桜舞い散る季節が過ぎても。
京都は、春夏秋冬、花々や草木で彩られる“花の都“。
出典: 新緑眩しい晩春から夏にかけて、見頃を迎える花の名所も、京都には数多くあります。
出典: 洛南「宇治」は、京都と奈良を結ぶ交通の要衝として古くから拓け、平安期には皇族や貴族らの別荘地として、『源氏物語』の舞台として親しまれてきました。現在は、世界遺産がある観光市、茶の名産地として、国内問わず、遠く海外にまで広く知られています。
出典: 茶の香漂う「平等院表参道」、極楽浄土を具現化した平等院「鳳凰堂」、日本三古橋の一つ「宇治橋」、世界遺産「宇治上神社」、黄檗宗の大本山「萬福寺」等など、宇治には、観るべき名所やスポットが目白押し。最近では特に、老舗茶店の“抹茶スイーツ”で人気を博し、有名店直営のお洒落なカフェや茶舗を目指し、多くの人々が当地へと足を運んでいます。
出典: 魅力溢れる「宇治」。
その中でも、晩春から夏にかけて、一際賑わう“花の名所”があります。
出典: それは、宇治川を挟んで平等院の対岸、明星山の山間に佇む「三室戸寺(みむろとじ)」です。
出典: 「三室戸寺」は、奈良期・宝亀元(770)年創建の寺院。
光仁天皇の勅願により、三室戸寺の奥の山中から出現した千手観音菩薩を本尊として建立したのが始まりと伝わる古刹です。
開創以後は、天皇や貴族らの崇拝を集め、堂塔や伽藍が整備され、後年は*西国観音霊場三十三ヶ所の一つとして人々の篤い信仰を集めてきました。
出典: 【*「西国観音霊場三十三所」は、日本最古の巡礼路。
和歌山から岐阜まで近畿圏に伸びている巡礼路の総距離は1000km。霊場の三分の一が京都に集中していることから、巡礼文化、観音信仰文化が全国に広まったとされる歴史ある巡礼路です。
2017年には草創1300年を迎え、西国三十三所草創1300年記念「特別印」が授与されています。詳細は以下の公式サイトへ。
(画像は「三室戸寺」の本堂へと続く石階段。巡礼者は、海外からの外国人も多い。)】
古くから巡礼者が訪れる霊場ですが、晩春から夏にかけては、フォトジェニックな花景色を求めて、カメラ片手に足を運ぶ人々で賑わいます。
出典: 「三室戸寺」は、山中に山門、本堂、阿弥陀堂、三重塔等、小規模な堂宇伽藍が建ち並ぶ寺院ですが、寺域は実に広大です。その多くを占めるのが、晩春から夏にかけて一面を埋め尽くすかのように花々が咲き開く庭園です。
出典: 「三室戸寺」境内には、四季折々様々な花が開きますが、特に有名なのが庭園の「ツツジ」と「アジサイ」、本堂前の「ハスの花」です。
出典: 「ツツジ」は、山の斜面を染め上げるように咲き開き、梅雨の頃に見頃となる「アジサイ」は、西国一、全国屈指と称される程の素晴らしさです。杉木立の中、一面咲き開いたアジサイの眺めは圧巻です。
また、「アジサイ」が終わる初夏の頃からは、本堂前の「ハスの花」が次々と開花し、その様は、まるで極楽浄土を思わせるかのような美しさです。
出典: 【本堂と蓮園。江戸期(1805年)に建立された重層入母屋造の本堂には、秘仏の本尊・千手観音立像の御前像(本尊と同型の像)が安置されています。】
出典: 【阿弥陀堂・鐘楼・三重塔と建ち並ぶ本堂の東側。鐘楼(画像手前)の鐘は、参拝者も撞くことが出来ます(有料)。】
「三室戸寺」は、季節の花々や紅葉だけでなく、山寺ならではの見所も多くあります。
鳥の囀りが聞こえる杉木立の参道は清々しく、緑の中に建つ堂塔伽藍は、京都の古刹ならではの趣きがあります。
