かつて旅した土地。憧れの場所。
次の旅先について思いを馳せるのは、心の休息、束の間の楽しみです。
出典: 【JR五能線「第二小入川橋梁」(あきた白神駅~岩館駅)。秋田県能代市「東能代駅」と青森県南津軽郡「川部駅」を結ぶ人気のローカル線。日本海や白神山地などの絶景が楽しめる。】
身動きが取れなくても、誰もが持ち合わせている“想像力”という翼を広げれば、今いるその場所で、今すぐ出掛けて、草の息吹や磯の香り、森を渡る風を感じることが出来ます。
出典: 【秋田県南部の「羽後町(うごちょう)」。“緑と踊りと雪の町”通り、山々に囲まれた当町は、県内屈指の豪雪地帯。あきたこまちの生産地と知られるが、蕎麦栽培も盛ん。秋田の郷土蕎麦「冷がけ蕎麦」発祥の地としても有名。】
そうした想像の世界を引き寄せるのに一助となるのが、その土地の美味しい特産物。口に含んで風味を愉しめば、イメージはより一層膨らんで、束の間であっても、きっと素敵な一時が過ごせることでしょう。
出典:
“特産物”とはいっても、ご当地グルメや高級食材といった大仰なものではなく、お財布に優しいもの。思い立った時に気軽に口に運べ、お腹に負担がかからないもの。年配者でも、子供でも食べられる、穏やかな味わいのもの。
出典:
出来ることなら、その土地が育んだ作物を用いて、優しさと温もりがそっと伝わってくるような、昔ながらに手作りされているもの。口に含めば、その土地の心地良い景観や、心懐かしい風景が思い浮かんでくるような郷土の菓子。
出典:
日本各地には、そんな土地の香りがする、さり気なく愛おしい“郷土菓子”が、今も数多く残っています。今回は、その中から「北東北」の3県、青森・岩手・秋田に的に焦点を絞り、当地方の魅力的な郷土菓子を取り上げます。
出典: 【青森県上北郡・高瀬川注ぐ「小川原湖(おがわらこ)」付近の収穫間近の稲田。(青い森鉄道・上北町駅~乙供駅間)】
「北東北」は、有史以前の遥か昔の縄文期から、豊かな文化を築いていた地域。特産物が多く、独自の食文化を育んできた当地方には、“郷土菓子”と一口にいっても、バラエティに富んで、多彩です。
出典:
本記事では、数多ある「北東北」の菓子の中から、米や麦、蕎麦や豆といった“穀物”の風味を大切にした、素朴な味わいが魅力の“郷土菓子”に的を絞って紹介します。
まず、先に当地方の自然環境、穀物について軽く触れ、次いで魅力的な「北東北」の郷土菓子の数々を、テーマ毎に紹介していきます。記事を参考に、想像力を羽ばたかせ、束の間の旅を楽しんで下さい。
出典:
白神山地に、奥羽山脈。岩木山に、岩手山。
十和田湖に、田沢湖。奥入瀬渓流に、厳美渓。
津軽海峡に、下北半島。三陸海岸。
山塊が連なり、地形の変化に富んだ、青森、岩手、秋田の「北東北」。
【「十二湖」は、青森県南西部(白神山地の緩衝地域内)の標高150~250mの台地に点在する33湖沼群の総称。神秘的なインクブルーの「青池」が有名だが、他に「沸壷の池」や「王池」等がある。画像もその一つ「鶏頭場(けとば)の池」(5月初旬撮影)。新緑の頃も魅力的だが、紅葉時(例年10月中~下旬頃)も見事な景観となる】
出典: “自然豊かな”という形容を、つい頻繁に使ってしまいますが、「北東北」の自然の“豊かさ”は、桁違いです。世界遺産「白神山地」の原生林が象徴するように、他の追随を許さない程に、質も規模も極めてハイレベル。
【「白神山地」緩衝地域に立つ、日本で一番有名なブナの木“マザーツリー”。2018年の台風21号の暴風により、根本から9m程の高さで幹が折れたが、枯れることなく現在も葉を茂らせている。ブナの寿命は300年前後と云われているが、母なる大樹は、樹齢400年を数え、今もその生命を繋いでいる。(画像は、2010年撮影)】
出典: 十和田八幡平、三陸復興の2つの国立公園、津軽、早池峰、栗駒といった7つの国定公園、数多の景勝地が点在しているように、「北東北」の自然は、世界を見渡しても稀にみる程“豊か”と言えるでしょう。
【「十和田八幡平国立公園」を代表する景勝地「奥入瀬渓流」。十和田湖の唯一の流出河川で、湖の東岸・子ノ口(ねのくち)から北東方向へと流れ、焼山で東に向きを変え、市街地の南を流れて、上北郡おいらせ町と八戸市の境界で太平洋に注ぐ。(画像は、奥入瀬渓流の見所の一つ「三乱の流れ」)】
出典: 「北東北」地方の地勢、気候は、中央の日本の背骨「奥羽山脈」を境に、西(日本海側)と東(太平洋側)で二分されます。
日本海側は、「白神山地」や「出羽山地」が連ね、山地間には「岩木川」など河川が流れています。また河口付近には「津軽平野」や「秋田平野」が広がり、内陸部には「花輪盆地(鹿角盆地)」や「横手盆地」など、大小の盆地が点在しています。
一方の太平洋側は、なだらかな「北上高地」が岩手県の東側を覆うように広がり、奥羽山脈との間に「北上盆地」が、沿岸部は、北上高地が海にせり出すように、海岸段丘、リアス式の「三陸海岸」が続いています。
【奥羽山脈と出羽山地に囲まれた秋田県内最も広い平地である“横手盆地”は、東北屈指の穀倉地帯。「仙北平野」は、横手盆地の北部にあたる。(画像は、日の出間もない秋の「仙北平野」。)】
出典: 「北東北」の気候も、地勢に応じて、中央の奥羽山脈を境に東西で二分され、沿岸部と内陸部で違いがあります。
東の「太平洋側」では、初夏の頃になると寒流の千島海流に「ヤマセ(偏東風/山背)」が吹くため、同緯度の「日本海側」と比較して、概ね夏の気温は低く、冷害が発生しやすい傾向にあります。一方の「日本海側」は、奥羽山脈が「ヤマセ」を遮るため冷害が少なく、気温は高くなりがちです。
冬季なると、北西の季節風が日本海から湿った空気を運ぶため、「日本海側」は、降雪が多くなり、晴天も少なくなります。反対に、「太平洋側」では、奥羽山脈がこの季節風を遮るために、雨雪が少なくなります。
【下北半島最東部・尻屋崎(しりやざき)灯台付近に放牧されている「寒立馬」(8月中旬撮影)。
下北半島は、南部藩政期から昭和にかけて、軍用馬の「田名部馬」の産地として知られていた。「寒立馬」は、尻屋地区で独自に「田名部馬」と他種を交配させた農用馬。現在は、県の天然記念物に指定されている。4月下旬~11月上旬は、尻屋崎灯台付近に放牧され、冬季の極寒期は、防風林で囲まれた越冬放牧地「アタカ」で過ごしている。両場所共に見学可能。】
出典: 「日本海側」の盆地部は、概ね沿岸部と同様の気候示しますが、冬季に豪雪となり、夏季はフェーン現象により非常に高温になります。一方の「太平洋側」の内陸部では、日本海側の「内陸性気候」と「太平洋側気候」の両方の特性をもつため、冬は降雪がある一方で、晴天になる日も多くあります。
太平洋側と日本海側、内陸部と沿岸部、山間部と平野部と、起伏の変化に富むため、「北東北」の気候は、地域それぞれに特徴がありますが、冬が長く、厳しいことは、概ね共通しています。
【下北半島最東部・尻屋崎の地吹雪に耐える「寒立馬(かんだちめ)」】
出典: しかし、厳しい冬は、四季をくっきりとさせ、美しい景色、豊かな世界を広げます。冬が終わり、春が訪れると、木々も花々も輝き出します。夏は、その生命を謳歌するように華やぎ、秋の紅葉も鮮やかに景色を彩ります。
そして、四季それぞれぞれで、自然の恵み、山海の幸を人々にもたします。同時に、自然と共存する知恵や、自然を愛おしむ心持ちをも養います。
今記事で紹介するのは、そのような「北東北」ならではの自然環境下で育まれた郷土菓子。人々の知恵と工夫、情愛の結晶です。
【岩手初夏の風物詩「チャグチャグ馬コ」の隊列と「岩手山」。
「チャグチャグ馬コ」は、200年以上の歴史をもつ農耕馬に感謝する祭。色鮮やかな装束で飾られた馬と馬主が、滝沢市「鬼越蒼前神社」から「盛岡八幡宮」までの約13kmを4時間程かけて練り歩く。馬の鈴が行進する時に“チャグチャグ”と聞こえることから祭りの名が付く。この鈴の音は、平成8年に環境庁から「残したい日本の音風景100選」に選定されている。「岩手山(いわてさん)」は、日本百名山の一つで県内最高峰。南部片富士、岩手富士と愛称される岩手きっての秀峰である。】
出典: 悠久の歴史を刻み、自然の恵み豊かな「北東北」。
その食文化は、実に豊潤です。おやつ、郷土菓子といっても、一筋縄ではいきません。当地方には、創業100年を超える菓子の老舗も数々あり、また地元菓子メーカーの袋菓子も、商品棚に種類豊富に並んでいます。
