インタビュー
vol.48 いわた書店・岩田徹さん 
- 読者と本を繋ぐ。ローカル書店から届く“自分だけ”の一のカバー画像

vol.48 いわた書店・岩田徹さん
- 読者と本を繋ぐ。ローカル書店から届く“自分だけ”の一冊

写真:岩田貴樹

札幌から電車で約一時間ほどの距離にある北海道・砂川市。この町に、全国から注文が殺到している書店がある。売り場も40坪ほどのごく普通の町の本屋さん「いわた書店」が、なぜ注目を浴びることになったのか。その理由は、この店ならではのあるサービスにあった。「本」だけではなく、それを読むことも減ってきているこの時代に、人は本に何を求め、何を教わるのか。本の役割、これからの書店の在り方。店主の岩田徹さんにお話を伺った。

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2016年10月14日作成

全国から注文が殺到する町の本屋さん「いわた書店」

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「○○屋さん」が、町のあちらこちらから姿を消すようになって久しい。
例に漏れず、町の小さな「本屋さん」も、いつの間にか見かけることが少なくなった。“抜群の品揃えを誇る”大型書店や、欲しい本がすぐ手に入るネットショップが増えて個人商店の需要が減る中、「あるサービス」で全国から注文が殺到している「町の本屋さん」があるという。

札幌駅から電車で約一時間ほどの距離にある砂川(すながわ)駅。札幌市と旭川市を結ぶ国道12号を越えると、「いわた」の文字と「本」と書かれた懐かしい立て看板が見えてきた。
グリーンの外観が目を惹く「いわた書店」。周辺には理容室や定食屋など、古くからの店が並ぶ

グリーンの外観が目を惹く「いわた書店」。周辺には理容室や定食屋など、古くからの店が並ぶ

季節ごとに変わる店頭のディスプレイ。この日はハロウィンのカボチャで賑やかに飾られていた

季節ごとに変わる店頭のディスプレイ。この日はハロウィンのカボチャで賑やかに飾られていた

現在約500人待ちの「一万円選書」とは

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「この紙じゃ足りないかな~。ちょっと大きいからこの紙じゃ足りないだろう。こうやって、よいしょ」
そういって、レジ裏から包装紙を何枚か取り出したのは店主の岩田徹さん。それぞれジャンルの違う本を束ねると、慣れた手つきで梱包していく。

いわた書店が全国から注目を集めるようになった理由は、「一万円選書」という独自のサービスにあった。年齢・家族構成・読書歴など、人となりがわかるような簡単なアンケートに答えると、一万円分でその人に合ったおすすめの本を岩田さん自らが選んでくれるというものだ。
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元々は、10年前に友人から「このお金で自分が読みたくなるような本を選んでほしい」と頼まれたことがきっかけで始めたという一万円選書。その後も月に2~3人というペースで細々と選書を続けていたが、二年前、状況は一転した。2014年に放送されたある深夜番組でいわた書店が取り上げられたときのことだった。

「日曜日の深夜なんて、誰も見ないだろう」そう考えていた岩田さんだったが、翌朝パソコンを立ち上げると、番組を見た全国の人から、すでに200通を越える数のメールが届いていたのだ。
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「その前から、『一万円選書』でしょっちゅういろんなメディアに取り上げられてはいたんですよ。それこそ全国ニュースとかね。本や新聞にも載ってたんだけど、結構、パッと話題になっては消えていくっていうのが続いてたの」

「一万円選書」はその日の検索急上昇ワードにも上がり、各方面の媒体から次々と取材のオファーが入る。

「なかなか理解してもらうのも大変でね。ただの通販じゃないっていうのをわかってもらいたいのと、本を読みたい人はたくさんいるよっていう話もこっちはしたいわけですよ。右から左にジャンジャンできるものじゃないから、ブレイクしちゃったあとはとにかくどういう風に交通整理していいかを考えるのが大変でした。一昨年は、番組放送後に受けた分を半年で何とかしようと思って、結局一年掛かったんですね。一年待ってもらっている間に、お客さんも読んだ本が増えているだろうから『この一年で何読みました? 』ってやりとりを一からして。それがすごい大変だったの。そこからは年に数回の抽選方式にして、ご縁のあった方にだけ、70人ずつくらいで受けましょうって変えたんです。逆に都会じゃなく、これくらい適度に来づらい田舎でよかったなあと思って。お客さん殺到したら無理だもん、僕。フフフ(笑)」

