「ピーターラビットのおはなし」原作者のベアトリクス・ポターや、英国ロマン派詩人ワーズワースに愛された自然美の残る、イギリス北西部に位置する湖水地方。花咲き乱れ、緑萌え始める春には、湖水地方に広がる大群の水仙を始めとし、心癒される花と景観がそこかしこに見られます。絵本の世界に迷い込んだような中世の街並みと花咲き乱れる庭園、森林や湖畔は格別の美しさ。春の旅行シーズンを前に、花を楽しみながら巡る湖水地方を「ウィンダミア」「ボウネス」「グラスミア」の3拠点を中心にご紹介します。
出典:
まずは湖水地方の入り口「ウィンダミア(Windermere)」で湖畔散策
ロンドンから車で約4時間。湖水地方の入り口であり、湖水地方観光の中心部として賑わう「ウィンダミア」。中世の面影残る街と、夏の間はウィンダミア湖でのウォータースポーツを楽しめるのが醍醐味ですが、春には、湖沿いに並ぶ花々を眺めながらの湖畔散策が外せません。
出典:
出典:
長さ17キロ、深さ61メートルというイギリス最大の湖「ウィンダミア湖」。氷河による侵食によって地表がU字谷となり、水が谷に流れ込んでできたと言われています。
出典:
ウィンダミア湖畔に並ぶイギリス風の白い壁の邸宅を眺めながらのクルーズ。ティータイムやディナークルーズなどもあり、ゆったりとクルーズを満喫したい方は事前に問い合わせを。
◎ウィンダミア・レイク・クルーズ詳細サイト(日本語で見ることができます)
出典:
春の散策の楽しみ、花やガーデン。
早春に見頃を迎えるウィンダミア湖の湖畔に咲く桜や、ロマン派詩人ワーズワースに愛された湖水地方の水仙はいたる所で見られます。
出典:
ウィンダミア湖の夕暮れどき。湖面に反射した陽の光と山々の眺めは神々しく、格別の眺め。
息を飲む美しさ。ブルーベルの森を探しに「オレスト・ヘッド(Orrest Head)」へ
出典:
ウィンダミア駅から約25分で手軽に頂上までのハイキングが楽しめる「オレスト・ヘッド」。苔の生い茂る緑の道を歩いた後に辿り着く頂上からは、ウィンダミア湖を一望する素晴らしい眺望が堪能できます。
出典:
5月頃になると、ハイキングの途中で遭遇することの多い、湖水地方の森林に群生するブルーベル。まるで青の絨毯を敷いたように、森林にひっそりと咲くブルーベルの大群は壮観の美しさです。
出典:
水色・紫・青など、それぞれの花が微細に違った色構成で、幻想的な青を作り出すブルーベル。
ピーターラビットの街「ボウネス(Bowness)」へ
出典:www.flickr.com(@Andy Hay) ウィンダミアから南に徒歩約30分の距離に位置する湖畔寄りの街「ボウネス」。ボウネスの街には、「ビアトリクス・ポターの世界」を始め、ピーターラビットの原作者ポターの暮らした家「ヒル・トップ」などピーターラビットファンには見逃せないスポットが数多くあります。それぞれのスポットで、ガーデニングの長い歴史を持つイギリスらしい庭園や花々にも出会えます。
出典:
ボウネスの街の中心部にある、ピーターラビットの世界を再現した展示館「ビアトリクス・ポターの世界」。
出典:
絵本の世界が、ビデオ上映や展示によって紹介されています。
出典:
ピーターラビットガーデンに設置された3人の子供ブロンズ像。像を取り巻くように咲く美しい花々が見られます。
出典:
ピーターラビットが農場の野菜を食べてマクレガーさんに捕まる名シーンの光景を再現した庭園。ガーデニング好きの人にはたまらない可愛らしさです。
◎「ビアトリクス・ポターの世界」案内サイト。(一部日本語対応です)
原作者ポターの住んだ家。花々咲き乱れる「ヒル・トップ(Hill Top)」
出典:
ポターが暮らした家が当時のまま残る「ヒル・トップ(Hill Top)」。ボウネスからフェリーに乗って約1時間の場所に位置します。自然保護に努めたポターの残したヒル・トップの庭には色とりどりの花々が咲き乱れ、周囲には美しい田園風景が広がっています。