【初秋の頃の「秋田内陸縦貫鉄道」と一面に咲く蕎麦の花(画像は左通駅付近)。北東北の3県は、『わんこそば(岩手)』や『津軽そば(青森)』、『冷がけ蕎麦(秋田)』といった郷土蕎麦があるように、隠れた蕎麦の名産地。】
出典: 本章では、幾多もある菓子の中から、“穀物の風味”と“素朴な味わい”に目を向けて、穀物本来の甘味・旨味、香りが楽しめる「北東北」の郷土菓子を、ピックアップして紹介します。どれも、噛めば噛むほどに、じんわりと優しい味わいが口に広がるものばかりです。
【江戸初期創業の「大阪屋」の銘菓『竹流し』。蕎麦粉を主原料とした素朴ながらも風雅な菓子。】
出典: “穀物”は、祭祀や伝統行事に欠かせないように、一粒一粒に神が宿るとされる、神聖なものです。米や麦、蕎麦や豆等の穀物は、命を繋ぐだけでなく、人々を繋ぎ、文化を繋いできた、日本人の暮らしに欠かせないものです。
【青森県五所川原市内に広がる麦畑(画像中央は、ストーブ列車で有名な「津軽鉄道」(津軽飯詰~毘沙門)。】
出典: 私たちは、米にしても麦にしても、それ自体の美味しさをじっくり味わう機会を失いつつあります。副食の味に紛れ、忙しさにかまけて、穀物を何度も“噛んで味わう”ことをつい忘れてしまします。
【「小山田せんべい」JR新青森駅店の『津軽路せんべい』実演販売】
出典: “穀物”は、噛む程に特有の甘味、旨味、香りが広がります。咀嚼することによって、香りはより膨らみ、唾液中の酵素と混ざることで甘味や旨味が生じます。古来日本人は、そうした穀物の風味を大切にしてきました。
【10月初旬の遠野市内稲架掛け仕事。北上高地にある遠野市は、夏冬の寒暖差が大きい盆地気候で、特に冬の寒さが厳しく、豪雪地帯でもある。市内の大部分を山林や原野が占めており、農業は稲作が中心だが、野菜、果樹、花卉、畜産も行われている。】
出典: 次章から紹介するのは、素朴で愛らしく、噛む程に穀物の香りと甘味が広がる郷土菓子。
手間を惜しまず、保存料や添加物を用いずに、昔ながらに手作りしている、地元で愛される名店、老舗の看板商品です。
【岩手県遠野市「まつだ松林堂」の『明がらす』。もち米やクルミ等、地元の素材で作られてきた遠野の銘菓。】
出典: 青森・岩手・秋田の北東北の3県は、既述したように、大自然の恩恵を享受しながら、郷土の食文化を育み、現在へと繋いでいる地域です。当地方の郷土の菓子は、穀物一粒に宿る神を崇めるように、食材そのものがもつ旨味を伝わるように、素直に表現したものです。作り手の優しさと温もりが菓子の中にあり、奇をてらわない“素朴さ”が身上です。
記事を参考に、北東北の素晴らしい土地の香り、雰囲気を楽しんで下さい。取寄せ可能な商品をピックアップしていますが、場合によっては取寄せ不可かもしれません。その時は、次回の旅の楽しみにして下さい。
【津軽鉄道線「芦野公園駅」】
出典: 弘前城・追手門から徒歩5分程に店を構える「御菓子司 大阪屋」は、江戸初期の寛永7(1630)年創業。初代が弘前藩の御用菓子司なって以来、400年近くもの長きにわたってその味を受け継いできた、東北でも指折りの老舗です。
長子口伝されてきた製法と、昔ながらの手仕事を大切にしているため、「大阪屋」は、代々暖簾分けせず一店主義。地元の食材を用い、伝統製法による菓子は、どれも無添加で傷みやすいため、支店を設けず、卸売もしてません。
【黒字に金色の店名の看板、暖簾が掛かる風格ある店構え。店内には、緻密な螺鈿細工の菓子箪笥が置かれ、藩に仕えた名残が今も色濃く残っている。】
出典: 「大阪屋」では、季節の生和菓子、餅菓子、棹菓子、ワッフルやどら焼きといった半生菓子等、様々な菓子が作られていますが、「大阪屋」といえば、やはり『竹流し』です。古くから東北の銘菓として知られる逸品です。
【化粧缶の中にびっしりと隙間なく詰められた『竹流し』。微妙に隙間が空いているのは、一枚一枚手焼きの証。】
出典: この銘菓を考案したのは、四代目当主。今から遡ること約250年程前の安永年間です。
儚いほどに薄い菓子は、蕎麦粉の生地を薄く伸ばして、丁寧に焼き上げたもの。すべて手作業で作るため、一枚一枚微妙に形が異なって、それがまた上品な風情を醸し出しています。薄くてもパリッとしっかりとした食感ですが、軽やか。蕎麦の香りと甘みが口中でたゆたうような、滋味で風雅な味わいです。
【『竹流し』は、尾太鉱山の竹を鋳型にして固めた金の延べ板に、四代目が着想を得て、地元の蕎麦を材料に作られたと伝わる。北東北は鉱脈が多く、江戸期から銀、銅を産して津軽藩を潤わせていた。白神山地東部の尾太鉱山はその最たるもので、日本有数の金属鉱山の一つ。】
出典: 『竹流し』が象徴するように、「大阪屋」が作るのは、惜しみなく掛けられた手間と受け継がれた技術に裏打ちされた、格調高い菓子です。
仕込みから出来上がりまで3ヶ月も要する藩政時代から作っている献上菓子『冬夏(とうか)』や、源氏物語の夕顔が源氏との恋の情景を表現した干菓子『半蔀(はしとみ)』といった干菓子の他、棹菓子も、饅頭も、上生菓子も、佇まいが素晴らしく、見た目だけでも、味の奥深さと技術の高さが伝わります。一度は足を運びたい北東北を代表する名店です。【夏の干菓子『半蔀(はしとみ)』。優しい甘味とほのかな塩気が魅力の落雁。】
中央弘前 / 和菓子
- 住所
- 弘前市本町20
- 営業時間
- [月]
08:30 - 18:00
[火]
08:30 - 18:00
[水]
08:30 - 18:00
[木]
08:30 - 18:00
[金]
08:30 - 18:00
[土]
08:30 - 18:00
[日]
08:30 - 18:00
■ 定休日
元旦
- 定休日
- 平均予算
- ¥1,000~¥1,999
データ提供: 出典: 「小袖海岸(久慈市)」や、「北山崎(田野畑村)」等など、著名な景勝地が連なる「三陸復興国立公園」。
青森県南沿岸から宮城牡鹿半島へと至る三陸海岸は、北から南まで、断崖や砂浜、リアス式海岸、場所それぞれで、特徴のある海岸美、景観が楽しめます。次に紹介するのは、三陸のほぼ中央に位置する「山田町」の郷土菓子です。
【三陸海岸は、宮古市を境に、北部が陸地が隆起した海岸段丘、南部がリアス式海岸となっている。また、中小の半島が多く、半島内は手付かずの自然が残る秘境もある。画像は、岩手県下閉伊郡田野畑村にある景勝地「鵜ノ巣断崖(うのすだんがい)」。三陸復興国立公園の北部を代表する景勝地の一つ。海岸沿いに遊歩道が敷設されている。以下で紹介する「山田町」から車で1時間半程度北上した場所に位置する。】
出典: 「山田町」は、先の東日本大震災で、壊滅的な被害を受けた町。大津波と火災の発生によって、町の中心部は、瓦礫が折り重なり、焼け野原と化しましたが、地元の方々の奮励努力によって復興が進み、現在では沿岸部も町も整備されています。
【山田湾船着き場。「山田湾」も三陸復興国立公園の景勝地の一つ。「オランダ島」などの小島、牡蠣や帆立の養殖筏が浮かぶ景観が有名。(画像は、震災3年後の2014年撮影のもので、海上に養殖筏がないが、現在は養殖筏も復活している。】
出典: 『山田生せんべい』は、ブランド名や商品名のような名前ですが、町名がそのまま付いた郷土に伝わる伝統菓子。元々は、江戸後期から伝わる保存食で、一般的な米菓の煎餅とは、形状も味わいも食感も大きく異なります。
出典: 『山田生せんべい』は、米粉に黒胡麻、砂糖、塩、醤油練り込んだ生地を蒸し上げ、薄く伸ばし、丸く型抜きして、半乾燥させたものです。黒胡麻たっぷり入った黒褐色の煎餅は、薄いながらもかなりの大判。柔らかながらも適度な弾力があり、しなやかです。
噛みしめる程に、コクのある黒胡麻の香ばしい風味と、ほのかな砂糖の甘み、穀物の旨味が広がります。無添加ならではの素朴な味わいで、滋味な風味。一度食べるとちょっと癖になる、抗いがたい不思議な魅力があります。
【「川最」の『山田生せんべい』】
出典: “生せんべい”が基本形ですが、生せんべいを焼き上げた「山田せんべい」、油で揚げた『「田揚げせんべい」も販売されています。
【「太田幸商店」の焼いたタイプの『山田せんべい』】
