国内で初めて近代的な大学として設立された「東京大学」。
明治10年(1877年)に東京開成学校と東京医学校が合併して誕生しました。
出典: 敷居が高く感じる「東京大学」のキャンバス。
でも、15名以上の団体以外であれば、事前登録不要で構内を見学することができます。東京ドーム11個分もの敷地面積を誇る“本郷キャンパス”は、緑多く散策するのにぴったりな場所です。構内には、有名建築家による歴史的建築物や建造物が随所にあり、巡り歩けばアカデミックな雰囲気とともにノスタルジックな風情も楽しめます。
出典: 【画像は、法文館の通路。アーチ状のデザインは“ゴシック様式”と呼ばれる建築様式。東大では、設計者の名前を冠して“内田ゴシック”と愛称されています。】
以下では、“本郷キャンパス”の見所とランチにぴったりの学生食堂やレストラン、「東大」ならではのお土産やグッズ、近隣の美術館等などを紹介します。上野・根津界隈に足を運ぶのなら、ぜひ“東大・本郷キャンパス”も散策してみましょう。
出典: 【東京大学のマンホールは、設置された時期によってデザインが様々。散策時にチェック!】
本郷キャンパスは3つの地区からなります。正門・赤門から入るのは「本郷地区」。本郷地区に隣接するのは「弥生地区」。根津駅を最寄りとする地区が「浅野地区」です。今記事では、本郷地区と弥生地区を紹介します。
出典: 東京大学・本郷キャンパスは敷地広く、出入りする「門」もたくさんあります。
最寄り駅は、地下鉄丸ノ内線・大江戸線の「本郷三丁目駅」、地下鉄千代田線の「湯島駅」・「根津駅」、地下鉄南北線の「東大前駅」、地下鉄三田線の「春日駅」です。
(※今記事では、「正門」から入るコースを紹介します。最寄り駅は「本郷三丁目駅」です。)
出典: 散策ルートは、どの門から入構するかによって様々です。初めてキャンパス内を歩くのなら、有名な「赤門」・「正門」から入り、「安田講堂」へまず足を運びましょう。
オススメのコースは、丸ノ内線・大江戸線「本郷三丁目駅」が最寄り駅の「赤門」を起点に、本郷地区内を巡ります。弥生門から一旦敷地の外へ出て、美術館2つを見学。農正門から弥生地区へ入り、地区内を歩いて「赤門」周辺でカフェタイムを楽しみましょう。ルートは以下の通り。
【本郷地区】
赤門→東大正門-(銀杏並木)→法文1号館・法文2号館-(銀杏並木)→安田講堂→三四郎池(育徳園心字池)→総合図書館→―◆ランチ―◆購買部→
【構外散策】
弥生門→敷地外:弥生美術館と竹久夢二美術館―暗闇坂→
【弥生地区】
農正門→農学部3号館→上野栄三郎とハチ公の像→農正門→◆構内・周辺カフェ
出典: 本郷通に面した「赤門(あかもん)」。“東京大学”の異称でもある「赤門」は、東大本郷キャンパスを代表する建造物です。
出典: 本郷キャンパスは、元々加賀藩前田家の上屋敷があった場所。「赤門」は、上屋敷の*御守殿門で1827年(文政10年)に、第12代藩主・前田斉泰(まえだなりやす)が、第11代将軍徳川家斉(とくがわいえなり)の第21女溶姫(ようひめ)を迎える際に建造した「溶姫御殿」の正門です。
*“御守殿(ごしゅでん)”とは、三位以上の大名に嫁いだ徳川将軍家の娘が居住する奥御殿のこと。その門である“御守殿門”は、慣習として焼失した場合、再建をしてはいけないとされています。「赤門」は、実に貴重な現存物で、国の重要文化財に指定されています。
出典: 東大の象徴である「赤門」は大学の正門ではありません。赤門を過ぎ、そのまま本郷通りを進むと、東大の“正門”に。
出典: 正門の両側には、赤い煉瓦塀とむくり屋根が印象的な「門衛所」が左右対称に建てられています。
