お家でアート鑑賞。WEBで楽しむ「オンライン美術館」のすすめ
キナリノ読者のみなさんの中には、趣味が「美術館でのアート鑑賞」または「美術館巡り」という方も、少なくないのではないでしょうか。
好きな画家や優れたアーティストの作品を堪能できるのは、至福の時間ですよね。さらにアート鑑賞は、娯楽以外にもメリットが色々。美しい絵を目の当たりにすることで癒されたり、感性が磨かれたりと、心のリフレッシュに最適です。
しかし現在(2020年4月22日執筆時点)は新型コロナウィルス感染予防にともない、外出自粛の世の中です。ほとんどの美術館も、政府方針を受けて休館中・・・・。
そこで今回は、お家にいながら美術館気分を楽しめる情報をお届け♪ 自宅のパソコン&スマホからクリックしてアクセスするだけで、アートの世界に親しめるWEBサービスをご紹介します。
「美術館の公式YouTube」「Google Arts & Culture」は見応えたっぷり
今回は主に2種類、学芸員が参加している『美術館の公式youtube動画』、そして、世界中のミュージアムの所蔵作品を公開している『Google Arts & Culture』に焦点を当てました。
youtubeで学芸員さんの解説を聞きながらアートを鑑賞する・・・・今までとはちょっぴり違う美術の世界へのアプローチもまた、新鮮に感じられます。
美術好きの人はもちろん、これまであまり美術館に足を運んだことがなかった人にとっても、特別で有意義な時間になるはず*
❃学芸員の解説付き!美術館・博物館の公式youtubeを楽しもう
出典: 東京・恵比寿にある東京都写真美術館。1995年に総合開館した、写真と映像専門の公立美術館です。
2020年3月3日から予定されていた「日本初期写真史 関東編」と「写真とファッション」という2つの展覧会について、YouTube上で解説つき展示が公開されています。
▼「東京都写真美術館|公式YouTubeチャンネル」はこちら
こちらから、「日本初期写真史 関東編」と「写真とファッション」について視聴可能です。
「日本初期写真史 関東編」は7本の動画に分かれ、担当学芸員の三井圭司さんの解説をじっくり聞きながら、展示を見ると、理解もより深まります。1本の動画は長くても5分ほどなので、細切れ時間にも気軽に楽しむことができます。
こちらの動画は「001 日本初期写真史関東編」。この後002、003、004、005、006を経て「007 日本初期写真史関東編」まで用意されています(現時点)。
出典: トーハクの愛称で親しまれている、東京・上野公園にある東京国立博物館。日本で最も伝統ある博物館です。
臨時休館の影響で展示することができなくなってしまった総合文化展を「オンラインギャラリーツアー」として、YouTube上で公開しています。研究員の熱い想いをじっくりと聞きながら、臨場感あふれる雰囲気を楽しむことができます。
これまで関心のなかった分野でも、研究員さんのトークとともに眺めると新たな発見と関心に心惹かれることがあるのだと感じられますよ。
▼「東京国立博物館|公式YouTubeチャンネル」はこちら
こちらから、 【オンラインギャラリーツアー】を視聴可能です。
こちらでは、東京国立博物館の市元研究員が「博物館で見る青銅器の鑑賞方法」について説明。「饕餮文瓿(とうてつもんほう)」と 「饕餮文三犠尊(とうてつもんさんぎそん)」という青銅器の作品について、理解を深められますよ。
青銅器ってちょっぴりマニアックな感じがしますが、解説が入るとこんなに面白い!15分程度の動画です。
・もともと予定されていた本展のページ:
「中国の青銅器(東洋館 5室 )」こちらは、三田研究員が、2月26日~3月22日の会期予定だった「おひなさまと日本の人形」について語っています。
ひなまつりの日は過ぎましたが、雛飾りの名品やその歴史について分かりやすい言葉で解説されていて、おもわず「なるほど~」と声が漏れてしまうはず*
・もともと予定されていた本展のページ:
「おひなさまと日本の人形」出典: こちらも、トーハクと同じく上野公園に位置する国立西洋美術館。2016年に世界文化遺産に登録された美術館で、ル・コルビュジエの設計ということでも知られています。