出典: “山田せんべい”は、山田町の「太田幸商店」と「菓子工房 川最(かわさい)」で製造販売。両者ともに、震災時に津波で店が流されましたが、数年後に見事復活され、現在も伝統の味を守っています。
それぞれに、風味、味わいが微妙に違いがあり、特に焼いた『山田せんべい』で、食感と風味が大きく異なります。太田幸商店のものは、サクサクとしてソフトタイプな感じです。
出典: 一方の「川最」のものは、炭火でこんがりと焼き上げているため、サクサクとした食感でも、香ばしさがあり、風味が強めです。
【「川最」の『山田の揚げせんべい』がトッピングされている『あずきばっとうソフト』。山田町のケーキショップ「パティスリーカワサイ」の人気商品。当店では“山田せんべい”の生地を用いたロールケーキ等、地域産の食材用いたオリジナルスウィーツを販売。】
★「川最」・「太田幸商店」の商品の他、山田町の特産品を買い合わせできます。
岩手県奥州市 えさし亀の子本舗 八重吉煎餅店『亀の子せんべい』
出典: 東北で『亀の子せんべい』といえば、一関市の代表銘菓。
開発したのは、明治36年創業の老舗「亀の子せんべい本舗 大浪」の創業者です。亀の甲羅型に立体的に整形された『亀の子せんべい』は、小麦粉生地の煎餅を、黒胡麻入りの飴でコーティングした風味豊かなせんべいです。本家「大浪」では、伝統の味を守りながら『亀の子せんべい』を機械製造しています。
今記事で紹介するのは、かつて本家「大浪」が行っていた“炭火手焼き”による伝統技を今に継承している「えさし亀の子本舗 八重吉煎餅店」です。【江刺「えさし亀の子本舗 八重吉煎餅店」店舗入口】
出典: 「八重吉煎餅店」の創業は、昭和9(1934)年。「大浪」で修行した創業者が、一関北方の江刺に店を構え、以来地元で愛されてきた煎餅の老舗です。創業者の先代が磨いた技と味は、現在の二代目店主へと引き継がれ、今も昔ながらに、手間を惜しまず、一枚一枚炭火で亀の子せんべいを手焼きしています。
【『亀の子煎餅』は、完成まで二日間がかり。まずは、丸い焼き型に小麦粉と砂糖と水で作った生地を流し込み、弱火でじっくりとに焼き上げる。焼けた煎餅を型から外したら、せんべいが熱い内に端をつまんで亀甲型に仕立てる。整形後、黒胡麻蜜をかけ、炭火の上の籠の中に入れ、一晩寝かせ、翌日、煎餅を焼く炭火の熱で燻すようにして、黒胡麻蜜をじっくりと乾かし、ようやく完成する。
画像は、「八重吉煎餅店」の煎餅焼き場に座る二代目店主。一枚一枚、焼き型を用いて炭火で丁寧に焼いている。上部の紙に覆われているのが、前日仕込んだ黒胡麻蜜かけの煎餅が入った籠。紙の下部分は開いていて、炭火の熱が籠に入るようになっている。】
出典: 炭火ならではの香ばしさと。胡麻の香りが、素朴な味わいの煎餅生地と相まって絶品と評判です。
当店では、黒胡麻の定番タイプの他に、白ごまや胡桃、アーモンドを乗せたものや、生姜と砂糖を塗ったもの、生タイプのせんべいも限定販売しています。地方発送もしていますが、店主一人の手焼きしているため数量限定。電話予約の上で、販売・発送になります。【画像右が、店自慢の黒胡麻蜜かけの『亀の子煎餅』】
奥州市その他 / 和菓子
- 住所
- 奥州市江刺中町3-12
- 営業時間
- [月]
09:00 - 18:00
[火]
09:00 - 18:00
[水]
09:00 - 18:00
[木]
09:00 - 18:00
[金]
09:00 - 18:00
[土]
09:00 - 18:00
[日]
09:00 - 18:00
■ 定休日
年中無休(1月1日のみ休み)
- 定休日
- 平均予算
データ提供: 3-2.穀物の旨味をぎゅっ。素朴でも洗練された味わい。
出典: 真っ白で愛らしい“鶴子まんじゅう”は、八戸を代表する伝統銘菓。
八戸市内には、製造販売する和菓子店が幾つかありますが、元祖は、八戸「櫛引八幡宮」の門前の『萬榮堂』。大正10年創業の老舗です。“鶴子まんじゅう”の考案者は、創業者である松田萬次郎氏。「櫛引八幡宮」に舞い落りる大きな鶴の御神夢が菓子名の由来となっています。
出典: “鶴子まんじゅう”は、小倉餡を生地で包んだ焼き菓子で、真っ白な米粉(落雁粉)をまぶしてあります。
まんじゅうの生地は、地元産の小麦粉を黒砂糖の蜜で練り上げたもので、洋菓子のような風味があります。“まんじゅう”といっても、焼き上げているため、サブレの様なザクザクとした食感です。誰もが好むタイプではありませんが、独特の食味に魅せられると、また食べたくなる癖になる味わいです。
“鶴子まんじゅう”は、店毎に、餡と生地のバランが異なり、味わいも違いがあります。「萬榮堂」の『元祖鶴子まんじゅう』は、小倉餡も黒糖生地も、甘さ控え目。あっさりと優しく、どこか懐かしい味わいです。3時のおやつに、たっぷりのカフェオレやミルクティーと頂くのがお勧めです。
八戸 / 和菓子
- 住所
- 八戸市大字八幡字五日町2-9
- 営業時間
- [月]
08:30 - 17:00
[火]
定休日
[水]
08:30 - 17:00
[木]
08:30 - 17:00
[金]
08:30 - 17:00
[土]
08:30 - 17:00
[日]
08:30 - 17:00
■ 営業時間
※道路拡張工事の為、仮設にて営業中
- 定休日
- 火曜日
- 平均予算
- ~¥999
データ提供: 岩手県花巻市大迫町 高鉱菓子舗『元祖えんしゅう焼き 峰の山河』
出典: 北上山地の最高峰「早池峰山(はやちねさん)」の麓に位置する「大迫(おおはさま)」町は、縄文期から現在に至るまでの、有形無形の資料や遺産が数多く残る宿場町です。
国の重要無形民俗文化財に指定されている「早池峰神楽(はやちねかぐら)」もその一つ。500年以上の伝統をもつこの神楽は、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。
【『早池峰大償神楽』(画像は、東北大震災の翌年の2012年6月2日に、佐野市「唐沢山神社」の神楽殿で公演されたもので、被災した大迫町支援を兼ねて、物産展とともに行われた。翌日には足利市「鑁阿寺(ばんなじ)」でも開催。)】
出典: 「高鉱菓子舗(たかこうかしほ)」は、そんな歴史ある大迫の町で100年以上も暖簾を掲げる菓子の老舗です。一つ一つ昔ながらに手作りされる菓子は、地元大迫の特産物を生かしたこだわりの味です。
出典: 「高鉱菓子舗」では、町特産の「エーデルワイン」を使った羊羹の他、団子やシュークリーム等など、和洋様々な菓子を手作りしていますが、看板商品は、明治創業時から続く伝統の味『元祖えんしゅう焼き 峰の山河(みねのさんが)』です。
出典: 大迫町の代表銘菓でもある『峰の山河』は、胡麻をたっぷり入れた生地で特製の漉し餡を包み、職人が鉄板に付きっきりになって一枚一枚丁寧に焼き上げた菓子。ホロホロっとした食感と、香ばしい胡麻の風味、漉し餡の優しい甘味が特徴です。手の温もりが伝わってくるような大迫町の逸品です。
花巻市その他 / 和菓子
- 住所
- 花巻市大迫町大迫3-210
- 営業時間
- [月]
08:30 - 18:30
[火]
08:30 - 18:30
[水]
08:30 - 18:30
[木]
08:30 - 18:30
[金]
08:30 - 18:30
[土]
08:30 - 18:30
[日]
08:30 - 18:30
■ 定休日
第1・3日曜日 他不定休あり
- 定休日
- 平均予算
データ提供: 出典: “秋田諸越(もろこし)”は、江戸期から伝わる県の代表銘菓で、落雁(打ち菓子)の一種です。
“落雁”は、米や麦等の穀物や栗などの果実を粉に挽き、砂糖や水飴等を練り混ぜ、型で打ち抜き、乾燥させた伝統菓子で、日本各地で作られています。どちらかというと“落雁”は、非日常の菓子で、茶事や冠婚葬祭時に用いられるのが一般的です。【小豆粉・砂糖・和三盆糖だけで作られている『秋田諸越 袋入』】
出典: 一方、秋田の“諸越”は、小豆を挽いた“小豆粉”と砂)が主原料で、香ばしく、上品な味わいが特徴です。
県内のスーパーやコンビニの菓子棚には、種々様々な商品が常時陳列されている程に、“諸越”は、日常的に頂くもので、地元に根付いた郷土菓子です。
【農家の小豆干し。小豆は収穫後、鞘のまま天日干しし、乾燥後木槌で丁寧に叩き、鞘から豆を取り出す。】
