空を見上げてみませんか
出典:stocksnap.io
この季節の空は真っ青ではなく、どこか白くかすんでいるような水色に近いやさしい色。そこに浮かぶ雲たちは私にもタッチできそうな気がして、思わず手を伸ばしてみたくなりますよね。空といえばこんな絵本はいかがでしょうか。
『ちいさな くも』エリック・カール(作)もりひさし(訳)偕成社
変身することが大好きな小さな雲は、からだをぐーんと大きくして次々にその姿を変えていきます。雲を見て何かに似ていると感じたことは、きっと誰しも一度はあるはず。小さな雲のように大空で好きな形に変身することができたら楽しいでしょうね。
もりひさしさんの研ぎ澄まされたシンプルな訳は、⻘と⽩でまとめたエリック・カールの美しいコラージュ絵を引き⽴てています。たっぷりと遊んだ後、小さな雲は大きな雲に合流し恵みの雨となって大地に降り注ぎます。エリック・カールは楽しいことばかりじゃない雲の役割もさりげなく伝えています。
もりひさしさんの研ぎ澄まされたシンプルな訳は、⻘と⽩でまとめたエリック・カールの美しいコラージュ絵を引き⽴てています。たっぷりと遊んだ後、小さな雲は大きな雲に合流し恵みの雨となって大地に降り注ぎます。エリック・カールは楽しいことばかりじゃない雲の役割もさりげなく伝えています。
『Little tree 』 駒形克己(作) ONE STROKE
日本を代表する造本作家であり、様々な赤ちゃん絵本や知育絵本などでも知られる駒形克己さんの作品です。こちらの絵本は、2010年ボローニャ・ラガッツィ優秀賞を受賞しました。
誰にも気づかれることなく真っ白な雪原に芽を出した一本の木。ページをめくるたびにポップアップの木が立ち上がり、木の成長と季節の移り変わりが描かれます。木陰や地面に跳ね返る星の光など、ミニマルな線、ミニマルな仕掛け、ミニマルな言葉の美しい演出によって綴られる悠久の時間を手元に感じられる1冊です。
出典:unsplash.com
時が経ち朽ちた木は、また新たな雪原に生を受けます。季節は移り変わっていくけれど、木はいつだって“じっとそのまま”。ラストに添えられた「きっと誰かのために存在する」という一文が印象的な絵本です。
出典:stocksnap.io
晩春から初夏にかけては、日が沈んだあとも、薄絹をかけたような薄明りがしばらくつづき、少しずつ夜に変化してゆきます。夏至に向け太陽に少しずつ出番を譲る月は、活動的になりだした私たちをそっと見守ってくれているよう。そんな春の夕べの時間に読みたい月の絵本をご紹介します。
『きょうはそらにまるいつき』 荒井良二(著) 偕成社
まんまるのお月さまを見つけた時ってなんだか嬉しくなりませんか?この絵本では赤ちゃんからお年寄り、公園の猫や海のクジラまでが次々と丸い月を見つけては「きょうはそらにまるいつき」のフレーズを繰り返します。日常のちょっとした出来事を切り取りながら、一続きの空の下で共に生きる私たちの幸せな時間を再認識できる作品です。
耳をすましてみませんか
そよそよと吹く風や、芽吹く音さえ聞こえてきそうな透みきった空気が流れる森の中。そんな自然の奏でる音に耳をすませてみたくなる絵本もあります。
『森の絵本』 長田弘(作)荒井良二(絵) 講談社
忙しい日々を過ごしていると、大切なことを見失ってしまいそうになる時ってありませんか。緑の森が一面に広がる中、どこからともなく聞こえてくる澄んだ声。誘われるままに読み進めると、あたりまえのように流れていく日常の時間が、実は何よりも大切なものなのだと気付かせてくれます。
短いけれどリズムのある長田弘さんの文と、のびのびと柔らかなタッチで描かれる荒井良二さんの絵がパズルピースのようにぴったりと噛み合いました。この絵本は英語版も読みやすく、日本語版とは少し違った感覚で親しめるのでどちらもおすすめです。