松方幸次郎氏のコレクション(松方コレクション)を基に中世から20世紀初頭までの西洋絵画・彫刻などが集められています。コレクションを楽しめる常設展、世界遺産の美術館の魅力も相まって、圧倒的高い人気を誇ります。
▼「国立西洋美術館|公式YouTubeチャンネル」はこちら
こちらから、松方コレクションの解説【国立西洋美術館 ギャラリートーク】を視聴可能です。
先述の通り、常設展となっている松方コレクション。YouTube上の【国立西洋美術館 ギャラリートーク】では、各作品について研究員の方が解説しています。
こちらは、コレクションのひとつであり世界的に有名な、クロード・モネ「睡蓮」の解説です。
▼延期中の『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』、監修者の解説YouTubeはこちら
こちらは、美術展情報サイト「美術展ナビ」の公式YouTubeチャンネルのものですが、このチャンネル内で、3月3日から開催予定だった「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」の出品作品を一挙紹介しています。
本展の監修者である国立西洋美術館の川瀬佑介主任研究員が見どころを7つの章に分けて、丁寧に解説しています。こちらも見逃せません。
こちらから、【ロンドン・ナショナル・ギャラリー展】の見どころ(全7回)を視聴可能です。
出典: 2002年、箱根、仙石原に開館。ポーラ化粧品で知られるポーラ創業家2代目の鈴木常司が40数年間にわたり収集した総数約1万点ものコレクションを所蔵する「ポーラ美術館」。
印象派など西洋絵画を中心に、日本の洋画、日本画、版画、東洋陶磁、ガラス工芸、古今東西の化粧道具など・・・誰が足を運んでも、お気に入りの作品が見つかる美術館です。
約30のコンテンツを、「みる」「よむ」「つくる」「ポーラ美術館を知る」の4つのメニューに分けてご紹介。
ポーラ美術館が独自の取り組みとして、いつでもどこでも美術に親しめるコンテンツを集めたページ「おうちでポーラ美術館」を公開中です。
なかには、ぬり絵や切り絵など、親子で楽しめる動画もありますよ。
❃日本の美術館も参加!「Google Arts & Culture」を見てみよう
「Google Arts & Culture」とは?
検索ページでお馴染みのルGoogle(グーグル)ですが、そのGoogleが提供する、アート好きにはたまらないWEBサイトが「Google Arts & Culture」。
世界中の美術館のアート作品が、オンライン上で楽しむことができ、その提携数はなんと、世界中の約2,500もの美術館、博物館、ギャラリーなど!
作品へのアプローチの仕方もグーグルらしいさまざまな方法があり、既存の美術館とはまたひと味違った、新鮮な感覚を楽しめます。
日本の美術館も多く参加しており、国宝となっている源氏物語絵巻を大画面で見ることも◎
登録されている日本の美術館を制覇してみるのも面白そうですね。行ったことのない施設を知る機会になり、コロナ収束後に、リアルに訪ねてみたくなりそうです!
・そのほか日本の美術館の一覧は、下のリンク先からご確認いただけます。
「Google Arts & Culture」へのアクセスはこちら
パソコンで、WEBページとして閲覧されたい方はこちらから。
❃Webサイトではなく、アプリ版では、もっと楽しみ方が広がります!
アプリを起動させてから、アプリ内のカメラボタンを押すと、自分の部屋がアートに変身?自分の顔に似ている絵画を発見!?
ぜひお試しくださいね。
└「Google Arts & Culture」を使いこなすためのアドバイス
【1】ところどころズーム(拡大)して、名画をじっくり隅々まで堪能
出典: 作品画像がでてきたら、その画像をクリックしてみましょう(または虫メガネマークをクリック)。ズーム(拡大)機能によって、隅々までじっくり鑑賞することができます。
髪の毛の一本、ドレスのリボンのひだといった細部まで確認できることも。描いているときの、画家の息遣いまでも感じられそうです。
【2】「ストリートビュー」で、現地の美術館の展示エリアへワープ!?
