PART1:旅と食どちらも楽しめる旅エッセイ
原田マハ『やっぱり食べにいこう』(毎日新聞出版)
長坂道子『旅に出たナツメヤシ』(KADOKAWA)
ペンシルヴェニア、ロンドン、ジュネーブと移住し、現在はチューリッヒ在住の作者。アメリカ人だと思っていた夫、義父は祖国を追われ難民となったユダヤ人、義母はユタ州のモルモン教徒。フランスに留学していた作者は、結婚を機に、ごちゃまぜの人生を生きることに。いままで過ごしてきた人々と、その食卓の思い出を綴っている。異国の家庭の台所を想像しながら、読むのが楽しい!見知らぬ土地に、迷い込んだ気分になります。
益田ミリ『美しいものを見に行くツアーひとり参加』(幻冬舎)
大好きな益田ミリさんの、旅エッセイ。北欧でみたオーロラや、世界遺産のモンサンミッシェル、リオのカーニバル…。「一回きりの人生。行きたいところに行って、見たいものを見て、食べたいものを食べるのだ。」というミリさん。ミリさんの、ゆるっとしたイラストと、旅行先で撮った写真と、四コマ漫画がところどころに出てきて、読んでいて楽しい気分になれる、旅エッセイです。
- 寒さに負けない体を目指す!ゆらぎがちな冬のご自愛ケアキナリノ編集部
PART2:暮らすように旅する、旅エッセイ
稲垣えみ子『人生はどこでもドア』(東洋経済新報社)
あえてなんの準備もせずに、フランス語なんてできない状態で、フランスのリヨンに行って14日間滞在したという旅日記。筆者の稲垣えみ子さんの、今回の旅の目的は「現地でしっかりとした、日本と変わらぬ生活をすること」。遠い異国の地で、人とコミュニケーションをしっかりとろうと奮闘する姿に、読んでいてどんどん引き込まれていきます。Airbnbや、フランスのネット状況、マルシェの様子、買い物の仕方なども書かれていて、フランス旅行の際の参考にもなりますよ。異国の地に行っても、人間どうにかなるもんだな〜と思う本。
片桐はいり『わたしのマトカ』(幻冬舎)
「北欧の国で出会ったのは、薔薇色の頬をした温かい人たちだった。」女優の片桐はいりさんが、『かもめ食堂』の撮影で滞在した、フィンランドでの日々。かもめ食堂が大好きな方には、たまらない作品!わたしも一気に読み進めてしまいました。はいりさんの文章がとても面白くて、読みながらずっと笑っていました。癒されて、元気になれる、そんな旅エッセイです。
近藤聡乃『ニューヨークで考え中』(亜紀書房)
漫画やアニメーション、エッセイなど幅広いジャンルで活躍する、近藤聡乃のコミックエッセイ。2008年に単身ニューヨークへ渡り、海外ひとり暮らしをスタート。アパートでの暮らしや、恋人や友人たちとの会話、レストランやカフェのメニュー、人々のファッション。ニューヨークでの日々のあれこれが、コミック形式で書かれていて、読み進めるうちにいつのまにかニューヨークにいるような気分になります。
PART3:ひとり旅がしたくなる旅エッセイ
杉森千紘『そうだ、台湾いこう』(セブン&アイ出版)
台湾を鉄道でぐるりと一周。『東京弁当生活。』の作者の杉森千紘の、旅エッセイ。リュックを背負って、「またくればいいわ、台湾だし」の心構えで自由気ままに旅をした、23日間の記録。温泉につかり、雨の中カフェ巡りをしたり、台北では食い倒れ。「あ、こんなにひとり旅って自由なんだ!」と思える、ひとり旅デビューしたい人にもおすすめの一冊。
角田光代『恋するように旅をして』(講談社)
時間ができたら、旅に出る。かばんひとつで、予定も決めずに。タイの長距離バスに乗り、ベトナムではコーヒー屋に通い、モロッコで道に迷い、アイルランドのパブでひとりビールを飲む。「ちょっと角田さん大丈夫?!」と思うくらい、これぞ、旅のリアル!というハプニングだらけの旅。読んでいてドキドキはらはらする、そんなエッセイ本です。それでも、やっぱり旅は楽しい。おうちでも旅のどきどきを味わえるフォトエッセイです。
