外気がまだ冷たい早春の頃は、
身も心も縮こまって、桜の春も遠くに感じます。
出典: けれども、一歩外に出てみれば、日差しは、思いの外明るく、温か。
節分過ぎれば春が始まるように、
自然の運行は、私たちの感覚とは異なって、刻一刻と本格的な春に向かっています。
出典: 出典: 伊豆半島の付け根、静岡県の最も東に位置する「熱海」は、古くから知られる有数の温泉地。
その歴史は古く、平安・鎌倉期に、すでに“熱海郷”と云われ、仁賢天皇時代に、熱湯が海中から湧き出したことから、“熱海(熱い海)”と、その名が付いたと伝えられています。【「熱海城」から望む熱海市街】
出典: 日本有数の温泉郷である熱海は、源泉の数多く、古くから武将の湯治の場であり、江戸初期に家康公が湯治した以降熱海の湯は、徳川御用達の名湯として広く知られるようになり、江戸中期以後は、庶民の湯治場として栄えました。
【画像は、平安期から“湯治の神”として知られる「湯前神社(ゆぜんじんじゃ)」の手水舎。
湯前神社の境内には、三代鎌倉将軍・源実朝が詠んだ歌碑(『都より巽にあたり出湯あり 名はあづま路の熱海といふ』)があり、鳥居の脇にある手水舎では、熱海本来の源泉とされる「大湯」が今も湧いています。】
出典: 明治期以降は、皇族や政治家、文人墨客らが別荘を構える保養地として、戦後は、高度経済成長とともに全国有数の観光地として発展しました。
【画像は、平成25年の日経新聞日経プラス1で“一度訪れてみたいあの坂」で全国7位にランクインした、熱海・海光町の石畳地区。坂に建つ洋館は、野村證券の創始者・野村徳七の別邸だった「野村鹿外荘(外観のみ見学可)」。
石畳地区には、国の重要文化財「旧日向別邸」(*本文で紹介)や、かつて熱海の代表的なホテルの一つであった「熱海ホテル跡地」などもあり、かつての閑静な別荘街の風景を残しています。】
出典: バブル景気が到来した以降、レジャーの多様化やバブル崩壊による不況、歓楽街としてのマイナスイメージ等などによって客離れが進み、大型ホテルや老舗旅館が相次いで廃業に追い込まれるなど、「熱海」人気は陰り、一時期は、衰退傾向が続きました。
しかし、近年になって、熱海駅や宿泊施設のリノベーション、都心部からのアクセスの良さ、温泉ブームの到来、官民共同の観光客誘致等などが功を奏し、観光客が増加し、全国屈指の温泉地として再び人気を博しています。
【画像は、「日航亭大湯」の露天風呂。「湯前神社」の近くには、かつて世界三大間歇泉の一つだった、熱海七湯の一つ「大湯間歇泉(おおゆかんけつせん)」があり、現在も機械仕掛けで源泉を噴き上げています。間歇泉傍らにある「日航亭大湯」では、この大湯を日帰りで楽しむことが出来ます。】
出典: 首都圏から近くとも、「熱海」は、伊豆半島の温暖な気候に包まれた地。春の訪れは早く、毎年1月から梅も桜も咲き出します。
【「あたみ桜」は、沖縄の寒緋桜と並び、日本一早く開花します。例年1月から2月初旬に開花し、約一ヶ月の間咲き続けます。(画像は、3月上旬の「熱海梅園」に咲く「熱海桜」)】
出典: 丘陵が海に迫る「熱海」は、斜面に覆われ、坂や階段が多い街。
坂を上がって高台へ身を置けば、初島や大島が浮かぶ相模湾の絶景を眼下におさめ、石段や坂道を下り、海辺に佇めば、温かな日差しに包まれながら、穏やかな春の海を心ゆくまで眺めることが出来ます。【2月上旬頃の「熱海城」天守閣からの眺望】
出典: 「熱海」には、温泉施設はもちろんのこと、歴史ある当地ならではの特色あるスポットも豊富です。【「來宮神社」の御神木】
出典: 古からの霊力を湛える神社や景観が素晴らしい美術館や別荘、自然豊かな梅園や庭園等など、魅力的で多彩な観光スポットが市内に散在しています。【「MOA美術館」からの眺望。正面の相模湾に浮かぶのは「初島」】
出典: さらに、駅前や中心街に伸びる商店街には、干物や饅頭を並べる土産店、海辺ならではの食を供する食堂や寿司店、著名人が愛した洋食店や菓子店、昔ながらの佇まいの喫茶店やカフェ等など、数多くの名店が軒を連ね、熱海ならではの美味も楽しめます。
