小川洋子『猫を抱いて象と泳ぐ』
アリョーヒンは、実際に存在した棋士で、美しいプレイのスタイルから「盤上の詩人」と呼ばれていました。また、猫を抱いてチェスをしている写真も残されています。
たくさんの因果が折り重なって進んでいくストーリーは、チェスのルールをよく知らなくても、芸術的なチェスマッチのように感じられるはず。
夏目漱石『吾輩は猫である』
谷崎潤一郎『猫と庄造と二人のをんな』
猫を取り巻く複雑な人間関係を描いた『猫と庄造と二人のをんな』。主な登場人物は、猫のリリー、庄造、庄造の妻・福子、庄造の元妻・品子です。
物語は、品子が福子に宛てた「リリーを譲ってほしい」という内容の手紙から始まります。3人の立場や利害関係が異なるがゆえに、3人それぞれに対して、同情の余地や、腹立たしい部分を感じることでしょう。
無邪気なリリーに踊らされる人間たちの姿から、猫の小悪魔的な魅力に気付かされます。
エドガー・アラン・ポー『黒猫』
江戸川乱歩をはじめ、多くの日本の作家にも影響を与えたエドガー・アラン・ポー。『黒猫』も、怪奇小説として名高い作品のひとつです。
元々は猫や動物が大好きで、優しい心の持ち主であったにも関わらず、アルコールによって徐々に別の人格へ変わっていく主人公。猫好きさんとしては、心が痛くなるような残酷な場面が多い作品ではありますが、猫の神秘的な側面を大いに感じることができます。
宮沢賢治『猫の事務所』
かま猫は、煤で汚れているせいで、他の猫たちから嫌われ、いじめられてしまいます。それでも、かま猫は、エリート猫しか入れない『猫の事務所』で、書記として堅実に働きます。
「猫」をきっかけに新たな本と出合って*
ちょっぴり難しいかなぁ?と思う純文学の作品でも、猫が登場するものなら、きっと楽しんで読めるはず。「猫」をきっかけに、あなたの読書の幅を広げてみてはいかがでしょうか?
物静かで人見知りな猫たちは、多くの作家や小説家からも愛されて、文学作品に登場することも少なくありません。この記事では、そんな猫の魅力を再確認できる、「猫」がテーマの文学作品をご紹介していきます。