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vol.47 にじゆら・中尾雄二さん -欠点を美しさに変えて。にじんでゆらぐ、大阪生まれの染め文化

手ぬぐい専門店「にじゆら」は、堺市の染め工場・株式会社ナカニのオリジナルブランド。大阪で生まれた染色方法・注染(ちゅうせん)の文化を大切にしながらも新しいデザインに挑戦していくブランドとして、2008年に立ち上がりました。染料を注いで布を染める注染という技法においてはそれまで欠点とされていた特徴である、“にじみ”や“ぼかし”を美しさととらえたデザインや明るい色で人気です。今回は、その注染技法の様子と、ブランド立ち上げのお話を伺ってきました。(2016年09月30日作成)

写真:千葉亜津子 文:キナリノ編集部

天井の高い部屋の中、木の干し竿から何枚も何枚も手ぬぐいが垂れ下がり、窓からの午後の光と風に、染められたばかりの美しい色が踊ります。
さらし木綿でつくられる手ぬぐいは、カットする前の長さが22~23m。ここ大阪・堺市の染め工場では、一年中手ぬぐいが染められ、洗われ、干されています。
vol.47 にじゆら・中尾雄二さん -欠点を美しさに変えて。にじんでゆらぐ、大阪生まれの染め文化
「上、暑いやろう。なあ。水分しっかりとっときや」
残暑が厳しい作業場で7mほど上を見上げ、干し場で作業をする職人さんにそう話しかけるのは、手ぬぐい専門店「にじゆら」の代表・中尾雄二さんです。

「今上で干しているあの女の子は、見習いなんです。にじゆらをやるようになってからですよ。こんなに女の子が働いているのは」とおっしゃる中尾さんは、「にじゆら」ブランドを有する染め工場「株式会社ナカニ」の代表でもあります。
手ぬぐいの固定概念を覆すかわいらしさの「にじゆら」の手ぬぐい。お弁当包みにもぴったりで、女性に大人気です(画像提供:にじゆら)

手ぬぐいの固定概念を覆すかわいらしさの「にじゆら」の手ぬぐい。お弁当包みにもぴったりで、女性に大人気です(画像提供:にじゆら)

にじんでゆらぐ、独特の染め方で手ぬぐいをつくる

この日、にじゆらの手ぬぐいで作られたシャツを着て出迎えてくれた中尾さん。「楽園」という名前の柄には、花や果物、植物の中、鳥が自由に飛びまわっています

この日、にじゆらの手ぬぐいで作られたシャツを着て出迎えてくれた中尾さん。「楽園」という名前の柄には、花や果物、植物の中、鳥が自由に飛びまわっています

中尾さん率いる株式会社ナカニは、2016年に創業50周年を迎えました。オリジナルブランドである「にじゆら」を2008年に立ち上げるまで、約半世紀に渡って外部からの委託業務として手ぬぐいを染め続けていた株式会社ナカニ。「にじゆら」ではそれまでの手ぬぐいにはない明るい色やデザインに挑戦し、現在では大阪・東京・京都などの直営店のほか、多くの雑貨店やライフスタイルショップに並ぶ人気ブランドとなりました。
爽やかなデザインのにじゆら手ぬぐいと、大阪の空。手ぬぐいは乾くのが早く清潔さを保てるのも人気の秘密(画像提供:にじゆら)

爽やかなデザインのにじゆら手ぬぐいと、大阪の空。手ぬぐいは乾くのが早く清潔さを保てるのも人気の秘密(画像提供:にじゆら)

明るい色、現代的なデザイン、染めの技法を現代的に解釈した「にじゆら」の手ぬぐい。そのブランド名が指し示すように、染めの「にじみ」と「ゆらぎ」が特徴です。

「色と色が混ざり合って、じわーっとしているところがあるでしょ。これが“にじみ”ですね。“ゆらぎ”っていうのは、柔らかさの表現。この“にじみ”と“ゆらぎ”は、注染(ちゅうせん)という染め方で生み出される、うちの手ぬぐいの特徴なんです」と、中尾さん。
vol.47 にじゆら・中尾雄二さん -欠点を美しさに変えて。にじんでゆらぐ、大阪生まれの染め文化
大阪で生まれた、注染(ちゅうせん)という技法
注染(ちゅうせん)という染め技法はその漢字が示すとおり、染料を注いで布を糸ごと染める技法です。明治時代に大阪で生まれ全国に広がり、大阪・浜松(静岡)・東京が三大都市として発展しました。
もともと一枚ずつしか染められなかった染め方に対し、一気に何十枚も柄を染めることができないか、と生み出された染め方で、一度の染めで30枚~50枚ほどの重ねた手ぬぐいを染めることができます。