【昭和の文豪、志賀直哉や谷崎潤一郎らが贔屓にしたレストラン「SCOTT」の『アワビのコキール』】
出典: 「熱海」市内を心向くままに流し歩けば、海辺の豊かな景色、“熱海”ならではの食を味わいながら、一時を存分に楽しむことが出来ます。
【画像は、老舗洋菓子店の「三木製菓」の『ねこの舌』。小麦粉・砂糖・卵・バターと、シンプルな材料のみで作られた焼き菓子は、素朴で飽きない味わいと評判。谷崎潤一郎も愛したという熱海屈指の人気ロングセラー商品。レトロなパッケージも魅力的で、お土産にお勧め。】
出典: “意外と熱海”とは、熱海市観光協会の観光プロジェクトのキャッチフレーズです。
本記事で紹介するのは、キャッチフレーズ通りに「意外に熱海って良いなぁ」としみじみ思えるお勧めのスポットです。戦後昭和の熱海のイメージとは異なる、歴史に裏打ちされた“深み”や、日常では味わえない“感動”を覚えるスポットばかりを集めてみました。【「起雲閣」・サンルーム】
出典: 首都圏に住まう方々にとって、思い立ったらすぐに足を運べる“熱海”は、絶好の観光地です。
その日の気分でお勧めのスポットを訪ね、気楽に熱海市街を散策しましょう。訪れれば、きっと心も身体も“リセット”され、心地良い一時が過ごせるはずです。ぜひ記事を参考に、あなたならではの“リセット旅”を存分に楽しんで下さい。【「熱海梅園」】
出典: ◆本記事の目次◆
1.太古の神気を授かりに。
1-1.「來宮神社」(きのみやじんじゃ)
1-1-1.神気を湛える境内
1-1-2.来福グッズ&来福スウィーツ
1-1-3.「來宮神社」境内でゆったりカフェタイム。
1-2.伊豆山神社(いずさんじんじゃ)
2.心静かな一時を名邸で。
2-1.起雲閣(きうんかく)
2-2.旧日向別邸(ブルーノ タウト熱海の家)
2-3.双柿舎(そうししゃ)
3.国宝と絶景の美術館で「MOA美術館」
4.一足早く春を満喫。
4-1.熱海梅園
4-2.早春も。本格的な春も。桜にうっとり。
4-2-1.紅色に染まって。“あたみ桜”
4-2-2.染井吉野も。枝垂れ桜も。「熱海の桜の名所」
4-3.名勝の絶景と花の園。「アカオハーブ&ローズガーデン」
5.暖かな日差しに包まれて。「熱海親水公園」
◆旅のヒント
せっかく熱海に行くならば。温泉+観光スポット
熱海日帰り温泉一覧
駅ビル「LUSCA熱海」も賢く利用しましょう。
お得に、賢く、熱海旅。
◆旅のInformation(熱海観光協会HP)
【画像は、熱海の景勝地「錦ヶ浦」】
出典: 熱海には、パワースポットが数々あります。その中でもお勧めなのが、「來宮神社」と「伊豆山神社」です。
【「來宮神社」の御神木「大楠」】
出典: JR東海道線・熱海駅から徒歩20分、JR伊東線・来宮駅から徒歩3分の場所に鎮座する「來宮神社(きのみやじんじゃ)」は、熱海の中でも、最近特に人気を集める観光名所です。【「來宮神社」本殿】
出典: 「來宮神社」は、來宮大明神や木宮明神と称し、来福・縁起の神として、古くから信仰を集めてきた、当地に鎮座する歴史ある神社です。神奈川西部から伊豆半島にかけて偏在する“樹木神”や“漂着神”を祀る“キノミヤ信仰”を代表する神社としても知られています。【境内の「手水舎」】
出典: 「來宮神社」で特に有名なのが、御神木「大楠(おおくす)」です。“健康長寿・心願成就”の巨樹として崇められ、その御利益を授かりに、一年を通して多くの参拝者が訪れます。
出典: 緑深く、水を湛えた「來宮神社」。清々しい境内を訪れれば、太古からの霊力を感じながら、静穏な一時を過ごせ、心身ともに休らえます。【5月初旬の新緑の頃の「來宮神社」の境内】
出典: 境内は、参拝するのに丁度良い広さです。境内入口の大鳥居の参道を進めば、右に「第二大楠」と呼ばれる巨木が、左手奥に摂社「来宮稲荷明神」、その手前に「手水舎」があります。【参道途上に湧き出る「御神水」】