寺内には、民話や伝説にまつわる像や石碑も多く、御神籤(おみくじ)や御守も個性的です。さらに花の庭園には、宇治ならではのスウィーツや食事が楽しめる茶屋もあります。
さらに、三室戸寺から宇治川へと下れば、世界遺産の「宇治上神社」や「宇治市源氏物語ミュージアム」等の観光名所、宇治の老舗茶問屋直営の茶舗やカフェも軒を連ね、立ち寄りスポットにも事欠きません。
出典: 【宇治茶の老舗「伊藤久右衛門 宇治本店」の『よくばり抹茶パフェ』】
以下では、「三室戸寺」の季節の花々と見所、周辺の観光名所やスポットをピックアップして紹介します。
桜散る頃からは、本格的な旅行シーズンが始まります。ぜひ記事を参考に宇治「三室戸寺」へと足を運び、花と共に清々しい季節を満喫しましょう。
出典: ◆以下の目次◆
1.“花の園” 三室戸寺
1-1.躑躅(ツツジ)・石楠花(シャクナゲ)
1-2.紫陽花(アジサイ)
1-3.蓮(ハス)の花
1-4.白砂と水の景色。
2.運気を上げる!「三室戸寺」のパワースポット
2-1.財運金運の蛇の神様「狛蛇」
2-2.勝運の牛「宝勝牛」
2-3.“福徳兎”「狛兎」
2-4.なでるとお金(鐘)が返る「朝鮮鐘の龍頭」
2-5.境内にある三つの龍
3.個性的な御守と御神籤
4.花とともに、美味しい一時。「花の茶屋」
5.“さわらびの道”を歩いて周辺観光
5-1.世界文化遺産「宇治上神社」
5-2.「宇治神社」
5-3.宇治市源氏物語ミュージアム
5-4.宇治川の絶景を楽しんで「宇治橋」&「朝霧橋」
6.宇治茶づくしで美味しい一時。
6-1.宇治川東で。-茶の香りに包まれる一時を-
通圓 宇治本店・福寿園 宇治工房・伊藤久右衛門 宇治本店・
6-2.京阪宇治駅周辺で。-宇治茶スウィーツのお土産探し-
駿河屋・シェ・アガタ・菓子工房KAMANARIYA 宇治本店
旅のInformation
旅のおわりに
出典: 「三室戸寺」の花の園は、受付から本堂へと伸びる参道の右手の「アジサイ園」と「ツツジ園」。そして、本堂前の「蓮園」です。
庭園内には散策路が設けられているので、山の緑や空気とともに花々の中を心ゆくまで歩き回れます。また本堂西側でも、紫陽花やツツジ、秋に見頃となる秋明菊(シュウメイギク)が楽しめます。
出典: 出典: 「三室戸寺」のツツジも、紫陽花同様に、近畿地方屈指の名所として良く知られています。参道脇の斜面から一面に広がるツツジの様は、まるで夢見るような眺めです。
出典: 総数2万株にも及ぶ「三室戸寺」のツツジ。
その多くは「平戸ツツジ」ですが、その他にも「霧島ツヅジ」、「久留米ツツジ」等、珍しい品種も多く、色も様々。一面を覆い尽くす花の色は、山の緑、新緑とのコントラストも鮮やかで、眩しいくらいです。
出典: ツツジの仲間である石楠花(シャクナゲ)も、この頃に咲き開きます。様々なツツジ、石楠花が一斉に咲き揃うのは、4月末~5月初頃。この頃は、空も澄み渡り、山の連なりとともに、素晴らしい花の競演を眺めることができます。
出典: 【ツツジの親戚筋にあたる「石楠花(シャクナゲ)」は、本来山間に咲く花。花も葉ツツジと似ますが、ツツジより花は大きく、花ぶりも華やかです。】
出典: 【清楚で華やかな「大手鞠(オオデマリ)」は、紫陽花によく似ていますが、スイカズラ科の植物で、紫陽花よりも一月ばかり早く開花し、ツツジと見頃が重なります。】
先述したように「三室戸寺」のアジサイは、全国でも指折りの規模と美しさを誇ります。鎌倉の「明月院」や「長谷寺」が東日本の人気名所とすれば、西日本ではここ「三室戸寺」が筆頭に上がる程です。実際、2009年6月の朝日新聞、読者7030人による回答によると、全国3位に輝いています。