始めた当初は月に数人というペースだったが、今や500人以上が岩田さんの選書を待っている。「本が読まれない」といわれるこの時代に、こんなにも人々を魅了する一万円選書の魅力はどんなところにあるのか。

本のチョイスから梱包まで、心の通ったやり取り

選書前に送るアンケートは、A4のコピー用紙3枚分。アンケートのフリースペースではおさまりきらず、欄外や別紙を用意してボリューミーに記入する人も少なくない

選書前に送るアンケートは、A4のコピー用紙3枚分。アンケートのフリースペースではおさまりきらず、欄外や別紙を用意してボリューミーに記入する人も少なくない

選書はお客さんに記入してもらったアンケートを元に行われる。「カルテ」と呼ばれるこの用紙には、印象に残っている本BEST20、職業、最近気になった出来事、よく読む雑誌、人生でうれしかったこと・苦しかったことなど、人となりに触れる基本的な項目のほか、「何歳のときのじぶんが好きですか? 」「あなたにとって幸福とは何ですか? 」など、思わずはっとするような質問も並んでいる。これを読めば大体の好みはわかるそうだ。

「スタッフには、申し込みや受付、アンケートをプリントアウトするところまでやってもらって、選書から梱包までは僕一人でやっています。ちょうど病院でお医者さんの前にカルテが出されるような感じ」

岩田さんがすこしはにかんで笑った。
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この日は旅行会社に勤務する20代の女性に向けての選書。ブラジル移民のことが書かれた骨太な本や時代小説、落語、恋愛、と、幅広いジャンルに驚かされる。一万円で、結構な量の本の山ができあがった。

「これくらいバラエティに富んだ内容にすることもできるし、普段買わないような詩の本を入れたりしてね。たとえば『コレ良い本だ! 』っていって並べられてても買わないでしょう、なかなか。でも良い本なんですよ。こんなふうにいろんなジャンルを入れると、本の世界も面白いよっていう入門編にはなりますよね。向田邦子*1の本なんかを読んでもらいたいんだけど、今はほとんど読まれてないから、どうしようかなーって思ってね。若い人向けに、太田(光)くんが書いた向田邦子の本*2を選びました。こんなに面白いよーってことがわかる。これすごい分かりやすくていいんですよ」
*1 小説家、テレビドラマ脚本家、エッセイスト。1980年には第83回直木賞を受賞。作家としてだけではなく、独自の感性と飾らないライフスタイルやファッションで、没後30年以上が経過した今も様々な世代の女性に支持されている

*2 太田光『向田邦子の陽差し』文藝春秋,2011,272p
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そう話しながらファイルから切手を取り出すと、トレイに置いていく。切手を集めるのが趣味だった岩田さんの父親が遺してくれたものだそう。

「こんなのをさあ、貼ってあげるとお客さんに喜ばれる。自分で貼るのは大変だから郵便局に持っていくと貼ってくれるんですよ。『切手喜ばれてるんですよぉ~』っていうとね、仕方ないなーって顔してやってくれる(笑)」

そういうと、「ここらへんもね、たぶん、ネットショップにはできないこと」と顔を上げてニヤリ。
一万円選書は送料込。3キロ以下であれば、日本中どこでも610円で郵送できるのだそう。なるべくいろいろな種類の本を入れたいので、一つが軽い文庫本が中心になることが多いという

一万円選書は送料込。3キロ以下であれば、日本中どこでも610円で郵送できるのだそう。なるべくいろいろな種類の本を入れたいので、一つが軽い文庫本が中心になることが多いという