出典:
17世紀の建物「ヒル・トップ」の外壁に伝う白藤。上品さが溢れる美しさ。
出典:
ヒル・トップの目の前に咲く色鮮やかな黄色いツツジ。
出典:
ヒル・トップに行く途中の小径脇の花壇では、季節折々の可愛らしい花々が咲いています。
田園風景の旅「レイクサイド&ハーヴァースウェイト鉄道」
出典:
ウィンダミア湖の南の街、レイクサイドからハーヴァースウェイト間の約5.6kmを走る鉄道。アニメ機関車トーマスのモデルとなったSLの姿は、レトロで可愛いらしく、一見の価値あり。片道約18分と短い旅ですが、イギリスならではののどかな田園風景が楽しめます。
◎「レイクサイド&ハーヴァースウェイト鉄道」詳細案内サイト
出典:
春の季節は、パブやお店など街の至る所にお花が飾られ、色鮮やかな街並みに。
出典:
お店の入り口付近に飾られたお花。春だからこそ、飾られた花を見ながらの街歩きは格別です。
出典:
ボウネスの街付近には、ピーターラビットグッズを販売するお土産店がちらほら。置物や本の栞など、ピーターラビット好きにはたまらない可愛いアイテムが揃います。
ロマン派詩人ワーズワースゆかりの地「グラスミア(Grasmere)」
出典:www.flickr.com(@Graeme Darbyshire) ウィンダミアから北に約13kmのグラスミア。名前の通り、グラスミア湖のほとりに位置する街。自然を愛し、自然保護に努めたことでも有名なロマン派詩人のワーズワースが過ごした場所としても有名です。ワーズワースの数々の傑作を生み出した自然の風景、彼自身の過ごした家や自ら設計した庭園を見られます。
ワーズワースの傑作が生まれた地「ダブ・コテージ(Dove Cottage)」
出典:
グラスミア湖の近くに位置する、ワーズワースが妹のドロシーとともに住んだ家。一級重要文化財に指定され、年間7万人もの人が訪れています。
ダヴ・コテージは、1799年12月から1808年5月までのあいだ、ウィリアム・ワーズワースが過ごした邸宅です。それは、詩人がもっとも優れた作品を多く遺した期間に相当します。
ワーズワース自らが植えたという、コテージ全面の白い壁を覆うピンクの豪華なバラ。
出典:
◎「ダブ・コテージ」紹介サイト。(日本語で見ることができます)
美の庭園「ライダル・マウント(Rydal Mount)」へ
出典:
ダブ・コテージから住まいを変え、ワーズワースが晩年(1813〜1850)に過ごした家。ワーズワース自ら設計を手がけたというイングリッシュガーデンを散策できます。
出典:
出典:
水仙、ブルーベル、ツツジなど、四季折々の花は散策する人々の心を癒す美しさ。
詩碑と共に咲く水仙「ワーズワースの水仙の庭(Wordsworth Daffodil Garden)」
出典:www.flickr.com(@Lynn Rainard) ワーズワースの眠るセント・オズワルド教会(St Oswald's Church)付近に位置する「ワーズワースの水仙の庭」。ワーズワースの名作「水仙」の詩碑の周りに植えられた水仙群は、4月頃に見頃を迎えます。
出典:www.flickr.com(@Son of Groucho) ワーズワースの詩「水仙」の一部を刻んだ石碑。石碑の周りには水仙が並び、その後ろには石造りの橋とカフェが見えます。
出典:www.flickr.com(@Lynn Rainard) ワーズワースとその一族もここに眠ります。庭いっぱいに広がる黄金色の水仙は一見の価値あり。
花を巡る湖水地方の旅。いかがでしたでしょうか。観光客だけでなく、詩人や作家など芸術家にも愛され、長い歴史の中で大切に育まれてきた湖水地方。心癒される美しき田園風景をぜひこの春に体験してみては。
出典:
長さ17キロ、深さ61メートルというイギリス最大の湖「ウィンダミア湖」。氷河による侵食によって地表がU字谷となり、水が谷に流れ込んでできたと言われています。