こぎんざしは、青森県で生まれた庶民の暮らしを支えつつ、豊かに彩った刺繍技法です。今のように衣服が手に入りにくかった昔々、庶民の着物であった麻は目が荒く、雪国の冷たい風にはさぞこたえたことでしょう。当時の人々は、風が通り抜けないように、着物に木綿の糸で刺繍をしたのですが、これが津軽こぎんざしの元になったと言われています。
時代が進み、庶民が木綿の服を着られるようになるといったん廃れてしまいますが、柳宗悦らの民芸運動での再評価を得た現代、ふたたび趣味人の刺繍クラフトとして人気を集めています。
こぎんざし用の縦糸横糸がしっかりした布(コングレスなど)と、ふつうの刺繍糸とこぎん針(太くて先の丸い針です)さえあればすぐはじめられます。
※画像は筆者撮影
こぎんざしの伝統模様は縦長のひし形が多く、それらを単独、あるいはつなげて模様としています。抽象化された図柄は幾何図形が多いためか堅苦しいイメージもあるのですが、実物は布の風合いが暖かい、身につけていて落ち着く図柄です。
「ハナコ(花)」「ネコのマナグ(ネコの眼)」などは、ユニークな模様として今に知られています。
画像で挙げた以外にも、やすこ刺し、島田刺し、べこ(牛のこと)刺しなど、ユニークなモドコはたくさんあるんですよ。
※画像は伝統柄を元に筆者が作成したものです
太めの刺繍糸の素朴さと、幾何学模様を多様した「モドコ(模様)」が特徴的なこぎん刺しは、現在の青森県で生まれた日本の伝統刺繍の一つです。触ると糸のふくらみがぽってりとしていて目にも福々しく、しっかりとした布地に仕上がるので、バッグやブックカバーなど丈夫さが必要なものへの活用にもオススメです。
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