“原生林”。その真の姿を、あなたは知っていますか?
白駒池(しらこまいけ)
北八ヶ岳の麓・八千穂高原の紅葉の名所として知られる「白駒池」。
標高2,115mに位置する白駒池は、2,100mを超える高地にある天然の湖としては日本最大。
面積は11.4ha、湖岸線は1350m。
湖水の透明度は高く、5.8メートルにも及びます。
面積は11.4ha、湖岸線は1350m。
湖水の透明度は高く、5.8メートルにも及びます。
「白駒池」周辺の原生林と緑の回廊
「白駒池」の周囲には、大自然そのままの原生林が広がっています。
“原生林”とは災害等による森林破壊がなく、殆ど人の手が入らない森林をと呼び、日本には“三大原生林”と称される原生林があります。「白駒池」周辺に広がる原生林は、「緑の回廊八ヶ岳『白駒池コメツガ植物群保護地域』」として、その1つに数えられています。
“原生林”とは災害等による森林破壊がなく、殆ど人の手が入らない森林をと呼び、日本には“三大原生林”と称される原生林があります。「白駒池」周辺に広がる原生林は、「緑の回廊八ヶ岳『白駒池コメツガ植物群保護地域』」として、その1つに数えられています。
植生の大部分は、シラベ、コメツガなどの亜高山常緑針葉樹が占めるとともに、ホンドオコジヨ、ヤマネ等の動物や、ヤツガタケキンポウゲなどの「ヤツガタケ」の名前が付けられている植物からなる、貴重な森林生態系が維持されている地域です。
遠景から望む「白駒池」とその周辺は、大自然の美しさを湛えていますが、その内部には、外観からは想像のつかない“神秘の世界”が広がっています。
それでは、“原生林”の真の姿、世界を、早速のぞいてみましょう。
それでは、“原生林”の真の姿、世界を、早速のぞいてみましょう。
原生林と苔が織りなす神秘の世界
神秘的な苔の世界
「白駒池」周辺に広がる原生林は、2008年に日本蘚苔類学会により「日本の貴重なコケの森」『八ヶ岳白駒池周辺の原生林』として認定を受けました。“日本蘚苔類学会”は、苔の美しい景観を保護することを目的として「日本の貴重なコケの森」を選んでいますが、前会長である樋口正信(国立科学博物館植物研究部)によると、この「白駒池」周囲のコケの景観のような美しい場所は稀とのこと。
苔の森
白駒池周辺には、「黒曜の森」「オコジョの森」「カモシカの森」「茶水の森」等、10箇所の「苔の森」があります。
「北八ヶ岳 コケと湖沼と原生林の祭典 森フェスティバル」
「苔の観察会」
「北八ヶ岳苔の会」では定期的に「苔の観察会」を開催しています。フェスティバルには行けないという方はこちらに。
infomation
白駒の池駐車場(管理者:南佐久北部森林組合 0267-86-4202)
駐車場 200台(大型バス駐車可) / 総合案内施設(休憩、お土産、登山案内)
駐車場 200台(大型バス駐車可) / 総合案内施設(休憩、お土産、登山案内)
詳細はこちらをご覧ください。
ハイキング+白駒池一周コース
せっかく、北八ヶ岳へと足を伸ばすなら、白駒池を遠くに望めるハイキングも一緒に楽しみましょう。
白駒池や周辺の山の特徴の一つは何といってもアクセスが容易なことです。メルヘン街道(国号299号)が麦草峠を通っていて、車(夏にはバスも出ています)で標高2,000mを超える登山口まで行くことができます。
登山者だけでなく観光客でもにぎわう白駒池ですが、白駒池から少し離れると静かな山歩きを楽しめます。高見石まで登ると、まわりの山々の展望を楽しむことができますし、森の中にぽっかり浮かぶような白駒池を見ることができます。
高見石や丸山は麦草峠や白駒池から比較的短時間で登ることができるので、登山初心者の方、八ヶ岳が初めての方、ご家族で自然を楽しみたい方に八ヶ岳を親しんでいただくのによい山域だと思います。
詳細はこちら。
おわりに
先に「“原生林”とは、森林破壊がなく、殆ど人の手が入らない森林」と述べましたが、日本国内の“原生林”は、日本の森林のたった2%としかないと言われています。「白駒池」周辺に広がる神秘の世界を創り出している原生林は、本当に貴重なものなのです。
残りの98%は人の手が加わった森林です。昭和30年頃まで、人の暮らしに隣接した森林(里山)には、定期的に人の手が入り、切り出された木材は人々の暮らしに利用されていました。定期的な伐採は、鬱蒼とした森林の中に光を呼び込み、低木を育て、多様な植生を保全することに自ずと繋がっていました。現在では放置されたがゆえに、生物多様性を失って、森林の動植物生態系も変わってしまい、保全が困難な状況となっています。
残りの98%は人の手が加わった森林です。昭和30年頃まで、人の暮らしに隣接した森林(里山)には、定期的に人の手が入り、切り出された木材は人々の暮らしに利用されていました。定期的な伐採は、鬱蒼とした森林の中に光を呼び込み、低木を育て、多様な植生を保全することに自ずと繋がっていました。現在では放置されたがゆえに、生物多様性を失って、森林の動植物生態系も変わってしまい、保全が困難な状況となっています。
この「白駒池」周辺には、多種多様の動植物が生命を営んでいます。里山には多大な人の手や資源を入れれば、再生することは困難ではありますが、100%不可能ではありません。けれども、「原生林」は人の手が加えられないからこそ「原生林」であり、森林が破壊されれば、もはや「原生林」とは呼ぶことは出来ないのです。また「原生林」だからこそ、苔を含む動植物の生態系を維持することが可能なのです。
「苔」や「原生林」の神秘の世界に足を踏み入れる時には、そこが人間の領分ではないことを、どうぞ忘れずにいて下さい。
「苔」や「原生林」の神秘の世界に足を踏み入れる時には、そこが人間の領分ではないことを、どうぞ忘れずにいて下さい。
展望台のある「高見石」から、「白駒池」を眺める。ゆっくり、今日がはじまる…。