「さらりと着こなす着物 ~入門編~」では、ふだん着物の着こなし方についてご紹介しました。今回は、後編となる「さらりと着こなす着物 ~粋なお出かけ編~」。和のおしゃれに身を包んだら、お出かけしてみませんか。
着物でお出かけすると、いつもとは異なる視点で街の魅力を体験できますよ。
フォーマルなイメージがある「着物」ですが、最近では、街中で、おしゃれに着物を着こなす方もちらほら見かけるようになりました。そう、「着物」は、慶事だけでなく、伝統美を放つファッションとして日常的に楽しめるものなんですよ。デイリーに着やすいデザインを選んだり、小物でアレンジしたりすることで、洋服感覚で着こせます。そこで今回は初心者さん向けの「ふだん着物」入門編、「着物の基本情報・おしゃれな着物コーディネート術」をお届け。着物だけでなく浴衣でも応用できるテクニックですので、参考にしてみてくださいね。
舞台は京都。着物姿でレトロ建築に出会う、ハイカラ気分の散策を
今回ご提案する和散歩の舞台は、古都「京都」。
京都では日常的に着物を着て生活している方が多く、そのため、着物初心者さんも“着物姿が目立つ”ことを気にせずに町歩きを楽しめるはず。
出典: また、ほかにも、着物の町歩きに「京都」をおすすめしたい理由があるんです。
それは、モダンな雰囲気を持つ「レトロ建築」が多い場所だから。着物姿と相性抜群な撮影スポットであり、きっと着物に慣れていない方でも、テンションがあがるのでは。自分が昭和の時代にタイムスリップしたような気分に浸れますよ。
出典: 着物で訪れるのにぴったりな「京都のレトロ建築」スポットをピックアップしましたので、ぜひこの機会に新たな京都の魅力を発見してみてくださいね。
着物姿が絵になる。写真撮影が楽しい「京都の歴史的建造物」5選
古い建築物が数多く残る京都。寺社仏閣や町屋レストランなど純和風の建物もいいですが、和のおしゃれと大正~昭和初期の洋風レトロ建築のコンビネーションもとっても素敵。筆者選りすぐりの4施設をご紹介します。
出典: 東京駅を手がけた辰野金吾設計による、京都文化博物館別館。明治竣工のレンガ造り2階建ての建物で、日本銀行の京都支店として使用されていました。重要文化財にも指定されています。
白い花崗岩などを用いて、装飾的なデザインが施されていることが特徴的。これは“辰野式”と呼ばれているもので、東京駅にも見受けられますよ。
出典: 京都文化博物館の本館は入館料が生じますが、お目当ての別館(ホール)の内部見学は無料です。
洋館建築ならではの、レトロモダンな雰囲気でいっぱい。
出典: こちらが、別館ホール。現在は特別展やコンサートなどで使用されますが、もともとは銀行の営業室でした。
吹き抜けの構造で、天井の窓からも外の光を取り込めます。吊り下げ照明も美しいですね。
出典: 館内には、カフェ「前田珈琲」が入っています。歴史ある建物のなかで、味わい深い淹れたてコーヒーをいただくのもよいですね。
烏丸御池 / 喫茶店
- 住所
- 京都市中京区高倉通り3条上ル東片町623-1 京都文化博物館 旧日銀金庫室 1F
- 営業時間
- [月]
10:00 - 19:30(L.O. 19:00)
[火]
10:00 - 19:30(L.O. 19:00)
[水]
10:00 - 19:30(L.O. 19:00)
[木]
10:00 - 19:30(L.O. 19:00)
[金]
10:00 - 19:30(L.O. 19:00)
[土]
10:00 - 19:30(L.O. 19:00)
[日]
10:00 - 19:30(L.O. 19:00)
■ 定休日
不定休(京都文化博物館に準ずる)
- 定休日
- 平均予算
- ¥1,000~¥1,999
データ提供: 出典: 京都文化博物館の目と鼻の先、三条通りと東洞院通の交差点に建つ「中京郵便局(なかぎょうゆうびんきょく)」。
こちらも、京都市登録有形文化財。辰野氏の設計ではありませんが、こちらも見ごたえのあるレンガ造りの郵便局です。
出典: 中京郵便局と同じく、三条通沿いにあるのが、大正5年竣工の「SACRAビル(旧不動貯金銀行京都支店)」。