「一枚一枚染めてたら、とてもじゃないけど手ぬぐい一枚1000円台では売れません。注染は一度に何十枚も染められる、大阪で生まれた、超合理性の高い染め方ですわ(笑)」と、中尾さん。
重ねられた生地に上から“染料”を注いでいくと、上から下まで染料が染みこみ、染め上げられていきます。画像の布の下に、同じように染められていく手ぬぐいが何十枚も重なっています

重ねられた生地に上から“染料”を注いでいくと、上から下まで染料が染みこみ、染め上げられていきます。画像の布の下に、同じように染められていく手ぬぐいが何十枚も重なっています

しかし、合理性が高いと言っても「注染」はいわゆる機械染めではないので、その工程の全てが手仕事です。
例えば注染の工程には、プリントにはない"糊置き(のりおき)"という工程があります。プリントは生地にそのまま色をつけていきますが、注染の場合は染める前に、染めたくないところに糊を塗っていく作業があるのです。そして、これももちろん職人の手仕事。
複雑な柄が多いため、熟練の技術を要するにじゆらの手ぬぐい。糊置き職人さんは何人かいらっしゃいましたが、にじゆらの商品の多くは、こちらの職人さんによって糊置きがおこなわれているのだそうです

複雑な柄が多いため、熟練の技術を要するにじゆらの手ぬぐい。糊置き職人さんは何人かいらっしゃいましたが、にじゆらの商品の多くは、こちらの職人さんによって糊置きがおこなわれているのだそうです

「この“糊置き”もまあ、非常にデリケートな作業でして。何十枚分の生地を蛇腹にたたみながら糊を塗っていくのですが、その途中、例えば25枚目で1mmずれたっていうたら、それで柄がつぶれて染料が入っていきにくくなる。だから、重ねる度に、全部ピチーッと同じ位置に糊を塗っています。生地がふわふわしたらずれてしまうから、夏でも窓は開けられないし、もちろん扇風機も駄目ですね」
型の上から糊を塗り(写真左)、型をあげ、次に塗る生地を重ねます(写真右)。この作業を何十回も繰り返し、染めの作業へ進みます。右画像の白い部分が、このあと染色される部分です

型の上から糊を塗り(写真左)、型をあげ、次に塗る生地を重ねます(写真右)。この作業を何十回も繰り返し、染めの作業へ進みます。右画像の白い部分が、このあと染色される部分です

「それから、つける糊の量のコントロールも大事。糊が多すぎて柄がくちゅっとつぶれない量を見極めながら、生地の裏側にもしっかり糊をつけることで防染(ぼうせん)できるようにしなければいけませんので、とっても繊細な作業です。だから、生地はしわひとつつけれません。非常に簡単そうにやってますが、とても繊細な作業なんです」
作業の中で自然と指のかたちに木が深く削れていく糊置き用のヘラ。繊細な作業であると同時に、力強い作業であることを物語ります

作業の中で自然と指のかたちに木が深く削れていく糊置き用のヘラ。繊細な作業であると同時に、力強い作業であることを物語ります

(写真左)糊を塗られた生地は、一時保管で砂の上に重ねます。糊は泥と海草を練られ作られているため、作業場はまるで海のような匂い。(写真右)染めの作業場。糊置きの作業場と繋がっているため砂が床を覆いますが、画面左側へ行くほど染料が落ちた床が見えてきます

(写真左)糊を塗られた生地は、一時保管で砂の上に重ねます。糊は泥と海草を練られ作られているため、作業場はまるで海のような匂い。(写真右)染めの作業場。糊置きの作業場と繋がっているため砂が床を覆いますが、画面左側へ行くほど染料が落ちた床が見えてきます

染めの工程では、いよいよ染料が注がれ、生地が染め上げられていきます。染料がこぼれないように土手が施され、その後染料が注がれます。色の違う染料を同じ土手の中にいれることによって色同士がにじみ合ったり、入れる染料の量を調節しながらじわーっとにじんでいったりと、この染めの作業によって「にじみ」や「ぼかし」が生まれるのです。
土手をつくる作業と、染料を注ぐ作業