出典: 参道を進んだ正面に、御祭神を祀る「本殿」、そして本殿の左奥に御神木の「大楠」が威風堂々とそびえています。この御神木は、国指定の天然記念物。全国第二位を誇る巨樹で、樹齢は2000年を越えると云われています。
【全国一位の巨樹は、鹿児島県の「蒲生八幡神社」の大楠ですが、樹齢は1500年ですので、樹齢と大きさを考慮すれば、当宮の大楠の凄さが並大抵のことではないことが分かります。】
出典: 二千余年もの長きに亘って、落雷や暴風雨、天変地異など、様々な困難にも耐え抜いた「大楠」は、今もなお青々と茂り、漲る生命力を湛えて、成長し続けています。
出典: この「大楠」は、神の依代(よりしろ)として、古から崇められてきた“不老長寿”“無病息災”の象徴。樹高約20m、幹周り約24mの大楠を一周すれば、“寿命が一年延びる”と云われ、また願い事を胸に抱きながら周れば、願い事が叶うと云われています。【「日没後の「大楠」のライトアップ】
出典: 「來宮神社」を訪れたのなら、来福グッズや来福スウィーツを手土産にしましょう。境内の参集殿では、縁起物や御守など多彩な来福グッズを授与しています。【右が「参集殿」、左側がオープンカフェの茶寮「報鼓」】
出典: 「來宮神社」の御守は、実に豊富。良縁を願う『縁結び守』や飲酒の災難から身を守る『酒難除守』など、願い事に応じた様々な御守を授与しています。【画像は、招福と災難除けの『九星御守』と、『大楠虫除け御守』。楠の葉は、浮気虫や賭博虫といった凶虫を退けると云われています。】
出典: 「来福スウィーツ」とは、地元来宮駅前商店街の菓子店や飲食店が参加する、神社ゆかりの食材を用いた饅頭や焼き菓子、蕎麦やパンなどを販売するプロジェクトです。
【画像は、来福スウィーツの中でも人気の『麦こがし万頭』。麦こがし(はったい粉)は、麦を炒って粉末にしたもの。「麦こがし」は、来宮神社の御祭神が熱海にお着きになった際に喜んだと云い伝わる供え物の一つです。香ばしい皮とこし餡が抜群のバランスと評判の饅頭です。『麦こがし万頭』は、地元の和菓子店「健康パン」で製造しています。】
出典: 来福スウィーツの一部は、境内のカフェやお休み処で販売しています。地元食材を用いたスウィーツは、お土産にぴったり。福も来れば一石二鳥。【画像は、茶寮「報鼓」の販売コーナー。】
1-1-3.「來宮神社」境内でゆったりカフェタイム。
出典: 「來宮神社」は、境内にお休み処や、茶寮が併設されているのも魅力の一つです。【茶寮「報鼓」】
出典: 参集殿脇のカフェ・茶寮「報鼓」の他、五色の杜敷地内の茶寮「五色の杜」、入口の大鳥居脇の当宮の休憩所を兼ねた「來宮神社直営・お休み処」の3ヶ所のカフェと食事処があります。
【画像は、参集殿脇のカフェ・茶寮「報鼓」の静岡産橙(だいだい)を使った『ヨーグルトスムージー』と『麦こがし万頭』。橙も神社ゆかりの食材の一つです。】
出典: 「來宮神社」は、食事もおやつも、カフェも充実しています。いかなるタイミングで参拝しても、飮食を楽しみながら、ゆったりと清々しい境内ならではの一時を過ごすことが出来ます。【茶寮「五色の杜」】
出典: 神気を湛える境内は、忙しない心と身体を静め、安らげる場所。一時を境内で過ごし、巨樹を周れば、きっと目に見えない神秘の力を感じるはずです。【茶寮「五色の杜」の抹茶と生和菓子。】
出典: JR熱海駅駅から東北方面の高台にある「伊豆山神社」は、伊豆、箱根周辺の温泉守護神として、また鎮火の神として、古から崇敬されてきた伊豆山に鎮座する古社です。
“伊豆山大権現”や“走湯大権現”などとも呼ばれています。
出典: 当神社は、源頼朝公と北条政子の逢瀬の地として名高く、この二人にあやかり、“縁結び”・“恋愛成就”のご利益があることで有名です。また、頼朝公が、伊豆山神社と箱根神社の二所詣によって鎌倉幕府を開いたことから“大願成就”のご利益もあると云われています。