内部はリニューアルされ、お店が入居するテナントビルとなっていますが、国の登録有形文化財。
出典: とくに階段と踊り場が素敵なんですよ。
SACRAビルには日本製工芸品のお店「職人.com」も入居していますので、よかったらぜひ立ち寄って、写真におさめてくださいね。
出典: 四条大橋西詰の鴨川河畔に佇む「東華菜館(とうかさいかん)」。
スパニッシュ・バロック様式の装飾が美しく見どころいっぱいのこのビルは、「山の上ホテル」で有名なウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計。大正15年に建設されました。
現在では国の登録有形文化財に指定されています。
出典: 外観では分かりづらいですが、実は、北京ダックなどをいただける北京料理店なんですよ。
出典: 是非ご覧いただきたいのが、稼働中のものとしては日本最古となる手動式のエレベーター。スタッフの方の操作で案内してもらいます。
大正15年設置という歴史あるエレベーターのレトロな乗り心地を、ぜひ着物で楽しんでみてください。
出典: こちらは待合室。天井、壁や、さりげなく置かれた椅子など、室内装飾もみどころがたくさんあります。
出典: 実は北京料理店となった背景を紐解くと、歴史的事情があります。もともとはビア・レストランとして建てられたのですが、戦時中は洋食レストランが許されない状況であったため、北京料理店に姿を変えたのです。
このアジアと西洋が混ざり合った歴史ある空間に和服で訪れるなんて、素敵だと思いませんか。
祇園四条 / 中華料理
- 住所
- 京都市下京区西石垣通四条下ル斎藤町140-2
- 営業時間
- [月]
11:30 - 21:30(L.O. 21:00)
[火]
11:30 - 21:30(L.O. 21:00)
[水]
11:30 - 21:30(L.O. 21:00)
[木]
11:30 - 21:30(L.O. 21:00)
[金]
11:30 - 21:30(L.O. 21:00)
[土]
11:30 - 21:30(L.O. 21:00)
[日]
11:30 - 21:30(L.O. 21:00)
- 定休日
- 平均予算
- ¥8,000~¥9,999 /¥4,000~¥4,999
データ提供: 出典: 河原町三条~烏丸三条にかけてはレトロビルがたくさんあり、特別な目的地を目指さなくても、プラプラいろんなお店に立ち寄りながらレトロな空気を味わうことができます。
御幸町三条角に佇む「1928ビル(いちきゅうにーはちビル)」は、大阪毎日新聞社の社屋として、その名の通り1928年に竣工されたビルです。
アール・デコ様式を取り入れつつ、社章である星モチーフもちりばめられているという、さりげないおしゃれが光るデザイン。
出典: 1~3階はギャラリーや劇場などがあり、アート・カルチャーの発信地として大きな役割を果たしています。なかでも着物でぜひ訪れてほしいのが、地階にある「カフェ アンデパンダン(Café Indépendant)」。
階段を下りるにつれて、別世界の空気が漂ってきます。こちらが、カフェの入り口。
出典: 1998年より改修工事が進み、外観はすっかりきれいになった「1928ビル」ですが、地階の扉を開けると廃墟のように退廃的でいて薄暗く、不思議と温かい・・・。国籍も時代も不詳な雰囲気。
着物で寛いでレトロな雰囲気を楽しんでもしっくりくるし、モードなファッションショーが開かれそうでもある・・・何とも言えない居心地の良い空間が広がります。
出典: ちなみに、カウンターで注文するキャッシュオン方式なので、時間を気にすることなく本気で寛ぐげるのが、「カフェ アンデパンダン」の魅力でもあります。
着物でのお散歩に疲れてしまったときの休憩にもおすすめの、ほっこりスポットです。
京都市役所前 / スペイン料理
- 住所
- 京都市中京区三条通御幸町東入弁慶石町56 1928ビル B1F
- 営業時間
- [月]
12:00 - 22:00(L.O. 21:00)
[火]
12:00 - 22:00(L.O. 21:00)
[水]
12:00 - 22:00(L.O. 21:00)
[木]