出典: 「三室戸寺」のアジサイは、約一万株。品種も多く、「西洋アジサイ」、「額アジサイ」、「柏葉アジサイ」等、その数30種に及び、見頃の時期は、杉木立を埋め尽くすかのように、様々な紫陽花が咲き乱れます。
出典: 【紫色の淡い濃淡が可憐な「額紫陽花(ガクアジサイ)」】
森閑とした山中に広がるアジサイの園は、色とりどりで幻想的。他の名所とは一味も二味も異なる花景色です。特に雨の季節は、花の色味が増し、葉も艷やかで、より一層の趣きがあります。
出典: 【ヤマアジサイの一種『七段花(シチダンカ)」』。江戸期に著されたシーボルトの日本植物誌に登場する「七段花」は、長い間国内で発見されず“幻の花”と云われてきました。発見されたのは、1959年の戦後のことで、兵庫県内で学校職員によって見つかりました。現在では、人気の高いアジサイ種の一つとなっています。】
出典: 【「ガクアジサイ」。西洋アジサイ、ガクアジサイといっても、種類は実に多く、色もそれぞれに異なります。紫陽花は、特にフォトジェニックな花姿です。お気に入りの一枚をぜひ撮って下さい。】
出典: 「三室戸寺」で、人気が高いのが“ハート型”の紫陽花です。
ハート型の紫陽花を見つけると“恋が成就する”と云われ、メディアでも注目を集めています。その中でも、紅色の紫陽花は珍しく、多くの観光客がその姿を求めて園内を散策しています。
出典: 「三室戸寺」では、毎年紫陽花のシーズンになると「あじさい園ライトアップ」が行われています。ライトアップは、6月10日から6月25日までの土・日曜日のみ開催です。
出典: 時間は、19時から21時(20時30分受付終了)までです。(※昼夜の入場は、完全入れ替え制ですので、要注意。詳細は、記事最後の旅のInformation、三室戸寺の公式HPで確認のこと。)
出典: 出典: 紫陽花の見頃が過ぎると、咲き開き始めるのが「蓮(ハス)の花」。
本堂前の「蓮園」には、250鉢ものハスの花が並んでいます。特筆すべきは、規模よりも、その種類の多さです。有名な「大賀ハス」の他、「古代ハズ」や「青円寺ハス」、「陽山紅」や珍種の「大洒錦」等など色とりどり。その種類は、100種にも及びます。
“蓮の寺”としても有名な「三室戸寺」。重厚な本堂を背景に広がる蓮の園の光景は、さながら極楽浄土のよう。毎夏、蓮の花を楽しみに訪れる観光客も少なくありません。
出典: 【東洋の美を感じさせる「蓮の花」もフォトジェニック!】
出典: 毎年7月の中旬には、「ハス酒を楽しむ会」が催されます。ハスの葉に酒を注ぎ入れて、茎に口をあてて吸い込むように飲むと、健康と長寿に恵まれるといわれています。毎年このハス酒を楽しみに訪れる人も多く、人気が高いイベントです。※平成29年は7月14日(金)開催。先着300名までです。(詳細は公式HPへ)
出典: 本堂の南側の斜面には、「池泉式回遊庭園」と「石庭(枯山水庭園)」があります。この庭園は、昭和を代表する造園家・中根金作によるもの。山中の枯山水は、市中の寺院庭園とは一味違う趣き。水辺の景色が美しい池泉庭園にも、季節になるとツツジや菖蒲などの花々彩りを添えます。
出典: 「三室戸寺」は、“西国観音霊場”として、“花寺”として有名ですが、そればかりではありません。
境内には、古刹らしく、民話や伝説にまつわる個性的な見所が数々あります。その中で人気を博しているのが、以下で紹介する5つのパワースポット。それぞれに金運や健康運等ご利益があります。ぜひ楽しみながら、境内を周ってみましょう。
