写真家・石田真澄の『花屋図鑑』 vol.3
花を買って帰りたくなる街の花屋。
東京・駒場の〈waragai〉のカバー画像

花を買って帰りたくなる街の花屋。
東京・駒場の〈waragai〉へ

花屋は店主のセンスが詰まった、季節の移り変わりを感じられる場所──人気写真家・石田真澄さんと巡る連載『花屋図鑑』。第3回目は東京・駒場にある小さな花屋<waragai(ワラガイ)>へ。満開に咲き誇るミモザの日に、生命力溢れる花々を石田さんがフィルムに焼き付けます。

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2022年04月08日作成
花を買って帰りたくなる街の花屋。
東京・駒場の〈waragai〉へ
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東京・駒場の〈waragai〉へ
花を買って帰りたくなる街の花屋。
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東京・駒場東大前の閑静な住宅街を抜けると、一軒の小さな花屋があります。白い外観に、店先にあるグリーンとミモザが引き立つ、清々しいたたずまい。ここは2020年6月にオープンした<waragai(ワラガイ)>です。

お店はわずか19平米のこぢんまりとした空間ですが、壁に取りつけた棚に花をディスプレイすることで、広い花の鑑賞スペースが設けられています。そのおかげで、じっくりと花と向き合うことができる──まるで芸術作品を鑑賞しているような、ゆったりとした時間が流れています。

お店を立ち上げたのは、中目黒の老舗花屋<FLOWERS NEST>で6年修行した藁谷 航さん。店名の<waragai>は彼の苗字が由来です。コロナ禍でオープンして約2年、気さくに話す藁谷さんの人柄なのか、街の花屋としてすっかり溶け込んでいる模様。そこにはお店づくりに対するこだわりがありました。

「花屋は花の生命力を届ける場所でありたいので、華美である必要もないと思っています。僕自身の人生のテーマでもあるのですが、出来るだけ“着飾らない”感じのお店を目指しています」

今日は肩の力を抜いて、<waragai>に行ってきます。
花を買って帰りたくなる街の花屋。
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花の姿がくっきりと見えるディスプレイ

花を買って帰りたくなる街の花屋。
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壁一面、縦横リズミカルに配置された棚の上に季節の花々が並んでいます。

「毎日、一つのブーケを作るような気持ちで、棚の高低差を調整したり、花を置く場所を考えています。花と花の間に余裕を持たせて置くことで、花本来の魅力を分かりやすく伝えたい。そんなディスプレイを心がけています」と藁谷さん。

たしかに、花と葉の色やかたちや、茎のしなりも一望できる。心惹かれる1本に出会うまで、じっくりと花の個性を眺めることができます。
花を買って帰りたくなる街の花屋。
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部屋で花を飾る時の参考にディスプレイを見にくるお客さんも多いのだそう。

部屋で花を飾る時の参考にディスプレイを見にくるお客さんも多いのだそう。

つぼみや球根から育てる喜び

花を買って帰りたくなる街の花屋。
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堂々と咲き誇るミモザやチューリップの隙間に、花のつぼみと小さな花を咲かせた球根がちょこんと置いてある。こういった成長を楽しめる花が豊富なのも、このお店の魅力です。

「仕入れをしていると、茎や葉の緑が綺麗な花や、つぼみや球根に強く惹かれるんです。成長してつぼみや球根からは想像もつかない可憐な花が咲いた時の喜びを味わって欲しいです」
花を買って帰りたくなる街の花屋。
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(写真上)紫の花を咲かせるシラー・シベリカ。(写真左下)淡いピンクが綺麗なヒヤシンス・ピンクパール。(写真右下)うなだれる姿が美しいオーニソガラム・オリゴフィラム。

(写真上)紫の花を咲かせるシラー・シベリカ。(写真左下)淡いピンクが綺麗なヒヤシンス・ピンクパール。(写真右下)うなだれる姿が美しいオーニソガラム・オリゴフィラム。

チューリップの横に置いてあるのは茶色いシダの根。「上の方から徐々に幹が生える姿が素敵なんですよ」(藁谷さん)

チューリップの横に置いてあるのは茶色いシダの根。「上の方から徐々に幹が生える姿が素敵なんですよ」(藁谷さん)

愛犬のビビちゃん

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壁の花にうっとりと見惚れていたら、足元に何やら気配。そこにいたのは、店主の藁谷さんの愛犬・ビビちゃん(9歳の女の子)。お客さんの中にもファンが多い人気者です。

「おとなしいし、吠えないし、お客さんもビビと遊んでくれたりするので上手くやっているなと。でも、ビビは毎日いるわけじゃないので、いないと帰る人もいて……うちは犬屋じゃない!と言いたくなります(笑)」
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店の入り口でおとなしく外を眺めたり、居眠りしたり、気ままなビビちゃん。

店の入り口でおとなしく外を眺めたり、居眠りしたり、気ままなビビちゃん。

色鮮やかな花が集まり、調和するブーケ

花を買って帰りたくなる街の花屋。
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藁谷さんの編むブーケはカラフルなのに上品。年代や性別も問わず、調和を図るブーケであることを大切にしています。

「葉っぱの緑が花々を支えるクッションとなりながら、花の色を引き立てるようなアレンジメントが得意ですね。色は複色という、1輪にさまざまな色がある花をチョイスしています。そうすることで、まとまるんですよ」
花を買って帰りたくなる街の花屋。
東京・駒場の〈waragai〉へ
花を買って帰りたくなる街の花屋。
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ラナンキュラスやクリスマスローズ、スノーボールなど使ったブーケが完成。季節や仕入れの状況で変動はありますが、こちらのブーケで7,000円+税。

ラナンキュラスやクリスマスローズ、スノーボールなど使ったブーケが完成。季節や仕入れの状況で変動はありますが、こちらのブーケで7,000円+税。

ブーケをすぐに飾ることができる花瓶付きで8,000円+税。

ブーケをすぐに飾ることができる花瓶付きで8,000円+税。

SHOP DATA

waragai│ワラガイ
東京都目黒区駒場1-19-11
☎︎03-6336-2272
営業時間:12時~20時/木曜定休日
店内ではブーケはもちろん、花を1本から購入可能。ブーケは店頭オーダー、電話、ネットでの注文ができ、全国配送も対応している(季節によって一部地域には送れない可能性があります)。
<waragai>公式HP
<waragai>公式Instagram

<waragai>を訪ねて

花を買って帰りたくなる街の花屋。
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お店の前を通るたびに気になっていた<waragai>。訪れてみると、壁一面に少しずつ束になって色鮮やかに飾られているお花と、大きいレジ横の台に無造作に花瓶が並べられているギャップが印象的でした。この連載の取材中、「お花を処分することを可哀想と思う人もいるけれど、ここ(お店)に飾られている時点で、僕が咲ききるまで見届けているから、最後まで全うさせたなと思うんです」と藁谷さんがおっしゃっていて、ハッと驚かされました。これからも<waragai>に通おうと、写真を撮りながら思うのでした。

この記事の監修者

石田真澄
写真家
石田真澄
1998年生まれ。埼玉県出身。個展『GINGER ALE』(2017年)が話題に。その後、5冊の写真集を刊行。また、雑誌や広告のフィールドでも活躍。POCARI SWEAT『ポカリ甲子園』や横浜DeNAベイスターズ『サマータイム ベイスターズ』などのCMを撮影。近著に夏帆の写真集『おとととい』、八木莉可子の写真集『Pitter-Patter』がある。
公式ホームページ
Instagram
写真:石田真澄
編集・文:恩田栄佑

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