出典: 機械製造された“諸越”が多い中、秋田県内には、大正11年創業「秋田菓子宗家 かおる堂」、大正15年創業「郷土菓子司 勝月」、昭和10年創業「岡田製菓」、昭和14年創業「博進堂」など、今も昔ながらの製法で、手作業で丁寧に作っている老舗も数々残っています。
【定番の秋田土産で有名な杉山壽山堂の『名物諸越』。秋田名物「男鹿のなまはげ」や、東北三大夏祭り「竿燈」を型どって焼いた諸越で、香ばしい味わいが特徴的。(原材料:小豆粉・砂糖)】
出典: そうした和菓子店では、添加物を一切用いず、材料は、シンプルに小豆と砂糖(和三盆糖)と水のみ。粉をふるって混ぜ合わせ、木型に詰めて打ち出し、*乾燥させるという手順を省くことなく、一つ一つ丁寧に行っています。
【*「焼きもろこし」は、乾燥後焼き目を入れたもの。「生もろこし」は、乾燥させず生のままのもの。それぞれに風味が異なる。(画像は、先の『秋田諸越 袋入』)】
出典: 手作りの秋田諸越の中でも“元祖”とされるのが、宝永2(1705)年創業の「杉山壽山堂」です。
それまで当地秋田で作られていたのは、“米粉(煎米の粉)”の打ち菓子でした。しかし、初代が秋田特産の小豆粉を用いることを発案し、苦心の末に生まれたのが、今に伝わる“秋田諸越”です。
“諸越”の名は、初代が、久保田藩(秋田藩)の第4代藩主・佐竹候に献上した際、“諸々の菓子を超えて風味良し”と高く評価されたことから、その名が付いたと伝わります。
【贈答、土産に良い「杉山壽山堂」の『元祖秋田諸越』(「杉山壽山堂」は、杉山家が暖簾を下ろしたため、「秋田菓子宗家 かおる堂」のブランドの一つとして受け継がれている。)】
出典: 先にも伝えましたが、「諸越」は、“香ばしくて上品な味わい”が特徴です。でも魅力となっているのは、一見地味なのに、何とも言えない“愛らしさ”。ほっと人心地つけるような“素朴な”味わいです。
諸越それぞれで、味わいがもちろん異なりますが、含まれる材料や、焼きか乾燥かで仕上げ方で、概ねの味わいが決まります。初めての取り寄せ、購入ならば、和三盆を加えた、乾燥仕上げの「諸越」がお勧めです。杉山壽山堂『元祖秋田諸越』は、厳選された上質の小豆粉・砂糖・和三盆糖のみ用いた諸越で、円やかで上品な甘み、口当りの柔らかさ、口溶けの良さが特徴です。
秋田の郷土菓子「諸越」は、一見駄菓子のような見た目ですが、実に奥が深い菓子です。未だ食べたことがない方はぜひ一度その味を試して下さい。【杉山壽山堂『元祖秋田諸越』】
出典: 「杉山壽山堂」で『秋田諸越』を購入するのなら、当地ならではの郷土菓子『雲平(うんぺい)』もお勧めです。
“雲平”は、江戸期からある干菓子の一種。雲のように形状が定まらず、渦巻状、花弁様と、形も色も、模様も、作り手によって様々であることから“雲平”(飾り菓子として“雲平細工”)と呼ばれています。雲平は、砂糖に*みじん粉、又は*寒梅粉を合わせ、ぬるま湯少量を加えて練り合わせ、形を整え、乾燥させて作ります。
(*みじん粉:もち米を蒸してから煎餅状に伸ばし、乾燥した後、細かく挽いて粉にしたもの。寒梅粉:白焼き煎餅を砕いて粉末にしたもの)【杉山壽山堂『雲平』】
出典: 「雲平」は、京都を含め他の地域でも作られていますが、中でも稲作が盛んな津軽地方で、冠婚葬祭の引き出物として良く登場する郷土菓子です。北東北の他の地域でも、様々な形状や食味の雲平、また雲平に似た米粉を主体の和菓子が作られています。【青森県南津軽郡田舎館村の「道の駅 いなかだて」の商品棚に並ぶ「雲平餅」】
出典: 「杉山壽山堂」の『雲平』も独自の食味で、地元で愛され続けてきた銘菓。
当店の『雲平』は、ナルトに似た渦巻とギザギザとした形が特徴です。県産の糯米を砕いた餅粉を用い、黒胡麻と砂糖を加えて練り混ぜています。モチモチとした餅のような食味があり、干菓子の一種ではあっても、餅菓子ような独特の味わいです。
黒胡麻のコクと香り、シャリッとした砂糖の食感が小気味好いアクセントで、くせになる味です。一度食べると、二度三度食べたくなるかもしれません。
岩手県遠野市 まつだ松林堂『明がらす』&岩手町 丸中『東雲』
出典: 「杉山壽山堂」の『雲平』に次いで、ぜひ紹介したいのは、遠野市と岩手町に伝わる郷土菓子二つです。
【柳田国男『遠野物語』で有名な遠野市は、北上高地に位置する山々と森林に囲まれた盆地。稲田と畑が広がる市内には、河童伝説の「カッパ淵」や「遠野ふるさと村」、「南部曲り家」等など、民話の世界観が楽しめる名所や観光スポットが点在する。(10月初旬の遠野市内稲田)】
出典: 一つ目は、遠野市の郷土菓子“明がらす”。そして、岩手郡岩手町「菓子司 丸中」の『東雲(しののめ)』です。
【“明がらす”は、遠野市の郷土菓子で、土産菓子としても人気。遠野市内には、竹林堂・中村屋・たから屋・鶴乃屋など、“明がらす”を昔ながらに無添加で手作りする和菓子店が点在する。どの店も、同じ商品名『明けがらす』で販売。原材料もほぼ同じだが、配合は微妙に異なり、店独自の味わいがある。(画像は「まつだ松林堂」の『明がらす』)】
出典: この二つの銘菓『明がらす』と『東雲』は、前項で紹介した“雲平”と、よく似ています。
両者共に、米・ごま・クルミが主原料。甘味(水飴又は砂糖)を加え、全ての材料を練り合わせ、棒状に成形したものを、切り分けています。落雁のような風情で、主原料も似ていますが、味も食感も、落雁とは一線を画しています。
出典: 「明がらす」も『東雲』も、材料も製法も異なるので、味わいは当然異なりますが、餅と落雁の中間のような、モチっとした食感は共通しています。
【まつだ松林堂『明がらす』は、明け方の空を、烏(からす)が飛んでいるように見えることがその名の由来。(胡麻は雀。烏は日本書紀の“八咫烏(やたがらす)”をイメージ。八咫烏は、当店のモチーフともなっている。『明けがらす』の製法は一子相伝。初代より手作りを守っている。】
出典: また、一般の落雁が最初に砂糖の甘みが先に伝わるのに対し、この二つの伝統菓子は、先に胡麻やクルミの香ばしさや風味が立ち上がります。噛んでいるうちに、段々と米特有の甘み、旨味が、じんわりと広がってくるのも共に同じの特徴となっています。
【菓子司 丸中の『東雲』は、終戦後の菓子の材料に不自由していた時期に、落雁を作った余りの材料に、近所の胡桃と胡麻を加えて誕生した菓子。名の由来は、『明けがらす』と同様に、明け方の空を意味し、胡桃は浮雲、胡麻は飛び交う小鳥たちの姿を表している。】
出典: 【「丸中」が在する“岩手町”は、遠野、盛岡より北方、県北中部に位置する。ブランド豚や牛、キャベツや長芋など、町産食材が豊富で、農畜産が盛んな町。特にキャベツ栽培が有名で、大規模農場が町内に広がり、120余年もの歴史を誇る東北一の産地となっている。岩手町では、畜産で出る糞尿を堆肥にし、農産に活用する“耕畜連携”が盛んに行われている。
(画像は、岩手町内の名所「弓弭の泉(ゆはずのいずみ)」。東北の一級河川「北上川」の源流である。「弓弭の泉」は、「御堂観音正覚院」の境内に湧く。コンコンと湧き出る水は、県内中央から南下し、一関から宮城県へと入り、石巻市へと流れ、太平洋へと注ぐ。)】
3-3.“形が変われば、味変わる”。北東北のかりんとう。
出典: 北東北に限らず、東北は、特産地といって良い程に“かりんとう”好き。
スーパーやコンビニ、土産物店の菓子棚には、地元菓子メーカーのかりんとうが様々に並び、町中の菓子店でもオリジナルの“かりんとう”を販売しています。【花巻駅前の土産物店「はこざき民藝」に並ぶ『よだかの星』】
出典: 東北のかりんとうは、関東のぽってりとした円柱状、蜜や砂糖がたっぷりとかけられた柔らかな食感のものとは異なり、地域それぞれに形状も食味にも個性があります。
大まかに言えば、ぺらっ薄く、パリっと、サクッと軽快な食感。上掛けの蜜が、少ないか、全くないため、ガツンとした強い甘味はありません。
その分、生地自体に砂糖が練り込まれているので、噛み砕いていくにつれて、小麦の旨味や砂糖の甘味が口の中でじんわりと広がるという感じです。全体的に、素朴で、優しい味わいです。
【秋田空港の人気土産『あつみのかりん糖』】
出典: 現代人にとって、油と砂糖を使った菓子は敬遠されがちですが、かつては砂糖も油も貴重品。“かりんとう”というものは、美味しく贅沢なものでした。