出典: 本堂の蓮園にある「狛蛇」は、身体が蛇で頭は老翁の石像です。
蛇のしっぽをさすると“金運”“良運”がつき、髭を撫でると“健康長寿”に恵まれ、耳を触ると“福“が来ると云われています。
出典: 本堂前の「宝勝牛」は、かつて弱々しかった牛が、観音様のご利益により、闘牛で勝利するまでに成長し、飼い主であったお百姓さんが牛の仲買人まで成功したという民話から生まれた石像です。成功した飼い主は、老いてから仏門に入り、「三室戸寺」へ牛の木像を奉納しました。
「宝勝牛」がくわえている「牛玉」の中にある観音様に触れると“勝運”に恵まれるといいます。 牛の腹にある覗き窓から、胎内に納められた牛の木像を観ることが出来ます。
出典: 本堂前の愛らしい「狛兎」は、パワースポットの中でも特に人気の石像です。
兎が抱いている玉の中には卵型の石が入っており、腕を差し入れてその石を立てることが出来れば“運気上昇”、“足腰健全”になると云われています。
出典: 「龍頭」は、かつて「三室戸寺」の古い鐘に付属していたものです。
室町末期、寺の僧が、室町幕府最後の将軍・足利義昭に味方したことによって、伽藍が破壊され、梵鐘も没収となったことから「龍頭」の歴史が始まります。梵鐘は解体され、「龍頭」のみが切り取られて、戦国期の大名・増田長盛の床の置物となりました。
置物として飾った長盛は、その後すぐに病に伏せてしまい、病の原因を梵鐘を破壊した祟りと思い、寺へ「龍頭」を返還しようとしましたが、当山の僧に断られてしまいます。長盛は深く陳謝するとともに、病気平癒の祈願を願ったところ、病気はたちどころに治り、その後、毎年お供米百俵を送るようになりました。
この鐘が寺へ返還されたことから、「鐘の龍頭をなでると鐘(=金)が返る」と古くから伝えられています。
出典: 三室戸寺には三頭の龍(辰)の彫刻があります。
いづれも蟇股(かえるまた)に彫られていますが、三頭みつければ昇運がつくといわれています。散策がてら探してみましょう。
出典: 「三室戸寺」の御守や御神籤、絵馬も、石像同様に愛らしく個性的です。
『ハートアジサイのお守り』『蛇の御守』『宇賀神の御守』等など、種類も豊富。中でも恋の行方を占う『源氏物語 恋みくじ』が人気です。【画像左は、人気の『ハートアジサイのお守り』】
出典: ツツジ園、アジサイ庭園が開いている期間は、三室戸寺境内で花を眺めながら食事や甘味が楽しめる「花の茶屋」が営業します。
出典: 寺内の茶店といっても、茶そば、三室うどんの食事の他、抹茶パフェや抹茶ゼリー、白玉ぜんざいや抹茶セット、かき氷や冷やし飴等など、メニューは豊富。多彩な味を楽しむことができます。
【画像は「三室うどん」】
出典: 人気は、初夏の頃に一際美味しいかき氷。【画像は、『特撰菟道氷(宇治ミルク金時) 』。】
三室戸 / 喫茶店
- 住所
- 宇治市菟道滋賀谷21 三室戸寺内
- 営業時間
- ■ 営業時間
【営業期間】毎年4月から7月中旬※つつじ、シャクナゲ、紫陽花庭園のオープン期間中のみ営業
【営業時間】午前8:30から午後4:30※紫陽花ライトアップ開催の土曜・日曜午前8:30から4:30 午後7:00から午後9:00
- 定休日
- 平均予算
- ~¥999
データ提供:
かつて宇治の中心であった、宇治川東岸界隈は、平等院がある左岸側と趣きが異なり、緑多く閑静なエリア。
「三室戸寺」界隈を散策するのなら、“さわらびの道”を歩いてみましょう。「さわらびの道」は、宇治橋から川沿いを通り、源氏物語の宇治十帖ゆかりの古跡へと続く散策路です。
