大切な器が生まれ変わる。偶発的な美しさが魅力の"金継ぎ"
金継ぎされた白い器。
金のラインが入ることで動きと味わいが生まれています。計算してできる線ではないのがおもしろいですね。
金継ぎキットや教室も人気
現在は、各地で“金継ぎ”のワークショップが開催される他、手軽に楽しめる「金継ぎキット」も販売される程に人気を博しています。
【画像は、陶芸家イトウサトミさんの金継ぎワークショップの様子】
日本独特の美意識の結晶、素晴らしい伝統技術・芸術として評価を受け、注目を浴びています。YouTubeには外国人による“金継ぎ“の紹介動画が数多くアップされるばかりか、日本国内には“金継ぎ”エキスパートとして活躍している外国人も在住している程です。
“金継ぎ”はけっして難しいものではなく、基本的な流れと材料があれば誰でも気軽に取り組めるものです。記事を参考にして、割れたり欠けたりした大切な器を、ぜひ楽しみながら再生してみましょう。
“金継ぎ”の基本的な流れ
1.割れた器・破片を用意し、マスキングテープやセロテープなどで断面以外を全て覆います。
2.接着材となる漆を断面に塗布します。
3.破片を貼りあわせ、元の形に戻します。
4.漆が乾いたら、断面からはみ出た漆を平らに削ります。
5.継ぎ目に塗った漆の上に金粉を蒔き、のせていきます。
6.再び乾燥させて、耐水性のペーパーサンドで磨きます。
7.最後に〈鯛の牙〉を用いて磨き上げて、金継ぎの完了です。
鯛牙や瑪瑙を用いた、作業工程最後の“磨き作業”。
分かりやすい動画で予習
ワークショップをのぞいてみましょう
全国各地では“金継ぎ”のワークショップが数多く開催されています。ワークショップでは、“金継ぎ”のプロが手取り足取りレクチャーしてくれる他、材料も用意されているので、初めて取り組む方はワークショップや教室に参加されても良いでしょう。
手仕事屋久家
東京都・杉並区にある金継ぎ教室「手仕事屋久家」。外国の生徒さんも楽しく取り組んでいらっしゃるようですね。
KONTACTO EAST
東京都・港区にあるイベント企画会社「KONTACTO EAST」。そのスタジオで、金継ぎのワークショップが行われています。
講師は「金継ぎ Oh! LaLa (キンツギウララ)」を主催される笹原みどりさんです。
D&DEPARTMENT
全国に展開するD&DEPARTMENT PROJECTは“「ロングライフデザイン」をテーマとするストアスタイルの活動体”。
時折“金継ぎ”ワークショップが開催され、また東京店では奇数月に金継ぎの受付をしています。(詳細は以下のリンク先へ)
金継ぎは誰でも楽しめる!
“金継ぎ”は素人でも手軽に取り組めるだけでなく、その成果に十分に満足することが出来ます。
以下は楽しんで取り組んでいる方々の作品です。画像を眺めれば、きっと取り組みたくなるはず。
金継ぎは伝統的な技法ですが、初心者でも十分取り組めます。
“金継ぎ”の魅力は、器がただ再生するだけではありません。
素敵な風情が生まれることこそ、“金継ぎ”の魅力。
こちらは横山拓也さんの黒碗。見事に作品として生まれ変わっていますね。
お気に入りの器や大事な器。
欠けただけで廃棄するのは“モッタイナイ!”。小さな欠けなら修復は容易です。
金継ぎで生まれ変わった皆さんの器
白いシンプルな器も素敵ですが、金継ぎをすると動きが出て華やかな良いアクセントに。
キリッと引き締まった黒のお皿に金継ぎのアクセントがモダンな雰囲気。
まるで最初からこんなデザインだったかのようにしっくり馴染んでいます。
程よいリズムが生まれ素敵なデザインに
欠けたり割れたり。
でもそれは、再生する絶好の機会なのかもしれません。
金継ぎは、陶器ばかりではなく、ガラスも適用可。
お気に入りの“香水瓶”がこんなにも素敵に修復されました。
手軽に楽しむ「金継ぎキット」
TSUGUKIT つぐキット金
道具一つ一つを揃えるのは…と二の足を踏んでいるのは、実にもったいないこと。
家で手軽に取り組める「金継ぎキット」が、各メーカーから様々に販売されています。初心者ならまずはキットでトライしてみましょう。
(株)目白 金継ぎ-金繕いセット
こちらの金継ぎセットもおすすめ
初心者におすすめ。"新うるし"の簡単金継ぎキット
新うるし(販売元により呼び名が異なります)は、主に植物性の樹液を原料とした、釣り具を塗装するための合成塗料。もともと食器用ではないため、直接口に触れない部分などに使用することをおすすめします。
イイホシユミコさんの器のリムの部分に施した新うるしのお直し。直接口に入らない部分だからと、ふぐ印の金継ぎセットを使用したそう。小さな欠けであれば、自宅で治せるのは嬉しいですね。
本を読んで学ぼう!“金継ぎ”の書籍
『おうちでできる、おおらか金継ぎ』
『金継ぎ一年生』
初心者でも簡単にできる方法がわかりやすく書かれているこちらの本。読んでいると「私でもできそう!」とわくわくさせてくれる本です。
おわりに
壊れたものを再び使うということよりも、偶発的に生まれたヒビや欠けに新たな“美”を発見し、また風情を感じることにこそ、「金継ぎ」の魅力です。
ご自身の手で修復すれば、気に入った器が再生される喜びとより一掃の愛着が湧いてきます。また日本独自の美意識を肌で感じることが出来るはず。ぜひ興味のある方は挑戦してみてください。
壊れてしまった器が元の形に堅牢に修復されるのは、実に嬉しく大きな喜びがあります。
でも、“金継ぎ”の最も大きな魅力は、偶然のヒビや欠けに装飾された「金」によって、元の器とは違った“風情”と“味わい”が出てくることにあります。