世界各地の美術館の中をストリートビューで、まるで実際に館内を歩いているような気分を味わえます。
温かいコーヒーを飲んだり、自分の好きな音楽をかけたりしながら、ゆったり鑑賞するのもいいですね。
① 作品ページ内に「ストリートビューで表示」がある場合
作品ページ内に「ストリートビューで表示」というアイコン(スマホ閲覧の場合は、人型のアイコン)があれば、それをクリックしてみましょう。その作品が所蔵されている美術館で、その展示がされている場所を、「ストリートビュー」機能で見ることができます。
▼ ピエール=オーギュスト・ルノワールの作品を例に、「ストリートビュー」機能を試してみましょう。
こちらのページは、ピエール=オーギュスト・ルノワールによる「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会(Dance at Le Moulin de la Galette)」の作品紹介ページです。
パソコンのWEBページ閲覧の場合は、作品画像左下にある「ストリートビューで表示」というアイコンをクリック。スマホ閲覧の場合は、黄色く小さい人型アイコンをクリックすれば、作品が所蔵されているフランス・パリのオルセー美術館のストリートビュー表示に、切り替わります。
② 「ストリートビュー」に対応している美術館の一覧ページから、希望の施設へアクセス
▼ こちらのリンク先から、ストリートビューに対応しているミュージアム(ミュージアム ビュー)の一覧を見ることができます。
【3】色んな検索方法を試してみよう。とっておきの名画との出会いも
「Google Arts & Culture」では、さまざまなキーワードをもとに検索可能。アーティスト別、美術館別はもちろんのこと、作品に使われている画材・素材(紙やキャンバス、布、象牙、金箔)や歴史上の人物、できごと、位置情報でも検索できます。
油絵が並んでいるのは展覧会でもよく見かける光景ですが、エッチングやインクで描かれたものばかり作品を並べて見るのも、面白いですね。
「アーティスト」のカテゴリから、検索してみましょう。
「素材と技法」のカテゴリから、検索してみましょう。
検索とあわせて『時系列』でソートをかけるのも、おすすめです
アーティストを時系列にソートをかけ、並べてみることも可能。年代のスライドバーを左右に動かすだけで、アーティストがさっと入れ替わります。
誰が同時代を過ごしていたのかが一目でわかるというのも、これもリアルな美術館ではなかなか味わえないユニークな体験ですね。
「アーティスト」のカテゴリの『時系列』で、ソートをかけてみましょう。
❃オンライン美術館として、高解像度画像をweb掲載する「HASARD」
「HASARD」(アザー)は「だれでも」「いつでも」「無料で」アートを楽しめるWEB上の美術館です。
無料でアクセスでき、超高解像度のコンテンツがずらり。もちろんズームが可能で、作品の質感を感じられますよ。
「HASARD」では、展覧会として企画されたコンテンツを楽しめます
モネ展「それは再び 動き始める」、ゴッホ展「彼の見た景色」、ハンマースホイ展「静」etc.
出典: 常設展のモネ展「それは再び 動き始める」では、モネの作品にデジタル加工を施し、空や花、草原がまるで風で動いているような不思議な光景を見ることができます。淡い色合いで描かれた世界が急にリアルな鮮やかさをまとって、動き出したように思えます。
出典: ほかにも、期間限定ですが、ゴッホ展「彼の見た景色」、ハンマースホイ展「静」、マネ展「生活という営みの中で」などさまざまな展覧会が行われています。
ちょっと時間が空いたら、気軽に、すぐ見に行けるオンライン美術館です。ぜひご紹介した展覧会をチェックしてみてくださいね。
▼おすすめ関連記事 - 難解に感じる作品も肩の力をぬいて「対話型美術鑑賞」してみませんか。
みなさんは、アート鑑賞にどのようなイメージをお持ちでしょうか。もしも、難しそうだとかアートの知識がないからという理由で美術館を訪れないとしたら、それはもったいないことかもしれません。雑誌やインターネットで見るのも良いけれど、実際に美術館を訪れて本物のアートの素晴らしさに触れてみませんか。お出かけの選択肢に美術館が加われば、世界がぐっと広がりますよね。美術の知識をもって”わかる”必要のない、アート鑑賞を心から楽しむ方法をご紹介します。
美しい作品に心を寄せて、「STAY HOME」を乗り切りましょう
暗い話題が多い毎日でも、明るい未来を目指して、豊かな毎日を過ごしていきたいものですね。オンライン美術館を堪能しながら、素敵なおうち時間で「STAY HOME」を乗り切っていきましょう♪
東京・恵比寿にある東京都写真美術館。1995年に総合開館した、写真と映像専門の公立美術館です。
2020年3月3日から予定されていた「日本初期写真史 関東編」と「写真とファッション」という2つの展覧会について、YouTube上で解説つき展示が公開されています。