コンプレックス≒個性
不思議なもので、人に打ち明けるとまったく気にする必要はないと言われたりしますよね。自分もそう思えたら、楽しめることが増えそう。コンプレックスをポジティブに捉えるヒントを探しにいきましょう。
コンプレックス=劣等感は実は日本だけ
ではどうして、日本では「コンプレックス=劣等感」で浸透しているのでしょうか。それもまた、心理学が関係しているようです。
心理学者のアドラーは、「人より劣る」という悩みを3つにステージ分けし、そのうち劣等感を理由に課題から逃避することを「劣等コンプレックス」と呼びました。この考えが日本に伝わる中で、いつしか前部分の劣等が取れて、後ろのコンプレックスだけ残ったと解釈されています。
ネガポジ変換のコツをつかもう
とくに周囲と比較したときに起こる劣等感や派生した悩みは、自分の在り方や生き方にも影響を与えることもありますよね。コンプレックスが心の重荷になって、解決のために動き出すどころか、一歩も足を出せないかのような感覚に。
心の重荷を下ろすためにも、コンプレックスを自分の強みに変える練習をしてみましょう。
悩みやコンプレックスなどネガティブな部分をポジティブなイメージに変えていく工程は、「ネガポジ変換」や「リフレーミング(言い換え)」などと呼ばれています。子育てにおいて、効果的な言葉がけに活用できるということでも注目されていますよ。
次の3つのステップで、焦らずポジティブに変換してみましょう。
2、そのコンプレックスなどが、どんなふうに役立つか考える。
3、2の結果、ポジティブな気持ちになったか観察する。
《外見の悩み》を魅力に捉える3つのヒント
くせっ毛やパーマはオリジナルスタイリングのきっかけに
生まれ持ったくせっ毛や天然パーマなど、思い通りにならない髪の毛に毎朝ため息をついている人もいるでしょう。幼少期にからかわれた経験などもあるかもしれません。きっと、自由奔放な髪たちがなんとか言うことを聞くよう、さまざまな工夫をしているのでは?
そうした工夫の結果、周囲の多くの人と異なるオリジナルなスタイリングが生まれます。あなただけのヘアスタイリングは、チャームポイントに。はじめて会う人にもすぐ覚えてもらえたり、どこにいても見つけてもらえたりします。営業や接客などの仕事面でも活かせそうですね。
豊満ボディはご飯の美味しさを知ってる証拠
ぽっちゃり体型の方は、ダイエットを頑張る努力の人!でもなかなか効果が出ずに苦しい思いをすることもありますよね。また、病気に由来する体型の悩みなど、自分にはどうにもできない場合も。ここでは、食べることが大好きなぽっちゃりさんの悩みを、ポジティブに変換してみます。
食べるのが大好き。それは、食の大切さや美味しさを知っているということ。時代や国によっては、ぽっちゃり体型は豊かさの象徴とも捉えられていますよ。人によって、食に喜びを見出せず食べられればなんでもOKという考え方もありますよね。
でも、人と一緒に食事をするときは「美味しいね」と言い合いながら食事したいし、美味しく食べている表情を見たいもの。あなたの美味しそうな笑顔が周囲をハッピーにします。食育などの知識を持ち、人に伝えていくこともできるかもしれません。
色黒さんは美の価値観を深く知っている
コスメや美容術でよく耳にする美白というワード。そんなブームの裏で、人知れず色黒の肌に悩んでいる人もいるはず。ついつい「あの人は色白でいいなぁ」なんて思ってしまいますよね。
肌の色の話って、本当はとってもセンシティブ。親から受け継ぐ大切なアイデンティティのひとつだったりもするからです。肌の色で美しさは決まりませんよね。
色よりも、肌の美しさや凛とした表情があなたを美しく見せますよ。肌を整える努力をし、似合うメイクを追求して、今の自分をつくり上げてきたことでしょう。肌トラブルを抱える方も同じ。
悩んで努力した分、美しさと真剣に向き合った気持ちの強さが自然と表情に出て、あなたを輝かせているはずです。
《内面の悩み》を魅力に捉える3つのヒント
怒りんぼや泣き虫は感情表出の上級者
少しのことですぐ怒ってしまう、ついつい伝え方もきつくなってしまう。または、嫌なことや悲しいことがあるといつもすぐ泣いてしまう。そんなふうに湧き上がる感情を堪えられないことが悩みの人はいませんか?