土手をつくる作業と、染料を注ぐ作業

糊置きをし、染料を注ぎ定着させ、糊を洗い、干したあとにカットをしてできあがる手ぬぐい。こうして作られていくことで、にじんでゆらぐ、プリントとは違う注染独特の味わいをもつ「にじゆら」の手ぬぐいが生まれます。
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認められていなかった「にじみ」こそ、注染の良さ

にじみを特徴とするにじゆらの手ぬぐい。ところが実は、この「にじみ」というのは、「染色業界では駄目な言葉だった」と中尾さんは言います。

「注染でできる良いにじみは、注染でしか出ない特徴なんですが、昔はね、『これ、にじんでるから駄目です』といわれることが多かったんです。つまり、にじんでいると製品としてははじかれる対象だったんですね」
vol.47 にじゆら・中尾雄二さん -欠点を美しさに変えて。にじんでゆらぐ、大阪生まれの染め文化
きっかけは20年前のある出来事
では、にじみは駄目だといわれる業界で、一体なぜにじみを特徴とする「にじゆら」を立ち上げることになったのか。そのきっかけを伺うと、中尾さんは20年ほど前に「固定概念や枠にとらわれる必要がない」と感じたという、こんなお話をしてくれました。

「あるとき、京都の手ぬぐい屋さんの仕事を請けることになりましてね。それは、そこの奥さんがデザインされてる柄やったんです。そのときに、『オレンジや赤の紅葉の柄の中に、まだ紅葉していないグリーンを入れて染めてください』と注文をいただきましてね。これは当時の僕らはびっくりなことです。オレンジや赤の綺麗な色の中に、くすんでしまうグリーンを打ってくれって言うんですよ」
vol.47 にじゆら・中尾雄二さん -欠点を美しさに変えて。にじんでゆらぐ、大阪生まれの染め文化
20年前のそのオーダーは、“べた染め”という、染めていない生地の白い部分を作らずに全面を色で染める注文だったのだそう。注染でべた染めをおこなう場合、隣り合う色同士がくっきりとわかれたプリントのような仕上がりにはなりません。そのため、紅葉のオレンジや赤と緑色が混ざり合うことは避けられませんでした。
いいのかな?と思いながらも
紅葉の色の中にグリーンを入れて染め上げた
「今だったらそういう配色は当たり前なんですけどね。でも当時は、それは汚い色になると思いました。それで、ジャンボさんという職人さんに染めてもらったんですけども、ジャンボとも『こんなん汚いよな』って話しましたよ。それまでやってきた仕事だったら、そんなん、完全に駄目だったんです。そのときの手ぬぐい業界は、そういう業界だったんです」

「でもまあ、『しゃあない。やってくれ言うてんやから。ジャンボ、二ヶ所くらい、どこでもええからグリーンを落としてくれ』と言って、ジャンボも紅葉の色の中にグリーンをポト、ポトって落とした。もちろん、グリーンはオレンジ色なんかににじんでいきます。出来上がりはね、それまで見たことがないものでしたよ」
vol.47 にじゆら・中尾雄二さん -欠点を美しさに変えて。にじんでゆらぐ、大阪生まれの染め文化
その手ぬぐい屋さんは京都の嵐山で店を出していらしたそうで、「自分たちが作ってる手ぬぐいが売られているところを見るチャンスはなかなかない」と思った中尾さんは、従業員を全員、京都のお店に連れていきます。

「そこは手ぬぐいをバッグにしたりもしていましてね。例の手ぬぐいも、鞄になってるわけですよ。しかもその鞄の目立つところ、ほぼ真ん中にグリーンがボーンと見えている」

まるで噺家さんのように、登場人物の会話を再現しながら中尾さんは続けます。

「ちっちゃいお店なんですけど、よう売る売り子さんがおって、その人、僕とジャンボに『これ人気あるんですよー。染めてくれたんですね、ありがとうございます』なんて言ってくれるんやけど、僕らは『はあー、人気あるのか』と目を見合わせましてね。『どこがいいんですか』と聞くと、『いやこのグリーンがもう、オレンジや黄色にポーンと効いてるのが良いんです』なんて言うから、僕らは二人して『はあー!そうですか!』と驚きまして(笑)」