若葉晃子『旅の断片』(アノニマ・スタジオ)
「その国の人も行かないような地方を訪れて、自然のなかに入り込み、小さな町に滞在して、そこに生きる人々と同じようにパンを買い、坂道を歩き、夜中に横たわって吹く風の音を聞いていたりする」こんな旅ができたらいいなぁと思う、その国に溶け込むような、若葉晃子さんの旅の断片。読みながら、世界には別の日常があるんだということを実感できます。表紙カバーも、中身も、とても素敵な一冊です。
PART4:夫婦や友人と旅に出たくなる旅エッセイ
小寺皙『カフェで綴る、旅の記憶』(幻冬舎)
時間にゆとりができ、妻とともにツアーで海外旅行に出かけるようになった小寺晳さん。世界遺産や、名所もたくさん訪れたはずなのに、心に残るのは、街で出合った何気ない一コマばかり。タイ、イギリス、チュニジア、トルコ…。ガイドブックには載っていない、街の素顔に出合える旅エッセイ。旅慣れた人も、旅に憧れる人にも読んでほしい一冊です。わたしも、老後はこんなふうに、旅に出たいなぁと思わせてくれるエッセイでした。
堀川波『女おとな旅ノート』(幻冬舎)
イラストレーターの堀川波さんの、旅エッセイ。学生時代の友人と、子供ができてからも10年以上続けている「おとな旅」。パリのアパルトマンでの話、北欧雑貨をたくさん買ったスウェーデン、しましまだらけの国ポルトガル。かわいらしいイラストが一緒で、読んでいてとてもわくわくするエッセイ。堀川さんの、旅行の持ち物や、コーディネート術も載っていて、旅の参考になる情報も満載。女子旅最高だなーと思える一冊です。
原田マハ『フーテンのマハ』(集英社)
とにかく旅が大好きな、原田マハさん。「フーテンの寅さん」ならぬ「フーテンのマハ」を自認し、日本国内や世界を飛び回る。担当編集者を相棒に、小説の取材旅をまとめたエッセイ本。40歳からはじめた、「ぼよグル」という旅が楽しそうでした。原田さんの素がのぞけて、読んでいてニヤニヤ笑ってしまう、面白い一冊。
PART5:短編で読みやすい旅エッセイ
菊池亜希子『またたび』(宝島社)
ファッション誌『リンネル』の連載「またたび」をまとめた一冊。モデル・女優の菊池亜希子さんの旅。写真もたくさんあり、菊池さんの旅ファッションも楽しめる。喫茶店に入って、朝一に行って、美味しいものを食べて、おばあちゃんとお喋りをして。読んでいてほっこりする、旅エッセイです。
江國香織『旅ドロップ』(小学館)
JR九州の車内誌『Please プリーズ』に連載された37篇の旅エッセイ集。1篇2~3ページで読みやすく、内容もとても充実しています。江國さん独特のフィルターでみた、旅の出来事が綴られており、自分にはない感性だなぁと読んでいて面白くなります。一緒に旅をしているような気分になる、とてもおすすめの旅エッセイです。
益田ミリ『ちょっとそこまで旅してみよう』(幻冬舎)
益田ミリさんが、「ちょっとそこまで」という気軽さで行った旅の記憶。八丈島、奈良、金沢、京都、フィンランド…。女友達と、母と、たまにはひとりで。ミリさんの飾らない、ゆるっとした文章がとても好きです。そしてほっこりするイラスト。ミリさんの旅エッセイは、いつも心を癒してくれます。寝る前に、すこしずつ読み進めるのもおすすめです。
世界中の「おいしい!」を探しに、パリ、ニューヨーク、スペイン、ロシア、京都へ…。『楽園のヴァカンス』や『本日は、お日柄もよく』の作者の原田マハさんが、世界各国の取材先で食べた、「思い出の一品」を綴る満腹エッセイ集。ユーモア溢れる、マハさんの表現力と、読んでいるとお腹が空いてくるくらい、とにかく美味しそうな食べ物たち!小説の裏側のエピソードも書かれているので、原田マハさんファンの方にはぜひ読んでほしい一冊。