“打ちもの”を代表する「落雁」
茶席菓子、供物定番の「落雁」は、“打ちもの”と呼ばれる干菓子を代表する、伝統的な和菓子の一種。
米や大麦、豆や蕎麦、栗等などの穀粉に、砂糖や水飴、少量の水を加えて木型に詰めて抜き取り、加熱乾燥させて作ります。
伝統的な和菓子ですが、そのルーツは西から中央アジアと云われています。中国を経由し、室町時代に「日明貿易」を通じて日本へと伝わりました。
国内で広く知られるようになったのは、当時の茶道の勃興・浸透によるものです。「日明貿易」ルート以外にも、江戸時代には中国から長崎に伝わった落雁(口砂香/こうさこ)もあります。
干菓子に用いられる木型。
桜や樫(かし)等の堅い木に模様を彫り込むのは実に難しい作業です。京都市内には専門の職人はただ一人しかいないという話も耳にします。
“打ちもの”と呼ばれるのは、型に入れた菓子の生地を、まな板に“打ち付けるように”して取り出すことから。
材料も作り方も極めてシンプル。それゆえに、材料の質や職人の力量によって味が左右します。また色味やその姿にもセンスも問われるので、シンプルと言えども、非常に高度な技術とセンスが要求されます。
日本三銘菓-長生殿・越の雪・山川-
三銘菓の菓子は、全て「落雁」。「落雁」の美味しさにすでに目覚めているのなら、一度は“日本三銘菓”にあげられている、逸品を試していただきたいものです。長い歴史を経ながらも、今なお多くの人に支持され、その優雅な味わいを維持する“三銘菓”を紹介します。
石川県金沢市 「森八」の『長生殿』
- 住所
- 金沢市大手町10-15
- 営業時間
- [月]
09:00 - 18:00
[火]
09:00 - 18:00
[水]
09:00 - 18:00
[木]
09:00 - 18:00
[金]
09:00 - 18:00
[土]
09:00 - 18:00
[日]
09:00 - 18:00
[祝日]
09:00 - 18:00
[祝前日]
09:00 - 18:00
[祝後日]
09:00 - 18:00
■ 定休日
元旦、1月2日
- 定休日
- 平均予算
- ¥4,000~¥4,999
新潟県長岡市 「越乃雪本舗大和屋」の『越乃雪』
- 住所
- 長岡市柳原町3-3
- 営業時間
- [月]
09:00 - 17:30
[火]
09:00 - 17:30
[水]
09:00 - 17:30
[木]
09:00 - 17:30
[金]
09:00 - 17:30
[土]
09:00 - 17:30
[日]
定休日
■ 定休日
不定休(主に水曜日。公式サイトにて告知)
- 定休日
- 日曜日
- 平均予算
- ¥1,000~¥1,999
島根県松江市 「風流堂」の『山川(やまかわ)』
「山川」は手で割ると、凸凹とした形になります。
この姿が“山川”に見えるため、不昧公が詠んだ「ちるは浮き 散らぬは沈む 紅葉はの 影は高雄の 山川の水」と言う歌から「山川」という名がつきました。
落雁と一口にいってもその味わいは様々です。「山川」は、しっとりとした食感とほのかな塩味が特徴。このコンビネーションが絶妙の落雁です。
全国各地の「落雁」から
以下では、全国各地の和菓子店が販売する「落雁」の中から、オススメの落雁を幾つかピックアップして紹介します。和菓子の世界は奥深いものですが、「落雁」一つでも、その世界は多様で実に楽しいものです。「三銘菓」を抑えたら、現在人気の落雁もぜひ賞味してみましょう。
長野県・小布施町 「小布施堂」の『くりは奈』
- 住所
- 上高井郡小布施町808
- 営業時間
- [月]
09:00 - 17:00
[火]
09:00 - 17:00
[水]
09:00 - 17:00
[木]
09:00 - 17:00
[金]
09:00 - 17:00
[土]
09:00 - 17:00
[日]
09:00 - 17:00
■ 営業時間
食事 11:00~15:00
喫茶 10:00~16:00
栗菓子の販売 9:00~17:00
■定休日
年中無休
※季節により営業時間の変動あり。
- 定休日
- 平均予算