注染の良さと技法を伝えていく

ふーっと息を吸いなおし、中尾さんは続けます。

「でもね、ああそうなんや、と。それまで僕らがいただいていた仕事ではオッケーが出ないことが、人気なんや、と。まだ、『にじゆら』をやるずいぶん前の話やったんですけど、そこはひとつ、目からうろこでした。そんとき『けっこうなんでもありやな』と思ったんです。ピチッとこう、プリントみたいに染めなんでもええんや、と」
「なんでもあり」の精神は、アイテムの展開にも反映されています。こちらはスカーフとしても使用ができる長さにカットされたもの。使うたびに柔らかく成長していく、手ぬぐいならではの風合いが楽しめます

「なんでもあり」の精神は、アイテムの展開にも反映されています。こちらはスカーフとしても使用ができる長さにカットされたもの。使うたびに柔らかく成長していく、手ぬぐいならではの風合いが楽しめます

それまでの手ぬぐいと比べ、にじゆらは「にじみ」を活かすデザインを強調しました。パステルカラーや西洋風のデザインを取り入れたにじゆらは、手ぬぐいの新しい使い方の提案などもしながら、着実にブランドのファン、そして若者層の手ぬぐいファンを増やしていきます。
しかしにじゆらのデビュー当時は、ほかの手ぬぐい業界の人に『タオルみたいや』『手ぬぐいやのに』と言われたこともあったそうです。

「でもね、それまでの限られた手ぬぐいファンの人たちを奪い合ってる場合ではないわけですよ。手ぬぐいのファンを増やしたかった。そしてもっと言ったら、注染のファンを増やさないとと思いました。だから注染は、実は『にじみ』っていうのが良いところやし、こんなところも良いし、と、そういう話をいっぱいいっぱい積み上げていきました。注染の良さと手ぬぐいの良さを訴え続けることで、今までにじゆらを広げて来たということですね」
ご祝儀袋にも手ぬぐいを。美しい柄と布のやさしい印象は、ハレの場にもぴったり。お祝いの席で活躍したあとは、ハンカチとして使えます

ご祝儀袋にも手ぬぐいを。美しい柄と布のやさしい印象は、ハレの場にもぴったり。お祝いの席で活躍したあとは、ハンカチとして使えます

ブライダルに華を添えてくれる、やさしい表情の柄も豊富。手ぬぐいが入っていた箱がそのまま額になるという「はこのちがく」は、結婚式でも活躍してくれます(画像提供:にじゆら)

ブライダルに華を添えてくれる、やさしい表情の柄も豊富。手ぬぐいが入っていた箱がそのまま額になるという「はこのちがく」は、結婚式でも活躍してくれます(画像提供:にじゆら)

プリントの良いところを知っているから、注染の良さもわかる
にじゆらの手ぬぐいは、株式会社ナカニがつくりあげる手ぬぐいのうちの約3割。残りの7割は商店街のお祭りの寄付集めに使われる手ぬぐいや、他社ブランドの手ぬぐいなのだそうです。また、「にじゆら」は100%注染(ちゅうせん)の技法で染められていますが、工場内では機械を使うプリントや、シルクスクリーンを使用しての色付けもおこなわれています。

「うちはプリントもやってますから、注染とプリント、どっちものいいところを知ることができる工場なんです。注染のいいところが“にじみ”なら、プリントのいいところはやっぱりきちっと色がつくから細かい柄も得意なところ」と中尾さん。
「注染は何色使っても型(かた)は一枚ですけど、シルクスクリーンは色の数だけ型が必要です」と、プリントの一種であるシルクスクリーンの説明をしてくれる中尾さん

「注染は何色使っても型(かた)は一枚ですけど、シルクスクリーンは色の数だけ型が必要です」と、プリントの一種であるシルクスクリーンの説明をしてくれる中尾さん

注染でプリントのようなものは作れず、プリントで注染のようなものは作れません。「それぞれのいいところは、それぞれに任せておいたら良いんです」と中尾さんは言います。株式会社ナカニがプリントと注染の両方の得手不得手を知っているからこそ、にじゆらの手ぬぐいは注染の良さを100%引き出せるのです。
まだまだ、大勢の人が注染を知らないけれど
そんなにじゆらでは、定期的に工場見学が可能です。また、中尾さんご自身も全国を飛び回りながら「注染のワークショップ」や「出張注染」などをおこない、東京のにじゆら店舗「染めこうば店」には、注染を間近で見ることのできる機械も導入しました。しかしそれでも、「注染(ちゅうせん)」という技法を知っている人はまだまだ少ないと中尾さんは言います。

