古来より慣れ親しんだ日本茶の味。日常でほっと一息つくとき、客人をもてなすとき...様々な場面で、その時々に合わせた茶葉を選ぶのも乙なもの。おいしいお茶の横に、おいしい和菓子があれば、なおのこと良し。お茶の時間がより贅沢に感じられます。

季節感をコンパクトに表現する和菓子。ショーケースの中でずらっと並ぶとそれは豪華で目移りしてしまいます。大切な誰かのため、お客さまのため、自分のため...実際に手に取り口に運ぶ様子を想像しながら、選ぶのも楽しい時間。大人の嗜みとして、上質な和菓子のお店を覚えておきませんか？

1803年の創業以来、京菓子文化の伝統を守りつつ、現代の感覚も取り入れながら、上質で美しい和菓子を生み出し続ける「鶴屋吉信」。コレド室町にある「鶴屋吉信 TOKYO MISE」は、京都本店と同じく、熟練の職人が和菓子を作っている様子を間近に見られる趣向を凝らしたお店。できたての生菓子をその場でいただけるのは、なんとも贅沢。生菓子なので、日持ちはしませんが、大切なお客さまのおもてなしにいかがでしょうか。

赤坂に居を構える「塩野」は、華やかな土地にあって、茶道界、政財界など本物を知る人々から、強い支持を集めてきたお店。お店の看板ともいえる季節の生菓子は、種類も豊富で、四季折々の移ろいを五感で楽しませてくれます。上品な口当たりは一度味わったら虜になってしまうこと間違いなし。特別な時に訪れてみたいお店です。

福岡発の和菓子の名店「鈴懸」。東京では伊勢丹新宿店に店舗を出し、瞬く間に人気店になりました。人気の秘密は、厳選された素材を使い、常にフラットな視点で究極においしい和菓子を追及していること。コロンとかわいらしいルックスの「鈴乃最中」は看板商品。新潟産のもち米「こがねもち」の香り高さと軽い食感、中にぎっしり詰まったあんこの上品な甘さ、それぞれが溶け合った時のおいしさは言うまでもなし。特性の籠に入った詰め合わせなど、手土産にも最適な気の利いた商品が揃っています。

「萬年堂」といえば、銀座にある老舗の和菓子屋。「御目出糖（おめでとう）」というおめでたい名前の和菓子が有名で、お祝い事の贈り物や手土産として、人気があります。暖簾分けした「いいだばし萬年堂」では、さらに「ありが糖う」という商品も！あずき色の「御目出糖（おめでとう）」、ピンク色の「ありが糖う」、うぐいす色の「高麗餅」、それぞれを詰め合わせて手土産にするのも楽しい。もちもちとした食感と素朴な甘さがあとをひく和菓子は、食べやすくて老若男女に喜ばれそうです。

どらやき通な人も太鼓判を押す、上野の名店「うさぎや」のどらやき。表面がさくっとした生地は適度な弾力があって食べ応え十分。ほのかなはちみつの風味も華を添えています。こぼれおちそうなほどぎっしり詰まったあんこもまた贅沢で、内容に対しお値段が手ごろなのもありがたい。「THE どらやき」と呼びたくなるほどのおいしさに、夢中になってしまいそうです。

護国寺にある「群林堂」は、豆大福を求める人で、朝から行列ができる人気店。三島由紀夫や松本清張など文豪も愛したことで有名です。ごつごつとたっぷり入った豆の塩気と餡の甘さが絶妙で、それを柔らかく包む皮もまた絶品。行列が絶えないことも納得の豆大福、皮が固くならないうちに、ほおばりたいですね。

向島界隈で有名な桜もちのお店「長命寺」。昔ながらのスタイルで提供される桜もちは、江戸の粋を感じさせる和菓子。大きな桜の葉3枚に包まれて提供される様も珍しく、口に運んだ時の香り高さにも驚きます。桜並木が続く場所で、隅田川沿いを散歩しつつ、昔と変わらない桜もちの味を楽しむのも贅沢ですね。

浅草雷門前にある「亀十」は、いつも店前が賑やか。どらやきが有名で行列が絶えませんが、今回ご紹介したいのは、どらやきではなく、「松風」。ふわふわ、しっとりとした皮の食感、黒糖の風味、やさしい甘さの餡、すべてのバランスが秀逸で大人な味わい。素朴でいて洗練されている名和菓子です。