「文芸誌」とは?
文芸誌のすすめ
1│有名な作家の最新作が読める
2│気になった作品が賞を取ることも……?
各雑誌ごとに主催の賞があり、新人賞では、まだ世に知れ渡っていない作家の投稿作品を読めたりします。「いいな♪」と思っていた作品が、もしかしたら芥川賞などさらに大きな賞を受賞する可能性も!?自分のセンスを試してみる……そんな楽しみ方がありますよ。
3│専門的なジャンルに触れることができる
純文学や大衆文学を扱う雑誌が多い中、特定のジャンルを扱う文芸誌が注目されています。好きなジャンルの理解を深めるのも良し、今まで触れたことのないジャンルの知識を広げるのも良し◎専門書よりも気軽に読めるため、思いもよらない新しい趣味が見つかるかもしれません。
純文学
文學界/文藝春秋
文芸誌を読むならまず手に取っていただきたい1冊。純文学を扱う文芸誌の中でもダントツの発行部数を誇り、読み手の心を掴む作品を掲載し続けています。有名な「芥川賞」受賞作品は文學界に掲載されていたものが圧倒的に多く、自分が惹かれた作品はやっぱり応援したくなりますね。
新潮/新潮社
100年以上の歴史を持つ、現役の商業誌では一番長い雑誌です。新人作家からノーベル賞受賞作家まで、幅広い作家の作品が敷居なく掲載されていて、古典を踏まえた重厚な作品&中身のみっしり詰まった作品が読めます◎また、「三島由紀夫賞」や「川端康成賞」の発表を本誌で担っています。
群像/講談社
「群像新人賞」が新進作家の道を開いたことから、前衛的で勢いのある作品が多く掲載されています。前述の文芸誌と比べると違いが分かりやすく、実験的な手法で書かれた作品も見受けられます。純文学文芸誌の新人賞の中で唯一「評論部門」をもっていて、評論家発掘にも功績がある雑誌です。
すばる/集英社
小説を中心に、エッセイ・対談・文芸漫談など幅広いジャンルで構成されています。批評家へのインタビューでさまざまな知見が得られるのも、この雑誌の人気なところです。芥川賞受賞作家の掲載歴も多く、ノーマルの中に個性がキラリと光る、そんな作品を掲載しています。
文藝/河出書房
自由で一風変わった作品が楽しめます。文芸界に新たな風を吹き込む作家を認め、主催する「文藝賞」では、芥川賞受賞受賞の最年少記録を持つ綿矢りさ『インストール』、白岩玄『野ブタ。をプロデュース』、山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』などエンタメ性のある作品が選ばれています。
大衆文学
オール讀物/文藝春秋
時代小説とミステリーを中心に、読み切り作品を多く掲載しています。また、随筆・紀行文・対談・漫画などもあり、エンターテイメント性が高い雑誌です。いきなり純文学はハードルが高いかも……という方はこちらから読むと文芸誌の世界に抵抗なく入れそうです。
小説新潮/新潮社
芸術性を失わずに大衆性を持った雑誌を目指し、一般人気の高い作家が多く連載しています。また、アイドル作家を掲載することで若い読者を取り入れたり、エッセイ・漫画・芸能人によるバラエティコラムなども読めます。主催の「日本ファンタジーノベル大賞」受賞作がアニメ化したことも。
小説現代/講談社
2020年のリニューアルにより、今までの長編連載の軸を残しつつ、味わい深い随筆や小説家の生の声を聞くインタビュー・対談記事など、毎号読み切れる新しい内容を掲載しています。エンターテインメント小説の“最前線”に立つ文芸誌として、不動の人気作家から才気あふれる新人作家の渾身作まで幅広く楽しめます。
小説すばる/集英社
より身近な文芸誌として愛される1冊。長中連載・読み切り・インタビュー・エッセイなど構成のバランスが好評です。人気作家の連載、気鋭の新人の意欲作、力のこもったユニークな特集を載せ、活字が苦手な方も読みやすい雑誌に◎主催の「小説すばる新人賞」では数多くの直木賞作家を輩出しています。
その他、特定のジャンル別
ユリイカ/青土社
毎号テーマが変わる
毎号変わるテーマや特定のジャンルについて特集し、それに長けた作家の作品やインタビュー記事を載せています。作家・作品論を総特集した臨時増刊号もあり、ぜひバックナンバーにも注目していただきたい雑誌です。なおユリイカとは“見つけた”を意味する“Eureka”からきていて、少々マニアックなジャンルと出会えるきっかけに◎
シナリオ/マルヨンプロダクション
映画脚本
映画のシナリオを読むことができる文芸誌です。映画を観た後に読むのと、観る前に読むのとで違った楽しみ方ができます。ト書きからそのシーンの新しい発見や、セリフを読んでみることで登場人物の心情を深堀してみたり、いろいろな角度から映画を探求してみましょう。
飛ぶ教室/光村図書
児童文学
児童文学の総合誌として刊行されました。雑誌名はエーリッヒ・ケストナーの同名小説『飛ぶ教室』から得ています。従来の児童文学の枠組みを広げることを趣旨として、童話だけでなく児童文化と広く向き合いながら新しい児童文学を掲載し続けています。大人でも夢中になって読めますよ。
MONKEY(モンキー)/スイッチパブリッシング
海外文学
翻訳家の柴田元幸さんが責任編集する、外国作品中心の文芸誌です。英語が読めなくても海外作品を知り、作者の言葉に触れることができます。単行本にするための原稿を載せる、いわゆる“ゲラ雑誌”とは一線を画す文芸誌を目指し、写真や挿絵にもこだわったオールカラーの誌面がファンの心を掴んでいます。
短歌/カドカワ
短歌
誌名の通り、短歌を専門的に扱う貴重な文芸誌です。一流歌人の作品に感心したり、バラエティに富んだ読者からのクスッと笑える投稿作品ページもあります。多彩な詠み人の作品に感性が刺激され、短歌を読むきっかけになるかもしれません。
文芸誌には雑誌ごとに様々な作家が作品を載せています。特にベストセラー作家は読者人気が高く、複数の雑誌に連載をもっていることもあります。後にドラマや映画化するかもしれない最新作をいち早く読めるのが、文芸誌の美味しいところです。