出典: 「伊豆山神社」は、社殿の大きさからは想像も出来ない程広く、敷地面積は、4000坪にも及びます。
境内には、「本殿」を中心に、「足立権現社」や「結明神本社」、「雷電社」や「「白山神社」といった摂末社が散在しています。【画像は、色鮮やかな彫刻が印象的な「本殿」。】
出典: 「伊豆山神社」の素晴らしさは、御利益も然ることながら、深い森に抱かれ、森閑とした境内の風情、眼下に広がる相模湾の絶景です。【画像は、境内からの眺望。】
出典: 「伊豆山神社」は、800段にも及ぶ石段の参道が続いていることでも知られています。境内から石段を降りれば、熱海ならではの景色や景観、温泉を楽しみながら、海岸まで降りることが出来ます。
【画像は、石段を降りきった付近にある日本三大古泉の一つ、横穴式源泉「走湯」。洞窟は見学可。毎分170Lもの湯が湧き出る神秘の様をぜひ見学してみましょう。】
出典: 先述したように、熱海は、皇族や政治家、文人墨客らが保養を目的に多くの別荘が建てられた地です。
市内には、往時のままの建築物や庭園が一部保全され、一般公開されています。建築や庭園に興味がなくても、一歩足を踏み入れば、その優雅で閑雅な佇まいにきっと驚くはずです。【起雲閣】
出典: 熱海三大別荘の一つとして知られる「起雲閣」は、熱海で心静かな静かな一時を過ごしたい方にお勧めのスポットです。【1919(大正8)年創建の「表門(薬医門)」】
出典: 大正8(1919)年に築かれ、戦後・昭和22(1947)年に熱海を代表する旅館となり、谷崎潤一郎や太宰治、志賀直哉など、多くの文豪らの定宿となった歴史ある名邸です。現在は、熱海市の文化財として、一般開放されています。
【旅館当時の雰囲気を今に伝える「文豪の間」】
出典: 広大な敷地には、一千坪にも及ぶ、緑豊かな庭園が広がり、和様式の「本館」と「離れ」、日本と海外の建築様式と装飾を融合した「洋館」が建っています。【欧州山荘風の建築「洋館」“玉渓(ぎょくけい)”】
出典: 市街地とは思えない閑静な佇まい、大正・昭和ロマンを感じさせる建築、格調高くエレガントなデザイン、優美で上品な装飾物、静謐な雰囲気、内部と庭園との繋がり等など、「起雲閣」には、一口では言い表せない多彩な魅力があります。
【1929年竣工の「洋館」“金剛”】
出典: 建築や庭園に興味がなくても、訪ねれば、一目でその素晴らしさに感動を覚えるはずです。【「洋館」玉姫のサンルーム】
出典: 「起雲閣」の庭園は、一千坪にも及ぶ池泉回遊式庭園です。緑と水を湛えた広い庭園は、四季折々に豊かな景色を広げます。時間にとらわれず、ゆったりと散策しましょう。
出典: 「起雲閣」には、地元の情報展示やお土産を販売する「蔵」や喫茶室もありますので、立ち寄ってみましょう。
【画像は、旅館時代のバースペースを利用した「喫茶室やすらぎ」】
出典: 喫茶室「やすらぎ」では、当時のままの雰囲気や庭の景色を楽しみながら、抹茶や珈琲が頂けます。かつての調度品に囲まれ、ぜひ優雅な一時を味わって下さい。
【画像は、「起雲閣ブレンド珈琲」とクッキー「ネコの舌」】
出典: アジア貿易で名を成した日向利兵衛が別邸の離れとして築いた「旧日向別邸」。
この建物は、世界遺産「ファルケンベルク庭園集合住宅」で有名なドイツ人建築家・ブルーノ・タウト設計によるもので、タウト設計の建築物としては、国内に現存する唯一の建物です。この邸は、日向氏の別邸として用いられた後は、民間企業の保養所を経て、現在、熱海市所有の文化財となり、一般公開されています。(※見学は、要予約。「旧日向別邸」内部は撮影禁止)
出典: 当邸は、社交室(ピンポン室)、洋室、和室の特色ある三室からなり、桂離宮や伊勢神宮などの日本の建築様式や、竹や切りといった日本ならではの建築材が取り入れられています。
邸内に入り、細やかに使い分けられた建築材や細部のデザインを眺めれば、日本文化を敬愛したタウトという人物を深く理解出来るはずです。
【画像は、「旧日向別邸」まで続く石階段。アプローチの風情も魅力の一つです。】
