日本舞踊や茶道をはじめとした日本古来の文化には、『型』を身につけることで、心を正しく美しく磨いていくという考え方があります。
美しい言葉は、美しい心をつくります。
言葉は、人と人とがコミュニケーションをするために生まれました。ときに言葉は、想いを伝える贈りもののような役割を果たします。
醜い言葉は、人の心を汚します。同じ言葉を使うならば、美しい言葉を使って、いつだって清らかな心でありたいものです。
自分の気持ちに素直になれる魔法の言葉たち
ごめんねとありがとう
ごめんねとありがとう
足してそれを2で割ると
答えは愛なんだと気づいた
― アンジェラ・アキ "ANSWER"より ―
「ごめんなさい」と「ありがとう」をちゃんと伝えることは、身近な人へ敬意を忘れないでいることに一役買います。どのような距離感の関係であっても、「ごめんなさい」と「ありがとう」を言葉にすることは、とても大切なことではないでしょうか。
さようならは、「じゃあね」じゃなくて「またね」がいい
「じゃあね」というと、「さようなら」のニュアンスが強まります。一方、「またね」は、「また会える」、「また会いたい」というニュアンスが強まる言葉。たとえ、いつまた会えるかわからないようなときだって、「いつかまた会おう」という期待感を漂わせることができる素敵な挨拶言葉です。
1日1日をもっと大切にしたくなる言葉たち
流れるままに生きてみる
人間の気持ちとは可笑しいものですね。どうしようもなく些細な日常に左右されている一方で、風の感触や初夏の気配で、こんなにも豊かになれるのですから。人の心は、深くて、そして不思議なほど浅いのだと思います。
― 星野道夫(写真家)―
ただ信じるという強さ
求めなくていい。
すべての良いものは、自然に訪れる。
― ある牧師の言葉 ―
多くを求めすぎると、ふいにすべてを失うときがあります。それは神様からの試練。わたしたちが受けとる準備ができているか、自分を超えた欲求を抱いていないか。あるがままに身をまかせ、心を愛と平安で満たしていれば、良いものは自然に訪れるということかもしれません。
自分を好きにならなくてもいい
自分を好きにならなくてもいい。
神様があなたを探してくださるから。
自分を探さなくてもいい。
だれかのために奉仕すること。
― ある牧師の言葉 ―
「人を愛するためには、まず自分を愛すること」
よく聞く言葉だし、それはとても大切なことだと思います。しかし、どうしても自分を愛することがむずかしくなることだってありますよね。
自分を無理に愛そうともがくより、誰かのために奉仕してみることで、道が開けることもあるかもしれません。
「誰かのために」が自分を救うときもある
「静寂」に耳を澄ませて。誰かを救うことは自分を救うことと同じなんだって。
― SEKAI NO OWARI "SOS" より―
人生で唐突にやってくる、どうしようもないほど辛いとき。そんなときは、周りの音をシャットダウンして、静寂に耳を澄ませてみましょう。手が届きそうなくらい満点の星空、生命の気配が漂う森…音のない世界に身を置き、静寂に耳を澄ませることは、自分の本当の心に耳を澄ませることにつながります。
「自分を救おう、自分が楽になりたい」と思っても解決の糸口が見つからず、八方塞がりになってしまったときは、誰かの力になれることを探してみてはいかがでしょう。
人は、人の中で生きていくしか道がありません。ならば、誰かに感謝されるようなことを無我夢中でやってみましょう。何も考えず、がむしゃらに誰かに尽くすことで、いつのまにか自分を取り戻していた、なんてことがあるかもしれません。
弱い自分をさらけ出すことも、強さ
大人になって気づいたのは、弱さは隠せるようになるだけで、強いわけじゃないということ。
― 蒼井ブルー(インフルエンサー、作家)―
大人になると、いつだって大人らしく行動しなければならないという"しがらみ"のなかで、だんだんと本当の自分を出す機会が減っていきます。だけど、大人になることとは、世間と折り合いをつけることでも妥協に苦しむことでもないはずです。そう思えば、もっと強くなれるし、自分にも人にも優しくなれる気がします。
子どもでもわかる、わかりやすい言葉を選ぼう
わかりやすい言葉、伝わる言葉、というのは、子どもでも理解できるようなやさしい言葉だと言われています。難しい言葉を並べたてるより、シンプルで明快な言葉の方が、人の心にすっと入ってくるのではないでしょうか。
ユニークな表現を楽しもう
たとえば「ほっこり」という言葉。数年前までは、あまり一般的に使われる言葉ではありませんでした。どこかぬくもりがあってやわらかそうで、心がぽかぽかしそうなやさしい印象の言葉ですよね。
平安時代の和歌を例にとってもわかるように、古来から非常に言葉遊びが好きな私達。形式に捉われず、イメージを言葉にする楽しみを味わってみるのも優美な遊びではないでしょうか。
美しい日本語を心にストックしよう
何気ない日常のひとこまも、さりげない自然の営みに目を向ければ、美しい世界が広がっています。
・空の鏡…月
・春告げ鳥…うぐいす
・花笑み…人の笑い顔を花の咲くことに例えた言葉
・風花 ( かざはな ) …冬の青空に舞う純白の雪を花びらに例えて
このように昔の日本人が季節の移ろいの中に、「美」や「楽しみ」を見出していたのだろうな、と想像できる豊かな言葉があります。
自然を表現した美しい日本語はこのほかにもたくさんあるので、これだ!という大好きな言葉に出会えるまで探してみるのも楽しいですね。
おわりに
感情や人間関係、自分自身の未来さえも、言葉ひとつで変わってしまうことがあります。どんな言葉を選ぶかは、生き方を選ぶことにも通ずるものがあります。キレイなもので日常を囲みたい、そんな欲求と同じように、キレイな言葉で日常を彩ることができたら、とても素敵だと思いませんか。
「誰かの言葉に励まされた」、「歌を聴いて元気になった」、「本を読んでイヤな気持ちが洗い流された」、「名言に勇気づけられた」…日々の暮らしの中で触れるたくさんの「言葉」たち。