心があたたかくなる、家族や親子の物語
PART1:何気ない日常を満喫しよう!
タチバナ家の笑いが絶えない日常生活
個性いっぱいのゆるい日々を描く
■『パステル家族』セイ(双葉社)
高校生のマヨ、大学生でゲーマーの兄タクオ、小学生の弟ほのめの3人で暮らす、明河原家。朝ご飯を一緒に作ったり、ゲームで競い合ったり、猫を拾ったり…一人ひとり個性的なキャラクターを持つ登場人物たちが、何気ない日常をのんびりと過ごす漫画です。基本はコメディタッチですが、時折ちょっと感動するお話があることも。ストーリーよりも普通の日常を眺めてほっこりとした気分になりたい方におすすめです。
かわいくて癒される、女の子の毎日
■『ひなちゃんの日常』南ひろこ(産経新聞出版)
主人公のひなちゃんは、小さな女の子。雲を眺めたり、庭を訪れた猫やスズメと触れ合ったり、大切な人に感謝をしたり。何気なく過ごす毎日を通して、普段は忘れがちな身近な物事の美しさや楽しさ、人としてあたりまえのことを思いださせてくれます。手書きのセリフや絵にはなんとも言えない風情があり、見ているだけであたたかい気持ちになりますよ。
PART2:互いを想い合うあたたかさに癒される
高齢夫婦が挑戦する、出産物語
■『セブンティウイザン』タイム涼介(新潮社)
65歳の江月朝一は、ついに定年退職を迎えました。家に帰ると、妻の夕子(70歳)から突然、「私、妊娠しました」と告げられます。なかなか信じられないでいた朝一でしたが、次々と妊娠の証拠を突き付けられ、夕子の強い出産の意思を知って…。ゆるいタッチの絵ですが、超高齢出産夫婦となる二人の気持ちや、子どもへの愛情などが伝わって来て、時に笑えて時に泣ける漫画となっています。
お弁当という愛の形
■『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』荒井 ママレ イラスト、渡辺俊美 著(小学館)
ミュージシャンとして知られる、渡辺俊美さんのエッセイをコミカライズした1冊です。父である渡辺さんの日課は、高校生の息子のためにお弁当を作ること。一日も休まずに高校へ通うという息子の熱意に応えるため、彩りや栄養バランスにもこだわって、ご飯やおかず、そして愛情を詰め込みます。父も息子も自分の気持ちをあまりストレートに話すことはありませんが、お互いを想い合っていることが伝わってきて、心があたたかくなりますよ。
父子家庭同士のルームシェア生活
■『パパと親父のウチご飯』豊田悠(新潮社)
整体師として働く千石は、ある日突然、元カノが連れて来た子供を預けられます。自分の子供かもしれないと引き取ることにしたものの、家がなかったため、シングルファーザーの漫画編集者・晴海とルームシェア生活を始めることに。料理をつくり、4人で同じ食卓で食べることを通して、お互いがお互いの足りないところを埋め、成長していく物語です。読んでいると、大切な人と一緒に料理をしたくなりますよ。
PART3:ぶつかり合いながら生まれる、家族や親子の絆
4人の兄弟たちのあたたかい絆
■『柚木さんちの四兄弟。』藤沢志月(小学館サービス)
2年前に両親を亡くした柚木家は、現在長男の隼、次男の尊、三男の湊、四男の岳の4人兄弟だけで暮らしています。それぞれ性格も悩みも異なる中で、相反することもありながら、みんなで解決していく兄弟たち。家族の絆を感じさせるストーリーで、自然と心があたたかくなります。
子育てに奮闘する不器用な父
■『ちちこぐさ』田川 ミ(マッグガーデン)
薬売りとして、旅をしながら働くトラ吉。最愛の妻に先立たれてしまい、残されたのはシロウという息子一人。父子二人で旅に出ることになるのですが、叱れば嚙みつかれ、怒れば泣かれ、なかなかシロウはなついてくれません。不器用なりに葛藤し、悩んだり、笑ったり。日常の中で大切なものに気づき、トラ吉は成長していきます。子育て中の方にもおすすめの1冊です。
人相の悪い猫がつなく家族の絆
■『シロがいて』西炯子(小学館サービス)
