北欧デザインに燦然と輝く巨匠 Hans Jørgensen Wegner
北欧のデザイン界の大巨匠ハンスJウェグナーは、生涯で500種類以上の椅子をデザインしました。彼の代表作はすでに半世紀以上の時を経過していますが、今もなお彼のデザインは古びることなく新鮮です。
以下では、1943年の“チャイニーズチェア(FH-4283)”から始まる、ハンスJウェグナーがデザインした代表作を発表年代順に紹介します。
巨匠ハンスJウェグナーの代表作
“チャイニーズチェア(FH-4283)” 1943
“チャイニーズチェア(FH-4283)”は、ハンスJウェグナーが30歳の時に、中国明時代の椅子からインスピレーションを得て生み出された椅子。
1944年以降、数年間製造されましたが、1963年にフリッツハンセン社が復刻し、現在でも製造されています。
1944年以降、数年間製造されましたが、1963年にフリッツハンセン社が復刻し、現在でも製造されています。
“ピーコック・チェア(PP-550)” 1947
チャイニーズチェアに次ぐ代表作は、孔雀が羽を広げたような「ピーコックチェア」。
華やかさと北欧らしい木の温もりが共存した見事なデザインは、現代の空間にも馴染む懐の深さがあります。
座ると安らぎを覚える、低い座面のハイバックチェア。
華やかさと北欧らしい木の温もりが共存した見事なデザインは、現代の空間にも馴染む懐の深さがあります。
座ると安らぎを覚える、低い座面のハイバックチェア。
“ザ・チェア(PP-501)” 1949
肘から背中に連なる笠木のラインが美しい「ザ・チェア」。
現在は、PPモブラー社が、革(PP503)と籐(PP501)の二種類の座面の「ザ・チェア」を制作。フレームは、オーク・アッシュ・ウォールナット・チェリーの4種類あります。
現在は、PPモブラー社が、革(PP503)と籐(PP501)の二種類の座面の「ザ・チェア」を制作。フレームは、オーク・アッシュ・ウォールナット・チェリーの4種類あります。
“Yチェア(CH-24)” 1950
カールハンセン&サン社の大ベストセラー「Yチェア」は、北欧家具を代表する名作中の名作。
“ザ・カウホーンチェア(PP-505)” 1952
ハンスJウェグナーの特徴的なデザインである「ジョイント」をアクセントにした「カウホーンチェア」。
牛の角(カウホーン)のような肘部の笠木は、ダイニングチェアにちょうど良い長さ。
座っていて安定感を覚える籐座面のカーブも素晴らしい。
発売当初はヨハネス・ハンセン社が生産していましたが、現在はPPモブラー社が製作しています。
ダイニングテーブルと調和する、笠木のフォルム。
牛の角(カウホーン)のような肘部の笠木は、ダイニングチェアにちょうど良い長さ。
座っていて安定感を覚える籐座面のカーブも素晴らしい。
発売当初はヨハネス・ハンセン社が生産していましたが、現在はPPモブラー社が製作しています。
ダイニングテーブルと調和する、笠木のフォルム。
“ヴァレット・チェア(PP-250)” 1953
ユーモラスで美しい“ヴァレット・チェア(PP-250)”。
オブジェの様な、この椅子は面白い仕掛けがいっぱい。
背部の独特の形は、「ハンガー」に。
座面を引き上げれば、「スラックス掛け」に。
座面の下は、「小物いれ」に。
一つの椅子で身の回りの品々が片付くので、「バレット(召使)」「バチェラーズ(独身者)」と呼ばれています。
オブジェの様な、この椅子は面白い仕掛けがいっぱい。
背部の独特の形は、「ハンガー」に。
座面を引き上げれば、「スラックス掛け」に。
座面の下は、「小物いれ」に。
一つの椅子で身の回りの品々が片付くので、「バレット(召使)」「バチェラーズ(独身者)」と呼ばれています。
“スリーレッグド・シェルチェア(CH-07)” 1963
“The Smiling Chair”とも呼ばれる「スリーレッグド・シェルチェア」。
1963年に発表したこの椅子は、当初は商品化されませんでした。その26年後にも試作されましたが、正式に商品化されたのは、1998年。35年を経て商品化出来るのは、ハンスJウェグナーのデザイン力の凄さを物語っています。
1963年に発表したこの椅子は、当初は商品化されませんでした。その26年後にも試作されましたが、正式に商品化されたのは、1998年。35年を経て商品化出来るのは、ハンスJウェグナーのデザイン力の凄さを物語っています。
“サークルチェア(PP-130)” 1986