- ¥1,000~¥1,999 /¥2,000~¥2,999
京都・上賀茂 「長久堂」の『花面(はなおもて)』
- 住所
- 京都市北区上賀茂畔勝町97-3
- 営業時間
- [月]
09:30 - 18:00
[火]
09:30 - 18:00
[水]
09:30 - 18:00
[木]
09:30 - 18:00
[金]
09:30 - 18:00
[土]
09:30 - 18:00
[日]
09:30 - 18:00
■ 定休日
元日、1月2日
- 定休日
- 平均予算
- ~¥999
群馬県・館林市 「三桝家總本舗」の『麦落雁』
- 住所
- 館林市本町3-9-5
- 営業時間
- [月]
09:00 - 19:00
[火]
09:00 - 19:00
[水]
定休日
[木]
09:00 - 19:00
[金]
09:00 - 19:00
[土]
09:00 - 19:00
[日]
10:00 - 19:00
[祝日]
10:00 - 19:00
- 定休日
- 水曜日
- 平均予算
- ~¥999
愛知県・名古屋市 「両口屋是清」の『二人静』
石川県金沢市 「落雁 諸江屋」製・「蔵六園」の『寶船菓』
“北前船(きたまえぶね)”とは、江戸から明治時代にかけて、買積み廻船の名称です。ただ運送を担うのではなく、買積み廻船は、船主が商品を仕入れ、それを売買することによって利益をあげます。北前船は、下関からはるか北海道までその航路を開き、船主は巨万の富を築きました。「蔵六園」がある加賀市橋立町は、かつて日本一の富豪村(橋立村)と呼ばれていたほどです。
宝船が象られたこの落雁は、栗の味がほんのりと香る上品な味わい。蔵六園の風情と北前文化の栄華を感じさせる逸品です。
京都市上京区 「京とうふ 藤野」の『うさぎの豆乳らくがん』
京都市上京区 「UCHU wagashi」の「ochobo chai」
香川県東かがわ市 「ばいこう堂」の『和三宝』
- 住所
- 東かがわ市引田大川140-4
- 営業時間
- [月]
09:00 - 17:30
[火]
09:00 - 17:30
[水]
09:00 - 17:30
[木]
09:00 - 17:30
[金]
09:00 - 17:30
[土]
09:00 - 17:30
[日]
09:00 - 17:30
■ 定休日
1月1日~2日 5月の第3水曜日 10月の第1水曜日
- 定休日
- 平均予算
- ¥1,000~¥1,999
おわりにかえて-手作り和三盆糖「岡田製糖所」-
「落雁」の美味しさの決め手は、“口溶け”と“上品な甘み”。このどちらも、良質な原料と配合なくしては生まれません。同じ落雁でも価格の差が生じるのは、原料の違い。上質で高価な落雁の多くは「和三盆糖」を用いています。
サトウキビの絞り汁から、「和三盆糖」になるまでは、多くの工程を要します。200年の歴史をもつ、香川県・上板町の「岡田製糖所」では、今もなお、この工程一つ一つを手仕事で行っています。
「和三盆糖」という名の由来は、“三盆糖”から。「和三盆糖」の工程の中で重要なのは、“水で研ぐ”こと。
“水で研ぐ”という工程は、手水をつけて「白下糖(粗糖)」から糖蜜を抜くために練り、白い砂糖にしていく作業のことです。当初は、この作業を三回繰り返していたので“三盆糖”と名がついたと云われています。現在は、通常4,5回繰り返します。
ただ練るというのではなく、気温や湿度、時間や水の量、そして原料の状態等などの調整しなければならないことは多く、経験を積み熟練しなければ、研ぎ上げることは出来ません。
「落雁」は、高品質の原料を用いているだけではありません。
「落雁」には、職人技・伝統・歴史・風土・文化等など様々なものが含まれ、それら全てが結晶した菓子です。歴史の中で、様々な人間が交錯することによって文化が生まれ、広く伝わり、様々に展開された大きな文化的な成果なのです。
美味しい「落雁」を手にしたのなら、ぜひゆったりとした時の中で味わって下さい。
口に含むと、齧るそばからサラっとホロホロと崩れる「落雁」。
奥行きのある上品な甘みは、その姿同様に実に“優雅な味わい”。