ご自宅に猫がいる人必見!本書は、4人家族の日常を描くよみきり連作集です。ある時、長男・航がシロという人相の悪い猫を拾ったところから、物語が始まります。父は買ったばかりの一軒家を傷つけたくないため「捨ててこい」と言いますが、航は愛着がわいてしまって手放すことができません。見かねた父が行動に出るのですが…。親子の対立や葛藤を通して、子どもの成長を丁寧に描く物語です。
PART4:近い存在だからこその難しさ
三姉妹と、年の離れた異母妹の物語
■『海街diary』吉田秋生(小学館)
OLとして働く三姉妹の次女・佳乃のもとに、7歳のころ離婚して家を出ていった父親が亡くなったという知らせが届きます。離婚から一切会わず、記憶もほとんどない父親の訃報に、少しも悲しくならない佳乃。長女の幸に葬式に出るよう頼まれ、父が再婚後暮らしていた山形へ三女の千佳とともに訪れます。そこには、再婚後生まれたという現在中学生の異母妹・すずがいて…。幸せな記憶と、過去にまつわる苦しい気持ち、そして家族としての優しさや温かさが、日常の中で描かれる物語です。
母と娘の複雑にからまりあった関係性
■『おかあさんとごいっしょ』逢坂 みえこ(講談社)
ずっと母と仲良しだった今日子は、結婚を機に自分が母に押さえつけられていたことに気づき、一人でも何かを成し遂げたいと思い反発するようになります。しかし子供が生まれた後は、何も分からない今日子を母が支えてくれて…。母は大好きだけれど、息苦しさもある、そんな母と娘の関係性を描く物語です。親子の距離感を見つめ直したい時は、ぜひ手に取ってみてください。
誰にでも訪れるかもしれない、認知症
■『祖母の髪を切った日』しかばね先生(KADOKAWA)
著者は、貧乏だった子供時代から祖母に支えられ、暮らしてきたそうです。しかし大人になり、仕事やプライベートで忙しくしているうちに、顧みなくなるように。そしていつの間にか、祖母は認知症になっていて…。大切に思う気持ちや、顧みなかった後悔を抱きつつも、うまくいかない介護に募っていく苛立ち。孫としての繊細な心の動きまで痛いほど伝わってくる、実話コミックです。
PART5:新しい家族の形に触れる
初めての子育てに全力で向き合う独身男性の物語
■『うさぎドロップ』宇仁田ゆみ(祥伝社)
訃報を聞きつけて祖父の家を訪れた、30歳独身の河地大吉。そこには祖父のかくし子、つまり大吉にとっては叔母にあたる、小さな女の子・鹿賀りんに出会います。りんは親戚から厄介者扱いされており、大吉は勢いでそれに反発して引き取ることになったのですが…。初めて取り組む育児の難しさに打ちのめされながらも、りんに向き合い、全力で取り組もうとする物語。子育て中の方、子育ての経験がある方は、より身近に感じられる漫画です。
血のつながりがなくても通じあう心
■『の、ような。』麻生海(芳文社)
主人公は、一人暮らしで物書きの仕事をしている希夏帆。ある日突然、恋人の愁人が両親を亡くしたばかりだという2人の少年を連れてきたことで、生活に大きな変化が訪れます。そこから始まった、希夏帆、愁人、そして中学2年生の冬真と、5歳の春陽との4人の共同生活。少しずつ互いを知り、互いを想い合い、生活のリズムが合っていく過程に、自然と心があたたかくなります。
あったかくて切ない、義父との二人暮らし
■『昨夜のカレー、明日のパン』木皿泉 原作、渡辺ペコ 作画(幻冬舎コミックス)
夫の一樹を若くして亡くしてしまった、主人公のテツコ。ギフと呼んでいる一樹の父と一緒に、今は家族として二人暮らししています。テツコは今の暮らしに満足していましたが、テツコと結婚したがっている恋人の岩井を筆頭に、周囲は少し違った目をむけてきて…。互いを想うあたたかさと、ちょっとした切なさが入り混じる物語です。
■『あたしンち』けら えいこ(KADOKAWA)
タチバナ家は、母、みかん、ユズヒコ、父の4人家族。ほのぼのとした絵のタッチで、家庭や学校、ご近所などでの、なんでもない日常を描いています。最大の魅力は、どこの家庭でも交わされていそうなやりとりや、よく起こりそうな問題が登場すること。つい笑ってしまいそうなユーモアも満載で、世代を超えて楽しめる漫画となっています。