敷居が高い・・と身構えず、歌舞伎の世界への扉をひらいてみて。
今回は、そんな人気の理由ともいえる、「歌舞伎」の魅力・楽しみ方をわかりやすく紐解いていきます。
初の観劇時は少し緊張するかもしれませんが、これからご紹介するポイントをおさえれば、少しは肩の荷が下りるはずです。幕が上がったら最高の歌舞伎役者が繰り広げる演目の世界を、心が感じるまま愉しみましょう!
そもそも「歌舞伎」とは?
歌舞伎の歴史は、約400年前までさかのぼり、出雲の阿国が男装をして「かぶき者」を演じたことが歌舞伎の発祥とされています。その後、江戸で「庶民向けの娯楽」として親しまれるようになり、現在の歌舞伎へと発展してきました。
現在も上演中に客席から役者にかかる「○○屋!」や「待ってました!」という掛け声は、歌舞伎が高価な芸能ではなく、庶民にとって身近な娯楽であったことの名残といえるでしょう。
歌舞伎の舞台は、セットが豪華なだけでなく、役者が着用する衣装、カツラ、小物にいたるまで、プロの職人の手づくりによるもの。
煌びやかで華やかな歌舞伎の世界は、芸達者な役者だけでなく、本物にこだわる職人の情熱が詰まった、総合芸術といえるでしょう。
「歌舞伎」にハマる楽しさってどんなところ?
一度観たら虜になるかっこよさ!魅力ある「名役者たち」
歌舞伎界では、長い歴史の中で「名役者」と称される素晴らしい役者たちが看板を背負い続けています。歌舞伎の代名詞でもある故・市川團十郎をはじめ、市川海老蔵、中村勘三郎、女形では人間国宝になった坂東玉三郎などは、歌舞伎初心者でも聞いたことがあるでしょう。
役者名は代々襲名されて受け継がれており、なんと400年以上受け継がれている名前もあります。
「名役者」の凄さを感じるのは、同じ演目であっても、容姿や身のこなし、見得などの迫力によって、その演目の面白み、印象が大きく変わること。歌舞伎の醍醐味の一つともいえます。
ある歌舞伎役者の粋なカッコよさを、舞台で目の当たりにした途端、その役者のファンになって、歌舞伎にすっかりハマってしまう・・・ということも少なくないありません。
豊かな人情味あふれる「演目」
どの演目も日本人特有の“人情味”を感じられることが特徴的。時代を超えても、人の情とは変わらないもので、いまも歌舞伎が愛され続けている理由なのでしょう。
そのように、歌舞伎で演じられる登場人物が抱く豊かな感情は現代人と共通するものも多く、古さが感じられません。気が付けば物語の世界にすっかり引き込まれていることもありますよ。
早速観てみたいと思ったあなたへ。おすすめの「演目」&「劇場」
初心者さんでも分かりやすい「演目」は?
【勧進帳(かんじんちょう)】
時代物の代表演目です。兄・頼朝に追われる主君である源義経を守るために、武蔵坊弁慶が勧進帳を朗々と読み上げる見せ場は圧巻!
【京鹿子娘道成寺 (きょうがのこむすめどうじょうじ)】
主人公の花子がかつて恋した男を想うあまり、道成寺の鐘の上で大蛇と化した悲恋もの。8回の早変わりする女形の華やかな衣装としなやかな舞が、見どころの演目です。
【六助】
華やかな吉原を舞台に、江戸一番の色男「六助」と花魁「揚巻」が織りなす、笑いあり、厚い人情ありの、痛快な世話物歌舞伎です。歌舞伎役者の粋なカッコよさ、美しさにため息が出る人気演目です。
(画像はイメージです)
初心者さん向けの「劇場」は?
