日本一の彫刻の町・井波で《新しい旅》、楽しみませんか
今年5月には、文化庁が地域の有形・無形文化財をテーマでまとめて認定する「日本遺産」に選ばれ、『宮大工の鑿(のみ)一丁から生まれた木彫刻美術館・井波』としての魅力が確固たるものになりました。
『BED AND CRAFT』を通して、町全体の魅力に触れるきっかけを。
それは、『BED AND CRAFT』をコンセプトに掲げるゲストハウスが誕生したこと。
「BED(泊まる)」と「CRAFT(クラフト体験)」を楽しめる、新しいスタイルの宿です。
現在は1⽇1組限定で、「TATEGU-YA」、今年オープンしたばかりの「TAË」の、2施設が開業しています。
写真:Kosuke Mae
ゲストハウスと言えば、素泊まりなので、お店巡りを気軽に楽しめるのが魅力的ですよね。この『BED AND CRAFT』プロジェクトにも、そのような想いがこめられています。
宿泊客にとって、町全体が「宿泊・観光場所」。すなわち、町全体が「BED AND CRAFTのホテル」になるように――。
地域活性化に繋がっていることも大きなポイントです。
写真:Kosuke Mae
『BED AND CRAFT』の「CRAFT(クラフト体験)」のほうは、何ができるのかというと、
今も現役で活躍している職人の工房で、もの作り体験ができます!
徒歩圏内の工房が会場となっており、「職人に弟子入り」したような、職人生活の疑似体験を味わえます。外国人観光客にも大人気です。
そんな『BED AND CRAFT』が叶える旅のスタイルを、これから見ていきましょう。
『BED AND CRAFT』の【BED】。どんなゲストハウスがあるの?
現在2施設ありますが、今後さらに増えていく予定とのことです。あなたが気になる宿を見つけてみてくださいね。
【1】ギャラリー気分を味わえる、BED AND CRAFT『TATEGU-YA』
写真:Kosuke Mae
築50年の建具屋をリノベーションした『TATEGU-YA』。建具屋のエッセンスはそのままに、現代のライフスタイルに合わせたデザインを巧みに取り入れた古民家ゲストハウスです。藍染めののれんが、風情を感じさせますね。
写真:Kosuke Mae
写真は玄関とラウンジ。2階が宿泊スペースとなっています。手前の玄関は吹き抜けになっていて、上を見上げると――。
写真:Kosuke Mae
どっしりと太い梁が。古民家から移築したものだそうで、圧倒されますよ。
館内のいたるところで出会えるのが、彫刻家の田中孝明さんが『TATEGU-YA』のために制作した作品たち。このような、やさしい顔立ちの人形彫刻も。見つめると、なんだか心が潤いますね。
【2】心地よさが詰まった平屋の、BED AND CRAFT『TAË』
養蚕業で栄えた豪商の邸宅をリノベーションした『TAË』。こじんまりとした平屋ですが、⻑期滞在可能な設備が整えられています。
「TAË」の空間を彩るのは、漆芸家・⽥中早苗さんの作品。ダイニングの天井に展⽰されているのは、漆の制作工程で“紙と漆を何度を重ねる様子”を表現した作品です。
アートのある暮らしができて、まさに非日常の、特別な体験*
『BED AND CRAFT』の【CRAFT】。ワークショップをチェック
①彫刻家・田中孝明さん「井波彫刻の⼿法で、⽊のスプーンをつくろう」
写真提供:CORARE ARTISANS JAPAN
『TATEGU-YA』に作品を提供されている木彫刻家・田中孝明さんに、彫刻刀を使った、⽊のスプーンの作り⽅を学びます。丁寧に手ほどきしてくださるので、彫刻⼑の経験がない方でもチャレンジできますよ。
写真提供:CORARE ARTISANS JAPAN
