興味を持ったその日から。バードウォッチングを始めてみない?
街や公園を歩いていて、ふと小鳥の鳴き声や、木陰を動く小さな影に気づいたことはありませんか?そんなときに注意深く周囲を見ると、鳥たちの姿が見つかるかもしれません。身近なところにいる鳥に目を向けること、それがバードウォッチングの第一歩です。
出典: 山奥や川の上流などにわざわざ出向かなくても、身近な公園からでもバードウォッチングは始められます。写真は公園で撮影されたジョウビタキ。
見られる鳥は季節や地域によって変わります。同じ場所でも、鳥の活動時間や繁殖期などによって出会えたり、出会えなかったり。鳥を見かけたら、どんな鳥か調べてみましょう。出会った鳥のことを知れば知るほど、観察が楽しくなりますよ。
出典: こちらはモズ(百舌鳥)。北海道から本州まで幅広く見ることができます。かわいらしい鳥ですが、行動は肉食系。とらえた虫などを枝や有刺鉄線などに刺す「はやにえ」をする習性があります。
出典: ヤマガラは、体調14cmほどの小さな鳥。胸から腹にかけての赤茶色が特徴です。
出典: メジロは、緑色の体に、目の周りの白い縁取りが特徴。冬から春にかけて多く見られる小鳥です。
野鳥の中には、繁殖や餌場の変化などによって、季節によって生息地を変える「渡り」をするものが多くいます。渡り鳥の姿を見かけるごとに季節を感じることができるなんて、素敵ですね。
出典: 春から夏にかけて日本に飛来するのがツバメ。人家の軒先などで巣を作って子育てをするため、街で見かける機会も多い鳥です。日本では稲を食べずに害虫を食べてくれる益鳥とされ、ツバメが軒先に巣をかけるのは吉兆だという言い伝えもあるほど、古くから人々に愛されています。
出典: 秋から冬にかけて群れで飛来するのがハクチョウです。日本に主に飛来するのはオオハクチョウとコハクチョウ。湖に浮かぶ姿がとても優雅ですね。
出典: 初夏から夏にかけて飛来するサンコウチョウ。鳴き声が「「ツキヒホシ(月日星)、ホイホイホイ」と聞こえるところから、三つの光と書いて「三光鳥」と名付けられました。オスの特徴である長い尾羽は子育ての季節が過ぎる頃にはなくなってしまうそうです。
木の葉が落ち、枝の見通しがよくなる秋冬は、バードウォッチングを始めるのにぴったりの季節。まずは身近な自然の中で生きる小鳥たちを探してみましょう。
出典: 野鳥たちに出会うには、わざわざ遠くに行く必要はありません。身近な公園など自然のある場所には、その環境に適した鳥達が生息しています。こちらのエナガは、大阪・枚方市の山田池公園で撮影されたそうです。
出典: 鎮守の森に守られる神社やお寺は、樹齢を重ねた大木が多く鳥達の棲家にもぴったり。富山市内の長慶寺では、小鳥が羅漢さんの頭にひらり。「ウグイスかヒタキの仲間では?」とのこと。なんだか微笑ましい眺めですね。
出典: より野鳥に出会える機会がある場所を…という方は、自然公園やバードサンクチュアリを訪れてみましょう。湿地や川など鳥の生育に適した環境が整っており、より多くの鳥たちが見られるはず。こちらは東京都の、光が丘公園バードサンクチュアリ。池や樹林が造成された保全地域で、土・日・祝にオープンする観察舎では、備え付けの望遠鏡でバードウォッチングが楽しめます。
山歩きが好きな方なら、身近な低山でも野鳥に出会うチャンスがいっぱいです。こちらは札幌市中央区、円山登山道の看板。高さ225mの小さな山ですが、こんなにたくさんの鳥が住んでいるんですね。
出典: こちらは北海道にある、バードウォッチングをテーマにしたカフェ。バードフィーダーに集まる小鳥やリスなどを店内から眺められるほか、外には撮影小屋があり、手軽に本格的な野鳥撮影体験ができます。こんな場所が身近にあれば、鳥を見つけるコツや撮影の仕方なども早く身につきそうです。
千歳 / カフェ
- 住所
- 千歳市蘭越90-26
- 営業時間
- [月]
10:00 - 17:00(L.O. 料理16:00 ドリンク16:30)
[火]
定休日
[水]
10:00 - 17:00(L.O. 料理16:00 ドリンク16:30)
[木]
10:00 - 17:00(L.O. 料理16:00 ドリンク16:30)
[金]
10:00 - 17:00(L.O. 料理16:00 ドリンク16:30)
[土]
10:00 - 17:00(L.O. 料理16:00 ドリンク16:30)
[日]
