雨の日の「音」を楽しみませんか?

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『あめ ぽぽぽ』 ひがしなおこ(作)、きうちたつろう(絵) 出版社:くもん出版
水色とイエローのスウェディッシュカラーが目を引く表紙。傘から少しだけ顔を覗かせる少女はなんだか楽しそうです!そういえば、雨の日のお出かけって心なしかウキウキすることってありませんか?
この作品の魅力は、雨が傘にあたる音や水を跳ね返す音など雨の日に耳にする音が一つ一つ丁寧に表現されているところ。「あっ、こんな音もあるよね」と新鮮な驚きや発見がたくさんつまっています。
また、キラキラと描かれた一粒一粒の雨の雫の描写も見どころ。傘をぱっと空に投げ出して雨を浴びたくなるような高揚感も味わえます。声に出して読みたくなる絵本なので、ぜひ緩急をつけて読んでみてくださいね。
この作品の魅力は、雨が傘にあたる音や水を跳ね返す音など雨の日に耳にする音が一つ一つ丁寧に表現されているところ。「あっ、こんな音もあるよね」と新鮮な驚きや発見がたくさんつまっています。
また、キラキラと描かれた一粒一粒の雨の雫の描写も見どころ。傘をぱっと空に投げ出して雨を浴びたくなるような高揚感も味わえます。声に出して読みたくなる絵本なので、ぜひ緩急をつけて読んでみてくださいね。
『おじさんのかさ』佐野洋子(作・絵)出版社:講談社
黒くて細い立派な傘を持っているおじさんは、いつも傘を持って出かけるものの雨が降っても傘をさしません。だって大事な傘が濡れてしまうから…。みなさんも新しい道具を使い始める時、“もったいない”ような気がして綺麗な新品状態のままにとっておきたいと思った経験はありませんか?でも使うことで「大切な物」は、もっと特別な存在になるのです。
作者は『100万回生きたねこ』でお馴染みの佐野洋子さん。佐野さんは大人になると大切な何かを忘れしまう時があること、そしてその忘れていた感覚に気づいた瞬間のなんとも言えない解放感をこの作品で表現しています。
作者は『100万回生きたねこ』でお馴染みの佐野洋子さん。佐野さんは大人になると大切な何かを忘れしまう時があること、そしてその忘れていた感覚に気づいた瞬間のなんとも言えない解放感をこの作品で表現しています。
黒のコートに黒のお帽子。そして傘を片手にすまし顔で歩く姿は頑なな紳士そのもの。でもある日、子供たちが朗らかに歌う雨音の歌を聞き、「ほんとうかなあ」と雨の音が気になり始めます。半信半疑で傘を開いてみるおじさんに雨の音はどのように聞こえたのでしょうか。
空を見上げながら歩く表情、傘を閉じる瞬間の満足げな面持ち。そこにはおじさんがずっと忘れていた童心があり、そんな心境の変化が気持ちよく響いてくる作品です。
空を見上げながら歩く表情、傘を閉じる瞬間の満足げな面持ち。そこにはおじさんがずっと忘れていた童心があり、そんな心境の変化が気持ちよく響いてくる作品です。
雨の日の「ハプニング」を楽しんでみませんか?
雨の日には思いがけない出来事が起こることもありますよね。
映画や小説では、どしゃ降りの中での出会いや雨が打ち付けるガラス越しでの再会など、ドラマティックなシーンが描かれることもしばしば。絵本の中での雨の日のハプニングは、どのように描かれているのでしょうか。名作から驚きの仕掛け絵本まで、おすすめの作品たちを集めました。
映画や小説では、どしゃ降りの中での出会いや雨が打ち付けるガラス越しでの再会など、ドラマティックなシーンが描かれることもしばしば。絵本の中での雨の日のハプニングは、どのように描かれているのでしょうか。名作から驚きの仕掛け絵本まで、おすすめの作品たちを集めました。
『ピーターのてがみ』 エズラ・ジャック・キーツ(作・絵)木島始(訳)出版社:偕成社
ピーターはエイミーに誕生会の招待状を書きました。それはピーターが初めて書いた特別な手紙です。ところがポストに向かう途中で風にその手紙を奪われ、必死に手紙を取り戻そうとしている最中にエイミーが通りかかってしまいます。ピーターの緊張と不安をそのまま映し出すような怪しい雲行きとスリリングな展開。大好きだからこそのすれ違いが引き起こすドキドキハラハラのドラマに子どもから大人までが引き込まれます。
作者エズラ・ジャック・キーツの絵はコラージュと油彩の絵で構成されたもの。絵の中の英語はそのまま残されていて、アメリカの下町の様子も楽しめます。
作者エズラ・ジャック・キーツの絵はコラージュと油彩の絵で構成されたもの。絵の中の英語はそのまま残されていて、アメリカの下町の様子も楽しめます。
『ふしぎなにじ』 わたなべちなつ(作)出版社:福音館書店
もし変幻自在に形を変えることができる虹が現れたら、びっくりするでしょうね。きっと目が離せなくなり、手を伸ばして虹を捕まえたくなるかもしれません。そして、もし自分で虹の形を作ることができたなら?この本は鏡面反射を利用した仕掛け絵本となっていて、読み手が自ら虹を作り出すことのできる遊び心にあふれた作品です。
ページをゆっくりと90度に開くと、鏡面となっている対向ページに絵柄が写しだされていきます。
虹はつながったり、丸くなったり、増えたり…。そしてお話の中盤からどんどん形を変化させていきます。それはまるで虹のダンスを見ているよう♪
楽しくて、もう一度前のページに戻りたくなったり、ページを開く速さを変えてみたくなったり。ページを“めくる”という絵本ならではの楽しみ方を存分に味わうことができる一冊です。
虹はつながったり、丸くなったり、増えたり…。そしてお話の中盤からどんどん形を変化させていきます。それはまるで虹のダンスを見ているよう♪
楽しくて、もう一度前のページに戻りたくなったり、ページを開く速さを変えてみたくなったり。ページを“めくる”という絵本ならではの楽しみ方を存分に味わうことができる一冊です。
『エルマーとにじ』 デビッド・マッキー(作・絵)きたむらさとし(訳)出版社:BL出版