正門・煉瓦塀・門衛所は、1912年(明治45年・大正元年)の完成。西洋建築学を基礎として日本建築を見直した伊東忠太による設計です。
出典: *冠木門(かぶきもん)を基調とした門扉は、今もなお新鮮。門扉の細部をじっくりと眺めてみましょう。
(*冠木門とは屋根がなく、左右2本の柱に開閉扉を付けたもの。古くから日本の建築ではよく見られるものです。)
出典: 晩秋から初冬にかけて東大を彩るのは、正門から安田講堂へと続く銀杏並木。
出典: 構内は自然豊か。夏に青々と陽を遮っていた銀杏並木は、季節になると黄金に輝きます。
“内田ゴシック”の真骨頂 “法文1号館・法文2号館”
出典: 出典: 正門から安田講堂へと続く銀杏並木の両脇に建つのは、法文1号館と法文2号館。独特のスタイルは、本郷キャンパス建造物を代表するものです。
出典: 東大本郷キャンパスには、歴史的建造物が多く残存していますが、その多くが「内田祥三(うちだよしかず)」による設計です。内田は、関東大震災後の東大構内の復旧を主導した人物。正門から続く銀杏並木を含め、構内に明快な軸線と秀逸な建築物を残しました。【画像は、1938年完成完成の「法文2号館」】
出典: 画像に見られるようなアーチ状のデザインは“ゴシック様式”と呼ばれる建築様式ですが、内田が手掛けた建築物は、“内田ゴシック”と愛称されています。法文1号館、法文2号館ともに、登録有形文化財に登録されています。
出典:www.flickr.com(@Tatsuo Yamashita) 銀杏並木の正面が、「赤門」と並んで本郷キャンパスを代表する建造物「安田講堂」(東京都登録有形文化財第1号)。この風景もまた東京大学を象徴するもの。
出典:www.flickr.com(@Tatsuo Yamashita) 1969年に過激派の学生らによって占拠され、機動隊と衝突したことで良く知られる「安田講堂」。この講堂は、安田財閥の創始者である安田善次郎の匿名を条件にした寄付によって建てられました。死後に寄付が周知されることになり、安田を偲んで“安田講堂”と呼ばれています。正式には「東京大学大講堂」。基本設計は内田祥三。1921年に起工しましたが、関東大震災によって工事は中断。1925年(大正14年)に完成しました。
出典: 本郷キャンパスで最も自然の豊かさを感じられるのは「三四郎池」周辺です。
出典: 「三四郎池」の周囲は、規模は小さいながらも森を形成し、季節折々で様々な表情を見せてくれる憩いの場です。
出典: 夏目漱石の『三四郎』の舞台となったため「三四郎池」と呼ばれていますが、正式名称は「育徳園心字池」。前田家3代藩主利常の時代に整備した庭園(育徳園)の池です。(※「心字池」とは、“心”の字をかたどった池のこと。)
出典: 本郷キャンパスを散策するのなら、「中央食堂」も見逃せないスポットです。「中央食堂」は、安田講堂前の芝生広場の地下。
出典: 講堂脇に設置された階段を降りると、巨大なドーム状の食堂が広がっています。座席数は420、一般者も利用可能。学生の昼食時は混雑しますが、時間を外せばゆったりと食事を頂くことができます。
出典: ★利用方法は、2Fのサンプルケース(画像)からメニューを決め、チケット売り場・券売機で食券を購入して、各番号の窓口で注文してトレイで受け取ります。食後は、各自返却口まで。
【画像はコープランチ】
出典: 名物「赤門ラーメン」。
汁なしの唐辛子がたくさんのったラーメンは、ハーフサイズもあるので、他の定食と一緒に注文も出来ます。