歌舞伎の劇場で観劇するなら、まず、事前に「座席の種類」をおさえておきましょう。
一例ですが、歌舞伎座では、一等席(1階、2階の前方席 18,000円)、二等席(1階、2階の後方席 14,000円)、三階A席(三階前方席 6,000円)、三階B席(三階後方席 4,000円)が基本的な座席の種類となっています。
その他にも、ボックス席となる桟敷席(20,000円程度)や、一幕だけ観劇できる幕見席(1,000~2,000円程度)が用意されています。
歌舞伎の座席の種類によってチケットの値段が大きく変わってくるので、歌舞伎初心者の方には予算にあった座席を選ぶのもおすすめです。
歌舞伎座 @東京・銀座駅
歌舞伎を観るなら、まず歌舞伎座へ!
東京・東銀座にある歌舞伎座は、1年を通して歌舞伎を上演している「歌舞伎の殿堂」ともいえる劇場です。その風格ある外観から「敷居が高い」という印象を受けがちですが、歌舞伎の世界観を本格的に感じるにはベストな場所です。
明治22年の開場以来、5度の立て直しを経て、2013年に改修。新たな歴史を歩み始めた歌舞伎座は、商業施設も充実している複合施設となっているため、歌舞伎の観劇以外でも楽しめる劇場として注目されています。
国立劇場 @東京・半蔵門駅
大阪松竹座 @大阪・なんば駅
【おまけ】歌舞伎初心者さんへのとっておき情報
「筋書き」と「イヤホンガイド」を活用しよう
歌舞伎は、古典芸能ゆえに、独特な表現や台詞まわし、演出があり、初めて観劇する方にとっては演目の流れが掴みづらいこともあります。そんな時は、劇場内で貸し出しをしている「イヤホンガイド」、「筋書き」を活用するとよいでしょう。
「イヤホンガイド」は、舞台を観ながら物語の展開や歌舞伎の楽しみ方をガイドしてくれて、まさに初心者におすすめ。手のひらに収まるサイズなので観劇中も邪魔になりません。
「筋書き」は、演目や見どころなどが書かれている、プログラム冊子のようなもの。価格は1500円程度ですがよい記念になりますよ。なにより、演目が分かるのと、分からないとでは、満足度が大きく左右されますので、初めての際は頼りになるはずです。
初心者に優しい歌舞伎「スーパー歌舞伎」「シネマ歌舞伎」を観てみよう
伝統を受け継いでいる古典芸能でもある歌舞伎ですが、近年、歌舞伎初心者に向けた、とても優しい内容・構成の歌舞伎もあります。特に、現代にアレンジされた歌舞伎「スーパー歌舞伎」は大人気!
歌舞伎特有の見得やポーズなど見せどころをしっかり押さえながらも、迫力ある宙吊りや立ち回り、ロック調の音楽を取り入れた新しい歌舞伎の世界を楽しむことができます。
まとめ:時を経ても色あせない、「歌舞伎」の魅力に触れてみて
江戸時代から受け継がれてきた「歌舞伎」は、日本人特有の情緒あふれる演目が揃っています。「伝統芸能だから…」と身構えなくても、あなたの胸を打つ魅力を秘めていますよ。
初観劇では演目すべてを理解しようと意気込まず、時代を超えた歌舞伎の魅力を心が感じるままに楽しんでみてはいかがでしょう♪
そんな歌舞伎を、実際に鑑賞したことがあるかというと……「興味はあるものの、劇場で歌舞伎観劇するのはちょっと」と、躊躇してまだ行けてない方が多いのでは。日本では、歌舞独特の表現方法や世界観に対し「敷居の高い世界」というイメージを持つ方が少なくありません。
しかし一方で、“歌舞伎女子”という言葉が生まれるほど、若い女性たちが歌舞伎にハマるという現象も。もしかすると、あなたも歌舞伎の魅力を知れば、新しい世界が開けるかも!
近年、若い歌舞伎役者たちの活躍が目立ち、若い層から年配層まで、幅広いファンを魅了する「粋なエンターテイメント」として再注目されているのです。