ちょっとデコボコになってしまうかもしれませんが、それも大切な思い出。使うたびに井波での思い出が浮かんで、食事が楽しくなりそう♪
②漆芸家・⽥中早苗さん「⾃分で練り上げた⾊漆で、箸をつくろう」
写真:Kosuke Mae
『TAË』とコラボされている漆芸家・⽥中早苗さんのワークショップは、自分で漆を塗って仕上げるお箸づくり。漆職⼈に⼯芸を習える機会は珍しく、貴重な体験になることは間違いありません。
世界に⼀つだけのマイ箸ができあがりますよ。漆なので、長く愛用できるのが嬉しいですね。
③仏師・⽯原良定さん「仏師と⼀緒に蓮の⾖⽫をつくろう」
ノミを持ってたたく作業から、彫刻刀での繊細な作業、最後の着色まで――。仏師に直接指導を受けて、仏様の世界に欠かせない「蓮の花」を彫ってみませんか。
⽊の塊からモノを美しく掘り出すことがいかに難しいか……。⾝をもって体験できるのも、この場ならでは*
ぜひ『BED AND CRAFT』で最高の組み合わせを楽しんでください。
最後に、「井波」のとっておき情報をご紹介。ぜひ散策する際の参考にしてくださいね。
【名所や地域イベント等…】井波を歩いて、町の魅力を肌で感じよう
瑞泉寺
瑞泉寺は北陸有数の⼤伽藍。最初の建⽴は1390年と⻑い歴史があり、これまで三度の⽕災に⾒舞われながらも再建され、昭和初期に現在の姿になります。
実は井波彫刻の始まりは、⽕災によって焼失した本堂を、江戸時代中期に再建したことにあります。再建時に京都から彫刻師・前川三四郎が派遣され、地元の職人らに技術を伝えたことにより、大きく発展していくこととなったのです。
写真:Kosuke Mae
瑞泉寺の随所に見事な彫刻が施されており、まず目をひくのが、こちらの山門にある「雲水一疋龍」(写真上部)。
上述した、井波彫刻の祖・前川三四郎の彫刻作品が今も残っているのです。1879年、瑞泉寺が大火に見舞われた際には、「この竜が飛び出て井戸の水を吹きかけ、山門を守った」という言い伝えが残されています。
井波彫刻総合会館
蕎麦処 茶ぼ~ず
写真提供:CORARE ARTISANS JAPAN
瑞泉寺の近くにある、「茶ぼ~ず」さんをご紹介。実は、2016年の「ミシュランガイド富山・石川(金沢)特別版」で紹介された、お蕎麦屋さんなんです。
ギャラリー瑞庵
【毎月第1日曜日に開催】門前 Sunday Market
井波のメインストリートである「八日町通り」周辺で、毎月第1日曜日に朝市を開催していますよ。朝採れ野菜をはじめ、こだわりの素材で作ったパンなど…、この日に滞在できたら、あなたはラッキー!地元の方との会話も弾みますね♪
【商店街に13体!】「木彫り猫」探し
八日町通りの商店街を散策すれば、ニャンともかわいい!木彫りの猫がいたるところに。昨年、新名物として13体設置されたそうで、なかにはのんびりとくつろぐ、ユルい雰囲気の猫もいますよ。
商店街の方とのお話も楽しみつつ、カメラ片手に町歩きしてみてはいかがでしょう。
きっと井波が、特別な場所になる。
写真:Kosuke Mae
ありそうで、今までなかった本格的な伝統工芸が体験できる旅。『BED AND CRAFT』が提案するこの新しい旅のスタイルは、これまで多くの旅行をしてきた人にも、きっと新鮮な経験になるに違いありません。
泊まって、作って、交流して……と、町全体の魅力を体感して、移住を決めた方もいるそうですよ。この夏は住みたくなるほど魅力的な「井波」へ行ってみませんか?
町中心部の八日町通りを歩けば、コンコンと、心地よく響き渡る木槌の音――。
今回ご紹介する旅の舞台は、富山県南⻄部に位置し“日本一の木彫りの里”として知られる「井波」。
彫刻職人は200本以上の彫刻刀やノミを使い分け、臨場感たっぷりの伝統的工芸品「井波彫刻」を生み出します。今は約200名近くの職人が住み、その伝統的な技術を継承しています。