ここに来たら、これは試してみたいですね。
出典: 工学部2号館には東京・日比谷の有名店「日比谷松本楼」の支店が入っています。
出典: 価格も構内ならではのリーズナブルプライスです。雰囲気も本店同様、落ち着いた雰囲気です。カレーやハンバーグ、カニコロッケ等定番の洋食メニューの他に、リーズナブルなランチセットもあります。【画像は、人気の「オムレツライス ハヤシソース」】
出典: 「赤門」隣、本郷通り沿いの煉瓦塀の建物は、社会連携、国際交流拠点として設立された「東京大学伊藤国際学術研究センター」。センター内には東京・目白「ホテル椿山荘東京」のグループレストランがあります。
出典: 東京大学伊藤国際学術研究センターは大正15年に建てられた倉庫を改築した建物です。建物1Fにレストランとカフェ、2Fにバーがあります。
出典: 雰囲気良い建物の中で頂くのなら、フレンチレストラン「椿山荘カメリア」がオススメ。リーズナブルプライスでゆったりと過ごせます。
東京大学ならではのグッズやお土産を探すのなら、東京大学消費生活協同組合(co-op)が運営する購買部をのぞいてみましょう。本郷キャンパス内には、二つの購買部があります。グッズ・お土産なら、中央食堂に隣接する「第二購買部」へ。
出典: 東京大學チョコレート」は、東京大学土産の一番人気。メリーチョコレートカムパニーの特別限定商品です。
出典: クッキーには東京大学の銀杏マークがはいっています。厳選バターを使用して焼き上げた贅沢なクッキーです。
出典: 東大グッズは実に豊富。特に文具類は充実しています。
トートバッグやTシャツ、タオルやマグカップ等雑貨類も豊富です。
出典: せっかく本郷まで足を運ぶのなら、近隣の美術館へも足を伸ばしてみましょう。本郷地区の「弥生門」傍には特色ある美術館があります。
出典: 「弥生美術館」は、弁護士・鹿野琢見によって創設された私立美術館。鹿野氏が収集した戦前の挿絵画家・高畠華宵作品の常設展示の他、季節毎に企画展を行っています。
出典: 「竹久夢二美術館」も、「弥生美術館」を創設した鹿野氏によって開館した私立美術館です。都内で唯一夢二の作品を鑑賞できる美術館です。
出典: 「弥生キャンバス」の正門“農正門”は、本郷通り沿い。
出典: 正門すぐに見えるのは、農学1号館と2号館。正門入って右手が、1930年完成の1号館・左が1936年完成の2号館。いずれも内田祥三の設計です。弥生キャンバスも本郷キャンパス同様に緑豊か。
出典: 秋には銀杏の葉がじゅうたんのように綺麗に敷かれます。
出典: 弥生キャンバスの新名所「上野栄三郎とハチ公の像」。渋谷駅前の銅像でお馴染みの“ハチ公”とその飼主・上野栄三郎博士の銅像です。
ハチは、1923(大正12)年に、秋田県大館市生まれの秋田犬。犬好きの博士に大切に育てられた名犬です。
出典: 愛犬を心底可愛がっていた上野博士は、当時駒場にあった農学部への通勤や出張時に、ハチを渋谷駅まで送り迎えをさせていました。しかし、ハチを飼い始めて1年半ばかり経った頃、博士は大学構内で急逝。ハチはそれ以後、その生涯を終えるまでの10年もの間、朝夕に渋谷駅へと通い続け、博士を探したといいます。
ハチと博士の愛が見事に表現された素晴らしい像ですので、弥生キャンバスに立ち寄るのなら、ぜひ鑑賞して下さい。
カフェタイムを楽しむのなら、「懐徳園」「赤門」周辺で。
本郷キャンパスの南西部の「懐徳園」、「赤門」周辺には、カフェを楽しむ洒落た店が点在しています。本郷キャンパスで午後の一時を楽しむのならこの周辺がオススメ。
