きっと優しい気持ちになれる。オススメの小説10選
(出典表示のない写真は記事作者撮影)
『そしてバトンは渡された』瀬尾まいこ
「ー梨花が言ってた。優子ちゃんの母親になってから明日が二つになったって(中略)自分の明日と、自分よりたくさんの可能性と未来を含んだ明日が、やってくるんだって。親になるって、未来が二倍以上になることだよって。」
森宮さんと優子のユーモラスな会話にクスっと笑いながらも、じんわりと心が温まる作品。優しい気持ちになりたい時におすすめです。
『ツバキ文具店』小川糸
鎌倉で小さな文具店を営む鳩子は、亡き先代(祖母)から受け継いだ代書屋という代筆を生業にする仕事も請け負っている。ラブレターや、絶縁状、天国からの手紙などなど…、風変わりな依頼が舞い込み、依頼主の気持ちに寄り添いながら大切な人への想いを文字にしていく。先代(祖母)からはとにかく厳しく躾けられ、愛情を感じることができないまま別れた鳩子だったが、鎌倉の人々との交流や、代書屋という仕事を通してその思いにも変化が生じていく。
『家守綺譚』梨木香歩
学生時代に亡くなった友人・高堂の父親から、家の守をしてほしいと頼まれた綿貫征四郎。高堂の父はもう年老いたので、今いる家を離れ、嫁に行った娘の近くに隠居する予定だという。”家守”の話を快諾し、高堂の実家に越してきた綿貫。物書きの仕事をしながら暮らしていると、掛け軸の中から死んだはずの高堂が出てきたり、河童や狸が庭に迷い込んできたり、サルスベリの木に惚れられたりと、自然界のものや目に見えないものたちとの交流が始まる。
『和菓子のアン』坂木司
主人公の梅本杏子(通称アンちゃん)は、ちょっとぽっちゃり体型で顔つきはお人好し。高校を卒業してアルバイト先を探していると、デパ地下の和菓子店「みつ屋」に行き着く。個性豊かな職場の仲間に囲まれながら、お仕事に奔走する毎日が始まる。和菓子にこめられたストーリーを通して、お客さんたちの謎めいた言動を解き明かしていくお仕事ミステリー小説。
登場人物のキャラクターが引き立っていて、楽しい情景が目に浮かびます。読書が苦手という方にも読みやすい作品です。手元に美味しい和菓子を用意して読みたい一冊*
『食堂のおばちゃん』山口恵以子
ここは佃にある「はじめ食堂」。若い頃は”佃島の岸恵子”と呼ばれていた姑の一子(いちこ)と嫁の二三(ふみ)が仲良く切り盛りしている。昼は定食屋、夜は居酒屋として今日も元気に営業中。悩みを抱えたお客さんや、ご近所のちょっとした事件を、食堂に集う常連さんたちと一緒に解決していく人情小説。
この小説の魅力は、実際に起こったニュースも物語にはさまれているため、「はじめ食堂」がどこかに本当にあるような現実感を持って読めることです。さらに巻末には、小説に出てきた料理のレシピも付いています。心もお腹も満たされる「食堂のおばちゃん」シリーズは続編も出ています*
『くちびるに歌を』中田永一
長崎の五島列島にある中学校が舞台の作品。この学校の合唱部の顧問であった松山先生は、出産を控えて代わりの先生を東京から呼び寄せた。新しい先生は柏木といい、ピアノの腕前は中学時代に神童と呼ばたほどであった。さらにずば抜けた美貌の持ち主でもあったため、彼女を目当てに合唱部には男子の入部希望者が殺到する。今まで女子だけでやってきた部の空気は乱れ、やる気のない男子と女子との間には溝が深まっていく。
それでもコンクールのために練習を重ね、課題曲「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」にちなみ、生徒それぞれが15年後の自分にあてた手紙を書く。誰にも言えない思いを抱えながら、仲間とともに歌うことで成長をしていく生徒たち。
中学生ならではの素直さが清々しい青春小説。テンポの良い方言での会話も引き込まれます!
『カフーを待ちわびて』原田マハ
舞台は沖縄県与那喜島。主人公の友寄明青は、亡くなった祖母から13年前に引き継いだ友寄商店を営みながら、犬のカフーと暮らしている。ある日、裏に住む巫女(ユタ)のおばあから、”ウシラシ(お知らせ)”があるというお告げを伝えられる。その日、郵便受けには一通の手紙が届いていた。それは以前、神社で明青がふざけて絵馬に書いた「嫁に来ないか。」という言葉を見たという、会ったこともない女性、幸(さち)からのものだった。
「あの絵馬に書いてあったあなたの言葉が本当ならば、私をあなたのお嫁さんにしてくださいますか。あなたにお目にかかりたく、近々お訪ねしようと決心しています。」
『青い鳥』重松清
中学校の非常勤講師で国語を教える村内先生。小太りでもっさりとした風貌の先生は、吃音で言葉がつっかえ上手く話せない。しかし、村内先生には特別な使命があった。トラウマにより声が出なくなってしまった場面緘黙症の生徒、学校で事件を起こしてしまった生徒、いじめの加害者になってしまった生徒など、様々な苦しみを抱えた”ひとりぼっち”の生徒にそっと寄り添う。上手く話せないからこそ、大切なことしか言わない村内先生。そんな先生を必要とする生徒のもとへ、様々な中学へ出向いていく。
『スキップ』北村薫
昭和40年代初め。大雨で運動会の後半が中止になり、家に帰ってきた高校二年生の一ノ瀬真理子。部屋でレコードをかけ、雨音と音楽を聴きながらウトウトしてしまった。目を開くと、そこは見慣れない空間。なんと、17歳だったはずの真理子は、25年後の自分、42歳の桜木真理子になってしまっていた。見ず知らずの”夫”と、自分と同い年である17歳の”娘”を前に、呆然とする。しかし、立ち止まってはいられない。桜木真理子の職業である高校教師の仕事に挑みながら、目の前の現実に立ち向かっていく。
『虹の岬の喫茶店』森沢明夫
長いトンネルの出口すぐのところに、《おいしい珈琲と音楽♪岬カフェ ここを左折》という看板がある。案内に従って左折すると、砂利道が続き、やがて小さな岬の先端に建つ喫茶店「岬カフェ」にたどり着く。このお店は初老の女性店主が切り盛りしていて、お客さんにぴったりの音楽と、丁寧に淹れた珈琲を提供してくれる。妻を亡くした男性と幼い娘、就職活動が思うように進まない大学生、お金に困って岬カフェに泥棒に入った男など、心に何かしらの想いを抱えた人たちを音楽と珈琲で癒していく。
それぞれの章には、作中で流れる曲のタイトルが付けられているので、その曲を聴きながら読むのもおすすめ♪千葉県鋸南町に実在する喫茶店がモデルになっているので、気になった方はぜひ調べてみてください◎
- 寒さに負けない体を目指す!ゆらぎがちな冬のご自愛ケアキナリノ編集部
主人公は森宮優子17歳。生まれた時は水戸優子で、そのあと田中優子、泉ヶ原優子を経て、現在の森宮優子になった。彼女は17年のうちに家族の形態が7回も変わり、父が3人、母が2人いる。血の繋がらない親たちに育てられてきたが、どの親からも目一杯の愛情を注がれて幸せに生きてきた。物語は、現在の父親である”森宮さん”との生活と、過去の親たちからどのようにバトンを渡されて現在に至ったのかを描く。