現代の都市部では、菓子やスウィーツが百花繚乱のごとく多種多様に販売されているので、その影は薄くなってしまいましたが、北東北では、かりんとうが豊富に店頭に並んでいるように、今も昔ながらの製法で大事に作られ、地元の方々に愛され続けています。
【岩手県宮古市田老地区 田中菓子舗『田老かりんとう』】
出典: 「浅虫(あさむし)」は、青森市の北、夏泊半島の付け根、むつ湾に面した風光明媚な景勝地。
平安期から開かれたと伝わる温泉も有名で、東北の“熱海”と呼ばれるように、海岸沿いには温泉宿が並び、夏は海水浴客で賑わいます。水族館、森林公園などもあり、自然豊かな避暑地、観光地として人気のスポットです。
【浅虫の海水浴場「サンセットビーチあさむし」は、その名の通り夕陽の名所。(7月初旬の午後7時頃撮影)】
出典: “浅虫温泉”で定番の土産菓子といえば「久慈良餅(くじらもち)」ですが、今回紹介するのは、浅虫のもう一つの名物『板かりんとう』です。久慈良餅の名店「永井久慈良餅店」と「菊屋餅店」で販売しています。
【永井久慈良餅店(※全国的に有名だった「永井元祖久慈良餅本舗」は、2015年8月閉店。「永井久慈良餅店」はその分家にあたる。)】
出典: つい関東の人間は、“かりんとう”と言えば、濃厚な蜜を絡めた円筒形のものを頭に浮かべてしまいますが、浅虫の『板かりんとう』は、それとは、一線を画したものです。【永井久慈良餅店の『板かりんとう』】
出典: 蜜はかからず、形状も、薄く短冊状で、実にシンプル。
ぽりっ、ぱりっととした歯ごたえがあり、揚げてあっても食味が軽やかです。噛んでいる内に、ほんのりとした甘み、黒胡麻の香りが広がっていきます。
出典: この軽快な食感と、精妙な味わいが、『板かりんとう』の最大の魅力です。一枚食べ終わると、もう一枚ともう一枚と手が伸びてしまう程に、あとを引く美味しさです。
【「菊屋餅店」の『板かりんとう』】
出典: どちらの店の『板かりんとう』を取り寄せるかを迷うなら、好みのタイプの『久慈良餅』で決め、餅と一緒に送って貰うのがお勧めです。『久慈良餅』は、外郎に似た棹菓子。小豆の滋味な味わいと、モッチリとした餅の食感。胡桃の食味が小気味良く、素朴ながらも上品な味わい。小腹が空いた時にもお勧めの和菓子です。
【「永井久慈良餅店」店内。久慈良餅も、板かりんとうも、良心的な価格。詰め合わせは、贈答にもお勧め。】
出典: 浅虫駅からほど近くに店を構える「菊屋餅店」の『久慈良餅』は、甘めで柔らかな食感と評判です。どちらの板かりんとうも、久慈良餅も、近隣の「道の駅 ゆーさ浅虫」でも販売しています。
浅虫温泉 / 和菓子
- 住所
- 青森市浅虫64-3
- 営業時間
- 定休日
- 平均予算
- ~¥999
データ提供: 出典: 弘前公園から徒歩圏に店を構える「石崎弥生堂」は、嘉永7(1854)年創業。開業から160余年を数える菓子の老舗。
看板商品『縄かりんとう(なわかりんとう)』は、津軽名物、弘前のソウルフードとして親しまれてきた郷土菓子。店頭だけでなく、市内のスーパーや土産物店で広く販売されている程に、津軽地方の定番“かりんとう”です。
出典: 『縄かりんとう』は、機械は使わず、全て手作業で作られています。小麦粉、砂糖、マーガリンを練り合わせた生地を紐状に伸ばし、縄のように捻って、大豆油で揚げています。
『縄かりんとう』の魅力は、適度な甘味と、素朴で優しい味わい、ボリボリっとした歯応えです。砂糖や蜜を絡めず、素揚げのままなので、香ばしく、噛み砕いていく内に、生地に含めた砂糖の甘味と穀物の旨味がじんわりと広がっていきます。歯応えの面白さも相まって、ついつい、一撚り、一撚りと手が伸びてしまう津軽の逸品です。
中央弘前 / 和菓子
- 住所
- 弘前市亀甲町13
- 営業時間
- [月]
09:00 - 18:30
[火]
09:00 - 18:30
[水]
09:00 - 18:30
[木]
09:00 - 18:30
[金]
09:00 - 18:30
[土]
09:00 - 18:30
[日]
09:00 - 18:30
■ 定休日
第2、第4日曜
- 定休日
- 平均予算
データ提供: 出典: 花巻は、温泉と宮沢賢治で有名な街。穏やかな景色が広がる市内には、記念館や生家、カフェ等、賢治ゆかりの様々な施設が点在しています。
【釜石線・上有住(かみありす)駅に停車中の「SL銀河」。『銀河鉄道の夜』をテーマにした特別列車で、土日祝に花巻~釜石間を走る。このSLは、かつて宮古機関区で活躍していたもので、1940(昭和15)年製造のC58形蒸気機関車。外観も内装も、物語の世界観、大正から昭和のロマンチックな雰囲気が表現されている。】
出典: そんな賢治の故郷・花巻を代表する銘菓は、童話名をそのまま冠した『よだかの星』。花巻の人気土産の一つです。
【一袋3枚入りの『よだかの星』】
出典: 『よだかの星』は、平べったく薄い“かりんとう”。しっかりと揚がった生地は、パリパリ、サクサクとした軽快な食感。練り込まれた黒胡麻の風味と、表面に塗られた黒糖が、良いアクセントになっています。花巻市内の花巻市内の土産物店や駅構内、花巻空港、や道の駅、産直店やスーパー等で販売しています。
花巻 / 和菓子
- 住所
- 花巻市西大通り2丁目27-31
- 営業時間
- [月]
06:30 - 17:00
[火]
06:30 - 17:00
[水]
06:30 - 17:00
[木]
06:30 - 17:00
[金]
06:30 - 17:00
[土]
06:30 - 17:00
[日]
定休日
- 定休日
- 日曜日
- 平均予算
データ提供: 出典: ここ宮古市・田老地区も、先に紹介した『山田せんべい』の山田町同様に、壊滅的な被害を受けた地域。明治、昭和の三陸津波で大きな被害を受け、「万里の長城」とも呼ばれた巨大防潮堤を整備していたものの、先の大津波から免れることは出来ませんでした。しかし現在は、防潮堤を含めた復興整備も進み、津波浸水地域にあった住居や施設の高台へ移転もほぼ完了しています。
【女岩・男岩・太鼓岩の3つの岩からなる「三王岩」は、一億年もの歳月をかけて波と風が造形した自然の芸術作品。三陸復興国立公園の内でも、指折りの奇岩景観で、県の天然記念物の指定されている。陸側から眺めて、左から、高さ13Mの女岩(画面左から切れている)、高さ50mの男岩、高さ17mの太鼓岩と並ぶ。(2013年2月撮影)】
出典: ここ田老地区にも、昔から地元で愛され続けてきた「かりんとう」があります。その名は、町の名を冠した『田老かりんとう』。製造するのは、大正12年創業の『田中菓子舗』です。
1933年(昭和8年)の「三陸大津波」、先の「東北大震災」の津波で、二度も店が流され壊滅してしまいましたが、その都度立ち直り、見事に復活しています。【「道の駅 たろう」の産直館に並ぶ「田中菓子舗」の手作り商品の数々。】
出典: 「田中菓子舗」のロングセラー『田老かりんとう』は、牡蠣殻のような形で、2色の渦巻になっているのが特徴です。
素の生地と黒糖を練り込んだ、二色の生地を巻き上げて丸太状にしてから、一枚一枚薄切りにして、国産の米胚芽油で揚げ、黒糖蜜をからめて仕上げています。【パッケージに描かれているのは、先の画像の「三王岩」。】
出典: 『田老かりんとう』は、薄い板状で、ちょっとハードでパリッとした食感。
油で揚げた「かりんとう」ならではの香ばしさもあり、黒糖の甘みも軽やかで、甘味も控え目。“三陸みやこの塩”がアクセントになって絶妙な美味しさ。飽きのこない味わいです。
出典: もし地元で購入できるのなら『なまこぱん』もお勧めです。
「なまこぱん」は、醤油ぱん、味噌ぱん、薄荷ぱん等と同じ駄菓子の一種で、宮古周辺で愛されている郷土菓子です。宮古の特産ナマコに形が似ていることから名が付いています。ぱんといっても、小麦粉と黒糖で作った厚焼きのソフトクッキーのようなもの。砂糖衣で化粧されていますが、生地の黒糖の風味と相まって懐かしい味わいです。
衣を付けて天ぷらにした“ナマコぱんの天ぷら”は、地元で祭事やイベントの時の定番料理。油で揚げるとモチモチ、サクサクになって美味と評判です。
新田老 / 和菓子
- 住所
- 宮古市田老1-13-6
- 営業時間
- 定休日