12:00 - 22:00(L.O. 21:00)
[金]
12:00 - 23:00(L.O. 料理22:00 ドリンク22:30)
[土]
12:00 - 23:00(L.O. 料理22:00 ドリンク22:30)
[日]
12:00 - 23:00(L.O. 料理22:00 ドリンク22:30)
[祝日]
12:00 - 23:00(L.O. 料理22:00 ドリンク22:30)
■ 定休日
不定休
- 定休日
- 平均予算
- ¥4,000~¥4,999 /¥1,000~¥1,999
データ提供: 5.≪文椿ビルヂング≫ お酒の美術館 京都三条烏丸レトロパブ
出典: 中心街の三条烏丸通りを西に入ったところにある、「文椿ビルヂング(ふみつばきビルヂング)」は大正9年に建てられた、珍しい木造の洋館。今はリノベートされていますが、天井が高く、大正当時の最先端と京都の伝統の雰囲気を併せ持った造り。文化と伝統を大切にしつつ現代的なお店が入居する、大人の商業施設となっています。
男性用のカジュアルな着物のお店もあり、カップルで訪れるのも楽しいですよ。
出典: ギャラリーやレストラン、カフェなど さまざまなお店が入ったこの「文椿ビルヂング」の中でも是非、和のおしゃれで訪れてほしいのが、二階にある「お酒の美術館 京都三条烏丸レトロパブ」。 大正ロマンの雰囲気の中でお散歩の疲れをほっこりと癒せるお店。
お店の名前の通り、アルコール類がリーズナブルに充実していて お昼からお酒が楽しめてしまいますが、ランチメニューもあります。お酒が飲めない方でも利用できますよ。
出典: 和風の伝統的なお店ももちろん素敵ですが ワンピース感覚で装う着物には レトロモダンな空間が良く似合います。
烏丸御池 / バー
- 住所
- 京都市中京区御倉町79 文椿ビルヂング 2F
- 営業時間
- [月]
15:00 - 00:00(L.O. 23:30)
[火]
15:00 - 00:00(L.O. 23:30)
[水]
15:00 - 00:00(L.O. 23:30)
[木]
15:00 - 00:00(L.O. 23:30)
[金]
15:00 - 00:00(L.O. 23:30)
[土]
15:00 - 00:00(L.O. 23:30)
[日]
15:00 - 00:00(L.O. 23:30)
当店は5月31日(金)をもちまして、店舗移転に伴い一時的に営業を終了いたします。
- 定休日
- 平均予算
- ¥1,000~¥1,999 /¥1,000~¥1,999
データ提供: アンティークも見どころ。京都を代表する「レトロ喫茶」2選
出典: よく知られている“レトロ”のイメージのみならず、幻想的な雰囲気も楽しめることで有名な「喫茶 ソワレ」。昭和23年創業の老舗喫茶店です。
出典: 創業者が洋画家・東郷青児氏の作品のコレクターであったこともあり、店内には同氏の絵が飾られています。
レトロ可愛い雰囲気で、グラス、コースターやショップカードも要チェック♪
出典: こちらでいただきたいのが、宝石のようにキラキラとした「ゼリーポンチ」。
さくらんぼものっていて、ハイカラな雰囲気いっぱい。ぜひ着物姿で、ノスタルジックで乙女な時間を楽しんでみませんか。
京都河原町 / 喫茶店
- 住所
- 京都市下京区西木屋町四条上ル真町95
- 営業時間
- [月]
定休日
[火]
13:00 - 19:00(L.O. 18:00)
[水]
13:00 - 19:00(L.O. 18:00)
[木]
13:00 - 19:00(L.O. 18:00)
[金]
13:00 - 19:00(L.O. 18:00)
[土]
13:00 - 19:30(L.O. 18:30)
[日]
13:00 - 19:30(L.O. 18:30)
[祝日]
13:00 - 19:30(L.O. 18:30)
■ 定休日
月曜(※祝日の場合は翌日)
- 定休日
- 月曜日
- 平均予算
- ~¥999 /~¥999
データ提供: 出典: 「きんせ旅館」もまた、レトロ好きにははずせないカフェ。江戸時代後期の揚屋だった建物を利用しており、つまり、刻まれている歴史は250年以上!