ある嵐の通り過ぎた朝、エルマーが見上げた空には色を失った白い虹がかかっていました。考えあぐねたエルマーは自分の色をあげようと虹の端っこを探す旅に出ます。でも虹に色をあげてしまったらエルマーのカラフルなパッチワーク柄はどうなってしまうのでしょうか…
物語の終わりにエルマーが友人たちに語った「いくらあげても減らないものもあるんだよ。しあわせとやさしさ」という他者への思いやりに満ちたハートフルなセリフは、大人たちをはっとさせることでしょう。
最後に、後見返しに描かれたエルマーと同じパッチワーク柄の虹がまた素敵!いつかこの地球にもパッチワーク柄の虹が空にかかるのを見てみたいですね。
物語の終わりにエルマーが友人たちに語った「いくらあげても減らないものもあるんだよ。しあわせとやさしさ」という他者への思いやりに満ちたハートフルなセリフは、大人たちをはっとさせることでしょう。
最後に、後見返しに描かれたエルマーと同じパッチワーク柄の虹がまた素敵!いつかこの地球にもパッチワーク柄の虹が空にかかるのを見てみたいですね。
雨から連想する言葉やお話を楽しんでみませんか?

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草花落(ついり)、五月雨(さみだれ)、麦雨(ばくう)、これらはすべて梅雨の時期の“雨”を表現した言葉。季節の表現を集めてみると、その言葉の奥行きや美しさを感じます。習慣的に使われてきた表現やお話には、独特の由来や地域特有の暮らしに寄り沿うものもあり、興味深いものです。
雨の日には急に予定が変更になってぽっかりと時間があくこともありますね。そんな時は想像力を掻き立ててくれる絵本から雨の魅力を紐解いてみませんか?
雨の日には急に予定が変更になってぽっかりと時間があくこともありますね。そんな時は想像力を掻き立ててくれる絵本から雨の魅力を紐解いてみませんか?
『あめがふるときちょうちょうはどこへ』 M・ゲアリック L・ワイスガード(絵) 岡部 うたこ(訳) 出版社:金の星社
コルデコット賞受賞作家でもあるレナード・ワイスガードの絵は色味を抑えた青とグレーで彩られ、少し大人っぽく美しい絵本。終盤では黄色が部分的に使われ、品の良いセンスが際立ちます。
子どもからはちょっと敬遠されてしまいそうなシックで繊細な色合いですが、むしろ想像力を掻き立ててくれるような余韻が素晴らしく、大人も子どもも一緒にしっとりとした雨降りの日に手に取りたくなる1冊です。
子どもからはちょっと敬遠されてしまいそうなシックで繊細な色合いですが、むしろ想像力を掻き立ててくれるような余韻が素晴らしく、大人も子どもも一緒にしっとりとした雨降りの日に手に取りたくなる1冊です。
「あめがふるとき、ちょうちょうは、どこへいくのかしら。」「はねがぬれたらとべないでしょうに。」
ページをめくると本が語りかけてくるような優しい文章に心が和みます。
お話の中では雨の日を過ごすもぐらやことりなどの姿が次々に描かれ、まるで雨の日に動物たちを訪ねてお散歩をしているよう。ところがタイトルにあるちょうちょがどのように過ごしているかは最後まで紹介されないのです…。読み終えた後は静かな雨の音を聞きながら、雨の日のちょうちょうのことが気になって仕方がなくなる、そんな思いやりに満ちた、詩集のような絵本です。
ページをめくると本が語りかけてくるような優しい文章に心が和みます。
