全国津々浦々には、有名な和菓子店や銘菓が数々あります。その銘菓も、全国的にも知られたものから、地元の人々が季節折々に必ず頂くものまで様々です。
また和菓子自体も、生菓子から半生菓子、干菓子まであり、それぞれに種類豊富。現在では、洋菓子と見まごうばかりの洒落た和菓子も数多く展開され、それぞれに人気を博しています。
そうした“スウィーツ全盛”時代とも云うべき中にあっても、古くから伝わる製法と材料を忠実に守って、一つ一つ丁寧に作り続けられている“伝統銘菓”も数々あります。その人気もけっして衰えることなく、地元の人々のみならず、全国の和菓子通の舌を満足させ続けています。
全国には、今も人気の「伝統銘菓」が数多くありますが、今記事では、京都市内で人気の7つの伝統銘菓を取り上げ、紹介します。
紹介するのは、
1.「烏羽玉」/亀屋良長
2.「松風」/亀屋陸奥
3.「味噌松風」/松屋常盤
4.「どら焼き」/笹屋伊織
5.「清浄歓喜団」/亀屋清永
6.「阿闍梨餅」/満月
7.「唐板」/水田玉雲堂
紹介する伝統銘菓はどれも素朴ながらも、奥深い味わいです。新しいスタイルの和菓子も見目麗しく美味しいものですが、時折無性に味わいたくなるのは、やはりこれから紹介するような伝統銘菓。ご存じない方は、ぜひこの機会に賞味して、和菓子の奥深い魅力を味わって下さい。
【画像は、『京菓子司 満月』の代表銘菓「阿闍梨餅」】
1.「烏羽玉(うばだま)」/亀屋良長
「京菓子司亀屋良長」
「家伝銘菓 烏羽玉」
2.「松風(まつかぜ)」/亀屋陸奥(かめやむつ)
16世紀後半、織田信長と石山本願寺の合戦の最中に誕生したと伝わる「松風」。
幾百年も作り続けられ、今もなお、京都を代表する伝統銘菓です。
幾百年も作り続けられ、今もなお、京都を代表する伝統銘菓です。
『亀屋陸奥』
京都山科に本願寺が建立され(文明十五年、西暦1483年)、「寺中は広大無辺、荘厳ただ仏国のごとし」と言われた頃から 本願寺に仕え、供物や諸事に携わってきました。
顕如上人の時代、元亀元年(西暦1570年)に始まった織田信長と石山本願寺(大阪)の 戦い(石山合戦)では、約11年のあいだ本願寺に従い、石山開城後も本願寺と共にありました。 天正十九年(西暦1591年)に現在の地に本願寺が建立されると、亀屋陸奥も御用達の 御供物司として本願寺の寺内に移りました。
出典:亀屋陸奥|沿革
本願寺ゆかりの銘菓「松風」
3.「紫野味噌松風」/松屋常盤(まつやときわ)
京都の「松風」といえば、この店の「味噌松風」も外せません。
京都御所の堺町御門からほど近くの場所に、ひっそりと店を構える『松屋常盤』。代表銘菓を購入できるのは、この店のみです。
創業は、承応年間後期、17世紀中頃。350年の歴史をもつ「御菓子調進所」です。
京都御所の堺町御門からほど近くの場所に、ひっそりと店を構える『松屋常盤』。代表銘菓を購入できるのは、この店のみです。
創業は、承応年間後期、17世紀中頃。350年の歴史をもつ「御菓子調進所」です。
一子相伝の味 「紫野味噌松風」
西京味噌の甘味と、生地の甘味。モッチリとした食感、そこにプチプチとした胡麻のアクセント。
一旦食べ始めると、亀屋陸奥と同様に、癖になる味わいです。前者との違いは、香ばしい西京味噌のコクと甘味、味噌に負けない生地の旨味というところでしょうか。
家族経営であるため、販売数量には限りがあり、確実に購入するには予約が必要です。
一旦食べ始めると、亀屋陸奥と同様に、癖になる味わいです。前者との違いは、香ばしい西京味噌のコクと甘味、味噌に負けない生地の旨味というところでしょうか。
