インタビュー
vol.10 stand -デザインと色が物語でつながるような服のカバー画像

vol.10 stand -デザインと色が物語でつながるような服を

写真:神ノ川 智早

2014年10月に誕生したばかりのアパレルブランドのstand(スタンド)。ボタニカルダイという特殊な染色方法や遊び心のあるデザインを取り入れた服は、どのような背景から生まれたのでしょうか。今回は特別にボタニカルダイの現場を見学させていただきながら、企画の内藤明子さんとデザイナーの仙石翠さんに、ブランドへの思いをお伺いしました。

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2015年06月15日作成

ものづくりに関わる人たちの声を形に

私たちの暮らしにかかせない服。今日、あなたが着ている服は何を基準に選びましたか?
stand(スタンド)は、服を“選んで、着る”という日常をもっと楽しく、特別なものにしたい、という思いでものづくりをしているブランドです。
(画像提供:stand)

(画像提供:stand)

standという名前には、「あなたが今日立ち上がる手助けができる一枚を届けたい」という意味が込められています。親会社であるリブルスはアパレル会社へ卸す服を生産するOEM事業を中心としている会社です。standの立ち上げの中心となった内藤明子さんと仙石翠さんは、それぞれ企画営業とデザイナーとして働く人物。現在もOEM事業の仕事とブランド運営の2足のわらじを履いています。

そんな二人の心に「自社ブランド設立」という小さな火をつけたのは、OEM事業に携わる中で聞こえてきたものづくりに関わる作り手たちの声でした。
右がデザイナーの仙石さん、左が企画営業の内藤さん。仙石さんは春夏の新作あじさいで染めたワンピースを、内藤さんは脇のデザインが特徴的なデニムのトップスを着用

右がデザイナーの仙石さん、左が企画営業の内藤さん。仙石さんは春夏の新作あじさいで染めたワンピースを、内藤さんは脇のデザインが特徴的なデニムのトップスを着用

内藤さん(以下:内):「大半のアパレルの世界では、時間をかけてものを作れない状況下にあります。OEMの仕事でつながった生地屋さんから、実験的に新しい生地を作ってみました、というお話をいただいて、お客様であるアパレル会社さんに伝えても、今すぐ作れないなら難しいと断られてしまうんです」

仙石さん(以下:仙):「大きなアパレル会社さんだと、スケジュールがタイトに決められていて、それに沿ってデザイナーさんや企画担当が動かないといけません。そのため、面白そうな技術や素材があったとしても、今すぐ商品にできる状態にまでこちら側で準備しておかないとなかなか使ってもらえないという......。一緒に試行錯誤しながら作っていける所はかなり少ないと実感しました」

「この状況をなんとかしたい」「ものづくりに関わる作り手たちの声をすくい取りたい」という二人の思いが、自社ブランドを立ち上げる原動力になりました。

内:「日本の素晴らしい伝統技術や最新技術を持つ生地屋さん、加工所さんの新しいものを作ろうとする気持ちを形にするためには、自分たちでブランドを作るしか方法はないと思ったんです」
こちらはデニム素材のワンピース。レーザーを当てて柄を浮かび上がらせる技術が使われています (画像提供:stand)

こちらはデニム素材のワンピース。レーザーを当てて柄を浮かび上がらせる技術が使われています (画像提供:stand)

染色一つに物語があるボタニカルダイ

standでメインとなっているのが、ボタニカルダイと呼ばれる染色技術を使ったアイテム。ボタニカルダイは、ハイブリット染色とも呼ばれ、古くからある伝統技術と化学を掛け合せた(色素補強のために植物から抽出した色素に若干の化学染料を加えるなど)新しい染色方法です。一般的な草木染は柔らかな色味が魅力ですが、ボタニカルダイは鮮やかな色に染め上がるのが特長で、また異なるよさがあります。

このボタニカルダイを開発したのが染色加工メーカーのシオンテック。この出合いもstandに大きな影響を与えました。
シオンテックにあった棚には染色剤の原料となる地球上のあらゆるものがずらり

シオンテックにあった棚には染色剤の原料となる地球上のあらゆるものがずらり

シオンテックでは日々さまざまなものから色を作る実験と研究が重ねられています

シオンテックでは日々さまざまなものから色を作る実験と研究が重ねられています

初めての出合いは内藤さんが参加したシオンテックの展示会。それは日本酒で染めたシャツとお酒が一緒に並ぶという奇抜なものでした。内藤さんは、微妙に異なる白に染め上がったシャツを目の前にし、「色だけではない魅力を感じた」と振り返ります。

