難しそうな「古典・名文学」。現代語の訳で読むと、新鮮!
でも言葉の問題さえクリアすれば、とっても面白い物語がたくさん!あの「古事記」だって、笑っちゃうエピソードがたくさんあるんですよ。
そこで今回は、現代訳、新訳、超訳といった“分かりやすい現代の言葉”で親しめる「古典・名文学」の本をご紹介♪
いまとは文化も異なる当時の情景がリアルに浮かんできて・・内容の面白さにぐいぐい引き込まれてしまうはず。このように外でもカジュアルに、すらすら読み進められますよ*
お家で過ごす時間が長い今、ゆっくりと古(いにしえ)の時代に想いを馳せながら、「古典・名文学」の世界に親しんでみてはいかがでしょう。
【源氏物語】
『源氏物語』(上・中・下)著:角田 光代
光源氏の煌めく人生を、恋愛小説の名手と称される作家の文章で堪能
【百人一首】
『千年後の百人一首』著:清川 あさみ、 最果 タヒ
「百人一首」の歌に込められた想いの深さを、中原中也賞受賞の女性詩人が慈しむ
子供の頃に意味も分からず覚えたという人も多い百人一首。競技かるたを描いた「ちはやふる」の大ヒットで改めて、百人一首に興味を持ったという人もいるのではないでしょうか?31文字という短い言葉の中に、恋や人生の無常などさまざまな想いが描かれれています。
「千年後の百人一首」は若い世代の方にも人気が高い女性詩人・最果タヒさんと、アーティストの清川あさみさんがコラボした、まったく新しいタイプの現代語訳です。見開き右ページにはもとの和歌と、清川さんの布や糸・ビーズを使ったアート作品。そして、左ページには最果さんの詩が配されています。
【風と共に去りぬ】
『私はスカーレット』著:林真理子
美しいスカーレットの波乱万丈の半生を描く「風と共に去りぬ」を一人称小説にアレンジ
南北戦争時代を生き抜いた美しいスカーレット・オハラ。彼女の波乱万丈の半生を描いた「風と共に去りぬ」は小説や映画、舞台などで多くの人に愛されてきた作品です。ただ、どの訳版でも文庫で5、6冊という超大作であるが故、なかなか読み始めることができない人も多いという本です。
林真理子さんの「私はスカーレット」では、スカーレットの1人称で、軽快にストーリーが展開していきます。原作よりもスカーレットを身近に感じ、自意識過剰な「カワイイ」女子としての一面を知ることができますよ。
物語の冒頭ではまだ16歳のスカーレット。自分の欲望に忠実に、感情が先走ったような行動をとってしまうのも、林さんの訳では不思議と納得してしまいます。ドラマチックなスカーレットのこの後の人生がどうなっていくのかと先が気になります。ここから、原作への興味が芽生えることもありそうですね。
【古事記】
『愛と涙と勇気の神様ものがたり まんが古事記』著:ふわ こういちろう
現存する日本最古の歴史書が、かわいい漫画でわかりやすい冒険活劇・愛憎劇に
「古事記」は西暦712年に編纂されたといわれる日本最古の歴史書です。「古事記」は全三巻から成り、天地の発祥から第33代推古天皇の事績を記したもの。神様の世界が描かれるので、文章が分かっても、イマジネーションが追いつかないことも・・。興味があっても、手に取りづらい方も多いのでは。
「愛と涙と勇気の神様ものがたり まんが古事記」では、その名のとおり、かわいい絵が付いた漫画仕立て。神代の巻である上巻の内容がしっかりと描かれています。人代の巻である中巻、下巻についてはダイジェストとして掲載されているので、「古事記」の全体像も掴むことができます。
可愛らしい癒し系イラストで描かれた、キャラクターチックな神様たちも見どころ。「イザナギ・イザナミの国生み、神生み」、「天岩戸とヤマタノオロチ」といったお話の中で、さまざまな冒険活劇、愛憎劇を繰り広げています。
日本の歴史の予備知識がない方や子供でも楽しんで没入できる作品に仕上げられていますよ。
【徒然草】
『すらすら読める徒然草』著:中野 孝次
日本三大随筆のひとつ「徒然草」を、原文・現代語訳・解説で親しむ
「徒然なるままに 日暮らし硯に向かいて・・・」という冒頭のフレーズでお馴染みの「徒然草」。鎌倉時代の末期に、吉田兼好によって書かれた随筆で、現在の日本語表記のもととなった「和漢混淆文」と仮名文字の「和文」が混在しているのが特徴。日本三大随筆のひとつとしても有名ですよね。
「すらすら読める徒然草」では、243段ある原文の中から59段を掲載しています。上に原文、下に現代語訳がのっており、文字通り、すらすらと読めてしまいます。テーマ別に分けられているところも読みやすさのポイントのひとつ。吉田兼好の人生観、美意識を身近に感じながら、楽しむことができます。
【枕草子】
『春はあけぼの 月もなう 空もなお』著:サメマチオ
清少納言のセンスあふれる随筆を、現代に置き換えたコミック短編集
「枕草子」は平安時代を生きた清少納言によって書かれた随筆です。こちらも日本三大随筆のひとつで、清少納言が自然や、宮中の出来事、身の回りのことなどについてセンスあふれる文章で綴っています。
「春はあけぼの 月もなう 空もなお」は「枕草子」を直接現代語訳しているのではありません。「枕草子」で描かれている感覚を現代に生きる登場人物たちがなぞっていくという漫画です。
この漫画の舞台は現代。いろいろな人の視点を通して、「今この瞬間を生き、感じる」ことを大切にしています。「をかし」の文学といわれる「枕草子」の世界観を感覚的に味わっていくことができる作品です。
【ニーチェの言葉】
『超訳 ニーチェの言葉』訳:白取 春彦
「生きている人間のための哲学」を超訳したベストセラー
「永遠回帰」、「ニヒリズム」、「超人」といった難しい言葉が多くあらわれるニーチェ。ドイツの哲学者であるニーチェは神や真理、理性といった既存の概念を解釈しなおし、独自の思想を生み出したことでも有名です。
こちらの「超訳 ニーチェの言葉」では「己について」、「喜について」というようにテーマに基づいて、ニーチェの言葉を集め、さらにわかりやすく、具体的に、簡潔に現代の言葉で表しています。1つの言葉について、1ページでまとめられ、前向きに生きていく手がかりが散りばめられています。
平安時代に、紫式部によって書かれた「源氏物語」。世界最古の長編恋愛小説として知られていますよね。主人公の光源氏は、さまざまなタイプの女性たちと深い恋愛を繰り広げていきます。
千年もの長い間、多くの人々を魅了し続けたのは、恋愛小説としての側面だけではありません。光源氏を取り巻く自然や文化の情景描写を読み進めるうちに、当時の空気感のようなものを味わる傑作です。