懐かしくて心地いい。「古民家の宿」に泊まってみませんか
≪はじめに≫ 知っていただきたい、古民家の宿の魅力
三世代旅行も叶えやすい、古民家ならではの圧倒的広さ
家族の絆を深めるきっかけをつくる、“古きよき時代”の体験
家の中での本気の「かくれんぼ」に、広いお庭での「水風船」。また、昔は火を起こすために欠かせなかった「薪割り」など・・・。
現代とは一線を画した“古き良き時代の暮らし”がある場所だからこそ、楽しめることがあります。
三世代旅行ならば、子供が知らないことを知っているおじいちゃんおばあちゃんの活躍の場をつくれるかもしれませんね。
素材の味をいかした、体も心も喜ぶ田舎料理
現代と昔のバランスが心地よい、築100年の「一棟貸しの古民家宿」
①【山梨県笛吹市】古民家宿 LOOF 『澤之家』
白く可憐な花を咲かせるニホンスズランの群生地、山梨県笛吹市芦川町(あしがわちょう)。
標高1000mの知る人ぞ知る地域ではありますが、ここに、“古民家コンシェルジュが暮らしを提案する宿”として注目を集める、2軒の古民家の宿があります。
築120年の古民家を改修した「古民家宿LOOF 澤之家(こみんかやどルーフ さわのいえ)」、そして、築50年の古民家を改修した「古民家宿LOOF 坂之家(こみんかやどルーフ さかのいえ)」です。
澤之家・坂之家は徒歩1分圏内というご近所同士にあり、どちらも人気の宿。
今回は兜造り(かぶとづくり)という、兜に似た形の屋根が特徴的な、「澤之家」をご紹介します。
澤之家のハウスコンセプトは「かえってきたくなる宿」。古民家ならではの良さをしっかりと留めたまま、現代のライフスタイルに合わせた改装が行なわれているんです。
こちらは一階の「集いの間」。ゆったりとしたソファーに身を委ねながら、広々とした居間で各々好きな時間を過ごしたり、はたまた仲間と盛り上がったり・・・。縁側があるので、みんなで座って語らいあう時間も素敵ですね。
2階に上がると、1階とは異なる趣を楽しめます。下と吹き抜けで繋がっていて、古民家との一体感が心地よい空間設計です。
外観では青かった屋根ですが、実は屋根の内側は、このような茅葺きのつくり。1日の終わりも1日の始まりも、目に映るのは茅葺き・・・。タイムスリップしたような気分になりますよ*
実は布団のそばには、おこもりが楽しくなる、秘密基地のような空間が。
2畳ほどのスペースですが、好きな雑誌を手に取ってページを繰ったり、窓からのぞく竹藪を見つめて物思いにふけったり・・・。ふかふかのマットレスがあるので、大人も子どもも、くつろぎながら自分だけの時間に没頭できますよ。
古民家宿ですが、“かつての暮らし”に固執せず、現代の文明の利器も融合しているのが、この宿の素敵なところ。
例えば、無料wi-fiで映画が見られるタブレット、プロジェクターなども完備されているので、古民家の広々空間でシネマ鑑賞・・・という、新旧のいいとこ取りを楽しめます。
こちらのお宿の夕食は、すべてスタッフの方が準備をしてくださる食事プランか、自炊(3000円引き)のどちらかから、好きなほうを選べます。
筆者のおすすめは、スタッフが腕を振るう「囲炉裏山賊料理」をいただけるプラン。炭火を焚いた囲炉裏を囲みながら、ニジマスの塩焼きや、富士山麓牛の串焼きなどを楽しめますよ。食事を終えたら食器はシンクに入れておけばOKなので、こういった設備に不慣れな方でも安心です*
滞在中はコンシェルジュとLINEにて連絡が可能というのも、ここならではの特徴。
例えば「食事に合うワインが欲しい」とお伝えすれば、このようにオーダーに応えてくださったり・・・。「古民家宿 LOOF」の宿は、その対応の良さが評判です。
15名で泊まれる!時には大人数で、地元の温かさに触れる旅行を
②【千葉県大多喜町】まるがやつ『萱 - KAYA』
かつて城下町であった、千葉県夷隅郡の大多喜町。
周囲には田んぼや山が広がるこののどかな地域にあるのが「一棟貸し&体験型古民家 まるがやつ」。
千葉市の一級建築士事務所が、「日本文化の保存、再生、継承」を目的として手がけた施設です。
なんと2万平米という広大な敷地を有し、定員15名までの一棟貸し古民家「萱-KAYA-」、定員4名までの一棟貸しスタイルの蔵「蔵-KURA-」、そして貸切キャンプ場の「宙-SORA-」の、3つの宿泊施設が営業中。
今回は、「萱-KAYA-」にフォーカスをあててご紹介。最大15人で泊まれるので、3世代の家族旅行など、特別な思い出旅行で利用するのに、もっていこいです*
「萱-KAYA-」は江戸時代末期に建てられたとされる築200年の古民家をリノベーションした、歴史的にも価値が高い建物です。
約45坪の平屋建てで、このような立派な柱や梁が、歴史を感じさせます。
昔の暮らしを追体験できる仕組みがちりばめられていることも、特徴的。キッチンには土間、かまどがあったり、お風呂には檜の浴槽があったり・・・。使いやすくメンテナンスされていますので、古民家初心者さんでも安心です。
そして、宿から一歩外に出てみても、楽しみがいっぱい!
