らしく、猫好きなら癒されること間違いなし!ほのぼのしているようで切れ者、という主人公のキャラクターも好印象。短編集ですが、各作品の中に最後のストーリーに繋がる伏線があり、読みごたえがありますよ。
猫探偵はタマネギをかじる ニャーロック・ニャームズの名推理|ヒロモト|宝島社
野良猫のニャトソンと賢い猫のニャームズ。二匹は初対面にもかかわらず、ニャームズは名推理でニャトソンが元飼い猫であることを見事言い当てます。それをきっかけにニャトソンはニャームズの相棒となり、二匹で難事件を解決していくことに。
もしもシャーロック・ホームズが猫だったら、という発想が斬新な本作。ホームズの魅力はそのままに猫らしい側面が添えられ、猫好きも納得の面白さに。人間にとっては当たり前でも猫から見ると謎だらけ、という出来事を事件として扱うのもユニークです。
猫が大活躍♪海外ミステリー小説3選
黒猫ルーイ、名探偵になる| キャロル・N.ダグラス(甲斐理恵子 訳)|ランダムハウス講談社文庫
黒猫のルーイは、ラスベガスの裏社会ではそれなりに名の通った有名猫。あるときたまたま他殺体を発見したルーイは、人間の第一発見者となったテンプルとともに、事件の真相解明に向けて動き出します。
斜に構えたルーイの性格が微笑ましく、猫の気高い一面が垣間見える作品です。対照的に相棒の女性・テンプルは頑張り屋さんで好感の持てる愛されキャラ。正反対の二人が協力して犯人に迫るようすは思わず応援したくなり、物語にぐいぐいと引き込まれます。
町でいちばん賢い猫| リタ・メイ・ブラウン(茅律子 訳)|早川書房
静かな田舎町で連続殺人事件が起こり、事件の調査を始めた女性郵便局長のハリー。その飼い猫のマーフィーはハリーの危険を案じ、コーギー犬のタッカーとともに調査に協力をすることに。「トラ猫ミセス・マーフィ・シリーズ」の第一作。
かわいくも賢い猫のマーフィーが魅力的で、鋭い観察眼にハッとさせられることも。ときおり挿入される犬のタッカーとの会話が微笑ましい。動物目線と人間目線のパートがあるため、物事の捉え方の違いを比べながら読むのも面白いですよ。
猫探偵カルーソー|クリスティアーネ・マルティーニ(小津薫 訳)|扶桑社
ヴェネツィアに住むカリスマ的ボス猫のカルーソーは、愛する街を脅かす殺人事件にいきり立ち、仲間の猫たちと協力して事件の解決に乗り出します。ヴェネツィア中を駆け回り情報集めに奔走する猫たちは、真相にたどり着くことができるのでしょうか。
カルーソーを中心に野良猫たちが団結し、ヴェネツィアの街を奔走する姿にワクワクします。目先の誘惑にとらわれてすぐに捜査から脱線、という猫らしいユーモラスな一面も。あっと驚くようなトリックや謎解きはありませんが、個性豊かな猫たちのドタバタを存分に楽しめる作品ですよ。
ホームズと名付けられた猫と少し頼りない片山刑事がコンビを組み、数々の難事件を解決していきます。こちらを第一作として、短編集も含めると50冊以上も刊行されている大人気シリーズです。