こうして、「カルテ」を元に選ばれた本たちは、ひとりひとりに向けて書かれた岩田さんの手紙と、友人であるという砂川市長のメッセージを同封して、全国の読者の元へ届けられる。手紙や、手作りの梱包。こうしたひとつひとつに人の手の温度が感じられるところも、お客さんを喜ばせているポイントだ。
オリジナルブックカバーのデザインは、雑誌『暮しの手帖』から引用したもの。暮しの手帖社に電話で使用許可を求めたところ、二つ返事で快諾してくれたという。それから50年間、いわた書店の顔となっている。ちなみに書店のロゴは岩田さんの父が作ったもので、「本の中になにがある 字がある 字の中になにがあるか 宇宙がある」というオリジナルの言葉が書かれている

オリジナルブックカバーのデザインは、雑誌『暮しの手帖』から引用したもの。暮しの手帖社に電話で使用許可を求めたところ、二つ返事で快諾してくれたという。それから50年間、いわた書店の顔となっている。ちなみに書店のロゴは岩田さんの父が作ったもので、「本の中になにがある 字がある 字の中になにがあるか 宇宙がある」というオリジナルの言葉が書かれている

アンケートにも書かれている「あなたにとっての幸せは? 」という問いを岩田さん自身にも投げかけると、「自分の好きな本に囲まれて暮らす」というシンプルな答えが返ってきた。ただ、誰もがそれに即答できるわけではなく、悩みながら時間をかけてカルテを埋めていく人も多い。ときには、深刻な悩みが書かれていることもある。その人へ向けたアドバイス、応援の代わりに、岩田さんは本を選ぶ。

「日本人は今あんまり幸せじゃないみたいで。でも最後ね。たとえば野球でいえば自分の人生の最終回の表裏、サッカーでいえばアディショナルタイムなんかに、結局は帳尻が合うっていうかさ、そこで幸せだったらいいわけでさ。そのために我慢して我慢してっていうのもちょっとアレなんだけど。根本はさ、人生って楽しいはずだよね。幸せになるために生まれてきたのに、仕方なしに苦しんでるっていうのはよくないなあって思う。これだけこう、世界の中でも恵まれた国なんだから、なにかできるはずだよねって」

たった一冊の本で気持ちが突き動かされたり、人生が変わることだってある。岩田さんはずっと、なにかできる、本で人を幸せにすることができるはずだと信じて、今まで読者と本を繋げてきたのだ。

店には「売れる本」ではなく「売りたい本」を置く

店頭に面陳列された児童用学習雑誌。昔はどこの書店の店頭でも見掛けた風景だが、少子化によりこうした雑誌の休刊が後を絶たない

店頭に面陳列された児童用学習雑誌。昔はどこの書店の店頭でも見掛けた風景だが、少子化によりこうした雑誌の休刊が後を絶たない

石炭の町として栄えた北海道・美唄市の炭鉱住宅街で育った岩田さんは、炭坑作業員だった父が買ってきてくれた学習雑誌『めばえ』や『幼稚園』に目を輝かせたという。その笑顔を見てか、岩田さんの父は33歳のときに本屋の店主になることを決意。1958年にいわた書店を開業した。

一万円選書がブレイクし読書の時間が減ったという岩田さんだが、今でも年間で約160冊は本を読むという。小学4年生のときは、『小四教育技術』という教員用の雑誌を読み、担任の授業を退屈だというような小生意気な子どもだった、と笑う。今も昔も、わからないことはすべて本が教えてくれた。そんな生粋の本好きの岩田少年も大人になり、札幌の商社に数年勤めたのち、実家に戻り家業を手伝うこととなった。当時は書店業界の景気もよく、置けば本が売れた時代だったという。ピーク時には、立ち読みの学生で店の奥まで進むのが大変なくらいだった。
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しかし、本の売り上げは次第に右肩下がりになり、いわた書店も不況の中で何度も危機に直面した。