出典: 当邸では、タウトの別邸だけでなく、渡辺仁設計による母屋の1階部も見学が可能。母屋からは、相模湾が一望でき、佇めば熱海ならではの穏やかな一時も過ごせます。建築に興味のある方には、必見のスポットです。
◆※◆当邸の見学は、予約が必要です。サイトでは、予約状況が確認できます。
出典: 「双柿舎」は、明治の文豪・坪内逍遥(つぼうちしょうよう)が晩年を過ごした住居です。邸内に二本ある樹齢300余年と云われる柿の大樹から「双柿舎」と愛称されました。
出典: 高台に建つ閑静な邸内からは、自然豊かな山々と相模湾が見下ろせ、落ち着いた風情が魅力です。土日のみ開放ですが、入場無料。JR来宮駅から徒歩7分の場所にあるので、「来宮神社」や「熱海梅園」から親水公園へ向かうのなら、立ち寄りたいスポットです。
出典: 市内には、紹介した3つの邸の他にも、「池田満寿夫・佐藤陽子 創作の家」等、歴史的な建造物が数々残っています。建築に興味のある方は、閑静な別荘を巡り歩くのもお勧めです。
【画像は、先述の「來宮神社」から徒歩圏にある国文学者・歌人の佐佐木信綱の旧邸「凌寒荘」。土日のみ無料公開。】
出典: 「MOA美術館」は、国宝である尾形光琳の最高傑作『紅白梅図屏風』や野々村仁清作『色絵藤花文茶壺』をはじめとして、国宝・重要文化財を含む約3,500点の東洋の美術品を蔵する伊豆箱根を代表する美術館です。
出典: 当美術館は、長い改修工事期間を経て、2017年2月にリニューアルオープンしています。
【画像は、所蔵品の一つ、竹内栖鳳筆による六曲一双屏風『夏鹿』。】
出典: 「MOA美術館」の素晴らしさは、壮大で気品ある建物、館内の静謐な雰囲気、開放感ある外部空間、相模湾を一望する景色など、環境と建築、内装と美術品といった構成要素が見事に一体となっている点です。【画像は、2月中旬頃の館内からの眺望。手前は広場「ムアスクエア」。彫刻家・ヘンリー・ムアの「王と王妃」が設置されています。】
出典: 「MOA美術館」の広大な敷地内には、本館やムアスクエア他に、尾形光琳の屋敷を復元した「光琳屋敷」や茶室が建つ日本庭園「茶の庭」があります。【「茶の庭」の入口に建つ「唐門」】
出典: 「光琳屋敷」は、かつて光琳自ら描いた図面などの資料に基いて復元した屋敷で、江戸期の町家建築を伝える貴重な資料となっています。
出典: 広大な敷地を誇る館内には、飲食店も散在しているので、景色や風情を楽しみながら、美味しいランチやカフェが味わえます。
【茶の庭内にある「二條新町 そばの坊」】
出典: 本館1階には、ビストロ「カフェ レストラン オー・ミラドー」と、軽食とカフェの「the cafe」。
茶の庭には、和食と甘味の「花の茶屋」と茶と和菓子の「茶室一白庵」、本格的な蕎麦を供する「二條新町 そばの坊」があります。それぞれの店舗で、MOA美術館ならではの工夫を凝らしたメニューを多彩に用意しています。
【「花の茶屋」の光琳の展覧会に合わせたメニューの一つ「抹茶のババロア」。】
出典: 「MOA美術館」では、毎年梅の開花時期(1月末頃から3月中旬頃)に合わせて、光琳作『紅白梅図屏風』を含む所蔵名品展が開催されます。当時期に熱海を訪れるのなら、琳派の始祖が描いた最高傑作、日本を代表する名品をぜひ鑑賞しましょう。
出典: MOA美術館は、半日いても飽きないお勧めの美術館。
一級の美術品もあり、素晴らしい眺望もあり、静謐なる時も味わえます。美術品に興味はなくても、ぜひ足を運んで欲しいスポットです。【「光琳屋敷」内部】
出典: 春の訪れ早い温暖な「熱海」では、1月から梅花や桜花が楽しめます。一足早く春を満喫するのなら、自然豊かな梅園や庭園に足を運んでみましょう。【画像は、「熱海梅園」内に建つ「中山晋平記念館」の庭に咲く、紅白のとりどりの梅花。】
出典: JR来宮駅から徒歩10分にある「熱海梅園」は、日本一の“早咲き梅”と“遅い紅葉”で知られる、古くから人気の観光スポットです。【2月上旬頃の園内】