サークルの曲げ木が印象的なこの椅子は、ハンスJウェグナーがデザインした当時、この曲線を木材で作ることは出来ませんでした。1980年代に入り、PPモブラー社の技術者によって開発された機械によって、ようやく“サークルチェア”は製品化されました。
ハンスJウェグナーのデザイン力もさることながら、PPモブラー社のモノづくりの情熱と高い技術力をも物語る、デザイン史上に輝く名作です。
ハンスJウェグナーのデザイン力もさることながら、PPモブラー社のモノづくりの情熱と高い技術力をも物語る、デザイン史上に輝く名作です。
“チャイニーズチェア(PP56/PP66 )” 1989
「PP56/66チャイニーズチェア」。
幾度もリデザインされてきた「チャイニーズチェア」ですが、この作品は1989年のもの。
1943年のFH-428から始まるチャイニーズチェア。1989年のPP56/66まで、9種類ものチャイニーズチェア発表されています。
幾度もリデザインされてきた「チャイニーズチェア」ですが、この作品は1989年のもの。
1943年のFH-428から始まるチャイニーズチェア。1989年のPP56/66まで、9種類ものチャイニーズチェア発表されています。
「PP66チャイニーズチェア」は座面がペーパーコード張り。
蒸気で曲げた美しい笠木。熟練した職人の手によって一脚一脚丁寧に作られています。
背面中央部に合板を採用することによって、適度なしなりが生まれ、快適な座り心地に。
蒸気で曲げた美しい笠木。熟練した職人の手によって一脚一脚丁寧に作られています。
背面中央部に合板を採用することによって、適度なしなりが生まれ、快適な座り心地に。
おわりにかえて “ハンスJウェグナーとPP社モブラー社”
17歳の若さで、木工マスターの資格を取得し、家具デザインをコペンハーゲンで学び、建築事務所で働いたハンスJウェグナー。木工職人としての腕と類まれなデザイン力で、数々の名作を世に送り出しました。
椅子は、人が心地よく座らなければ意味をなしませんが、その用を果たさない時も立体物として人の目に耐えうるものでなくてはなりません。人々のライフスタイルやデザイントレンドはその時々で変化し、一時的に流行した家具が、人々の厳しい目に耐えられず、廃れていくことは多いものです。
しかし、ハンスJウェグナーの作品群は、時の流れの中に埋没することなく、それとは逆に人を刺激し続ける力を未だに持ち続けています。
出典:www.flickr.com(@Jonas Forth)
それは、木工職人として素材を知り尽くした“知識”とデザインと構造を学んだ“ハンスJウェグナーの類まれなる才能”、そしてサポーターである“工房の技術力と情熱”あったからこそ生まれたものです。
出典:www.flickr.com(@robin red)
デンマークの家具職人の兄弟アイナー・ペダーセンとラース・ペダー・ペダーセンが始めた小さな工房から出発した「PPモブラー社」。この工房なくしては、ハンスJウェグナーのことを語ることは出来ません。二人の兄弟の木材に対する深い理解や妥協を許さない制作態度、そして高い技術力に、ハンスJウェグナーは強く共感し、心を分かちあうようにして、歴史的名作の数々を生み出してきました。この工房もまた、ハンスJウェグナーの作品を制作することを通じて、北欧を代表する名門工房へと成長しました。
出典:pixabay.com
PP社モブラー社が使用する大部分の木材は、デンマークとドイツの継続可能な森林から供給されています。
座面・フレーム・アーム・脚で構成される実にシンプルなハンスJウェグナーの椅子。余計なものが削ぎ落とされていますが、機能性と座り心地については最大限に追求されています。
そして制作する工房もまた、素材である木を一途なまでに愛し、何世代にもわたって耐えうる家具作りを追求してきました。ハンスJウェグナーの椅子が、今もなお光り輝くのは、この二つの飽くなき探究心があるからこそ。
二つの精神が合わさる時、名作が生み出されるのです。
いつか手に入れたいハンスJウェグナーの椅子
年を経るごとに、木が変化していくのもとても楽しみな一生ものの椅子。ライフスタイルに合わせて、少しずつ買い足すのも良いですね。
あなたの家に迎えたい椅子は見つかりましたか?
あなたの家に迎えたい椅子は見つかりましたか?
2014年に生誕100年を迎えた“Hans Jørgensen Wegner(ハンスJヴェグナー)”。