ナンタケットバスケットについて
ニューイングランドの小さな島、ナンタケット島で誕生
その昔、捕鯨船には鯨油を入れるための樽を作る職人が同乗していました。彼らが長い航海の中で、東南アジアで出会った籐を使い、樽を作る技術を使って編んだものが起源なのだとか。だから、バスケットにしては珍しく底板が付いています。
海に面した灯台、古き良き時代を感じさせる街並み。素朴な港町らしい、のどかな文化の中で、受け継がれ続けてきたバスケット。この島の工芸品はアメリカの人々を惹きつけ、やがて海を渡り、世界各地で多くの人が憧れるようになりました。
アメリカの文化を象徴するバスケット
オーダーメイドが基本
本体の素材は、籐、オーク、チェリー、メープル、黒檀、紫檀など。フタの部分に取り付けるカービングと呼ばれる飾りや、ハンドルの素材も含めれば、組み合わせの選択肢はさらに広がります。
元来は島のバスケット作家にオーダーメイドで作ってもらうのが主流でしたが、現在では伝統的な方法で制作された質の高い既製品も販売されています。
既製品といってもすべて手作りで、また自然由来の材料を使うので、たくさん出回るものではありません。高価なバスケットではありますが、適度にお手入れすれば、経年変化で表情豊かになっていく様を存分に楽しめますよ。
ナンタケットバスケットを手にいれる前に読みたい本
ナンタケットバスケット ストーリー
かご伝
こちらも、八代江津子さんによるナンタケットバスケットについての書籍。この本では八代さんがナンタケットバスケットと出合い、門外不出のバスケット製作技術を日本で広げていくようになった経緯も語られています。
また、ナンタケットバスケットと深く関わる捕鯨の歴史についても解説。さまざまな角度から学べる本です。
ナンタケットバスケットはどうやって作るの?
基本の材料
・ボトムプレート
・ステーブ(バスケットの縦軸になるもの)
・ウィーバー(バスケットの横軸として編み込むもの)
・モールド(型)
・リム
・ボルトとワット
・ワッシャー
・ノブ
・プラグ、コイン
オープンバスケットの作り方
初心者さんには、ブレスレットキットがおすすめ
バスケットを作るのは時間がかかるし、まずは何か小さなものから完成させてみたいという方におすすめなのは、ブレスレット作り。必要な材料が揃ったキットもあるので、気軽にチャレンジすることができます。
ナンタケットバスケットスタイル カフ(バングル・ブレスレット)の作り方
インスタグラムからチェック!素敵な作家さんの作品
✳︎ご紹介している作家さんたちは、日本ナンタケットバスケット協会 認定インストラクターの資格を持った方々です。
Chiharu Nomuraさんの作品 / @ndesign_basket
艶やかなローズウッドのトッププレートが美しい蓋つきバスケット。このような形をラウンドパースと呼びます。こちらは5インチと小ぶりなサイズ。大人っぽい端正な表情が素敵です。
バスケットの他、バングルやブレスレットなどバリエーションも様々。ナチュラル&モダンなデザインがおしゃれ。素材の組み合わせ、技法でバリエーションが広がります。Chiharu Nomuraさんのバングルは、他のタイプもとても美しくて素敵です。
Megumi Fujiiさんの作品 / @megumi_basket
ダブルハンドルのオープンバスケット。温かみと程よい渋さがあるウォルナットを使って。ハンドルの留め具のワッシャーもアクセントになっています。
光沢のあるレザーハンドルが都会的なバスケット。インナーバッグをいくつか揃えて着せ替え感覚で楽しむのもいいですね。リゾート風の夏らしいテキスタイルがバスケットの雰囲気にもお似合いです。
Shizuka Wakamatsuさんの作品 / @smilewhale
ラウンドパースバスケットのトップに、なんとも愛らしい絵付け!こういうバスケットはある意味、個人的な心の琴線に触れるというか、眺めるだけでも嬉しくなってしまいますね。
Kanako Nakamoriさんの作品 / @kanako.basket
低めに編まれたラウンドパースバスケット。心を込めて丁寧に編まれたことが伝わってくる作品。トップにあしらわれた船も、ゆらゆら穏やかな波に揺られて、のんびり航海を楽しんでいることでしょう。
フリル(スカート)の装飾が可憐なオープンバスケット。さりげないところの可愛らしさ。このバランス感が絶妙です。
日本人で初めて現地で認められたナンタケットバスケットの継承者、八代江津子さんの著書。美しい作品群だけでなく、ナンタケット島の文化や魅力、そしてバスケットの背景にあるストーリーまで知識を深めることができます。