好みの出版社=宝の山
ミシマ社との出会い
ファンじゃなくても面白い!
『バンド』クリープハイプ / 木村俊介(聞き手)
日本のロックバンド・クリープハイプの結成10周年を記念して刊行された、メンバーそれぞれのインタビュー集です。4人の小さな世界の中に、あらゆる人間関係が詰まっていて、社会で生きる全ての人に響く内容になっています。読み物として大変面白く、ファンではない人にもおすすめできます。
自分のものにしたいと思ったワケ
「聞き方」と「書き方」
インタビューを本にするという仕事
『インタビュー』木村俊介
後に、聞き手である木村俊介氏がインタビューの仕事について語った本があることを知りました。読んでみるとなるほど、「訊くこと」と「伝えること」両方を大切にし、誠実に向き合ってきた職人技が『バンド』の魅力を作っていたのだなと腑に落ちたのでした。
初めて意識した「ミシマ社」の名前
筆者撮影
ミシマ社について知りたい!
筆者撮影
誠意と情熱はホームページにも
1.出版活動を通じて、「世界を面白くする」ことに貢献する
2.読者の方々と「つながる」ことを何よりも大切にする
3.「明るく、面白い出版社」をめざした会社運営を心がける
代表の名前だったのか。
圧巻の文章力!
『パルプ・ノンフィクション』三島邦弘
代表に興味が湧いたら、是非この三島代表の著書を。波乱万丈のお仕事エッセイを楽しむもよし、心地よい文体を堪能するもよし。ミシマ出版の仕事に対する熱い想いがひしひしと伝わってきます。
“ゆるい”と“鋭い”のさじ加減
圧倒的文字量!ミシマ社の雑誌
二度見間違いなし!ミシマ社の雑誌『ちゃぶ台』は、ちょっと見たことがないような風貌をしています。表紙にくるまれていない背表紙は綴り糸が剥き出しで、紙の重なりがそのまま見えています。その凸凹の背に、マジックでグリグリ書き込んだようなタイトル文字……。本当に、どうやって作っているんだろう……。完全手作りの希少本かと思いきや、webショップでも販売されているアンバランスさが印象的です。脱力系の装丁とはうらはらに、内容はビシッと硬派。ミシマ社らしい雑誌です。
「コーヒーと一冊」シリーズ
「読み切る感覚をもう一度」というコンセプトで、1冊100ページ程度で揃えたシリーズです。読了感を味わって欲しいという主旨と合わせて、“新しい面白さを見つけて欲しい”という基準で選ばれたバラエティに富んだラインナップも魅力。1冊ずつのバラ売りもされており、本棚に並べた時の統一感も本を買う喜びを感じさせてくれます。
「ちいさいミシマ社」
筆者撮影
新しいレーベル
ミシマ社は「一人でも多くの人々のもとへ」、ちいさいミシマ社は「一人へより濃く」届く本をめざします
「ちいさいミシマ社」のおすすめ本
単純なノベライズでは無い小説版
『最初の晩餐』(常盤司郎)
2019年11月、染谷将太、戸田恵梨香、窪塚洋介、斉藤由貴、永瀬正敏らをキャストに迎えて公開された映画を、監督自らが小説化しました。映画を撮り終わったあと、作品から離れ難い思いから書き始めたという小説版「最初の晩餐」は、映画の内容をスライドさせただけのよくあるノベライズとは違い、物語をより深く、多面的に見せてくれます。映画を観ていない人にも、観た人にも読んで欲しい1冊です。
「優しく背中を押す」とはこういう事
『今夜 凶暴だから わたし』高橋久美子 詩/ 濱愛子 版画
作詞家・高橋久美子の詩とイラストレーター・濱愛子の版画による詩画集です。媚びない言葉でキリリとした詩は、自分の足で立つ強さが滲み出る反面、立っていれば辛い時もあるよねと許してくれる優しさがあります。添えられた版画は静かで普遍的で、言葉の余韻を楽しむ猶予を与えてくれているようです。いつでも手に取れる場所に、そっと置いておきたい言葉達です。
書店を巻き込み本を届ける
手売りブックスシリーズ
Amazon★★★★★の人気本
『究極の文字を求めて』松樟太郎
ばかばかしさも、知的さも、ひっくるめてとにかく面白い!文字や語学に興味がある人には強くオススメ。そうでない人にも、かなりオススメです。
書店員の生の声を1冊に
書店員が勧める365冊
『THE BOOKS』ミシマ社(編集)
365書店の“本の達人”が、「これだけはどうしても届けたい」1冊を手書きポップを添えて紹介します。本との出会いを求めて書店を歩くワクワクをステイホームで楽しめる、ボリュームたっぷりのブックガイドです。
私が好きなミシマ社の本
くすみ書房のオヤジが残したもの
『奇跡の本屋をつくりたい』久住邦晴
札幌で「奇跡の本屋を作りたい」と念じ続けた書店主・久住さんの遺稿をまとめ、盟友・中島岳志さんが解説を加えた1冊です。くすみ書房の店主として本と向き合った生涯を時系列に記録しているのですが、文体がとてもいいのです。短文で起こったことを淡々と綴っているように見えますが、そこに体温と情熱を感じる名文だと思います。後半に収録されている解説を読むと、やはり記録のようでいてうまく脚色されている部分もあるようで、相当に練られた文章なのだろうと想像できます。そうして著者の文章、人柄にすっかり魅了された頃、唐突に原稿は終わりを迎えます。筆半ばで、病により他界されたのです。続きを読むことも、会いに行くことも、もうかないません。しかしこの本を開くことで、これからも何度も魅力に触れ、生き様に勇気をもらうことになるでしょう。
一味ちがう家事の本
『家のしごと』山本ふみこ
掃除をしたり料理をしたり、子どもを育てたり喧嘩をしたり。そんなしごく普通の日常を、飾らず等身大に、しかしキラリと光る文章で綴るエッセイ集。「わたしたちは風景をつくりながら生きている。」。そんな風に表現されたら、過ぎるに任せてしまいそうな今この時が、途端に貴重なもののように思えてきませんか?自分ばかりが家事をしていると憤慨したり、イライラを治す方法を考えたり。日々のウェットな感情も、山本さんの目を通すとカラッとドライに、気持ちを軽くしてくれます。どんな家事本もしっくりこないな、そんな時にはこの1冊なのです。
ミシマ社に興味が湧いたらこの1冊も!
『計画と無計画の間』三島邦弘(河出書房)
最後に紹介するのは、三島代表がミシマ社を単身起業した当初のエピソードを元に書き下ろした1冊です。実は、こちらは河出書房の出版です。厳密にはミシマ社の本ではありませんが……そこはお許しください。キャッチーなルックスと骨太な内面がギャップ萌えなミシマ社の魅力は、代表の人柄がそのまま反映されたものなのだな、と深くうなずく内容です。そしてやはり、何度も言って恐縮ですが、文章力が秀逸であります。
筆者撮影