お庭では本物の竹を割った流しそうめん台で「流しそうめん」を楽しめたり、近くには、まるがやつの専用農園も。
そして日が沈めば、まるでプラネタリウムのような星空を見上げ天体観測・・・。
周辺の環境含めて、「田舎で暮らす」という体験を贅沢に味わうことができます。
また、田舎ならではの体験プログラムも、要チェック。
農家の方と共に野菜の収穫や田植えを楽しめるプログラム、また、地元の方のレクチャーを受けながらかまどご飯を炊くというプログラムもありますよ。炊き立てのご飯で、みんなでおにぎりを頬張るのも、特別な思い出になりますね。
さらに心を休める時間を求めている方には、地元のお坊さんを招いての「座禅体験」も・・・!
好きなプログラムを追加して、自分にぴったりな滞在プランにカスタマイズできるのが、嬉しいですね。
趣向を凝らしたお食事プランも魅力的で、「自炊プラン」「出張シェフプラン」そして、「おばあちゃんの台所」があります。
一押しは“地元の人々との交流”に重きを置いた「おばあちゃんの台所」。これは、おばあちゃんが宿に来て、地元食材をたっぷり使ったお食事を用意してくださるという、まさしくおばあちゃんの家に来た気分になれるプランなんです・・!
素材の旬や、調理するおばあちゃんによって献立が変わるのもここならではの醍醐味です。
三世代で旅行すれば、子どもたちにとっては新鮮な経験に。そして、おじいちゃんおばあちゃんにとっては幼い頃に思いを馳せる懐かしい時間を味わえるのかもしれません。
まるがやつは、「萱-KAYA-」はもちろん、「蔵-KURA-」も有名な建築家・中村好文氏設計とあって、常に人気の宿。興味を持った方は、早めに計画して予約することをおすすめします。
プライベート重視さんへ。明治の雰囲気を留める「古民家貸別荘」
③【埼玉県秩父郡】ようこそ古民家へ『古民家 -芦ヶ久保-』
明治時代の、築100年以上の建物の間取りをそのままに、自社でリノベーションした物件を貸別荘スタイルで1日1組限定で貸し出している、「ようこそ古民家へ」。
その「ようこそ古民家へ」が展開している3軒の宿『古民家-東秩父村-』『古民家-長瀞』『古民家-芦ヶ久保-』の中から、筆者が実際に滞在した『古民家-芦ヶ久保-』をご紹介。
基本的にはチェックインとチェックアウト(キーボックスなどを利用した受け渡しも可)の時間を事前に調整しておくだけ。当日利用方法の説明を直接聞いたら、あとは宿泊者のみの自由時間です。
スタッフは常駐しないので、プライベートを重視する方にぴったりです。
2階建てで、間取りは8LDK。実際に足を運んでみると、圧倒されるほどの重厚さと広さに圧倒されますよ。
エアコンのリモコンだって、前代未聞のこの量!
迷路?と思うほど広いので、子どもたちも大喜び。階段を上がって探検したり、かくれんぼしたり・・・。周りを気にせず大きな声を出しやすいのも、嬉しいですね。
玄関の土間を入ると、すぐ脇には釜戸、そして目の前には囲炉裏が。
もうその風景だけでタイムスリップしたような、ワクワク感が止まりません!
実はこちら、お食事プランがついておらず、食材は全て持ち込んでいただくスタイル。そのように完全フリーだからこそ、釜戸、囲炉裏の体験をとことん満喫できるようになっています。
せっかくなので、長テーブルが用意された庭の一角で、開放感に浸れるBBQはいかがでしょう。
車で15分ほどのところに大型スーパーもあり、食材の現地調達も可能ですよ。
もちろん、囲炉裏でお食事を楽しむことも。
囲炉裏と言っても手軽にバーナーで利用できるタイプになっているので、扱いに不慣れでも大丈夫。おやつにマシュマロやソーセージを焼いても楽しそう!
さらにお風呂を覗くと、通常の浴槽のほか、五右衛門風呂、岩風呂も!
「五右衛門風呂」は本来は鉄の釜の下から直接薪で沸かすものなので、「やけどしたらどうしよう・・」と不安になりますが、心配ご無用。こちらは、給湯するだけのスタイルにリフォーム済みです。
とはいえ、底板を踏み沈めて入るのはそのままですよ♪
こちらは、宿の目玉でもある、大きな岩風呂。屋内ですが、ご覧の通り自然の景色を楽しめて、まるで旅館の露天風呂のよう*
ちなみに、3つ目のお風呂として、ユニットバスも完備。トイレは4か所(洋式)あり、プライバシーが確保されやすいのも、嬉しいポイント。お友達家族や三世代での旅行に、一押しです。
ちなみに『古民家 -芦ヶ久保-』の周辺では、川遊びを楽しむことも。
ちなみに・・『古民家 -芦ヶ久保-』に滞在するなら、車で10分ほどのところにある「ウォーターパークシラヤマ」も、ぜひ立ち寄っていただきたいスポット。
川原でBBQも可能、遊具がある小さな公園も、駐車場と川原の間にあります。大人から子供まで、自然に包まれて昔ながらのゆったりした時間を過ごすことができる環境です。
川原はこのような浅瀬が多く、小さなお子さんも安心して川遊びができますよ。
水もキレイで、小さなお魚が簡単に見つかります♪日常生活でこのような経験は、なかなかできないのではないでしょうか。
トンボなど、豊かな自然に生息する様々な生き物に出会えますよ。
そのほか、渓流釣りができる釣り堀「あしがくぼ渓谷国際釣場」も近くにあります。植物や魚、虫など、この美しい環境ならではの魅力に、ぜひ触れてみてください。
残暑が次第に落ち着き始め、周囲の自然がすこしずつ秋色に。やっとお出かけしやすい時期になりました。
次のお休み、ちょっとのんびりしたいなぁ・・・と思ったなら、ぜひオススメしたいのが、「古民家の宿」に泊まる旅。