出典: 市街地の西方に位置する「熱海梅園」は、120年もの歴史を誇る庭園です。中央に初川が流れ、川の両岸の傾斜地を利用して梅園が整備されています。【画像左は、梅園五橋の一つ「香浮橋(こうふばし)」。左は「梅見の滝」。】
出典: 園内は遊歩道が整備され、趣のある橋や句碑、記念館や記念碑、滝や足湯などが散在し、花々や木々を眺めながら、思い思いの散策が楽しめます。【画像は、梅園内にある「中山晋平記念館」。この建物は、作曲家・中山晋平氏の別荘を移築したものです。】
出典: 「梅園」とあるように、梅の種類は実に豊富。12,000坪もの広さを誇る園内には、59品種を数える梅の木が472本も植えられ、早咲、中咲、遅咲の梅が、季節に合わせて咲き継ぎます。【桜のように儚げな花姿の「紅冬至」】
出典: 日本一早咲きの梅が植樹された当園では、毎年1月初旬から3月初旬にかけて「熱海梅園まつり」が開催されています。当時期は、梅だけでなく、早咲きの桜・あたみ桜や福寿草、ロウバイなども咲き誇り、早春から春の花々も楽しめます。【2月初旬の頃の園内】
出典: 「梅園まつり」開催時は、園内で、熱海の美味しい甘味も販売されています。「梅園まつり」の詳細は以下のサイトへ。
出典: 伊豆の早咲きの桜といえば、「河津桜」が有名ですが、国内で最も早く桜は、ここ熱海に咲く“あたみ桜”です。この桜は、明治初期にイタリアから熱海にもたらされた“寒桜”の一種。花弁は大きく、濃いピンク色が特徴です。春のソメイヨシノと異なり、開花期が長く、1ヶ月以上開花します。【2月初旬の糸川沿いの“あたみ桜”】
出典: 毎年1月上旬から2月にかけて咲き、市内各所で“あたみ桜”が楽しめます。その中でも特に有名なのが、市街を流れる糸川沿いの桜並木です。
毎年、糸川遊歩道沿いでは、1月下旬から2月上旬に「あたみ桜 糸川桜まつり」が開催されています。開催期間中は、夜間にライトアップ、また週末や祭日にはイベントが催されます。【2月中旬の糸川遊歩道】
◆※◆“あたみ桜”が観賞できる場所が案内されています。
4-2-2.染井吉野も。枝垂れ桜も。「熱海の桜の名所」
出典: “あたみ桜”を見逃しても、熱海には3月から4月に咲き開く桜の名所が数々あります。
中でも有名なのが「熱海城」と「熱海姫の沢公園」、先に紹介した「伊豆山神社」です。この3つの桜の名所は、どこも相模湾が一望でき眺望が見事です。桜の季節でなくても訪ねる甲斐があるスポットです。
【画像は、4月上旬の伊豆山神社境内。桜の名所として知られる当神社の中で特に素晴らしいのが、境内参道の両側の一重と八重の枝垂れ桜です。】
出典: 熱海の名勝・錦ヶ浦山頂に立つ「熱海城」は、熱海屈指のビュースポットです。天守閣展望台からは、360度いかなる方角にも視界が開け、初島や大島が浮かぶ相模湾はもちろん、“東洋のモナコ”と称される熱海市街、網代から伊東へと伸びる伊豆半島が一望できます。
春の頃は、桜の名所となり、城内の桜200本の桜が咲き乱れ、毎年開花期の3月末頃から4月初旬頃まで「熱海城桜まつり」が開催されます。【画像は、天守閣からの眺望。】
出典: 「熱海姫の沢公園」は、日本都市公園100選指定公園の一つ。
100万㎡を有に超える敷地面積を誇り、相模湾を眼下におさめる広大な自然公園です。春の頃は、染井吉野の他、“緋寒桜(ヒカンザクラ)”や“大島桜”、“豆桜(マメザクラ)”等など、多彩な桜が園内を彩ります。
当園は、桜に続き、ツツジや石楠花(シャクナゲ)、夏の紫陽花や睡蓮、秋の紅葉、冬は山茶花など、一年を通じて様々な草花を楽しむことが出来ます。
また、園内には、スポーツ広場やアスレチックコースが整備され、宿泊施設やキャンプ場、陶芸センターもあるので、アクティブに休日を過ごしたい方、家族や友人と共に過ごしたい方にお勧めのスポットです。【画像は、4月中旬頃の園内の枝垂れ桜。】
4-3.名勝の絶景と花の園。「アカオハーブ&ローズガーデン」