「今となったら立ち読みする人がいてくれた方がまだいいよね(笑)。人通りのない寂しい町になっちゃったから」

炭鉱の町が近くかつては栄えていた砂川だったが、平成に入ってから人口減少とともに以前の活気もなくなった。90年代後半には、レンタルショップや郊外店が増え始め、小さな書店が次々と廃業に追い込まれ、友人の書店も閉店していった。がむしゃらに走り続けた岩田さんは疲労がたまり、ついに入退院を繰り返すようになった。
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「売り上げが下がっても、頑張れば何とかなるみたいな感じで一生懸命やるんですよね。でもそれがよくなかった。考え方が間違ってたんですよ。一人で頑張るっていうことをやっちゃダメだっていうことがわかったわけ」

身体を壊して、家族や周りの人間に助けられたという岩田さん。それからは「売れる本」ではなく「自分が本当に売りたい本」にさらに重点を置き、売り方を変えていった。大型店と同じことをしても仕方がない。一万円選書以前にも、一人でも多くの本を読んでもらうために様々な企画や施策を試みた。

「講演会活動みたいのもやってたんですよ。なかなかすごい人たちに来てもらってね。ただ、お客さんの数が集まらなくて。講演を聞いても『なんだ、テレビと一緒じゃないか』という感じで、そのときに聞いたことの衝撃が薄れていくんですね。大勢を集めて何かを伝えるっていうことに限界を感じて、10年ほどでやめたんです。そのころに一万円選書を始めるんだけど、その人の人生はひとつしかないし、“その他大勢”じゃなく、一度話を聞いてたった一人のために本を選ぶっていう作業が面白いなと思ったんです。思った以上に本が読まれていないことや、それと同じくらい、選書が喜ばれることだっていうのもわかったしね」
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様々な試行錯誤を繰り返し長い間春を待っていた岩田さんだったが、「一万円選書」が話題になるすこし前、本気で店を畳むことも考えた。友人の弁護士にアドバイスをもらいながら、店を続けようと何とか気持ちを新たにした先のブレイクだった。岩田さんの妻は「本屋の神様はいた! 」と喜んだという。
本当に良いと思える本と読者を繋ぎたい――本好きの店主のひたむきな想いが、やっと報われた瞬間だった。

「優秀な人材も、この業界からどんどんいなくなっちゃって。給料は安いのね、仕方ないの儲かんないから。でも安いけど面白い仕事だよっていうことを言いたいんですよ。だから、カルテの質問にも書いてるんです。『これだけはしないと心に決めていることはありますか? 』って。仕事でもなんでも、『これだけはしたくない』っていうことを実際にしていたらつまんないよね。人生短いんだから、それだったら何とかして、楽しく生きていくようにしたほうがいいよね。その質問を通して、あなたが本当にしたいことって何?っていうことを聞きたいんです。家庭を顧みずってよくいうんだけど、それダメじゃん! ってね(笑)。自分の両親、子どもたちとか、何が一番大事なのかってことにちゃんと向きあっていかないと」

好きなことだけをするのは難しい。好きなことと向き合うのは、ときに苦しい。だけど、本当に好きなことであればそんな困難さえも楽しく思えるだろう。難しくするのはいつだって自分自身で、本当はもっとシンプルなことなのだ。岩田さんを見ているとそう思えてくる。

一人でも多くの人に本の面白さをわかってもらいたい

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店頭には多種多様なジャンルの本が並ぶが、岩田さんが大切にしていることはただ一つだ。

「やっぱり本を読んでもらいたいし、本屋さんに行くのは面白いよってことを皆にわかってもらいたいんです。だから、たとえば5年、10年後に読んでも色褪せないだろうなっていう、それくらい力のある本を一生懸命探しているんですよ。自分の子どもにも、『ホレ、どう? 』って読ませてあげられるような。売れたはいいけど、半年後に大型リサイクルショップの特価コーナーに積み上がっているような、どこの書店でも置いているような本を置いても仕方ないんですよ。本作りをしている人たちだって、誰も燃やせるゴミを作っているわけじゃないんだから」
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現在書店に並ぶ書籍は、出版社の間に「取次」と呼ばれる流通業者を介して店に販売を委託している場合がほとんど。本が売れ残った場合は、取次に返品することができ、この返品された割合を「返本率」という。近年では出版不況により、平均で4割は返本されてしまうというが、いわた書店では自分で仕入れた本を98%は売るという。