『Un grand jardin』 Gilles Clément(文) Vincent Gravé (絵)Cambourakis
世界的な庭師、ランドスケープデザイナーのジル・クレマンが作家ヴァンサン・グラヴェと制作した絵本「大きな庭」。庭造りをテーマとしていますが、囲いの中で植物を育てるのではなく、自然の中で生育する植物たちの変化に庭が合わせていくという大胆な発想で描かれています。
5月から始まり、夏と秋、冬を越え、また次の春へと移り変わっていく四季の庭仕事と庭の様子を毎月描いた1冊。多様性を尊重するクレマンらしい細やかな描写は、ページの隅々まで眺めていも飽きがきません。テキストはフランス語ですが絵を読んでいるだけで満ち足りるビッグサイズの美しい絵本です。
想像してみませんか
妖精とは西洋の伝説・物語などに登場する、自然界の精霊。とても神秘的な存在なので、芽吹く庭先からあなたのことをそっと覗いているかもしれません。空想の世界へトリップできそうな絵本たちはこちら。
『いちごばたけのちいさなおばあさん』 わたりむつこ(作)中谷千代子(絵)福音館書店
いちご畑の土の中に住む小さなおばあさんは、いちごの実に赤い色をつけるのが仕事です。ある年、季節外れに実をつけたいちごに気付いたおばあさんは、あわてて仕事に取りかかります。せっせと手際よく働くおばあさんがチャーミングで、いちごの季節を迎えると、ふとこの絵本のおばあさんを思い出してしまうような温かみを覚える1冊です。
『ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん』 エルサ・ベスコフ(作・絵)おのでらゆりこ(訳)福音館書店
ブルーベリーとこけももをお母さんの誕生日プレゼントにしようと森に入るプッテ。そこで出会ったのはブルーベリーの王さまでした。プッテは小人となって、いざ、ブルーベリーの国へ…
作者はスウェーデンで最も愛されている絵本作家のひとり、エルサ・ベスコフ。重厚なストーリーに寄り添う、淡く品の良い色使いの絵に圧倒されます。また、アールヌーボー様式を思わせるフレーム使いも作品を華やかに演出しています。
作者はスウェーデンで最も愛されている絵本作家のひとり、エルサ・ベスコフ。重厚なストーリーに寄り添う、淡く品の良い色使いの絵に圧倒されます。また、アールヌーボー様式を思わせるフレーム使いも作品を華やかに演出しています。
出典:www.flickr.com(@Elaine Ashton)
こけももはリンゴンベリーとも呼ばれ、寒さに強いのが特長。北欧では多く自生していて、ブルーベリーとともにポピュラーな食材のひとつです。プッテの持ち帰ったブルーベリーやこけももは、お母さんがジャムやコンポートなどにして美味しくいただいたのでしょうね。
『おひさまのたまご』 エルサ・ベスコフ(作・絵)⽯井登志⼦(訳)徳間 書店
こちらもエルサ・ベスコフの作品。スウェーデンの森には本当に妖精がいるのではないかと思ってしまうメルヘンな世界観たっぷりの表紙に⼼躍ります。⾃分たちだけの「おひさま」を⼿に⼊れたと思った妖精と森の仲間たち。でもそれは男の子が落としたオレンジの実で…春を待つ気持ちがほんわかと伝わってきます。
エルサ・ベスコフの絵本にはたくさんの⽣き物が登場します。それぞれが愛らしいキャラクターで描かれているので、味わい深く楽しめます。
エルサ・ベスコフの絵本にはたくさんの⽣き物が登場します。それぞれが愛らしいキャラクターで描かれているので、味わい深く楽しめます。
お好みの本は見つかりましたか?
いつもはお部屋の中で楽しむ本も陽気に誘われて外に持ち出したくなる季節。ときには、心地よい薫風に誘われるまま、絵本を片手にお外で過ごしてみるのもいいかもしれません。ぜひ思い思いの絵本時間をお楽しみ下さい。
画像のご協力ありがとうございました!