「秘境駅」とは、人が生活する集落から遠く離れた場所にひっそりと佇む静かな鉄道駅のことを指します。

秘境駅は日本全国にあります。山の奥深い場所であったり、断崖が続く海岸沿いであったり、人里離れた野原にたたずむ駅であったり、様々な場所に秘境駅が点在しています。

人里離れた鬱蒼としげる森の中にある秘境駅に、列車が乗り入れる瞬間は情緒満点です。秘境駅では、日本に鉄道が乗り入れたばかりの開拓時代を彷彿とさせるノスタルジックな雰囲気が漂っています。

香川県多度津駅と高知県窪川駅を結ぶ土讃線沿線の坪尻駅は、秘境駅訪問家の牛山隆信が全国ランキング6位に指定した秘境駅です。

1950年に開業された坪尻駅は、猪ノ鼻峠付近で標高272メートルの位置にあり、周辺にあるのは山林だけです。

香川県高松駅と徳島県徳島駅を結ぶ高徳線沿線の阿波大宮駅は、1935年に開業された無人駅です。赤瓦屋根の駅舎は創業当時からのものが、今も現役の駅舎として使用されています。

一部草に覆われたコンクリートの古びたホームは、駅開業から80年以上もの歴史を静かに刻み続けています。

標高185.5メートルの山間部にある家地川駅は、1974年に開業された無人駅です。駅舎も無い小さな単式1面1線ホームにディーゼル列車が乗り入れる瞬間は、なんとも言えない風情が漂います。

標高が高く、起伏が多い山間部に位置する新改駅は、日本では現存する駅が少なくなったスイッチバック式の駅となっています。

秘境駅訪問家の牛山隆信が全国ランキング12位に指定した新改駅では、開業当時の駅舎が今も大切に使われています。深い山と森に包まれ、深山幽谷とした雰囲気が漂う新改駅構内で、古い駅舎を眺めていると、駅が開業された70年前にタイムスリップしたかのような錯覚を感じます。

四国地方を悠然と流れる吉野川の支流、穴内川に架けられた鉄橋の上には、1960年に開業された土佐北川駅があります。鉄橋の上に駅があることから、土佐北川駅は、鉄橋駅とも呼ばれています。

瀬戸内海と宇和海沿いに伸びる予讃線沿線の下灘駅は、1935年に開業された無人駅です。

下灘駅構内からは素晴らしい眺望が待っています。抜けるような青空、眼下に広がる伊予灘、遠くに見える水平線が織りなす景色は絶景そのものです。

下灘駅は夕陽の名所でもあります。小さな無人駅でノスタルジックな雰囲気を味わいながら、伊予灘へ沈みゆく美しい夕暮れ鑑賞を楽しんでみてはいかがでしょうか。