内:「ほぼ白なんですけど、一つひとつの色に、どこの蔵でどこのお酒で染められたという背景や物語があったんです」

その展示会の様子を内藤さんから聞いた仙石さんもまたシオンテックにどんどん惹かれていきました。

仙:「シオンテックさんの染色からは、どこ産の植物、あのお店のコーヒーというように一つひとつにストーリーを感じました。そこがとても素敵だなって。standでもデザインと色が物語でつながるような服ができるんじゃないかと思ったんです」

standにおいて重要な意味を持つ「物語」というキーワードはこの時に生まれました。この出合いがなければ、今のstandはなかったかもしれません。
一時間ほどぐつぐつさせて色を出したタマネギの皮

一時間ほどぐつぐつさせて色を出したタマネギの皮

染料を入れた鍋に布を入れるときれいな黄色に

染料を入れた鍋に布を入れるときれいな黄色に

しっかり黄色に染まっているのは、タンパク質を事前に固着させたもの。奥に見える白い 布はタンパク質を固着していないので、ほぼ白いまま

しっかり黄色に染まっているのは、タンパク質を事前に固着させたもの。奥に見える白い 布はタンパク質を固着していないので、ほぼ白いまま

服と一緒に「物語」を届けたい

standが届けたいのは服という“物”だけではありません。ものづくりの背景にある“物語”もまたstandの服の一部であると二人は言います。

内:「例えば、染色の原料となる植物ひとつをとっても、生息地や古くから伝わる効能など色だけではわからない背景があります。私たちはそれらを一つの物語だと思っています。そこまで含めて伝えることで、着る側にも新たな物語が生まれるのではないかと思いました」

仙:「そうですね。今日はこのお花を着たいな、という風に色と形だけではない新しい服の選び方もしてもらえたら嬉しいです」

さらに、この物語をより奥深いものにさせているのが、ウェブサイト上で見る事ができる商品に添えられた詩。例えば、ゆったりシャツ-綿ウール- には“わたしが起きると、洋服も起きるのです”。という詩が日常のワンシーンと共に掲載されています。
(画像提供:stand)

(画像提供:stand)

(画像提供:stand)

(画像提供:stand)

仙:「詩のアーティストの方に、デザインや素材はもちろん、こういう風に着てもらいたいという思いも伝えた上で考えてもらっています。どれも本当に素敵なので、多くの方に読んでいただきたいですね」

standの服は物語の始まりの1ページ。この物語の主人公であり、続きを作っていくのは着る人自身。それはあなたなのかもしれません。

服とはどんな一日にするかを決めるもの

「服を作る」という仕事に日々向き合っている二人にとって、服とはどのようなものなのでしょうか。その問いに二人は少し時間を空けてから、「服とは、どんな一日にするかを決める重要なもの」だと答えてくれました。

内:「改めて考えると難しいですが、その日一日をどういう色に、どんな日にするかを決める一番重要なもの」

仙:「私も全くそう。例えばその日、ハリウッド映画かフランス映画のどちらを見るかで着るものも変わってくると思うんです。服は、今日はこういうことをしたい気持ち、ということがあらわれる自分の一部だと思います」

普段何気なく着ている服に自分自身があらわれる。なるほど、そう考えてみると毎日の服選びに対する姿勢も変わってくる気がします。
今年の秋冬に発売予定のシリーズより。サンザシで染めたワンピースとストールの組み合わせ (画像提供:stand)

今年の秋冬に発売予定のシリーズより。サンザシで染めたワンピースとストールの組み合わせ (画像提供:stand)

タマネギで染めたカシュクールワンピースとウール麻の羽織 (画像提供:stand)

タマネギで染めたカシュクールワンピースとウール麻の羽織 (画像提供:stand)

今後は伝統と最新の技術を取り入れたstandらしいデザインを追求しながら、海外の国をテーマにしたアイテム展開も予定しているのだとか。

内:「大切に長く着てもらえるように、ちゃんと良いものをちゃんと作る。そして着てもらった人が少しでも幸せになってくれたら嬉しいです」

「まだまだやらなければいけないことはたくさんある」と言う二人ですが、その顔に浮かぶのは、生き生きとした笑顔。standが立ち上がってから半年と少し。standで紡がれる物語のページはこれからますます厚みを増していくことでしょう。
stand|スタンドstand|スタンド

stand|スタンド

“気に入った洋服を着ると、なぜか元気がでる その気持ちに素直になること そして、そんな気持ちになる服を届けること”をコンセプトに設立されたブランド。ボタニカルダイをはじめとする先進的な技術や、昔から日本に伝わる伝統的な技術を用いた服づくりをしている。

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