意外と知られていない、北欧の世界遺産
自然編
【アイスランド】シンクヴェトリル国立公園(Þingvellir National Park)
「大地の裂け目」があることで有名な国立公園です。
さかのぼること西暦1000年、この場所でキリスト教がアイスランド国教化されたこと、1944年にアイスランド独立宣言がされたことから、アイスランドの大自然だけでなくアイスランドの歴史もうかがえる場所となっています。
「大地の裂け目」は、アイスランドを東西に分断する大陸プレートによりできあがったもので、このプレートはアイスランドから遠く離れた日本にも繋がっているといわれています。
裂け目が出来上がったのは9000年前とされており、近くの火山が噴火した際にこの場所が沈下してできたものなのだとか。
ちなみに裂け目の長さは最大40km、幅は最大10kmにも及んでおり、毎年1.5cm程度横に広がっていることが調査で明らかになっています。
他にも、この公園には多くの魅力があります。
例えばこの光景。
アイスランドにいると必ずみる、ふわふわのコケが岩にまとわりついています。
ここににきたら、いえ、アイスランドを訪れたらぜひコケの上を歩いてみてください。
筆者も現地を訪れた時に歩いてみましたが、あまりのふかふかさに驚きました。
公園には滝も多くあります。
アイスランドを訪れる際は、ぜひ時間をとってこの公園を散策してみてください。
今までに見たことのない絶景が広がっていますよ。
【ノルウェー】西ノルウェーフィヨルド群(West Norwegian Fjords - Geirangerfjord and Nærøyfjord)
ノルウェーの西にある、「ガイランゲルフィヨルド」と「ネーロイフィヨルド」がノルウェーにある世界遺産として認められています。
ノルウェー第2の都市・ベルゲンにあるフィヨルド群で、特にこのフィヨルド群が最長・最深のものとして知られており、世界中から毎年多くの観光客が訪れています。
ノルウェーのフィヨルドは、100万年前の氷河期に国土が氷に覆われていたことで誕生したものと言われています。
1万年前くらいから氷河が後退し始めたことから谷底が削り出され、このような切り立った岩が多く目立つU字の谷が出来上がったのです。
ガイランゲルフィヨルドは、全長約20kmにもおよぶフィヨルドで、7つの滝が並んでいる「7人姉妹の滝」や「花嫁のベール」と名付けられた滝など、フィヨルドそのものだけでなく多くの滝が流れる様を楽しめます。
一方、ネーロイフィヨルドは幅が狭いのが特徴で、もっとも狭い場所はなんと250mしかないところもあるフィヨルドです。
幅が狭い分、山並みの険しさが眺められ、滝も激しいところが多いのが魅力的。
どちらも特徴的なポイントがあり、見所もたくさんありそうですね。
文化編
北欧には多くの文化的世界遺産も多く存在しています。
足を運ぶだけで、歴史や文化を知る良い機会も得られそうですね。
【ノルウェー】ブリッゲン(Bryggen)
さきほどご紹介したフィヨルドが位置する街・ベルゲンには、このようなかわいらしい三角屋根のおうちが並ぶエリアがあります。その名も「ブリッゲン」。
全て木造家屋なのが特徴で、その歴史は14世紀〜16世紀までさかのぼります。
当時バルト海沿岸を支配していたハンザ商人(いまのドイツに居住していた商人)の交易地として栄えた場所で、ノルウェー名産の干しダラ取引の中心地としてハンザ同盟都市となりました。
おうちの一部をクローズアップ。
よく見ると、「魚」を表す"FISK"と書かれているおうちも。
エリアを歩いているとお魚の看板があったり、当時の「ハンザ同盟」からの名残か、「ハンザビール」なるオリジナルビールもここで楽しめますよ。
【デンマーク】クロンボー城(Kronborg Slot)
城周辺には16世紀にタイムスリップしたような光景が広がります。
天気の良い日は周辺を散策するのも良さそうですね。
城内部にも入れます。
これまで、この城ではハムレットのお芝居があり、ローレンス・オリビエをはじめ、最近ではジュード・ロウがハムレットを演じているのだそう。
また、城のとある場所の壁一面に過去にこの城でハムレットを演じた俳優の写真がずらりと飾られているそうです。眺めながら歩くのも楽しそうですね。
【フィンランド】ラウマ旧市街(Vanha Rauma)
おうち群のなかにはカフェやショップもありますよ。
ここで一休みして旅の思い出に浸るのも良さそう。
【スウェーデン】ヴィスビュー(Visby)
スウェーデン南部に浮かぶ島・ゴットランド島にある歴史的なエリアです。
10世紀に作られた場所で、こちらもノルウェーのブリッゲンと同じく「ハンザ同盟」により栄えました。
現在でも中世の面影が残る場所が多く存在しています。
ジブリの名作「魔女の宅急便」のモデルになった町としても有名なスポットです。
「魔女の宅急便」のキキが飛んでいそうな空。
赤茶色の屋根とのコントラストがすてきです。
町を歩くとこんなのどかな風景が広がっています。
夏以降の紅葉シーズンを訪れるのも良いかもしれませんね。
石造りの道や中世の建物通りの中を歩いていると、まるで中世の世界に迷い込んだかのような感覚を覚えそうです。
北欧の世界遺産を巡って文化・時代に思いを馳せてみよう
北欧というとショッピングやデザインをめぐる旅を思い浮かべがちですが、旅の合間にこうした歴史的・文化的な遺産を訪れて当時の雰囲気を体感するのも良い旅プランかもしれません。
これら以外にもたくさんの世界遺産が北欧に存在しますので、気になった方はぜひ調べてみてはいかがでしょうか。
北欧は地球上もっとも自然に囲まれているエリアといっても過言ではない場所です。
どんな世界遺産があるのでしょうか。