出典: 道の途上には、世界文化遺産の「宇治上神社」、「宇治市源氏物語ミュージアム」もあり、公衆トイレや休憩所も完備。茶店や宇治名産の窯元もあるので、景色や雰囲気、喫茶や買い物を楽しみながら散策できます
出典: 【宇治橋西詰からの宇治川の眺め。奥に見える橋は、宇治神社と宇治公園を結ぶ「朝霧橋」。画像手前は、『源氏物語』の作者・紫式部のモニュメント。】
出典: 朝日山の山裾に鎮座する「宇治上神社」は、世界文化遺産。緑深く、心地良い空間です。
出典: 一間社流造が3棟並ぶ本殿は、平安中期の建造(1060年代)で、日本最古の神社建築です。左殿に、*菟道稚郎子命(うじのわきいらつこのみこと)、中殿に応神天皇、右殿に仁徳天皇が祀られています。鎌倉期建造の拝殿とともに国宝に指定されています。【画像は、「宇治上神社」本殿。】
*菟道稚郎子は、第十五代・応神天皇皇子。第十六代・仁徳天皇の異母弟にあたるが、兄(仁徳天皇)に皇位を譲るために自尽して崩じた。
出典: 社域は狭いですが、名水湧く手水舎がある社内は、森閑として清涼な雰囲気。宇治川東岸へ足を運ぶのなら訪れて欲しい名所です。隣接する「宇治神社」とともに、ぜひお参りしてみましょう。【「宇治上神社」で人気の“兎みくじ”。】
出典: 「宇治神社」は、先の「宇治上神社」の下側、宇治川沿いにある古社で、応神天皇の菟道稚郎子である邸宅跡に建立された神社と伝わります。
この古社は、かつては“宇治離宮明神”と称され、「宇治上神社」を上社、この「宇治神社」を下社としていました。明治に入り社が分離し、「宇治上神社」と「宇治神社」の二社となりました。鎌倉期建造の本殿は、三間社流造。菟道稚郎子命坐像が安置されています。
出典: ここ「宇治神社」のパワースポットも菟(うさぎ)にまつわります。【画像は「見返りうさぎ」の絵馬】
宇治が「うさぎ」と縁が深いのは、「菟道稚郎子命」の伝説に由来してます。
菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)が、河内国から当地に向かう途中、道に迷い、一匹の「兎(うさぎ)」の導きによって無事辿り着くことが出来、その“菟道”稚郎子が当地に宮殿を営んだことから地名がついたというものです。
(*「宇治」の地名の由来は、公式見解では、菟道稚郎子命に由来するとされているが、地名の由来は諸説ある。菟道稚郎子命が宮殿を建てる以前から“うじ”という地名があったという説もあり、また「菟道」だけでなく「鵜路」や「宇知」という字も当てられてきたという研究成果もある。)
出典: 源氏物語の第三部(十三帖)の最後の十帖は、ここ「宇治」が舞台です。
『源氏物語』はご存知のように、第一部と二部は光源氏が主役となっていますが、第三部は光源氏死後の物語で、光源氏の子である薫(かおる)の半生が綴られています。
薫は、光源氏の子ですが、実際は女三の宮(光源氏の第二番目の正妻)と柏木との間に出来た不義の子。宇治十帖は、薫と匂宮(光源氏の孫)と、宇治の三姉妹をめぐる悲恋の物語を描いたものです。
出典: 「宇治市源氏物語ミュージアム」は、『源氏物語』に関する資料を展示する国内唯一の公立博物館。
広々と清々しい館内には、光源氏の邸宅や六条院の復元模型や装束、調度品などが展示され、王朝貴族の暮らしぶりを学ぶことができます。また『源氏物語・宇治十帖』のオリジナルの物語映像も上映されているので、『源氏物語』を知らずとも楽しめます。
5-4.宇治川の絶景を楽しんで「朝霧橋」&「宇治橋」
