美しい生き方とは? 人生に通じる言葉を味わう、心豊かな秋時間を
本の中で触れられる「心豊かな、美しく生き方」は、きっとズシンと心に響くものがあるはず。
とくに、自分軸ではなく、他人軸で生きてしまいがちだったり。あるいは、会社の肩書や家庭内での役割から、自分の存在価値や生きる意味を見失いそうになってしまったり――。そのように日々なにかに忙殺され、心に余裕をもてずに生活してしまっている方におすすめしたいです。
酸いも甘いも噛み分けてきた人生の大先輩たちの生き方から、自分にとって大切なメッセージを見い出して、味わってみて。現代では見失いがちな、大切なことにも気づくきっかけにもなることでしょう。
『たしなみについて』 白洲正子著
明治から平成までを「女性」という枠にとらわれることなく自由に生きた、随筆家・白洲正子さん。裕福な華族の家に生まれ、14歳にしてアメリカ留学を果たした正子さんの生き方は、当時の女性にとってはまさに「夢」を体現する女性像だったといえるでしょう。
『たしなみについて』は、正子さんが「女性の新しい生き方」を綴った一冊。1948年の初版から70年を迎える今も愛されるベストセラーです。文体が古いため、やや時代の違いを感じるところもありますが、毅然と、美しく生きていくための心がまえが散りばめられています。没後20年経ったいまも、彼女の「自分らしい生き方」は、私たちの目にかっこよく映りますよ。
その体験のひとつひとつが、人生をより豊かに、そして凛と生きていく叡智の基礎となる――。そのように、社会の枠や常識にとらわれることなく、自由に、そして失敗を恐れずに何事も経験しようとする正子さんの生き方は、今も私たちの心に響きます。
『乙女の教室』 三輪明宏著
老若男女問わず、幅広いファン層から高い支持と憧れを集める麗人、三輪明宏さん。激動の人生を歩きながらも、つねに「誇り高く、美しく生きる」ことを提言し続けた三輪さんの言葉には、人の心を掴む圧倒的な力があります。
人生の表と裏、酸いも甘いもすべて知り尽くした三輪さんの言動に、心揺さぶられ、涙する人も少なくありません。
ご紹介する『乙女の教室』は、人気女性雑誌「MORE」での、10年にわたる連載エッセイをまとめたもの。「乙女力」は、年齢には関係なくいつまでも持ち続けたいものですよね。
三輪さんは本著で「美しく生きるとは、どういうことなのか?」という問いに対して、わかりやすく、すーっと素直に心に染み込んでくる珠玉の言葉で返してくださっています。日本の美徳など、今の私たちが忘れがちなことにも気づかせてくれます。
常に新しいことに目を向け、学び続ける姿勢があってこそ、周りへの気遣いと謙虚さが生まれてくる。そんなメッセージを受けて、ちょっといい女、“乙な女”を目指したくなります。
『置かれた場所で咲きなさい』 渡辺和子著
2016年に帰天した、渡辺和子さん。ノートルダム清心女子学園の理事長として数多くの学生の育成に尽力したシスターですが、9歳のころ、二・二六事件で父親を目の前で亡くした彼女の人生は、苦難と波乱に満ちたものだったといえましょう。
「いかに、心豊かに、そして穏やかに生きることができるのか」を模索し、体現し続けたシスターの生き方は、今もなお世代を超えて支持されています。
ご紹介する『置かれた場所で咲きなさい』は、渡辺和子さんの最大のベストセラー本です。
人生には、「こんなはずじゃなかった」と、何もかも嫌になるような瞬間がつきまとうもの。ですが、時間の使い方は、言い変えれば「命の使い方」そのものであると、シスターは人生について、やさしく諭してくれます。
だからこそ、「いま」置かれている状況のなかで、精いっぱい「咲く」努力を。思わずはっとさせられるメッセージが詰まっていますよ。
本著にはキリスト教の観点に基づいた言葉やヒントが数多く記されていますが、その言葉に押しつけ感がなく、さらりと日常生活に溶け込んでくる優しさにあふれています。
『大家さんと僕』 矢部太郎著
お笑いコンビ「カラテカ」の矢部太郎さんが一躍注目を浴びるきっかけになったのが、『大家さんと僕』。
80代の上品な大家さんと鳴かず飛ばずのトホホ芸人の矢部さん(僕)の「一風変わった二人暮らし」を、ほのぼのタッチの綴ったコミックエッセイです。矢部さんが初めて描いた漫画ながら、第22回「手塚治虫文化賞 短編賞」を受賞したことでも話題になりました。
読者は本著を通し、矢部さん目線で、人生の大先輩である大家さんと触れ合う体験をしていきます。大家さんにとって「助け合い、思いやる心をもつ」ことは、親しい人だけでなく、他人に対しても、当たり前のもの。さりげなく、現代を生きる私たちが希薄になりがちなことを、ハートウォーミングにやさしく諭してくれます。
『くまのプーさん』 A.A.ミルン著
ウォルトディズニーのおなじみの人気キャラクター、くまのプーさん。1926年にA・A・ミルンが発表した児童小説が原作となっています。
A・A・ミルンは、息子のクリストファー・ロビンがお気に入りだったテディベアに着想を得て、この『くまのプーさん(Winnie-the-Pooh)』を執筆したそう。90年以上もの間、世界各国で幅広いファンから愛され続けている『くまのプーさん』は、まさに文学史に残る名作といえるでしょう。
綴られているのは、「100エーカーの森」で繰り広げられるプーとその仲間たちの物語。児童書とはいえ、「人生の本質」を純粋な目で見極めるプーの言葉は、大人の私たちにも「生きることの意味」を提言してくれます。
先日から、くまのプーさんの初の実写版映画『プーと大人になった僕』が公開されています♪ 映画鑑賞前に、あらためて原作を読み返してみるのもおすすめ。
「仕事って、ぼくの赤い風船より大事なことなの?」 そう問いかけるプーに、あなたは何て、答えますか。
美しく生きるためには、プーのように、物事を純粋に捉える眼と豊かな感性が不可欠。改めてそのようなことに気づかせてくれる、珠玉の作品です。
まとめ|「美しい生き方」のヒントを本から見つけてみましょう
いかがでしたか。本との出会いは、偶然のようで必然であることも。その時心に響く本が、あなたの運命の一冊になるかもしれません。
今回ご紹介した本は、忙しいキナリノ女子のみなさんがホッとする時間に気軽に手に取れる本ばかり。あたたかいコーヒーやココアを片手に、「美しい生き方」や「心豊かな生き方」、そして「人生の大切なもの」を改めて見つけることができるヒントを気軽に探してみましょう。
「美しく生きる」ために、気負う必要はありません。平成最後の秋は、自分を見つめることができるような良書に出会えるとよいですね。
ちょっと特別な、平成最後の読書の秋―――。あなたはどんな一冊を選びますか?
仕事や家事にと忙しく過ごしているキナリノ女子の皆さんの中には、「本を読む時間がない!」と思う方もいるでしょう。でも、心に余裕がなくなると、毎日が味気なく過ぎてしまいますよね。
今年の読書の秋は、特別な心に残るひと時を。少し日々の忙しさを忘れる時間を設けて、『心豊かに、美しく生きるヒントが散りばめられている本』を手に取ってみてはいかがでしょう?