昭和の時代から見える、素朴で温かな暮らし
《昭和》が舞台の名作邦画7選
1.always三丁目の夕日
身寄りのない少年、しがない小説家、飲み屋で働く女将...血の繋がりがない3人が不器用に少しずつ家族になっていく様子は、本作を観る全ての人の心を温めてくれること間違いなし。見終えた後は、ちょっぴり人に優しい自分になれるはず。
2.ゲゲゲの女房
ふわりと舞い込んだお見合いで出会った水木しげると5日で結婚を決めた布枝。しかし結婚生活は思い描いていたものとは程遠く、“妖怪ものの漫画を描く”という自分の運命に奔走する夫と、貧困を極める家計...さまざまな困難に苦しむ布枝でしたが、いつでも夫を支え、夢を応援するのでした。多くは語らずとも、ふたりの間には確かな絆が芽生えていきます。
作家水木しげるさんの妻である武良布枝さんの自伝を元に制作された「ゲゲゲの女房」。大切な人と幸せを共有することの尊さに、改めて気づくことができる作品です。
3.コクリコ坂から
戦争から奇跡の復興を果たしつつあった昭和38年。世の中には希望と同じスピードで、“新しいものが全て”という価値観が広がっていました。そんな中、実家の下宿家を賢明に切り盛りする主人公のメルは、歴史ある建物の取り壊しに反対運動を起こす俊に出会います。建物の保存を巡って、時に助け合い、心を通わせていくふたり。大きく変化する時代の真っ只中に生きる学生たちは、当時の日本に何を見出したのでしょうか――。
全ての大人を子どもに戻してくれるのが、ジブリ作品最大の魅力。爽やかに描かれる未来への希望や少しの不安は、誰もが抱えていた感情。映画を見進めながら、少年・少女だった頃の気持ちがフワッと蘇ります。
4.母べえ
世界情勢がピリついていた昭和15年のある朝、一家の父・野上滋は、反戦の思想を記した文書を発行したことで検挙されてしまいます。突然家に残され悲しみに暮れる母と子どもたち...しかし、離れた父との手紙のやりとり、温かく見守る近所の人々に支えられ、家庭には穏やかで明るい風が吹き始めます。
今ある幸せの価値観を見つめ直したくなる名作邦画です。主演の吉永小百合さんの優しい声に乗せられて、平和な暮らしへの切なる願いや、希望に溢れた子供達への愛が心にしみていきます。
5.東京日和
物語は、主人公の島津が亡き妻のヨーコとの日々を回想するシーンから始まります。ヨーコが生きていた頃に、彼女の写真を撮り続けていた島津。精神的に不安定になりながらも島津のことを愛し、いつも美しかったヨーコ。彼女が生きてきた過去は、いつまでも島津の心に温かな光を灯し続けるのでした。
レトロでフィルムがかった東京の様子は、その時代に憧れてしまうほどの美しさと儚げな雰囲気を纏っています。センチメンタルなストーリーと相まって、愛する人を慈しむ感情をダイレクトに味わえる作品です。
6.この世界の片隅に
戦争真っ只中の庶民の暮らしを描いた作品です。主人公のすずは、配給が減り生活が困難になる中でも、持ち前のユーモアと知恵で毎日を丁寧に生きていきます。しかし劇中には、何度心がすり減っても前を向かざるをえない環境に、すずが行き場のない憤りを覚えるシーンも。誰もが学び、後世に受け継ぐべき内容が繊細に美しく描かれています。
ぼんやりとした不安を纏った日々に、希望が交差していた昭和20年。当時を生きた人々の心に、そっと寄り添いたくなる名作です。
7.父と暮せば
原爆で親しい人を一斉に亡くした美津江は、自分だけが生きていることに日々負い目を感じて暮らしていました。そんな静かな暮らしに突然現れたのはなんと、亡くなったはずの父・竹造。幻となって美津江の前に姿を表した竹造は、時に美津江の恋を後押ししたり、人生の助言をしたり...彼女の人生をそっと見守るのでした。
父との暮らしの中で変化していく美津江。親が子を想う気持ちは、どんな環境でも時代でも変わりありません。父と娘が交わす会話のひとつひとつに、温かく愛が溢れています。
戦後からの復興で活気づいていた昭和33年。ある日ひょんなことから身寄りのない少年・淳之介の世話を頼まれた小説家の茶川龍之介。また、向いに住む鈴木家には、住み込みで働く契約で上京してきた六子がやってきます。はじめは新しい家族を厄介者として扱っていた茶川と鈴木家の頑固親父ですが、子どもたちの純粋な心に触れ、時にトラブルを乗り越え、次第に本物の家族同様の絆を育んでいきます。