出典: 宇治川の眺めは、宇治の歴史とともにある風情ある景観です。春の桜、夏の緑、秋の紅葉、冬の雪景色と四季節折々に素晴らしい景色が広がっています。
東岸から西岸に渡るなら「宇治神社」から伸びる「朝霧橋」か、日本三古橋」の一つとして名高い「宇治橋」を歩き、宇治川の素晴らしい眺めをぜひ満喫して下さい。
出典: 「さわらびの道」を歩いて散策し、「平等院」のある宇治川西岸へと渡るのなら「朝霧橋」を利用しましょう。
「朝霧橋」は、宇治川の中洲(宇治公園・橘島)へか架かる歩行者専用の橋です。橋の東詰には『源氏物語宇治十帖』の主要人物・浮舟と匂宮の石像もあり、旅の気分も高まります。【画像は、宇治川に架かる「朝霧橋」。正面は東岸の「宇治神社」。】
出典: 京阪宇治駅のすぐ目の前に伸びる「宇治橋」は、歴史的な趣きを色濃く残す橋で、“日本三古橋”の一つとして良く知られています。
大化2(646)年(奈良期)に架橋されたと伝わりますが、戦乱や洪水によって幾度も流失し、交通の要衝として機能してきた「宇治橋」は、その度に再生してきました。現在架かる橋は、平成8(1996)年に架けかえられたもので、橋の構造自体は、コンクリート製ではあるものの、周囲の自然景観、歴史的背景を踏まえて、木材を巧みに用い、伝統様式の木造橋のように仕上げられています。
宇治橋の中で、最も特徴的なのが中央部の「三ノ間」と呼ばれる、外側に張り出した部分です。この「三ノ間」には、かつて橋の守護神「橋姫」が祀られた「橋姫神社」がありました。(現在「橋姫神社」は、宇治川西側のあがた通り沿い「辻利一本店」隣に鎮座する)。
三の間から汲みあげた汲みあげた水は、“宇治川の名水”として茶人らに愛され、現在も毎年10月第一日曜日には「名水汲みあげの儀」が行われています。
宇治は、茶どころです。
宇治の街には、茶店や茶問屋の有名店が沢山軒を連ねています。以下で紹介するのは、1.宇治川東岸、2.京阪宇治駅周辺のお店からそれぞれピックアップした6店舗です。せっかく宇治へ足を運ぶのなら、茶の香りでお腹も心も満たして帰りましょう。
出典: 【「伊藤久右衛門」の宇治抹茶『宇治みどり』。旬に摘み取った上質茶葉を用いた、石臼挽きたての香り高い抹茶。】
出典: 宇治橋の東詰にある「通圓」は、平安末期の1160年創業、850年も続く大老舗の茶店。古くから旅人の茶飲処として親しまれてきた日本最古の茶店です。茶房が併設された店内は、民芸調で落ち着いた雰囲気です。
出典: 宇治川を望む茶房では、挽きたての抹茶をふんだんに使った、スウィーツや食事が頂けます。
出典: 人気は、有機栽培の抹茶を練り込んだ『ざる茶そば』と『抹茶パフェ』。
【画像は、寒天や白玉、求肥や抹茶アイス、小豆餡や栗等など、様々な甘味が贅沢に盛られた『抹茶パフェ』。抹茶アイスは、風味濃厚、ボリューム満点と評判です。】
出典: 【「通圓」人気の“茶そば”を使った、京都名物の『にしんそば』。茶そばには、通圓自慢の有機栽培の抹茶がたっぷりと練り込まれているので、一般の“にしんそば”よりも、後味が爽やか。宇治ならではの逸品です。】
出典: 「通圓」でお土産なら、やはり抹茶や煎茶茶類です。常連客に人気が高いのは、宇治川の朝霧が育てた茶葉を使った高級煎茶『宇治橋三ノ間』。甘味なら『茶団子』が一押しです。
【画像は「通圓」のテイクアウトメニュー『抹茶ソフトクリーム』。口溶け滑らか、苦味と甘味のバランスが抜群!と評判です。】
出典: 宇治川に架かる「朝霧橋」すぐ近くにある「福寿園宇治茶工房」は、茶飲料『伊右衛門』でお馴染みの、寛政2(1790)年創業の「福寿園」の直営店。お茶の様々な体験が出来る工房です。