「一生懸命、作家や出版社が作った本。自分がいいなあ、と思うものは、息があるうちにたくさん売りたい。だからこそ、出版社にも自分の子どもや孫に残すくらいの気持ちで本作りをしてもらわないと。で、書店もそれくらいの気持ちで売る。今は本が売れないっていうけど、じゃあ返本率を2割、1割にする、もっといえば重版かけるところまで売ってあげるっていうのが本屋の役割ですよね。放っといても売れるような話題作ならいいけれど、すごく良い本だけど光を当ててあげないと売れないような本は、ちゃんとやろう、と。だから見栄えは悪くとも、並べてある本の中身で勝負するってことを追求していこうと思っています」
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読者を裏切らないよう、これからも本の面白さを伝えていきたいという岩田さん。願わくは、全国の書店と肩を組み、一緒に取り組んでいけるような仲間がもっと増えてくれれば、と語る。

「書店の会合でも、いってるんですよ。一万円選書を真似したいところがあったら真似して! って。『冷やし中華はじめました』って感じで、『一万円選書はじめました』ってふうにね(笑)。ミステリーが得意分野の人とか、児童書が得意な人とかいて、どんどん広めていってくれればと思ってます」

全国の書店で「一万円選書」の張り紙を見かける日は、そう遠い未来の話ではないかもしれない。
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「本はねえ、読めば読むほど、わからないことっていうのが増えてくるんですよ。『ああ、知らなかったなあ』っていうことが増えてくる。ネットの記事ばかり見ていると、わかったような気になりますよね、世界が。ところが何もわかってないはずなんですね。実際は全然違うじゃん!って。本を読むということがなくなるとこの世界は薄っぺらになってしまう気がして。判断の基準が曖昧で、何かを決めるときにみんなして風に流される、みたいなことになっちゃうんじゃないかなあって。でも、一万円選書のブレイクはWEBの検索の力も大きい。スマホ嫌いの僕が、その世代に助けられたんだね(笑)。不思議なんですよ、ほんと」

インターネットが「正解」を知るためのものだとしたら、本は「自分が何も知らないこと」を知るためのものなのかもしれない。どちらも「きっかけ」であり、それをどう使い分けていくかは、使い手自身に委ねられている。だが、膨大な情報と物量の中で生きる私たちにとって、それはときに難しいことだ。「それなら手を貸すよ」というふうに、岩田さんは今日もたった一人に向けて本を届ける。
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本は出合いであり、体験だ。ページをめくる感触、あたらしい紙のにおい。
発売日に急ぎ足で本屋へ向かうときのワクワクした気持ちや、何となく手にした本に、今自分がほしい言葉がすべて書かれていたときの驚き。一冊に出合うまでの、それらすべてが物語になる。ものが溢れ、作り手たちが魂を込めた「本当にいいもの」がいつしか埋もれ、人々が選ぶことすらも困難に感じるとき、道しるべとなってくれるのは「ものづくり」を心から愛したその道のプロたちだ。

「今日入ってきた中にも、なかなか面白そうな本があるんだ。はやく読みたいなあと思ってて」

岩田さんはそういって、まだ見ぬ物語へと目を輝かせた。

(取材・文/長谷川詩織)
※「一万円選書」サービスは、現在年に数回の抽選方式で行われています。申し込みは、期間中にオープンする専用フォームからに限り受付となります。オープンの時期は随時「いわた書店」のフェイスブック、ホームページ上でチェックして下さい
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いわた書店|いわたしょてん

北海道砂川市にある1958年創業の書店。二代目である岩田徹さんが2007年に始めた「一万円選書」が2年前に話題を呼ぶ。「小さな店こそ素晴らしい、本を必要とする人がいる限り本屋の生きる道はあるはずだ」という信念を貫き、一人でも多くの人に読書の面白さを知ってもらうため、精力的に活動している。

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