家族経営であるため、販売数量には限りがあり、確実に購入するには予約が必要です。
丸太町(京都市営) / 和菓子
- 住所
- 京都市中京区堺町通丸太町下ル橘町83
- 営業時間
- [月]
09:30 - 15:00
[火]
09:30 - 15:00
[水]
09:30 - 15:00
[木]
09:30 - 15:00
[金]
09:30 - 15:00
[土]
09:30 - 15:00
[日]
09:30 - 15:00
- 定休日
- 平均予算
- ~¥999
4.「どら焼き」/笹屋伊織
代表銘菓 「どら焼き」
5.「清浄歓喜団(せいじょうかんきだん)」/亀屋清永
弊社の創業は、遠く元和3年(1617年)と伝えられ、寺町三条北入に住居し、屋号を亀屋名を冶兵衛と申し、畏くも禁裏御所御膳所をはじめ諸藩諸侯、寺社仏閣に出入りを差許され、代々、その努力功績に依りまして和泉大掾の称号を賜りました処、明治維新の変革に依りまして和泉大掾を廃し、亀屋清永と改称致しまして、広く京菓子司として皆様方の格別のご愛顧を賜りつつ、伝統の継承と共に絶えざる努力を重ねて今日に至って居ります。
出典:創業沿革|亀屋清永
千年の歴史「清浄歓喜団」
6.「阿闍梨餅(あじゃりもち)」/満月
一種類の餡で一種類の菓子
当店には、「一種類の餡で一種類の菓子しかつくらない」という基本方針があります。一つひとつの菓子は、職人のあらゆるノウハウが注ぎ込まれた作品であり、餡は、ただ一種類の菓子のために素材を選択し、味付けや加工法まで考え抜いて開発されるものだからです。必然的に多くの種類の菓子はつくれないということになり、当店では、阿闍梨餅、満月、棹物の京納言、最中の四種類の菓子しかつくっていません。
銘菓「阿闍梨餅」
7.「唐板(からいた)」/水田玉雲堂(みずたぎょくうんどう)
出典:youpouch.com
京の地で、500年以上作り続けられている伝統銘菓「唐板」。
日本最古の菓子「唐板(からいた)」
遠く清和天皇の貞観五年(863)、疫病が世の中に流行し、これによって亡くなられる人は幾千人にもなりました。天皇はいたく御心を悩ませられ、その年の五月二十日、神泉苑において御霊会を執行なさいました。
その時一種の煎餅を創製し、神前に供えてこれに疫病よけの「唐板煎餅」と名づけ、広く庶民に授与されて、その身の安全をはかるようになさいました。
これが唐板の始まりです
おわりに
和菓子の材料は、粉や米、豆等と、とてもシンプル。
シンプルな材料ゆえに、その味を極め、また伝統の味を守り継ぐというのは非常に難しいものです。季節によって湿度も気温も変わり、豆や米の質もその都度変わるからです。
銘菓として地元で愛される和菓子は、そうした背景に思いを馳せなくても、味わい深いものです。何か新しいものが味わいたいと思う時にこそ、伝統銘菓を味わってみましょう。きっと、古くとも新しい発見があるはずです。
紹介した以外にも、京都には伝統を守り継いでいる銘菓が数々あります。未知の伝統銘菓に出会ったら、ぜひ賞味してみましょう。
シンプルな材料ゆえに、その味を極め、また伝統の味を守り継ぐというのは非常に難しいものです。季節によって湿度も気温も変わり、豆や米の質もその都度変わるからです。
銘菓として地元で愛される和菓子は、そうした背景に思いを馳せなくても、味わい深いものです。何か新しいものが味わいたいと思う時にこそ、伝統銘菓を味わってみましょう。きっと、古くとも新しい発見があるはずです。
紹介した以外にも、京都には伝統を守り継いでいる銘菓が数々あります。未知の伝統銘菓に出会ったら、ぜひ賞味してみましょう。
【画像は、室町時代創業の「水田玉雲堂」。】