出典: JR熱海駅からバスで約15分。紺碧の海に洞窟や奇岩の断崖が迫った美しい景観が広がる、名勝「錦ケ浦(にしきがうら)」。【画像は、錦ヶ浦の上に広がる錦崎庭園】
出典: この「錦ケ浦」の地形を存分に活かした「アカオハーブ&ローズガーデン」は、20万坪もの敷地面積を誇る花の園です。
【画像は、バラが最盛期の5月下旬の頃。海の向こう見えるのは、真鶴半島。】
出典: 特に有名なのが、世界各地から集められた多種多彩のバラとハーブ。バラの最盛期となる5月中旬から6月初旬は、園内は華やぎ、多くの観光客で賑わいます。【5月中旬頃の園内】
出典: といっても、当園はバラだけでなく、伊豆半島に燦燦と降り注ぐ光を受けて、一年を通じて様々な花々が園内を彩ります。
【3月中旬頃の園内の斜面いっぱいに咲き開く菜の花】
出典: 1月から2月は、“あたみ桜”が1月中旬頃から開き出し、それに続いて“梅”も開花します。菜の花も斜面を黄色く染め、伊豆の花として知られる“エリカ”も園内至る所で咲き開きます。
3月から4月は、“オオシマザクラ”や“ヤマザクラ”が開花し、クロッカスやチューリップといった、春の花々が季節を謳歌するように咲き、バラのシーズンも始まります。【4月中旬頃園内】
出典: 当園の素晴らしさは、季節の花々と絶好のロケーションを活かしたランドスケープです。訪れれば、他のスポットとは異なる清々しい一時が味わえます。【4月初旬の園内】
出典: 園内には、英国カントリーライフがテーマの「ハーブハウス」や手作り体験が楽しめる「ハーブ工房」、錦ケ浦の絶景を一望する「レストラン ミッレフィオーレ」や絶景カフェ、ガーデニングショップが点在し、施設も充実しています。
【海と空が見渡せる開放感抜群の絶景カフェ「COEDA HOUSE(コエダハウス)」】
「アカオハーブ&ローズガーデン」Information
出典: 一年を通して花と景色が楽しめる「アカオハーブ&ローズガーデン」の詳細は、以下のサイトへ。【4月下旬頃の園内】
出典: JR熱海駅から歩いて10分程。
海岸線に沿って伸びる「親水公園」は、地中海のリゾート地をイメージして整備された、熱海の海を心ゆくまで満喫できる公園です。【画面右から左へと伸びる海岸が「熱海親水公園」】
出典: 親水公園北側の「熱海サンビーチ」から、南方に向かって趣の異なる3種のデッキが続いています。
【画像は、2月初旬頃の「熱海サンビーチ」。夏は海水浴客でいっぱいですが、早春の頃は人もまばらでゆったり出来ます。】
出典: 「サンビーチ」とデッキの間には、恋人が愛を誓い合うモニュメントがある「ムーンテラス」があり、サンビーチと合わせて“恋人の聖地”に認定されています。
【画像は、3月初め頃の「ムーンテラス」。テラスの先端には、夜間にライトアップされる、恋人同士が愛を誓うモニュメントがあります。親水公園にも“あたみ桜”が植えられています。】
出典: デッキは「ムーンテラス」から、南欧のコートダジュールの雰囲気を模した「スカイデッキ」、市と姉妹都市である北イタリア・サンレモ・リヴェラ海岸を彷彿とさせる「レインボーデッキ」、南イタリアのナポリ港をイメージした「渚デッキ」が連なります。
幅広いデッキ内には観光案内所や御手洗、ベンチも完備しているので、気の向くままに海岸沿いを散策出来ます。
【画像は、2月中旬の「スカイデッキ」】
出典: 熱海サンビーチでは、毎晩(日没から22時まで)砂浜や遊歩道、椰子並木をライトアップしています。照明のデザインは、世界的照明デザイナーの石井幹子氏。光きらめく熱海市街をバックに、ブルーの照明が投影された砂浜、暗闇の中に白く波頭が浮かぶ様は、ロマンチックで実に幻想的です。【熱海の夜景。中央右の青い光が落ちているのが「熱海サンビーチ」】
出典:www.flickr.com(@veroyama) 「熱海海上花火大会」は、熱海を代表する一大イベント。