出典: 先述した通り、現在の本郷キャンパス敷地には、加賀藩前田家の上屋敷がありました。明治期に東京大学のキャンパスになって以降、前田家は新たに本郷キャンパスの南西隅に和館と西洋館からなる邸宅を構え、また天皇行幸に合わせて日本庭園を整備しました。和館・西洋館ともに東京大空襲時に消失しましたが、日本庭園は「懐徳庭園」として今も残っています。現在建つ和風建築物「懐徳館」は、昭和26年に新たに建てられたものです。
出典: ★「懐徳館」は一般公開されていません。年に一度だけ「ホームカミングディ」に見学無料で一般公開されます。内部には入れませんが、外からだけでも庭園の一部を眺めることができます。
出典: 「懐徳園」そばにある「廚菓子くろぎ」は、湯島の和食店「くろぎ」が、東大構内に開いた和菓子&カフェ。本郷キャンパスで最近話題のスポットです。
出典: 前衛的でモダンな印象ですが、緑豊かな外部と相俟って落ち着いた雰囲気。オープンテラスとイートインスペースがあります。
出典: 人気は「わらび餅」。
ぷるんとした食感と上品な甘み。香り高い黄粉と抹茶糖が付いています。
出典: あんころ餅もオススメ。この店は「割烹くろぎ」と「猿田彦珈琲」とのコラボショップ。珈琲も一味違います。
出典: 寒い季節なら「ぜんざい」がイチオシ。ぷぅと膨れ上がった、熱々のお餅とおぜんざいは最高のご馳走です。
UT Cafe BERTHOLLET Rouge(UTカフェ・ベルトレ・ルージュ )
出典: 「赤門」北に新しく建てられた「福武ホール」。建物の1階にはゆったりとした洒落たカフェがあります。
出典: “ParisのモダンなCafe”のコンセプト通りの店内とメニュー。テイクアウト中心ですが、サンドイッチやパスタ、ワンプレートのランチもあります。
【画像は「鴨肉のランチプレート」】
出典: スウィーツは、オリジナルのソフトクリームとベリーがったっぷりの「ルージュパフェ」が人気。ケーキ類も充実。洋菓子派なら、UTカフェへ。
出典: 出典: 店構え同様に、店内もしっとりと落ち着いた雰囲気。「セイロン風カレーライス」で有名ですが、珈琲もカレー同様、香り高く美味しいので、ゆったりと珈琲を楽しむのならこの店がオススメ。
東大前 / 喫茶店
- 住所
- 文京区本郷6-1-14
- 営業時間
- [月]
09:30 - 20:00
[火]
09:30 - 20:00
[水]
09:30 - 20:00
[木]
09:30 - 20:00
[金]
09:30 - 20:00
[土]
09:30 - 17:00
[日]
定休日
[祝日]
定休日
- 定休日
- 日曜日、祝日
- 平均予算
- ¥1,000~¥1,999 /¥1,000~¥1,999
データ提供: 出典: 本郷キャンパスは自然豊かで広大。構内に入れば車の行き交いもなく、ゆったりと散策できます。
また記事で紹介した以外に、東大の研究から生まれたグッズを販売する「コミュニケーションセンター」や“ドーバー海峡大橋”と呼ばれる本郷キャンパスと弥生キャンバスを繋ぐ陸橋、構内にある「東京大学総合研究博物館」の展示室等など、見所もまだ沢山あります。一度だけでなくぜひ季節折々に、本郷の東京大学へ足を運んでみましょう。
出典: キャンパスは、15名以上の団体以外は事前登録を行わなくても見学できます。見学自由といっても、ルールは守りましょう。以下の注意事項を守れる方のみ入場可能です。詳細は以下のリンク先へ。
【画像は、法文館の通路。アーチ状のデザインは“ゴシック様式”と呼ばれる建築様式。東大では、設計者の名前を冠して“内田ゴシック”と愛称されています。】