「もっと皆さんに注染を知っていただきたきたくて、おととしの冬ごろから大体6000人ほどの方にいろんな場所で実演会やワークショップをおこなってきましたが、6000人いればね、5980人が、注染というものを『初めて聞いた』とおっしゃいます。えらいことに挑戦してしまったと思いますけど、僕はね、にじゆらを立ち上げたとき、それはひとつの使命やと思ってはじめました。注染という技法を皆さんに知ってもらう、守っていく、いうことですね」
染められたあとの「洗い」の作業をする職人さんたち。ベテランの職人さんたちに混ざり、若い職人さんが沢山いらっしゃいました

染められたあとの「洗い」の作業をする職人さんたち。ベテランの職人さんたちに混ざり、若い職人さんが沢山いらっしゃいました

実は、にじゆらをはじめる前は、職人さんも入ってこない状況だったという株式会社ナカニ。「若い方に受けいれられる良いものを作れば、それを自分も作ってみたいと思う人は出てくる」と話す中尾さんの言葉を裏付けるように、現在工場には多くの若い職人さんがいらっしゃいます。株式会社ナカニの工場は、技術が引き継がれ、文化が守られていく現場を見ることができる場所でした。

注染がにじめば、人柄もにじむ

にじゆらは多くのクリエイターやデザイナーといった作家とのコラボレーションをし、多くの柄を作り出しています。そしてそのひとつひとつは注染という手仕事の技法によってごくわずかに、一枚一枚仕上がりの違いがあります。にじゆらの手ぬぐいは、デザイナーの人柄がにじんだ後、職人たちの人柄までも、知らず知らずにじんでいく手ぬぐいなのです。
「にじゆら」を立ち上げるずっと前からナカニで注染を担当しているジャンボさんと、注染にあこがれ入社した木下さん

「にじゆら」を立ち上げるずっと前からナカニで注染を担当しているジャンボさんと、注染にあこがれ入社した木下さん

「さっきの話でも出た染め職人のジャンボさんはね、以前にじゆらでテレビのインタビューを受けたとき、にじみについて『染め上がらなわからん』『やってみなわからん』と言っていました。つまり、たとえばピンクと青を2cmにじませたいと思ったときに、お互いどれぐらいずつになってるかは染め上げてみなわからんのです。めっちゃ無責任な言い分ですけどね。お前染めてんのに!という話ですけど(笑)」

そう言って中尾さんは大きく笑い、最後にニッコリしながらこう続けます。

「でも逆に言えば、にじみには、注染には、そういうおもしろさがあるということなんです」
ジャンボさんのセンスで染めた手ぬぐい「jamboree (ジャンボリー)」。額で飾っても素敵です(画像提供:にじゆら)

ジャンボさんのセンスで染めた手ぬぐい「jamboree (ジャンボリー)」。額で飾っても素敵です(画像提供:にじゆら)

欠点といわれていた「にじみ」こそが美しいと考え、それを活かした手ぬぐいを生み出してきた「にじゆら」。お話を伺ったあとに改めて手ぬぐいを一枚見ていると、「続くことは変わり続けること」という言葉の意味がわかる気がします。

きっとにじゆらの手ぬぐいは、知らず知らずに紋切り型にはめてしまっていた場所やことも、もっとお気に入りにしてくれるはずです。それはたとえば結婚式で、あるいは家事や仕事の中で、もしくは誰かの玄関で――。美しい絵柄の手ぬぐいは、今日も誰かの暮らしににじんでいきます。

(取材・文/澤谷映)
にじゆらにじゆら

にじゆら

大阪・堺市で「注染」という染めの技法を使って半世紀ものづくりをし続けてきた染め工場が届ける手ぬぐいブランド。伝統の技を生かしながら作家さんのセンスをかけあわせ、今の時代に沿うかたちの手ぬぐいを手がけています。直営店を大阪に二店舗、京都に二店舗、神戸と東京に一店舗ずつ展開。公式ホームページではオンラインショップも。店舗詳細や豊富なデザインは、是非ホームページをご覧ください。

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