出典: 工房の1階は、福寿園の伝統技で作られた宇治茶を販売する茶店。2階には、石臼で抹茶作りや陶板での宇治茶づくりが体験出来る工房、茶道体験ができる茶室、茶やスウィーツが頂ける茶寮があります。
【画像は、臼で挽いて抹茶を点てる「石臼で抹茶づくり」。挽きたてのお抹茶は香り高く美味しいと評判です。】
出典: 茶寮では、福寿園の自慢の茶類、抹茶あんみつや抹茶ぜんざい等の和スイーツ、茶そば等の食事が楽しめます。
【画像は、着席すると供されるウェルカムグリーンティー。「福寿園」の茶器は、全て宇治名産の“朝日焼です。店の1階では、茶器も販売しています。】
出典: メニューは、オリジナリティ溢れるラインナップ。抹茶や玉露、ほうじ茶ラテ等のドリンク類、抹茶あんみつや抹茶ぜんざい、茶の香もち等の抹茶スウィーツ、茶そばや茶葉がゆといった食事メニューもあり、充実しています。季節限定のメニューのかき氷は特に人気です。【「福寿園宇治茶工房茶寮」の季節限定『宇治抹茶アイス氷』】
出典: 「福寿園」の隣には、、慶長年間(1596~1615)に開窯したと伝わる茶陶「朝日焼」の窯元があります。ショプとギャラリーがあるのでぜひのぞいてみましょう。
出典: 清々しい白いのれんが目印の「伊藤久右衛門」。
府内には幾つか支店がありますが、ここ宇治に本店があります。江戸後期創業、平等院や平安神宮等有名寺社の御用達をつとめてきたの老舗です。
出典: 茶寮のメニューは、食事なら『茶そば』と『かやくご飯』。スウィーツなら、『抹茶パフェ』や『抹茶あんみつ』、『抹茶チーズケーキ』等など。【画像は、抹茶の香り、味わいがギュッと濃厚に詰まった『抹茶そば』。喉越しも良く美味しいと評判。】
出典: 伊藤久右衛門と言えば、やっぱりコレ!画像で目にしたことのある方もきっと多いはず。
抹茶ゼリーに抹茶アイス、白玉に小豆餡、寒天にフルーツ等など。多彩な甘味が彩り良く盛られた「伊藤久右衛門」の『抹茶パフェ』は、宇治を代表する抹茶スウィーツです。
抹茶の風味も濃厚すぎず、適度な仕上がり。大納言小豆の自家製小倉餡は、ゼリーやアイス、白玉との相性が抜群で、美味と評判。カロリー控え目、お財布にも優しい人気のスウィーツです。
出典: 「伊藤久右衛門」の物販コーナーも充実しています。抹茶や煎茶、ほうじ茶等の茶類の他、抹茶だいふくや抹茶あんみつといった生和菓子、生チョコレートやっ抹茶ロールケーキ等の洋菓子類、抹茶を使った日本酒やワイン、抹茶カレーや抹茶そば等など、眺め回るだけでも心躍るラインナップです。
出典: オススメは、お茶なら、茶本来の渋みと爽やかさを楽しめる、宇治煎茶『喜撰山』。スウィーツなら、本店限定の『抹茶どら焼き』と、ふんわりと上品な味わいの『宇治抹茶だいふく』。
【画像は、抹茶と和三盆糖、生クリームで作られた“抹茶あん”が秀逸の『宇治抹茶だいふく』。】
6-2.京阪宇治駅周辺で。-宇治茶スウィーツのお土産探し-
出典: 宇治橋東詰交差点に位置する「駿河屋」は、茶団子で知られる有名和菓子店。種類豊富な菓子が並ぶ店内には、手軽に頂ける茶席が併設され、手軽に宇治名物が頂けます。
出典: 宇治の定番土産として名高い「駿河屋」の『茶だんご』は、モチモチとして滑らかな食感。抹茶のほろ苦さや香り、米本来の甘味を十分に堪能できる、美味しいお団子です。
出典: “ういろう”に、大納言小豆をのせた「水無月(みなづき」は、紫陽花の季節に並ぶ餅菓子。ここ「駿河屋」は、茶団子とともに水無月の美味しさでも良く知られています。【画像は、左2つが『みなづき(茶&白)』、右が『よもぎういろ』】