- 平均予算
- ~¥999
データ提供: 秋田県にほか市金浦町 渥美菓子店『あつみのかりん糖』
出典: 山形県との県境、秋田県の南西部に位置する「にかほ市」は、南に名峰・鳥海山を臨み、西に日本海が広がる、古くから知られる風光明媚な地。
【秋田県にかほ市象潟町「元滝伏流水」は、鳥海山の伏流水が、苔むした岩肌から湧き出て、流れ落ちている幅約30m程の滝。近くに名勝「奈曽の白滝」があるが、当滝も、苔の緑と水飛沫が鮮やかなコントラストをなして人気。】
出典: 沿岸に漁港が連なっているように、「にほか市」は、漁業が盛んな地。特産のハタハタや真タラ、桜マスやヒラメ、黒鮑や岩牡蠣等など、様々な魚介が、季節それぞれに水揚げされています。また、塩越港・金浦湊・三森湊・平沢湊は、江戸期から明治期にかけて、北前船寄港地として賑わった港町。市内には、数多くの北前船の文化財が点在し、かつての活気ある風情、雰囲気を今に伝えています。
【画像は、にほか市金浦町の「掛魚まつり(かけよまつり)」。寒鱈漁期に合わせ、例年立春の日に開催され、三百年もの歴史がある。当祭では、金浦漁港に揚がった重さ10kgもの寒鱈を二人一組で担いで町内を練り歩いた後、金浦神社に奉納される。
魚介が丸々と育ち、肥沃な土地となるのは、万年雪を頂く鳥海山の伏流水のお陰である。雪解け水は、溶岩層や山麓のブナの原生林に浸透し、その滋養を蓄えながら、幾年月をかけて伏流水となる。やがて地表に湧き出て、川となり、地を潤し、肥沃な土壌を育てている。川の水は海へと注ぎ、一部の伏流水は、直接砂浜や海中から湧き出て、プランクトンを発生させて、豊かな海洋資源を生み出している。】
出典: 山と海に抱かれた「にほか市」の金浦町で、人気を誇るのが「渥美菓子店」の郷土の名菓『あつみのかりん糖』です。町内だけでなく、市外、県外にも、その美味しさが伝わり、全国的にファンをもつ有名人気菓子です。
出典: 『あつみのかりん糖』は、北東北チックに平べったく、胡麻がたっぷり入っています。醤油と水飴を用いているので、表面は飴色で艷やかです。
食感は、パリッとサクッと軽快。噛み砕いていると、醤油の塩気と黒胡麻の香り、優しい甘味が、口一杯に広がります。「大学芋」や「芋けんぴ」に通じる、素朴で懐かしい味わいと人気。子供から高齢者まで、家族皆で楽しめる“かりんとう”です。
★気温が上がると、原材料の“水飴”が溶けるため、夏場の製造(7,8月)は休止し、9月上旬から再販となるので要注意。インターネット通販各社、道の駅でも販売しています。
金浦 / 和菓子
- 住所
- にかほ市金浦字高森115番地1
- 営業時間
- [月]
09:00 - 13:00
14:00 - 16:30
[火]
09:00 - 13:00
14:00 - 16:30
[水]
09:00 - 13:00
14:00 - 16:30
[木]
09:00 - 13:00
14:00 - 16:30
[金]
09:00 - 13:00
14:00 - 16:30
[土]
定休日
[日]
定休日
[祝日]
定休日
- 定休日
- 土曜日、日曜日、祝日
- 平均予算
- ~¥999
データ提供: 出典: 「南部せんべい」は、小麦粉に塩と水、(重曹)を加え、練った生地を丸い鋳型で焼いた煎餅の一種。
青森県八戸地方を中心に、北海道南部、岩手県北部の旧南部藩地域で主に作られ、古くから暮らしと共にある郷土の食べ物です。【岩手県盛岡市の老舗「白沢せんべい店」の定番商品『ごま』】
出典: 南部地方は、先に伝えたように、春から初夏に沿岸部に吹き込む冷たく湿った風“ヤマセ(山背/偏東風)”が吹くのため、稲作が適さず、古くから小麦や蕎麦、稗や粟といった雑穀栽培に力を入れてきた地方です。
【盛岡市・神子田(みこだ)の朝市の「木偶の坊(噂のひっつみ)」の『ひっつみ汁』。神子田朝市は、盛岡の台所を兼ねた農産物中心の朝市(毎朝開催だが、1月から4月の月曜日は定休)。】
出典: 現在でも「はっと」や「ひっつみ」が、当地方の代表的な郷土料理として上げられるように、かつては、米よりも、小麦や蕎麦が食の中心にありました。
【「木偶の坊」の『ひっつみ汁』は、20cm程の長く大きな“ひっつみ”が、4片入って食べごたえ満点。】
出典: 「南部せんべい」の起源については諸説ありますが、戦国期には兵の携行食として、江戸期には八戸藩南部氏の非常食として、当地方では作られてきました。
小麦を加工して、薄く伸ばして焼き上げれば、水分が抜けて保存も効き、胡麻を混ぜれば栄養価も上がります。干飯(ほしい)よりも、断然美味で食べやすい「南部せんべい」は、風土が生んだ食の遺産。現在でも「南部せんべい」は、当地方では、日常的におやつや軽食として食されるだけでなく、冠婚葬祭時にも欠かせない大事なものです。
【白沢せんべい店『ごましょうゆ』】
出典: ご当地グルメ「八戸せんべい汁」で有名なように、旧南部藩領の“八戸(青森県八戸市)”は、「南部せんべい」の発祥の地。せんべい文化のメッカです。
先述したように、ここ八戸は春から初夏にかけて“ヤマセ”が吹き込むため、古くから小麦が主食となっていた地域。八戸では、せんべいが日々の暮らしに欠かせない大切な食べ物となっています。
【「八戸せんべい汁」は、鶏や椎茸、牛蒡や芹などの具材を入れた汁に、南部せんべいを割って入れて煮込んだ料理です。汁用の南部せんべいは、煮込んでも煮崩れず、適度な弾力があって美味。出汁や具材の旨味も吸い込んでいるため“せんべい”と云えどもご馳走である。(画像は、八戸の人気居酒屋「おかげさん」の『せんべい汁』)】
出典: かつて、八戸市内には80軒以上のせんべい店がありましたが、住民や作り手の高齢化が進み、後継者不足によって減少しつつあり、現在は15軒程度と云われています。
【八戸の有名スポット“せんべい喫茶”こと「上舘せんべい店」の店主・ 八戸煎餅組合長の上舘一雄氏】
出典: 【店主が焼くのは、名物の“てんぽせんべい”。“てんぽせんべい”は、焼きたての、厚めに仕上げた南部せんべい。“餅せんべい”とも呼ばれるように、柔らかでモチモチ。腹持ちが良く、朝食代わりとなる。当店の喫茶営業は、朝4時~8時30分で、金型の焼き器で一枚一枚焼かれた、ホカホカの“てんぽせんべい”が安価で頂ける。】
「南部せんべい」は、基本の塩味とクッキー風甘味の2タイプ。
出典: 現在では、生地もトッピングも味わいも多種多様な「南部せんべい」が販売されていますが、基本は、小麦粉・塩・水のみの「しおせんべい」です。
「南部せんべい」の旧来の定番は、基本の「しおせんべい」に、胡麻や落花生を加えた「ごませんべい」と「まめせんべい(ピーナッツせんべい)」が一般的でした。
【「佐々木製菓」の一関大町総本店内で販売されている『無選別南部こわれせんべい』。地元の商店や直営店では、割れたり欠けたりした煎餅を詰め合わせたお得なセットが販売されている。(画像の価格は、2016年7月のもの)】
出典: 現在は、この旧来タイプの「しおせんべい」に加えて、クッキー風の甘く厚い生地の2タイプが主流です。この二つの生地を土台に、カボチャやリンゴ、胡桃やアーモンド等など、様々な具材を混ぜたり、トッピングしています。
【「佐々木製菓」の厚焼きクッキー風生地の『名代厚焼 アーモンド』】
出典: 北東北には、有名店が数々ありますが、どの店もこの2タイプを基本に、店独自の工夫を凝らした「南部せんべい」を展開しています。以下では、青森県の三戸・むつ・弘前(津軽せんべい)、岩手県・久慈・九戸・二戸・岩泉・盛岡、秋田県鹿角の名店とお勧めの逸品を紹介します。
【基本の胡麻せんべいに、青森特産の林檎(ドライアップル)をトッピングしたむつ市「八戸屋」の『林檎煎餅』。】
出典: 八戸の中心街から車で1時間程の距離にある三戸は、岩手県との県境にある内陸の町です。三戸には、昔ながらに鋳型を用いて、手焼きしているせんべい店が数々残っています。【手作業で煎餅を焼いている「小山田せんべい店」作業場】
出典: 町中の小さな作業場では、地元ならではの、餅せんべいと呼ばれる“てんぽ”や、汁物や鍋料理の具材となる“白焼き”と併せて、落花生、黒胡麻入りの伝統の「三戸せんべい」が一つ一つ手作業で焼かれています。出来たての煎餅は、店先の他、地元スーパーや市場などで販売されています。