着物姿で、長い時代の移り変わりに想いを馳せる、特別な時間を過ごせます。
出典: 元揚屋とあって、美しく経年変化したアンティーク家具、ステンドグラスやタイルによる装飾など、気分が高まる空間。
コーヒーや紅茶、スコーンなど、喫茶店らしいメニューをいただけて、器も美しいものばかりです。ハイカラな西洋文化の香りに酔いしれること必至ですよ。
丹波口 / カフェ
- 住所
- 京都市下京区西新屋敷太夫町80
- 営業時間
- [月]
17:00 - 22:00
[火]
定休日
[水]
17:00 - 22:00
[木]
17:00 - 22:00
[金]
17:00 - 22:00
[土]
17:00 - 22:00
[日]
17:00 - 22:00
■ 営業時間
月・木曜日 :15:00~22:00
金・土・日・祝日:15:00~22:00
きんせ旅館のInstagram・Facebookにて開店・閉店時間を確認できます。
■ 定休日
火曜日
- 定休日
- 火曜日
- 平均予算
- ~¥999 /~¥999
データ提供: 併せて立ち寄りたい。身近な和に出会える「縁日・骨董市」
出典: 京都では、毎月定期的にお寺で縁日や骨董市が開かれます。骨董や古着など、和のアンティークも充実しています。着物でそぞろ歩くだけでも、いつもとは違った和のお店が気になったりして楽しいもの。
出典: 普段なら眺めるだけで通り過ぎてしまう帯留めたちも、どんな帯に合わせようかと目にとまるはず。コーディネートを考えて手に取ったりして、あっという間に時間が過ぎてしまいますよ。
いつもは出会えない素敵な掘り出し物に出会えるといいですね。
お寺で開催されるおすすめの市(一例)
・知恩寺「百万遍さんのてづくり市」:毎月15日
・東寺「弘法市」:毎月21日
・北野天満宮「天神市」:毎月25日
【Information】京都には、着物姿の方に優しいサービスも
着物初心者さんにとって耳より情報* 京都には、着物でのお出かけを町がサポートしてくれる<京都きものパスポート>というサービスがあるんです。
出典: 着物姿(浴衣含む)で、<京都きものパスポート>提携のお店に行けば、割引を受けることができます。
たとえば、京都の寺院の拝観料や、美術館の入館料、和装のお店、飲食店でのお食事代、お土産などのお買い物が、ちょっとお得になりますよ。また着崩れしてしまったときに駆け込めば直してもらえる「着くずれレスキュー」という、サービスも。和散歩を安心して楽しむためのとっても心強いサポートです。
<京都きものパスポート>は専用アプリを無料ダウンロードすればすぐ利用できますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
京都きものパスポートの公式サイトです。着物で楽しめる施設や和装用品が見つかるお店など、京都の和散歩が何倍も楽しめる情報が充実しています。
京都きものパスポートの公式アプリ「きものパスポ」は、こちらから。
出典: 和と洋の垣根を取り払って、自由に着物のおしゃれを楽しんでみましょう。今まで単なるお土産だった和小物がぐっと身近に感じられたり、いつもの場所がとても新鮮に楽しめたり・・。和のおしゃれに身を包んだ時の心躍る気持ちと新しい発見を、ぜひ体験してみてくださいね。
今回ご提案する和散歩の舞台は、古都「京都」。
京都では日常的に着物を着て生活している方が多く、そのため、着物初心者さんも“着物姿が目立つ”ことを気にせずに町歩きを楽しめるはず。