10:00 - 17:00(L.O. 料理16:00 ドリンク16:30)
■ 営業時間
lunch 10:30~14:30
- 定休日
- 火曜日
- 平均予算
- ¥1,000~¥1,999
データ提供: 「野鳥観察、どこへ行けばいいの?」…究極の答えは「どこにも行く必要なし」です。一戸建なら庭の木を、マンションならベランダから眺めるだけでもOK。後で紹介するように、バードフィーダーなどを設置して、庭に小鳥を呼ぶこともできます。これなら小さな子供と一緒にも楽しめますね。
出典: 街で見かけるもっとも身近な鳥のひとつがスズメ。冬には、羽毛をふくらませて寒さをしのぐ「ふくら雀」の姿がかわいいですよね。「福良雀」「福来雀」などの字をあてられたり、また和服の帯結びにも、振袖などに使われる「ふくら雀」という結びがあったりと、縁起がよく、めだたい鳥として愛でられています。
出典: こちらはヒヨドリ。「ピーヨ」「キーヨ」と甲高く伸ばす鳴き声が特徴です。体長27cmとやや大きめなので、声と外見で見つけやすいかもしれませんね。
出典: 丸い瞳がかわいらしいジョウビタキ。根雪の降らない地域に飛来するため、関東以南で10月〜3月頃にかけて多く見ることのできる渡り鳥です。オスは胸から腹にかけての橙色が特徴とのことなので、こちらは雌でしょうか。
虫や魚、木の実など餌が豊富な水辺には、多くの鳥たちが集まります。まずは身近な川や公園の池などから、さらには湿地や渓流、海辺など、さまざまな場所で観察を楽しんでみましょう。
出典: 水辺の鳥といえば、青色の背とオレンジ色の腹が鮮やかなカワセミ。水に飛び込み魚を捕らえるダイナミックな姿を狙う写真愛好家も多くいます。こちらは春に撮影されたカワセミ。けむるような淡いピンクと瑠璃色の羽根のコントラストが美しいですね。
出典: 公園の池やお堀などで見られるのがカルガモ。年中見ることが出来ますが、特に5〜7月頃は子育ての季節。小さな子ガモを従えて泳いだり歩いたりと、かわいい姿を見せてくれます。
出典: サギの仲間の中でも最大なのがアオサギです。大きいものは体長90cmを超え、九州以北の各地の水辺で、年中見ることができます。
出典: 川や湖だけでなく、海辺でもいろいろな鳥に出会うことができます。こちらはコアジサシ。白いツバメのようにも見えるスマートな姿と、俊敏に飛ぶ姿がかっこいい鳥です。
さらにいろいろな鳥に出会いたいなら、森林公園や近くの山林へ。渡り鳥の飛来や珍しい鳥が見られる場所などの情報をあらかじめネットなどで調べておくと、より出会える確率が高くなりそうです。
出典: 青い羽根と黄色い脇腹が鮮やかなルリビタキ。繁殖地は四国以降の高山の林ですが、秋冬には暖地や低地でも見ることができます。12〜2月頃の目的が多いようです。
出典: 黒い背に黄色い模様が特徴のキビタキ。名前からもおわかりの通り、上で紹介した「ジョウビタキ」「ルリビタキ」などと共通する「ヒタキ」の仲間です。慣れると鳴き声で聞き分けができるそうですよ。
出典: キツツキの仲間、アカゲラ。山林や雑木林などで見ることができます。樹の幹をくちばしで叩く「ドラミング」をするので、音を頼りに探してみるといいかも。
出典: 手軽に見られる鳥ではありませんが、いつか出会ってみたいのが、森の守り神のようなフクロウ。北海道のほか、長野県や栃木県などで観察されているようです。
出典: ブッポウソウは、5月から8月にかけ、九州〜本州の山林に飛来します。碧色の体、白い斑点の入った瑠璃色の羽根、赤いくちばし…鮮やかな色彩は「森の宝石」と呼ばれます。
出典: 街中や公園でのバードウォッチングなら、お散歩程度の普段着で大丈夫。野山や湿地、渓流などで本格的に楽しむなら、自然の中でじっと鳥を待つ場合もあります。冬は防寒、夏は日除けと虫除けなどの対策をお忘れなく。
出典: 山林や川辺などを歩くには長靴があると便利です。「日本野鳥の会」オリジナルの長靴は、クルクルと丸めて持って歩ける手軽さとおしゃれなデザインで人気。ガーデニングやキャンプ、街中でのレインブーツになど、いろいろな場面で使えますよ。
鳥は近くに寄ると逃げてしまうので、遠くから観察するには双眼鏡があると便利です。倍率は8倍〜10倍くらいが適していると言われます。レンズ経の大きいもの視野が明るく見やすいですが、持ち歩く際の負担も考えてベストな大きさを選びましょう。また、屋外で使うことが多いので、防水・防滴仕様のものが安心です。