怒ったり泣いたりしていたかと思えば、ふとしたことですぐ笑顔になれたりして、気分屋と言われてしまう人もいるかもしれません。
怒りや悲しみが溢れ出すのは、感受性が豊かで、感情表現に長けている証拠です。もちろん、言い方によっては誰かを傷つけてしまうこともあるから感情のコントロールスキルは必要になりますが、溢れてくる感情を押し殺す必要はありません。
自分の思いを素直に出し、しっかりと受け止めるからこそ素早く切り替えて笑顔になっていけるとも言えます。怒ったらその分やさしく、泣いたらその分笑う、そんなふうにバランスをとっていきましょう。
面倒くさがりさんは便利グッズスペシャリストの卵
やるべきことはあるのに、重い腰が上がらない。どうして私はこうも面倒くさがりなんだろう・・・と苦しんでいる人もいるでしょう。やるべきことを後回しにした分、後で苦しむのは自分だから、ぶつけようのないフラストレーションばかりが蓄積されますよね。でもそんな性格が役に立って、創意工夫がいっぱいの生活をしているかも。
たとえば洗濯は衣服を洗うだけでなく、干して乾かし、畳み、しまわなければなりません。途中にアイロンがけが入ることもありますね。でも面倒だから、洗濯乾燥機で乾くところまでやってしまおう!これもまた、便利家電を使った生活の知恵。
さらに、アイロンが面倒だとアイロンがけが不要な素材の服を選びませんか? これも創意工夫のひとつ、効率的な証拠です。ズルと思わずいろいろな便利グッズに積極的に関心を寄せ、スペシャリストを目指してみて。
才能がないんじゃない、好きがいっぱいなだけ
自分自身の性格もそうですが、自分という価値そのものにコンプレックスがある人もいるでしょう。自分にはなんのスキルもない、いてもいなくても同じ、そんなふうに考えてしまっていませんか? あなたの価値は、誰でもないあなたのためにあるはず。
特別な才能やスキルがない凡人の自分が、ときにちっぽけに思えることもあるけれど、そもそも凡人じゃない人ってこの世にどれだけいるのでしょうか。反対に、特別な才能に恵まれた人は、わき目も振らず限られた世界で生きているかもしれません。
自分には何ができるかな?と考えて、自分が開花するステージを探したからこそ、好きなことや楽しいことにたくさん出会ってきたはず。それは紛れもなく、あなたがあなたを幸福にするための価値です。
《対人の悩み》を魅力に捉える3つのヒント
口下手さんは聞くスキルが高め
口下手でうまく話ができない、という悩みを抱えていませんか? そうでなくても、初対面の人と何を話したらいいかわからず戸惑ったり、大人数の中でうまく会話に溶け込めず居ずらい思いをしたことがあると思います。話をしながら、私のほうが話過ぎている、なんて感じる場合もあるでしょう。
ひとつ大切なことは、口下手さんは決して会話が下手なのではないということ。
話すのは苦手、聞いているほうが楽と感じることがあるでしょう。それは、相手がたくさんあなたに話してくれるから。相手がたくさんあなたに話すのは、あなたが聞き上手で受け止めるのが上手だからです。
相手は安心感や信頼を抱き、自然といい関係が気づけます。そして、言葉に注意し考えて話すからこそ、丁寧で思いやりのある会話になりますよ。口下手も立派な会話スキルなのです。
人の目が気になるのは自己観察に長けているからこそ
相手が自分をどう思っているかが気になる、嫌われていないか不安になる。こうした思いは一度抱くとしつこく心に居座って、なかなかやっかいですよね。自分に対する評価が厳しい人ほどそうなりがちです。
実は思うほど、人は他人を見ていないもの。そう思うだけでも心が軽くなりますよ。
周りの目が気になる。それはいつも自分に注目し、客観的に観察している証拠です。どの部分がよくないか原因を追究しようとしたり、改善方法を探したりすることもできます。
つまり、自分をグレードアップしていく準備ができているということ。あなたの優れた観察眼があなたを責めず、よりよくなるために使えるよう意識しましょう。
遠慮がちなあなたは他人に寄り添える人
ついつい周りに遠慮してしまって、思うように行動できないことがあります。お願いされると断れない、という人も多いのではないでしょうか。遠慮せずズバリと言えてしまう人に、憧れたりもしますよね。
もちろん、断らないからと都合よく扱われるのはよくありませんが、受け止めくれるあなたに感謝をしている人は多いはずです。
遠慮して一歩下がり、周りを優先できる。それは謙虚さを持っているから。他人を優先して行動できることも、実はすごい能力です。たくさんの人と生きているからこそ、相手に寄り添う力は欠かせません。その力をもともと持っているのだと思うと、自分が周囲に頼られたりお願いされたりするのも、納得ですよね。
コンプレックスも大切な私の一部
たとえばあなたが遠慮がちな性分に悩むとき、遠慮もなく発言してしまう自分に悩む人もいて、あなたのような謙虚さを羨ましく思う場合もあるでしょう。そう考えると、コンプレックスの内容はマイナス要素と決定されるものではなく、劣等感を抱くことなくプラスに活用したい“個性”と言えます。
ヒントを頼りにコンプレックスのポジティブ変換を試して、心の負担を軽くしてあげてくださいね。
そもそも“コンプレックス”とは何かをおさらいしましょう。英語では「複雑な」「複合の」などの意味があります。そのコンプレックスを、心理学者のユングが「複数の無意識な心理要素が絡み合ったもの」というような意味で用い、定着しました。