【“日本最大級のカオス朝市”の「*館鼻岸壁朝市(たてはながんぺきあさいち)」の露店に並ぶ「小山田せんべい店」の『三戸せんべい』と『みみ』。“みみ”は、丸く仕上げる際に金型からはみ出た部分を切り落とした部分。厚みがあり、不揃いなので食感が良く、煎餅よりも好む人が多い。出来たては、柔らかく、時間の経過とともに硬くなるので、柔らかな“みみ”は、地元でしか味わえない。
(*館鼻岸壁朝市は、毎週日曜日の早朝にだけ出現する巨大朝市。JR八戸線陸奥湊駅から徒歩10分程度で着く岸壁で開催。)】
出典: 塩味タイプの生地が基本形の「三戸せんべい」は、店それぞれに味わいが微妙に異なりますが、大まかに言えば、色白で、薄く、パリッとして、軽い食感です。
【南部煎餅で赤飯を挟んだ“せんべいおこわ”は、三戸周辺の農家に伝わる郷土料理。農作業のおやつ、小昼時の軽食として、古くから食されてきた。“こびりっこ(こ昼っこ)”とも呼ばれる。】
出典: 地元では、せんべい単体でも頂きますが、赤飯を挟んだり、煮物等のおかずをのせたりと、日常的に食されています。
【「道の駅さんのへ」で販売されている「松原煎餅店」の『せんべいアイス』。薄く軽い「三戸せんべい」は、アイスとのバランスが良く好相性。夏の新定番アイスとして人気。】
出典: ★以下の「道の駅さんのへ」の公式HPでは、画像の「小山田せんべい店」、「松原煎餅店」を含む3店舗の「三戸せんべい」を通販で購入できます。
無農薬栽培の“えごま”入り(前田煎餅店)や『かやきせんべい』『かりかり せんべいのみみ』(松原煎餅店)も扱っています。三戸の特産品と買い合わせ出来、便利なサイトです。
【松原煎餅店『おつゆせんべい かやき』。汁用のせんべいは、出汁を程良く吸い込み、長く煮ても煮崩れず、もっちりとした食感をキープして美味。】
出典: 「八戸屋」は、八戸市内ではなく、下北半島のむつ市に店を構える大正12年創業の南部せんべいの老舗です。伝統の味わいを今に継ぎ、オンライン、電話注文を主軸に販売しています。
出典: 煎餅の種類が、ずば抜けて多いことで知られる「八戸屋」。中でも有名なのが、南部せんべいの新定番となった“飴せん”こと『あめせんべい』です。“飴せんは、基本の胡麻せんべいに、水飴を挟んだ、南部せんべいの進化形です。丸形から四角形だけに変わっただけでも斬新ですが、最中アイスのように、手で分割できるのも画期的です。
出典: パリッとして、トロ~リ。飴と煎餅の食感の対比も魅力的。優しい甘味の“水飴”と胡麻のコク、せんべいの食味が三位一体となった味わいが、絶妙な美味しさです。
出典: 気温が高くなると中の水飴が緩んでしまうため、『あめせんべい』は、冬季限定品。
それ以外の季節に購入するのなら、水飴チューブと胡麻せんべいをセットにした『水飴せんべい』を購入しましょう。好みの分量を加減でき、挟む楽しさもあって、子供も親も楽しめます。
青森県弘前市 小山せんべい店『津軽路せんべい』(まめ・アーモンド・ピスタチオ)
出典: 弘前公園の堀端に本店を構える「小山せんべい店」は、昭和23年創業の津軽せんべい店です。
一枚一枚、昔ながらに鋳型に生地を挟んで、店頭で“手焼き実演販売”している珍しいお店です。店舗は、本店を含めて、青森県内に4軒ありますが、どの店でも職人が店頭で手焼きしています。
出典: “津軽せんべい”は、名前は違えども、ルーツは南部せんべいです。
津軽地方は青森県西部(青森・弘前・五所川原など)で、藩政時代に津軽氏の領土だった地域(弘前藩と黒石藩)で、南部氏の家臣だった津軽氏が弘前藩主となり、“せんべい”文化が弘前、津軽地方へと伝わりました。
【人気のピスタチオの『津軽路せんべい』】
出典: 小山せんべいの特徴は、手焼きならではの香ばしい風味と、薄く軽やかな食感。サクサクっとしながらも、パリンと割れる適度な硬さもあり、絶妙な食味です。
甘みのある生地は、ナッツの美味しさを上手に引き出していて、見た目そのままに、手焼きならではの味わい、香ばしいナッツの旨さがダイレクトに伝わる逸品です。【アーモンドの『津軽路せんべい』】
出典: 特にお勧めなのが、『まめせんべい(落花生)』、『手焼きアーモンドせんべい』、『手焼きピスタチオせんべい』。
落花生やナッツは、どれも粒揃い。惜しげもなくトッピングされ、食べ応え満点です。せんべいの甘みと、豆(ナッツ)のコクのバランスが絶妙です。究極の「津軽せんべい(南部せんべい)」です。【大粒落花生の『まめせんべい』】
出典: 琥珀で有名な岩手県久慈市。北三陸に位置し、山間部から沿岸まで広がる市内には、「平沼高原」や「久慈渓流」等など、自然豊かな景勝地や観光スポットが点在しています。
【画像は、北部陸中海岸を代表する景勝地「久慈海岸」の『つりがね洞』。日本最古の地層からなる断崖と岩礁が続く海岸で、大小の小島が浮かぶ。『つりがね洞』は、その一つ島で、大きな洞穴の内部には釣鐘の形をした岩がぶら下がっていたことからその名が付いている。(内部の岩は、明治期の大津波で破壊され現存していない)】
出典: 旧南部藩領の久慈市も、八戸同様に「南部せんべい」は、郷土食で、特産品です。
市内には、最新の製造設備を備えた大規模工場の有名店もあり、その生産量を誇りますが、昔ながらに焼いている店もあります。「阿部煎餅店」は、その一つ。創業から60余年を数える地元で愛されてきた老舗です。
出典: 一枚一枚丁寧に焼き上げた「阿部煎餅」の南部せんべいは、昔ながらの素朴で優しい伝統の味わい。お勧めは、黒胡麻がたっぷりと入った『元祖南部せんべい ごま』。軽く食べやすいと評判です。
阿部煎餅店では、定番の南部せんべいの他に、和風、洋風の各種、みみ、こわれ、ギフトセット等、様々な南部せんべいを販売しています。詳細は、以下公式HPへ。
二戸市浄法寺町 石橋煎餅『南部せんべい みみつきピーナッツ』
出典: 青森との県境、県の内陸部に位置する二戸市は、東に折爪岳、西に稲庭岳を望み、市街地には馬淵川が流れる自然豊かな町。「浄法寺うるし」「浄法寺塗」で知られるように、市内浄法寺町は、縄文期に歴史の根を下ろす“漆”で有名な土地です。
【稲庭岳裾野に広がる稲田と赤そば畑(二戸市浄法寺町黒澤)。収穫の秋になると、黄金と紅色のコントラストが美しい景色を望める。画像の右上の穏やかな稜線を描くのが「稲庭岳」。】
出典: 文化度高い当地で、50年以上も愛されてきたのが「石橋煎餅」の「南部せんべい」です。店では、胡麻や落花生、クルミの他、根生姜を練り込んだ煎餅をカラリと揚げた『さくさくフライせんべい』、『鍋用 南部せんべい』、一口サイズにカットした『テトラせんべい』等を販売しています。
手作りにこだわった煎餅は、噛めば噛むほど小麦の旨味とともに、胡麻や落花生の香ばしさが口に広がります。当店のお勧めは、定番の“ピーナッツ”のの2種。
『みみつきピーナッツ』は、通常焼く時に外してしまう“みみ”部分を敢えて付けたまま焼いたもの。煎餅自体は、伝統の味そのもので硬くしっかりしていますが、端の部分はぽったりとして柔らかな焼き上がり。食感の異なりも楽しく満足感もあります。もう一つは、胡麻入りの定番生地に、落花生をたっぷりのせて焼いた『豆いり』です。
【「南部せんべい みみつきピーナッツ』一袋4枚入】
岩手県九戸郡九戸村 大谷煎餅店『九戸銘菓南部煎餅』
出典: 岩手県北部・九戸村(くのへむら)は、村の総面積の約7割を山林原野が占める自然環境環境が豊かな土地です。隣接する二戸市と軽米町に跨る「折爪岳(おりつめだけ)」は、遠く岩手山まで望めるレジャースポットとして有名です。
旧南部藩領だった九戸村で、半世紀近くも地元で南部煎餅を焼き続けているのが「大谷煎餅店」です。
一枚一枚丁寧に“まごころ”こめて焼き上げるのは、“自然素材の風味”が活きた、無添加で安心。健康的な南部煎餅です。胡麻・くるみ・ピーナツ・揚げ・のり・バター等の種類があり、昔ながらの白肌生地の小麦の風味を味わう南部煎餅です。
【画像は、九戸村・道の駅おりつめ「オドデ館」で販売されている袋入り。12枚入りの詰め合わせで、胡麻・ピーナッツ・ピーナッツ胡麻・クルミ・のりが入っている。店では、化粧箱入、缶入りも販売されている。】
岩手県岩泉町 鳥居煎餅店『たっぷり胡麻』と『たっぷりピー』
出典: 岩手県下閉伊郡岩泉町(いわいずみちょう)は、先に紹介した九戸村から南下した、県中央から東部に広がる町。