出典:www.flickr.com(@Rich Savage) 湿地や湖の対岸など、より遠くの鳥を観察するには望遠鏡が便利です。自然公園やネイチャーセンターには望遠鏡を設置しているところもあるので、まずはそちらで見てみるのがおすすめ。視野を安定させるために三脚をとりつけて固定する必要があるので、素早く動く鳥を追いかけるには向きません。
野鳥写真を撮りたいなら、やはりスマホやコンデジよりも一眼レフが欲しくなります。バードウォッチングでよく見かけるのが、バズーカのようなレンズをつけたカメラ。焦点距離の長い望遠レンズなら、遠くにいる鳥たちも、羽根の一枚まで鮮明に写すことができます。美しい野鳥写真を見ると「いつかはこんなレンズを」…なんて憧れがわきますよね。
三脚を据えるのではなく、身近なフィールドを歩き回りながら撮りたい!という方には、大きすぎるレンズはかえって不便。焦点距離300mm程度のズームレンズなら、持ち運びにも十分耐えられます。
出典: こちらは焦点距離300mmのズームレンズで撮影したそうです。鳥だけをアップにせず、背景とのバランスを上手に活かして撮影されています。
出典: 撮影機材は凝り始めるとキリがないので、まずは普段使っているカメラを持ち出して、公園などの身近な鳥に向けてみることからはじめてみては。こちらはiPhoneで、足元まで来てくれたスズメたちをパチリ。
出典: 「今見た鳥はなんという鳥?」そんな疑問にすぐに答えてくれるのが野鳥図鑑。ただ眺めているだけでも楽しい本です。
出典:www.flickr.com(@Derek Schille) 見つけた鳥の種類、場所や時間帯、鳴き声の特徴や、どんな行動をしていたか…気づいたことはどんどんフィールドノートにメモしましょう。季節が来るたびに「去年の今頃にはどんな鳥がいたっけ?」と振り返るのにも役立ちます。
ベランダや庭に鳥を招きたい人に人気なのが、鳥の餌台「バードフィーダー」です。設置時期は、自然界の餌が不足する秋から冬にかけて。自分で餌をとれる春〜夏には撤去します。厳しい季節の鳥達をちょっぴり手助けしながら、可愛い姿になごませてもらう。素敵なギブアンドテイクですね。
出典: バードフィーダーはホームセンターやペットショップなどで購入できるほか、身近なもので手作りする方もたくさんいます。屋根をつけたり小枝で格子を作ることによって、カラスなど大きな鳥に餌を食い荒らされるのを防ぎます。
出典: 果物も鳥が喜ぶ餌のひとつです。みかんをそのまま枝に刺したり、柿やリンゴなどを餌台に載せることも。転げ落ちないように、割り箸などに刺して固定するのがコツです。
2016年冬、国内で高病原性鳥インフルエンザの発生が複数確認されています。通常は人に感染することはないとされ、日常生活においてむやみに野鳥を恐れる必要はありませんが、バードウォッチングをする際は以下のようなことに気をつけましょう。
・鳥の排泄物などに触れた後は、手洗いとうがいをする
・野鳥の死体を発見した際は直に触れず、自治体の鳥獣保護を担当する部署に相談を
・公園やバードサンクチュアリでは、立ち入り制限などの指示を守る
・バードウォッチングの後は、その足で養鶏場や飼育鳥に近づかない
バードウォッチング中、地面に落ちている野鳥のヒナを見つけたら…つい保護したくなりますが、ちょっと待って。自然界で生きる野鳥に人が関わることは、かえって巣立ちの妨げになることも。また、野鳥は法律で保護されているので、許可を得ることなく捕まえると法律違反になってしまいます。怪我をした野鳥を見た時は、自治体の鳥獣保護を担当する部署に連絡を。
バードウォッチングは、おうちの回りでも始めることのできる身近な趣味なんですね。これから木の葉が落ちて、枝にとまる小鳥たちを見つけやすくなる季節。あなたも身の回りに生きる鳥達の暮らしに目を向けてみませんか?
出典: 筆者が北海道で出会ってみたい鳥の一つ、シマエナガ。白いふわふわの羽根とつぶらな瞳がかわいいんです。
鳥の名前をカタカナで入力すると詳しい情報が見られます。鳥の写真と合わせて、出会える季節や撮影地の分布、鳴き声や行動の特徴などについて知ることができます。
名前のわからない鳥について知りたいならこちら。色や大きさ、見つけた場所や季節などを選択するとイラストで候補があらわれます。鳴き声を音声で聞くこともできます。
山奥や川の上流などにわざわざ出向かなくても、身近な公園からでもバードウォッチングは始められます。写真は公園で撮影されたジョウビタキ。