お話の中では雨の日を過ごすもぐらやことりなどの姿が次々に描かれ、まるで雨の日に動物たちを訪ねてお散歩をしているよう。ところがタイトルにあるちょうちょがどのように過ごしているかは最後まで紹介されないのです…。読み終えた後は静かな雨の音を聞きながら、雨の日のちょうちょうのことが気になって仕方がなくなる、そんな思いやりに満ちた、詩集のような絵本です。
『わにのなみだ』 アンドレ・フランソワ(作)巖谷 國士(訳)出版社:ほるぷ出版
木製の荷箱を模したスリーブケースの窓からワニが覗き、すぅっとスリーブケースから本を引き出すと、ぬうっとワニの長い胴体が現れる面白い装丁の絵本。このワニは遠くエジプトのナイル川から小鳥をお供に街へやってきました。家族と一緒に食事をや歯磨きをする姿は、なんとも可愛らしく滑稽です。
ヨーロッパで“ワニの涙”とは“ウソ泣き”を表す慣用句なのだそうです。ワニが空涙を流しながら獲物を捕ったり、目を潤ませながら獲物を食す姿からこの表現が生まれました。この本でもワニはしたたかに人間生活に馴染み、悪さをした後はウソ泣きをして雨上がりのような大きな水たまりを作るのです。
かの有名なレイモン・サヴィニャックと同時期にフランスでポスター作家として活躍したアンドレ・フランソワによる数少ない絵本としても注目されている1冊です。
かの有名なレイモン・サヴィニャックと同時期にフランスでポスター作家として活躍したアンドレ・フランソワによる数少ない絵本としても注目されている1冊です。
『にじのみずうみ』 坂本鉄男(文)いわさきちひろ(絵)偕成社
湖に住む水の精オンディーヌに恋をした魔法使いは、あの手この手でオンディーヌを手中に収めようとしますが、いつも失敗ばかり。途方に暮れた魔法使いは、仲間のマザレばあさんに助けを求めて知恵を得ます。
さて、魔法使いはオンディーヌへの想いを実らせることができるのでしょうか。
さて、魔法使いはオンディーヌへの想いを実らせることができるのでしょうか。

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このお話はイタリア北部で語り継がれてきた伝説。舞台となるカレッツア湖は、オーストラリアとイタリアの国境付近に位置しています。針葉樹の深い森に囲まれた小さな湖からは、オンディーヌの澄んだ歌声が今にも響いてきそう。いわさきちひろさんの透明感のある水彩はどこか儚く、国境沿いの複雑な地に生まれたお話とシンクロして幻想的な風景を思い起させてくれます。そして肝心なところでミスをしてしまう魔法使いの行動がちょっぴりと苦味を効かせていて、味わい深い作品です。
お好みの本は見つかりましたか?

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絵本は時に私たちを笑わせてくれたり、ホッと癒してくれたり。そして絵本の厳選された文と絵は、時に想像の翼をふわっと広げてくれることがありますね。
それはまるでどんよりとした梅雨の空とじめじめを忘れさせてくれる処方箋のようです。時にはお気に入りの一冊を読み返しながら、梅雨のひと時を穏やかにお過ごしくださいね。
画像のご協力ありがとうございました
みなさんはどんな「雨の音」が好きですか?
弾ける音、遠くのほうから聞こえる静かな音、リズムを奏でる歌声のような音…、いろいろな音が浮かんでくるのではないでしょうか。
雨音にはリズムや強弱があるだけでなく、聞く場所や時間によっても異なる音を聞かせてくれて本当に奥が深いです。もしお外からも絵本からも心地いい雨の音が聞こえてきたら、これまでにない雨の1日を楽しむことができるかもしれませんね。今回は、どこからともなく素敵な雨音が聞こえてきそうな創造性豊かな絵本たちをご紹介します。雨の日のお供にいかがでしょうか。