出典: 「シェ・アガタ」は、『宇治抹茶プリン』や抹茶味のロールケーキ『アガタロール』等、抹茶を使ったケーキや洋菓子で人気のケーキ店です。
出典: 断トツの人気は、店を代表する『抹茶テリーヌ』。
バターとホワイトチョコレートの濃厚な味わいと挽きたて抹茶とのバランスが抜群と人気の洋生菓子です。『抹茶テリーヌ』の販売は、9月から5月までの期間限定。午前中に売り切れることも多い絶品の銘菓です。
出典: 「菓子工房KAMANARIYA(カマナリヤ)」は、京阪宇治駅そばにあるパティスリー。広い店内には、色とりどりの洋生菓子や焼き菓子、饅頭といった和菓子まで、多彩なスウィーツが並んでいます。
出典: 「KAMANARIYA」には、テラス席のあるカフェも併設されています。店自慢のケーキや饅頭等の菓子類の他、珈琲や紅茶等のドリンク、季節限定の特製かき氷が頂けます。
【画像は、宇治抹茶ロールケーキをベースにしたデコレーションケーキと珈琲の『源氏ケーキセット』】
出典: 「KAMANARIYA」で御土産なら、コレ!
宇治茶を使ったシュガーラスク『宇治茶ラスク』は、玉露シュガー・ほうじ茶シュガー・抹茶ショコラ・ほうじ茶ショコラの4種類。期間限定販売(11月-5月)の土産菓子です。
出典: 【電車利用】
「三室戸寺」の最寄り駅は、京阪宇治線「三室戸駅」下車、徒歩15分です。京都駅からは、幾つかルートがありますが、徒歩を含めて50分から1時間弱程度です。(例、JR京都駅⇒JR「宇治駅」からバスで京阪「宇治駅」下車、徒歩で20分。)
※アジサイのシーズン中は、JR宇治駅と京阪宇治駅から「三室戸寺」への臨時直行バスが運行しています。
【自動車】
京滋バイパス宇治東ICから3分。有料の駐車場がありますが、アジサイの季節は混雑するため要注意です。
◆観光名所やスポット、イラストマップやイベントスケジュール等、宇治観光に関わる情報が満載です。
出典: 宇治川の西岸に在する、世界遺産「宇治平等院」も、花の名所。
鳳凰堂の横にある藤棚は、京都でも屈指の見事さです。見頃は、例年4月末から5月初旬。ちょうど、ツツジが盛りとなる時期と重なります。花好きでこの時期に旅するのなら、ぜひ訪ねてみましょう。
出典: 年中観光客が途絶えない平等院ですが、2014年に鳳凰堂改修工事が終了した以降、さらに混雑する傾向が続いています。GWと重なる藤の開花時期は、入場制限がかかる程に混雑しますので、要注意です。
桜の季節は、新年度を迎え、慌ただしい頃。
路上の花びらや若葉を目にして、ちょっぴり物悲しさを覚える人もきっと少なくないはずです。
出典: 京都は、花の都です。
桜の季節が終わり、陽射しに張りがでる頃から、盛りを迎える花の名所も数多くあります。
新緑を背景に照り輝く花々もまた、桜に負けない美しさです。
出典: 【「三室戸寺」のタニウツギ。タニウツギは沢や谷間等水が流れる所に自生する低木で、紫陽花が咲き始める初夏が見頃。】
「三室戸寺」は、晩春から夏、また秋の紅葉も素晴らしい花の寺。フォトジェニックな景色を満喫できる花の園です。山中ならではの爽快な空気も、宇治川界隈の風雅な眺めも、宇治ならではの茶の香も楽しめる、絶好の観光スポットです。
出典:www.flickr.com(@Yu-Ching Chu) 素晴らしい“花景色”を眺めに、宇治「三室戸寺」へお出で下さい。きっと、心に残る素敵な旅が出来るはずです。
【平等院鳳凰堂】