といっても、熱海の花火は、他所と違い夏だけに限りません。一年を通じて開催日が設けられ、冬や春でも花火大会を楽しめます。(開催日は、熱海観光協会HPを参照のこと)
三方を山に囲まれ、すり鉢状である会場の熱海湾は、花火の音が山々に反響し、迫力満点です。中でも素晴らしいのは、フィナーレ。“大空中ナイアガラ”は、大人の遠足に相応しい印象的な花火です。
出典: 熱海のお勧めスポットを数々紹介してきましたが、熱海は、全国屈指の湯量を誇る温泉地。熱海市内には、様々な温泉施設が数限りないほどにあります。
旅館の温泉は、概ね宿泊者以外でも利用でき、街中には古くからの「共同湯」もあり、「足湯」の施設もあれば、気軽な「手湯」まであります。また、プールや食堂も併設された大型温泉施設もあります。
温泉好きなら散策にこだわらなしで、温泉+観光スポットで、気楽に熱海を楽しみましょう。【画像は、日帰り入浴も楽しめる「ホテル夢いろは」の中庭の源泉「青山湯」。立ち寄りでも楽しめる『温泉蒸し卵』は、ホテルの名物。】
◆※◆PDFファイルの日帰り温泉施設の一覧が掲載されています。ぜひチェックしてみましょう。
出典: 熱海の玄関口「JR熱海駅」は、2016年11月に駅ビル「ラスカ熱海」として生まれ変わりました。
【画像は、熱海駅前。ロータリー手前には、天然温泉を利用した足湯「徳川の湯」がありますので、散策疲れの足を労ってから帰路につきましょう。】
出典: 明るく開放感がある駅ビルには、スーパーやショップの他、地元熱海の土産物店が数多く出店し、当地ならではの食が盛りだくさんに並んでいます。
【画像は、老舗干物店「あをきのひもの本店」と地元ベーカリーの「久遠」が共同開発した、ラスカ熱海限定の「さばサンド」。バリバリっとしたバケットに、脂がのった鯖の干物が挟まっています。オニオンスライスとレモンソースがアクセントで、さっぱりと頂け、絶品と評判のバケットサンドです。】
出典: 散策前に立ち寄りたいのが、ラスカの1階にある「観光案内所」。常時、ガイドの方が詰めているので、安心。無料観光マップも充実しています。
出典: 散策後に立ち寄るのなら「駅弁屋ラスカ熱海店」がお勧め。帰りの列車で食べるなら、やっぱり熱海ならではの駅弁が一番。
【画像は、明治創業の老舗弁当店「東華軒」の『炙り金目小鯵寿司』。炙り金目鯛寿司と鯵寿司が両方味わえる人気弁当です。】
出典: 熱海市内の観光スポットをお得に周遊するのなら、東海バスが運行する「湯~遊~バス」を利用しましょう。運行ルート、時刻表等の詳細については、以下のサイトで確認しましょう。
出典: 東京-熱海間を大人2名以上で往復するのなら、この切符がお得。
GWやお盆の頃、年末年始、また在来線は使えませんが、2日間有効なので、一泊旅行にも使えます。詳細は以下のサイトで確認しましょう。
出典: 熱海の観光情報を知るのなら、熱海観光協会のサイトへ。イベントや観光スポット等、様々な情報が詰まっています。
【2月下旬の「熱海梅園」】
出典: 海と山が織り成す豊かな自然。伊豆半島ならではの温暖な気候。
出典: 別荘が連なる落ち着いた風情。昭和レトロな心懐かしい雰囲気。温泉街ならではの気楽なムード…
温泉、絶景、芸術、パワースポット、食と、旅行者が求める様々なコンテンツを数多く含みながら、全てが渾然一体となって調和しているのが、“熱海”の魅力です。
出典: 春は、“希望”が似合う季節。
冬の寒さの疲れを癒やさぬままに消日していると、自然の運行に乗り遅れてしまいます。“熱海”は、新しい春に向かって心身を立て直し、“リセット”するのに絶好の地。
温泉に浸かって身体を温めるのも良し、日差しの温もりに包まれ散策するのも良し、庭園や美術館で心静かな一時を過ごすのも良し、相模湾の絶景や、咲き開く梅や桜に心を解くのも良しです。
訪れたあなたの気分と調和するスポットが“熱海”にはあります。
春は“希望”が似合う季節。本格的な春を迎える前に、“熱海”に出掛けて、心身をリセットしましょう。
【日本一早く咲く“あたみ桜”】