“森と水のシンフォニー”を町のキャッチフレーズに掲げるように、水質良好な湧水多く、緑豊か。岩泉町は、山地部から沿岸部へと東西に広がるため、森林、高原、草原、湿原、沿岸と、町内の植生も自然環境も多様です。
【岩泉町の観光スポット「龍泉洞」内から流れ出る湧水(清水川)。龍泉洞内では気が付かないが、水量は豊富。湧水は、本田川と合流して「清水川(しずがわ)」となり、下流へと下り、岩泉町内で利用されている。*清水川の水温は年間を通して摂氏10度。夏は冷たいが、冬場に凍結しない。「龍泉洞」や「清水川」の他、「皆の川大滝」や「早坂高原」、「熊の鼻」等など、自然を楽しむ観光スポットが、数々点在する。(*清水川沿い(龍泉洞~下流)には、遊歩道が設けられ、森林浴も楽しめる。】
出典: 「鳥居煎餅店」は、岩泉町の丁度真ん中辺り。早坂高原に水源をもつ小本川沿いに伸びる国道に店を構えています。手作りの優しい味わいが自慢の南部せんべいの専門店です。【鳥居煎餅店の人気商品『たっぷり胡麻』】
出典: 「鳥居煎餅店」の煎餅生地は、伝統の白肌の硬めの塩タイプ。工場の大量生産では出せない、手作りで素朴な味わいが魅力で、地元の人々に愛される煎餅です。サクっとパリっとした食感が溜まらないと評判です。
『減塩せんべい』や『しょうゆ味せんべい』『フライ』等、種類も多く、変化球もありますが、お勧めは、胡麻と落花生がたっぷり入った『たっぷり胡麻』と『たっぷりピー』です。【胡麻のコクと香りが人気の『たっぷり胡麻』】
出典: 素朴な煎餅生地に、たっぷりの落花生が入った『たっぷりピー』は、店の一番人気。「龍泉洞」内の土産物店や「道の駅いわいずみ“わくわくハウス”」でも、販売しています。
岩手大川 / せんべい
- 住所
- 下閉伊郡岩泉町穴沢字道の下21-12
- 営業時間
- [月]
08:00 - 18:00
[火]
08:00 - 18:00
[水]
08:00 - 18:00
[木]
08:00 - 18:00
[金]
08:00 - 18:00
[土]
08:00 - 18:00
[日]
08:00 - 18:00
- 定休日
- 平均予算
- ~¥999
データ提供: 岩手県盛岡市 白沢せんべい店『ごま』&『削ピーナッツ』
出典: 盛岡も、八戸や三戸同様に、旧南部藩領。“南部せんべい”は、南部鉄器と並び、盛岡を代表する名産品です。市内には、南部せんべいの有名店がありますが、「白沢せんべい店」もその一つ。昭和11年創業の老舗です。
【紺屋町(こんやちょう)に店を構える「白沢せんべい店」。当町は、かつて中津川を利用した染物屋が集まっていたことから名が付いている。南部紫、南部茜で染められた布地は、藩の特産物だった。紺屋町周辺には、「岩手銀行赤レンガ館」等の歴史的建造物が点在し、雰囲気の良いカフェやショップも多く、盛岡の観光スポットとなっている。】
出典: 「白沢せんべい店」では、伝統的なせんべいの味を守り継ぎながらも、カボチャやココア、にんにく等など新しい味わいの南部せんべいをバラエティ豊かに焼いています。
出典: 「白沢せんべい店」で外せないのは、伝統のパリッとした塩タイプ生地の『ごま』と『削ピーナッツ』。
白沢のせんべいは、素朴であっさりとした味わい。特に伝統の塩味のせんべいは、小麦本来の旨味をダイレクトに味わえます。【砕いたピーナッツがたっぷり入った『削ピーナッツ』】
出典: クッキー風タイプなら、『甘くるみ』。せんべいの柔らかな甘味と、胡桃のコリっとした食感とコクがアクセント。どこか懐かしい、ほっとする味わいが魅力の煎餅です。
出典: 『名代厚焼きせんべい』は、一関の定番土産。地元に根付いた煎餅店「佐々木製菓」の創業者が苦心の末に誕生した銘菓です。【佐々木製菓 一関大町総本店】
出典: 『名代厚焼きせんべい』は、塩味の旧来タイプではなく、クッキー風の甘味生地に落花生や胡麻をトッピングした煎餅。“厚焼き”と銘打っているように、サクサクっとした生地は厚手で食べ応えがあり、ふんわりとした優しい甘みが特徴です。
半世紀もの間、愛されているのは、飽きのこない素直な味わいだからこそ。コーヒーやミルク等との相性も良く、ほっと一息入れるのに、うってつけの南部煎餅です。【『名代厚焼きせんべい ピーナッツ』】
出典: 『名代厚焼きせんべい』の中で、特におすすめなのは、丸ごとの落花生をたっぷりと入れた『ピーナッツ』です。コリコリとした落花生の食感と、サクサクした甘い煎餅生地の取り合わせが絶妙なバランスです。
出典: 『名代厚焼きせんべい』には、他に『アーモンド』と『白ごま』があり、伝統的な塩味の『南部せんべい』(落花生、黒胡麻、醤油味)も販売。落花生の量を増量した『大名せんべい』も人気を博しています。
名代ささきのせんべい,ささきのせんべい,佐々木製菓,名代厚焼,名代三色せんべい,厚焼,三色せんべい,南部せんべい,南部小判,都わすれ,亀の子,しょうがせんべい,みそせんべい,ごませんべい 出典: 雪が溶け、長く厳しい冬が終わりを告げると、北東北では、木々が一斉に芽吹き、春の草花が輝きだします。
夏はその生命を謳歌するように山も海も輝き、黄金色の田んぼの収穫が終える頃は、山々も黄や茜色に鮮やかに染まっていきます。
山に降った雪が、滋養を含んだ湧き水となって地を潤し、海へと注いで、土壌や漁場を育てるように、季節も冬から春へ、夏から秋へと輪を描くように巡っていきます。
紹介した“郷土菓子”は、そうした自然の循環に逆らわず、数多の生命が描く輪の中で生まれた知恵の結晶です。全ての命を慈しむかのように作られる“郷土菓子”は、作り手の心持ちを映すような優しい味わいです。口に含めば、土地の香り、風景が立ち上がってくるような、心懐かしい味がします。
【津軽鉄道線「芦野公園駅(五所川原市金木町)」】
出典: 今記事を執筆にあたり、紹介しようと思っていた銘菓が一つ消えていきました。青森県五所川原市“板柳町”の名物『川口あんぱん』です。
江戸中期創業の老舗「新栄堂」が明治中頃から製造販売してきた焼き菓子で、独特の食感と上品な甘味が魅力で長きに亘って人気を博してきた逸品でした。残念ながら2020年5月7日に、暖簾が下ろされ、閉店となりました。
時代は巡り、社会が変容していくのは常ですが、自然の運行に逆らい、生産性や効率、目新しさばかりに視点を向け続ければ、帰するところ、虚しさだけが残ることになりかねません。
【五所川原市“板柳町”の名物だった『川口あんぱん』】
出典: 時代の荒波、難事にあっても、倦まず弛まず、手間を惜しまず、一つの菓子を実直に作り続けていくことは、材料の調達を含めて、本当に大変なことです。記事に紹介した菓子は、一見地味でも、息長く地元で愛され続けてきたものです。もし興味がもたられたら、ぜひ取り寄せて、ゆったりと旅するように味わってみて下さい。
そして、もし「北東北」を訪れるのなら、ぜひ土地の香り、風景を存分に楽しんで、お土産にして下さい。
【岩手県花巻市「花巻駅」-釜石市「釜石駅」を結ぶ、JR釜石線】
出典: ★以下では、記事で紹介した青森・岩手・秋田3県、市町村の観光サイトと、都内のアンテナショップのサイトを、記事で紹介した順に、県別に案内しています。次回の旅の計画に参考にして下さい。
【生鮮食品から加工品まで、多種多様な県産の商品が並ぶ東京・東銀座駅すぐの「いわて銀河プラザ」店内】
出典: 【稲穂色づく初秋の頃の津軽平野(五所川原市内「津軽鉄道」津軽飯詰駅~毘沙門駅間)】
出典: 【岩手県遠野市の撮り鉄人気スポット「宮守めがね橋」。走るは、JR釜石線の特別列車「SL銀河」】
二戸観光物産「いわてのてっぺん Japanの郷にのへ」&「ほんものにっぽんにのへ」
出典: 【秋田県仙北市「田沢湖」。最大深度423.4mと日本一の深度を誇る。対岸の正面の山は、“奥羽山脈”の北部に位置する、北東北の名峰「秋田駒ケ岳」。駒ケ岳の雪の様相が農作業の目安となって麓の人々に親しまれてきた。(画像は8月下旬の頃)】
秋田県産品ショップ&ダイニング「あきた美彩館」(ウィング高輪WEST-Ⅲ1階 )
【JR五能線「第二小入川橋梁」(あきた白神駅~岩館駅)。秋田県能代市「東能代駅」と青森県南津軽郡「川部駅」を結ぶ人気のローカル線。日本海や白神山地などの絶景が楽しめる。】